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『マーズ・エクスプレス』

『マーズ・エクスプレス』(原題:Mars Express)
監督:ジェレミー・ペラン
声の出演:レア・ドリュッケール,マチュー・アマルリック,ダニエル・ンジョ・ロベ,マリー・ブーヴェ他

キノシネマ心斎橋にて、前述の『天文館探偵物語』とハシゴ。仕事帰りに行きやすい劇場では吹替版の上映しかなく、心斎橋まで行ったおかげでフランス語の字幕版を鑑賞することができました。アニメであっても洋画は字幕で観る派です。本作は“攻殻機動隊”へのオマージュが込められた作品とのこと。

23世紀、火星は人類が住めるような技術革新が進み、人間とロボットが共存している。かといって地球がもう住めない状態になっているわけではなく、私立探偵のアリーヌとその相棒のカルロスは火星と地球を行き来しながら活動している。火星で行方不明になった女子大生ジュンの捜索依頼を受けたアリーヌとカルロスは、捜査を進めるうちにロボットを巡る大企業の陰謀に気づく。世間ではロボットを煩わしく思って排除しようとする動きと、逆にロボットを解放しようとする動きの両方があって……。

最初は面白くて食らいつくように観ていたのですが、途中から難解になり、しばし眠りに誘われる(笑)。その後ふたたび覚醒して、わからないながらも最後まで。

アリーヌは人間ですが、カルロスはアンドロイド。かつてアリーヌのパートナーだった人間カルロスの複製体です。冒頭、このコンビが何年もかけて追っていたハッカーのロベルタを地球でやっと捕まえたというのに、火星に連れ戻ってきてみるとロベルタの逮捕状が消えている。逮捕状がない一般市民を捕らえることはできず、悔しさに顔を歪めながらもアリーヌはロベルタを解放します。終盤になって、大企業の陰謀を暴こうとしたときに思い出すのがロベルタのこと。凄腕のハッカーであることは明らかだから、ロベルタに協力を仰いで大企業のシステムに潜り込むのです。

難解ではあるものの、ロボットたちが人間によって一方的に制御されたり解放されたりするさまはなんだか切ない。大企業のCEO・ロイジャッカーが黒幕かと思っていたら、各国のお偉方たちだったというのは『WAR/バトル・オブ・フェイト』と同じでした。政治家って、ろくなことを考えないものですね。

ロボットたちが次々とアップデートされていくなか、旧式のカルロスは「アップデートしろと言われるからそうしようとするのに、いつもメモリ不足でアップデートできない」とぼやくのには笑いました。そのおかげでカルロスからは人間味が消えません。それでも最終的にはロボットたちは自ら命を絶つ。ロボットの集団自殺なんて光景はそのうち見られるものなのかも。それも人間が仕組むのでしょうか。

『天文館探偵物語』

『天文館探偵物語』
監督:諸江亮
出演:寺西拓人,大原優乃,肥後遼太郎,室龍太,高田翔,原嘉孝,SHIGETORA,西田聖志郎,新名真郎,西岡徳馬他

職場や自宅の近所の劇場では観るものがなくなり、前日はなんばパークスシネマへ、この日はキノシネマ心斎橋へ。年末に比べて道路がまぁまぁ空いているのはありがたい。深夜の帰り道はいつでもスイスイだから、車で行くのはやめられません。

timelesz(旧名Sexy Zone)メンバーである寺西拓人が初主演。鹿児島県オールロケ作品なのだそうです。それもあってかご当地ムービー的な色合いが濃い。寺西くん自身が鹿児島出身で町おこしに一役買うということなのかと思いましたが、彼は神奈川県の出身だから、特にそういうこともない様子。

繁華街と歓楽街が隣接する南九州一の商業・娯楽エリア、鹿児島県の天文館。宇佐美蓮(寺西拓人)はバーテンダーとして働きつつ、相棒の山下健斗(肥後遼太郎)と共に探偵としても活動し、街の人々が抱えるトラブルを解決している。バーのマスター・有村悠一郎(新名真郎)は店の奥に無料の託児所を設け、子どもの預け先に困っているシングルマザーたちを助ける根っからの善人。

