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『ママをやめてもいいですか!?』

『ママをやめてもいいですか!?』
監督:豪田トモ
ナレーション:大泉洋
 
不要不急の外出は控えよと言われても、映画を観るのは私の生き甲斐。
劇場が休業しているならともかく、営業しているならば行きたい。
どこもかしこも開店休業状態になって潰れちゃったりしたら困るのです。
テアトル梅田へ。
 
豪田トモ監督、失礼ながら存じ上げません。
お名前を見ててっきり女性だと思っていました。男性だとは。
中央大学法学部を卒業してサラリーマン生活を送ったのち、
突然(だったかどうかは知らんけど)映画監督になろうと海外へ。
修行を積んで何本かの短編映画を制作。
 
日本に帰国してフリーの映像クリエイターに。
自身のプロダクションを立ち上げて、『うまれる』(2010)を製作、公開。
その『うまれる』でも本作でもプロデューサーを務めている牛山朋子さんが奥様とのこと。
『うまれる』は現在も各地で自主上映会がおこなわれているそうです。
 
さて、私は、以前にもこのブログに書いたことがあるかもしれませんが、
幼稚園のとき、いじめられっ子でした。
と言ってもいじめっ子はふたりだけ。彼女たちはいとこ同士でした。
入園初日に母から離れたくないと私は園庭で大泣きし、
それを面白がったいとこ同士のふたりに運悪く背の順で挟まれることに。
頭から砂をかけられたり、ねちねちと意地悪なことを言われたり。
近頃のいじめと比べれば何ちゅうことないいじめだったと思いますが、
そのことが心の傷となったせいで、自分で子どもを持つ気には到底なれませんでした。
 
幸いにしていじめっ子ふたりは別々の小学校に。
片方と私は同じ小学校でしたが、ひとりじゃ何にもできないいじめっ子。
同じクラスになることもなく、小学校以降は私は楽しい毎日を過ごしました。
でも、自分の子どもがあんな目に遭うかもしれないと思ったら怖すぎて。
 
このドキュメンタリー作品に登場するママたちは、
そういうことではないけれど子育てについて悩んでいるのだと思っていたら、
ひとりは幼い頃に母親が自殺、もうひとりはやはり幼少期に母親が蒸発と、
私のいじめられた話なんて屁でもないぐらいの体験をされていました。
 
そのせいで、完璧な母親になりたいという気持ちが強すぎたり、
なのに子どもを抱きしめることに躊躇したり。
子どもはそれを感じ取っているのか、「ママは私のことが好き?」と手紙を書いてきたりする。
 
もっとシンプルかつ切実に悩んでいるママたちもいっぱい。
パパに手伝ってほしい、でもなかなか言えない。
してほしいことがあれば何でも言ってくれと言うけれど、
実際に言えば嫌な顔をするじゃない、とか。
「もっと早く帰ってきて」、でも「もっと稼いできて」、
どないせえっちゅうねんというパパの声もあります。
 
ママたち、みんな凄い。
私はチャレンジしなかったことだから、本当に凄いと思う。
涙ぽろぽろこぼれました。
 
コロナ騒ぎのなか、子どもと自分だけの時間が増えて、
ストレスを溜め込んでいるママたちも多いはず。
オンライン署名が1000名分集まったら、オンライン上映が実現するそうです。
署名に参加しませんか。

—–

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』
監督:豊島圭介
ナレーション:東出昌大
 
109シネマズ箕面にて。
 
三島由紀夫に関する私の知識はとても浅い。
知っているのは1970(昭和45)年11月25日の三島事件のことぐらい。
「天皇万歳!」と叫んで割腹自殺したという事実が頭に残り、
天皇大好きな右翼作家と決めつけていました。数年前までは。
 
職場で「ご自由にお持ちください」と書かれた箱の中にあった『美徳のよろめき』
「観なきゃ、読まなきゃ、文句も言えない」というのが私の信条ですから、
読まず嫌いもどうかと思って読んでみて度肝を抜かれる。
なんと美しい日本語なのでしょう。私のイメージが変わる。
 
その後観た『美しい星』(2016)。
三島が原作となった本を書いたのは50年以上前だということにまた驚く。
いやはや凄い人だと思いました。
 
それでもまだ本作を観るまでは「右のひと」のイメージ強く。
その変人ぶりを見るつもりで劇場へ足を運んだのに、
三島由紀夫という人に魅せられてしまった。
 
1969(昭和44)年5月13日。その年の初め、東大安田講堂事件が起きました。
これは、全学共闘会議、略して全共闘を名乗る新左翼の学生たちが、
授業料の値上げ反対や大学の民主化を掲げ、安田講堂を占拠した事件。
全共闘が相反する主張を持つ三島由紀夫を招き、
三島一人を全共闘の学生千人が迎え撃つ形で討論することに。
 
そのときすでに大作家となっていた三島をやり込めてやれ。その場で切腹させてやる。
そんな気持ちで駒場キャンパス900番教室に集まった学生たちのもとへ単身乗り込んだ三島。
 