ある日、通りで話していた健斗と近所の住人がスリに遭う。健斗が追いかけるも取り逃がし、逃げおおせたとホッとしていた犯人・橋口凪(大原優乃)を取り押さえたのが蓮。問いただしてみると、凪は6歳の息子・翔真(上村俊介)を連れてDV夫から逃れてきたのだと言う。翔真を託児所で預かることにして、凪には近くの飲食店での仕事も紹介。一件落着したように思われたが、凪にはまだ秘密があるようで……。

凪の夫は地方創生担当大臣・板倉雄馬(西岡徳馬)の息子・靖幸(室龍太)で、跡取りとなる翔真を連れ戻したいがために誘拐騒ぎとなります。と同時に、雄馬が天文館の再開発プロジェクトを進めていることがわかり、蓮が奔走するというお話。

鹿児島出身なのは寺西くんではなくて、マスター役の新名真郎だと鑑賞後に知りました。エンドロールでエグゼクティブプロデューサーに彼の名前があったことから、あれ?この人の企画なのかなと思ったりもしていたところ、どうやらその通りだったようです。

ご当地ムービーを観るといつも、配信などでも十分だったかなぁと思ってしまうけれど、ここに携わった人たちはきっととても嬉しいし、やった感があると思います。そういう人たちの笑顔のために、こんな作品を撮るのはとてもよいこと。皆さんにお疲れさまと言いたくなります。天文館にも行ってみたくなりました。

『白蛇:浮生 巡りめぐる運命の赤い糸』

『白蛇:浮生』(原題:白蛇:浮生)
監督:チェン・ジエンシー,リー・ジアカイ
声の出演:三森すずこ,佐久間大介,佐倉綾音,杉田智和,悠木碧,武内駿輔他

なんばパークスシネマにて、前述の『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』の次に。

とても面白かったことは覚えているけれど、なにしろ4年半以上前のことだから詳細は思い出せない『白蛇:縁起』(2019)の続編。しかし観はじめてすぐにこの美しいアニメの世界が甦ってきました。

前作で描かれていたのは唐代。蛇の妖怪姉妹・白と青は美人の姿形で人の世へ。姉の白は人間の青年・宣と恋に落ち、最後は宣が自分を犠牲にして白を救うところで終わったのでしたっけ。

前作から500年が経過した南宋の都・臨安。どうしても宣の生まれ変わりと再会したい白は、さらなる修行を積んでもっと上位の妖怪になりたい青を説き伏せ、この世に留まることを主張。姉の頼みを渋々聞き入れて共に宣の生まれ変わりを探していると、ついにそれらしき青年・仙を見つける。白がわざと落とした簪を拾った仙は白に一目惚れ。すぐにでも話をしたいのに、腕の立つ医者である仙に診てほしいと駆け寄る人々がいっぱい。白と青が術を以てしても仙がひとりきりになる時を作るのに難儀するほどだったが、ようやくその時が訪れる。白と仙は結婚することになり、仙の義兄・李も祝福。白が用意した金のおかげで、仙は診療所と薬屋を開いて大繁盛。ところが、金庫からなくなった金のことをお役人たちが調べはじめる。金は青が面白がって盗んだもの。どうせバレるわけはないと高を括っていると、そこに妖怪の匂いを感じ取った金山寺の高僧・法海がやってきて……。

法海は妖怪は直ちに退治すべきものと考えています。人々にとっても妖怪は恐ろしいものでしかあり得ません。白は仙と共に居たいだけで、青もその気持ちを尊重し、人を傷つける気なんてこれっぽっちもない。けれど、法海は妖怪が人を傷つけると決めつけているから、白の本当の姿を仙の前にさらして仲を引き裂こうとします。

壮大で素晴らしいアニメーション。前作で白と契約を交わした宝青坊の主が、本作では劇団を所有している。この芝居がめちゃめちゃ楽しくて目を見張りました。笑えるシーンもいくつもあって、いつまでも観ていたくなる138分。前作を観たときは、客入りが良いのは声を担当しているのが佐久間大介だからなのかと思い込んでいましたが、そうじゃない。“ドラえもん”3DCGアニメを観てもまったく刺さらなかったのに、これはちょっと泣いてしまった。