血気盛んな学生たち相手だから、何が起こるかわからない。流血騒ぎになるかも。
周囲に心配されて始まった討論は意外にも和やか。
討論会のポスターには近代ゴリラと揶揄された三島の似顔絵と
飼育料100円(つまり参加料のカンパ)というナメた文言があるにもかかわらず、
それを笑い飛ばす余裕が彼にはあります。
 
余裕があると言っても、学生たちのことを見下しているわけではない。
次々と繰り出される彼らの意見を真剣に聴き、
ユーモアを交えながらも真摯に答え応じる。
なんだかんだで学生たちも三島のことが好きだったにちがいありません。
 
右翼作家だと思っていたけれど、彼の思想は決して右ではない。
言葉の持つ力を信じ、言葉で社会は変えられると信じている。
このドキュメンタリー作品を観て、彼のことが好きでたまらなくなりました。
 
インタビューに応じているのは、元全共闘の学生、および三島が立ち上げた楯の会の学生、
ほかに平野啓一郎瀬戸内寂聴など。内田樹の話が非常に面白かった。
 
哲学的な話も三島のように解説してくれる人がいたならば。
あの自決がいまさらながら残念でなりません。
そして今、大阪の劇場がすべて休業中でこの作品を観られないことも残念至極。

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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(原題:Birds of Prey: And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)
監督:キャシー・ヤン
出演:マーゴット・ロビー,メアリー・エリザベス・ウィンステッド,ジャーニー・スモレット=ベル,
   ロージー・ペレス,クリス・メッシーナ,エラ・ジェイ・バスコ,ユアン・マクレガー他
 
昨日から大阪の劇場はすべて休館で、本作を観に行ったことすら懐かしい。
109シネマズ箕面にて。
 
『スーサイド・スクワッド』(2016)が面白かったのは覚えているけれど、
なにせ3年以上前のこと、内容は記憶の彼方。
DCコミックスの人気悪役キャラクターが一堂に会した作品だったのですねぇ。
 
そういえば3年以上前の公開時は、DCコミックスに詳しい人でなければ、
主人公のハーレイ・クインがジョーカーの恋人だと言われても、
ジョーカーって誰よという感じだったでしょう。
それが『ジョーカー』(2019)の想定外の大ヒットのおかげで、
みんながジョーカーのことを知っている。
とはいうものの、あれは既存のアメコミ作品とは一線を画していたから、
あのジョーカーと本作で名前の出るジョーカーとは違う気もします。
 
悪のカリスマと言われるジョーカーの恋人だったハーレイ・クイン。
破局したことをしばらくは誰にも言えずにいたが、
吹っ切るべく行動に出たところ、ふたりの別れがゴッサムシティ中に広がる。
 
ジョーカーの後ろ盾がないとわかれば、ハーレイを抹殺したい悪党うようよ。
ハーレイはあちらからもこちらからも命を狙われるようになる。
 
その中でも特にハーレイを嫌う“ブラックマスク”ことローマン・シオニス。
極悪中の極悪として名高い彼からあろうことかダイヤを盗んだ奴が。
 
犯人は凄腕の掏摸、まだ少女のカサンドラ・ケイン。
ちょうどローマンに取っ捕まったハーレイは、
カサンドラを見つけてローマンに引き渡すことを約束。
ローマンは条件を飲み、ハーレイを解放するのだが……。
 
女性の活躍する作品のなんと多いことよ。
本作も予告編でワルカワとありましたが、悪くて可愛く、めちゃ強いんです。
 
ローマン役には悪役はなかなかに珍しいユアン・マクレガー
彼に立ち向かうワルカワ女子軍団は、ハーレイ役のマーゴット・ロビーほか、
復讐に燃える暗殺者、ハントレス役のメアリー・エリザベス・ウィンステッド
人を吹っ飛ばすほどの歌声を持つブラックキャナリー役にジャーニー・スモレット=ベル。
あ、ワルカワはここまでで、あとひとり、ただのおばちゃんが(笑)。
男に手柄を横取りばかりされているおばちゃん刑事役がロージー・ペレス。ワラける。
 
小気味よくて気分爽快。
マーゴット・ロビーは、普通の女子の役よりもこんな役のほうがやはり似合う。
まだまだ続きそうなので期待します。

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『酔うと化け物になる父がつらい』

『酔うと化け物になる父がつらい』
監督:杉山泰一
出演:松本穂香,渋川清彦,今泉佑唯,恒松祐里,濱正悟,安藤玉恵,宇野祥平,
   森下能幸,星田英利,オダギリジョー,浜野謙太,ともさかりえ他
 
この日は第七藝術劇場で1本、テアトル梅田で2本、
シネ・リーブル梅田で2本という5本ハシゴ。その〆が本作でした。
 
原作は菊池真理子のコミックエッセイ。
主演の松本穂香が撮影中ずっと辛かったと話しているのを聞いたせいもあり、
ある意味、前述の『レ・ミゼラブル』よりもきつかった。
 
田所サキ(松本穂香)は、両親と妹の4人暮らし。
父親のトシフミ(渋川清彦)はアルコール依存症
母親のサエコ(ともさかりえ)は新興宗教にハマり、
まともといえるのは妹のフミ(今泉佑唯)だけ。
 
母親は、ほぼ毎晩泥酔して帰宅する父親と離婚しないでいるどころか、
嫌な顔もせずに彼の麻雀仲間を自宅に招いて酒を出す。
そんな日が続いていたが、ある年の父親の誕生日、母親が首を吊る。
 
それでも酒を飲むのをやめない父親のことを漫画に描き始めたサキ。
あるとき何の気なしに投稿したところ入賞し……。
 
こんな父親放っておいて家を出たらいいでしょうと思う。
でも、途中の会話にあるように、檻の中に閉じ込められたネズミと同じで、
いつか抵抗することを放棄してしまう。
映画化に当たっての原作者へのインタビューを読んだら、
父親がアル中だということに気づいたのはわりと最近とのこと。
そんなもんなのかもしれません。
 
不思議なのは、こんなアル中が普通に会社勤めできていたのかということ。
どこぞの会社の人事係、そこそこのポジションだったようですが、無理でしょ。
毎日酔って帰ってゲロ吐いて、お風呂にも入らずにそのまま寝るんですよ。
臭くてしゃあないっちゅうの。
 
麻雀仲間も皆ヒドイ。安藤玉恵演じるスナックのママも笑えない。
娘たちの気持ちも考えずに、父親の気持ちをわかってあげなよとか。
 
酒を飲めないのはサラリーマンにとって致命的とか、
そんな世の中に苦言を呈しつつも、酒飲み擁護にも聞こえてしまいます。
 
かくいう私も酒好きだから、すべては否定しないけど、こんなに飲んじゃ駄目だ。
綺麗な飲み方をしたい。

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『レ・ミゼラブル』

『レ・ミゼラブル』(原題:Les Miserables)
監督:ラジ・リ
出演:ダミアン・ボナール,アレクシ・マナンティ,ジブリル・ゾンガ,イッサ・ペリカ,
   アル=ハッサン・リ,スティーヴ・ティアンチュー,アルマミ・カヌーテ他
 
ナナゲイで1本、テアトル梅田で2本観た後、シネ・リーブル梅田へ。
 
えっ!?また『レ・ミゼラブル』(2012)を上映しているの?と思われる方も多いでしょう。
ちがいます、これはそんな『レ・ミゼラブル』の舞台となった街、
モンフェルメイユを舞台にしたこれまたすんげぇ作品。
第72回カンヌ国際映画祭では『パラサイト 半地下の家族』パルムドールを競い、
それは持って行かれたものの、審査員賞を受賞。
『パラサイト』と比べても遜色ない作品だと思います。が、どっちもキツイなぁ。(^^;
 
フランス・パリ郊外のモンフェルメイユ。
そこは移民低所得者層が多く住み、犯罪が多発する危険な街。
他地区から異動してきた警官ステファンは犯罪防止班に配属され、
二大バカの異名を取る先輩警官クリスとグワダとともに地域パトロールを開始。
 
複数のギャングが対立して街は一触即発の緊張状態にあるなか、
サーカス団ライオンの子どもが盗まれる事件が発生。
犯人は黒人少年らしく、盗みを働いた後に行方をくらましている。
サーカス団長は激怒し、市長のもとへ殴り込み。
とっとと少年を捕まえなければ自分たちの手で見つけて殺すと言う。
 
騒ぎを知ったステファンたちは、その少年をイッサと特定。
居場所を探し当てたものの、イッサの友人たちが警察の横暴ぶりを非難。
揉み合ううちにグワダがゴム弾を発砲、それがイッサの顔に命中して……。
 
『シティ・オブ・ゴッド』(2002)と同様の衝撃を受けました。
俯瞰で映し出された公営住宅のたたずまいは美しい。
これはひとつのアートなのではと思えるほど。
なのに近づいてみれば、雑然として秩序に欠けた街。
 
それでも子どもたちはイキイキとして楽しそう。
ライオンの子どもを盗んだのだって、ほんのいたずら。だって可愛いし。
短絡的だから、それを写真に撮ってネットにUPしちゃって、すぐバレる。
殺される可能性が大アリなのに、無邪気すぎる。
 
だけど天真爛漫というのとはちと違うんですよね。
生まれたときから彼らを取り巻く環境は荒んでいる。
自分でつくった子どもなのに、親は無関心。
厄介事ばかり起こす自分の子どもに憤り、いなくなれと思っている。
こんななかで育つはずがない。
 
エンドロールに掲げられた『レ・ミゼラブル』の原作者ヴィクトル・ユゴーの言葉、
「友よよく覚えておけ、悪い草も悪い人間もない。育てる者が悪いだけだ」。
この日5本ハシゴの1本目だった『プリズン・サークル』とかぶります。
愛情が注がれて、ちゃんと語りかけてくれる人、話を聴いてくれる人がいたならば。
 
美しさのなかに漂う虚無感。絶望的。

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