アニメーションスタジオ“追光動画”が制作するアニメの虜になりそうです。

『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』

『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』(英題:Dark Nuns)
監督:クォン・ヒョクチュ
出演:ソン・ヘギョ,チョン・ヨビン,イ・ジヌク,ムン・ウジン,ホ・ジュノ,キム・グクヒ,シン・ジェフィ,パク・ジョンハク,チョン・スジ他

仕事帰りになんばまで行くのは面倒だなぁ、新御が空いていたら行くことにしようかなと思って、オンライン予約もせずになんばパークスシネマへと向かいました。渋滞しそうな時間帯なのにいつになく空いていて、40分程度で駐車場に入庫。ここの駐車場も最近ナンバー読み取り式に変わり、値段も最大料金1,300円に上がりましたが、なんばではそう高いほうではありません。

観ながら不思議に思っていたのは、病院に神父修道女がいて、彼ら彼女らが医師であり看護師なのですね。悪魔の存在を信じる医師と信じない医師がいて、当然のことながら治療法にも差異があるようです。

長らく原因不明の激しい発作に苦しめられている少年ヒジュン(ムン・ウジン)。彼の母親(チョン・スジ)はなんとか息子の病を治してやりたいとさまざまな方法を試すが駄目。担当医のアンドレア神父(ホ・ジュノ)からこれは悪魔憑きであると言われ、“黒い修道女”の異名を持つシスター・ユニア(ソン・ヘギョ)が祓魔師を務めて悪魔祓い(エクソシズム)を執りおこなう。ユニアのおかげでヒジュンはいったん落ち着くが、悪魔はしばし姿を隠しただけでまた現れると思われる。

このたびの悪魔祓いで命の危険を感じたアンドレア神父は引退を決め、後任としてヒジュンの担当医となったのはパオロ神父(イ・ジヌク)。彼は悪魔の存在を否定し、ヒジュンの症状は薬物投与とカウンセリングで治療できると断言。それではヒジュンが死んでしまうと、シスター・ユニアは打つ手を考えるのだが……。

シスター・ユニアは難聴にも関わらず悪魔の囁きが聞こえます。そしてパオロ神父の部下シスター・ミカエラ(チョン・ヨビン)も自分と同じく霊能者であることを即座に見抜く。巫女になるべくして生まれたシスター・ミカエラは、その人生に背を向けたいがばかりに自身が霊能者であることを隠し、悪魔の存在も否定してパオロ神父に仕える立場を取ってきました。しかし、どう見てもヒジュンは悪魔に取り憑かれている。シスター・ユニアの説得により、ヒジュンを救うために協力します。

悪魔憑きなんてものが本当にこの世にあるとは私には思えません。でもエクソシズムを取り扱った作品があまりに多いから、その存在を信じないと呪われるような気がしてきてしまいます。

すべての霊能者が恐れるほど凶悪な悪魔が憑いているヒジュン。悪魔は死んでも取り憑いたままだから、彼は死ぬこともできません。子宮癌を患い、おそらく余命もわずかだというのに、絶対にヒジュンを救うことをあきらめないシスター・ユニア。なぜそんなにも頑張るのかとシスター・ミカエラから聞かれたシスター・ユニアの言葉が胸を打つ。「人を助けるのに理由が要りますか」。

去年期待していたのにちぃとも面白くなかった『悪魔祓い株式会社』(2025)より遙かに面白かった。最後の最後にカン・ドンウォンのカメオ出演。心が躍りました。もしかしてこれも続編ありますか。

『Rip/リップ』

『Rip/リップ』(原題:Rip)
監督:ジョー・カーナハン
出演:マット・デイモン,ベン・アフレック,スティーヴン・ユァン,テヤナ・テイラー,カタリーナ・サンディノ・モレノ,サッシャ・カジェ,カイル・チャンドラー,ホセ・パブロ・カンティージョ,スコット・アドキンス,ネスター・カーボネル,リナ・エスコ他

先月半ばよりNetflixにて独占配信中。毎年12月にUPする「今年観た映画50音順」用に観たのに、あまりに面白くて年末まで寝かせておくのがもったいなくなりました。「り」で始まる作品を新たに探さなくてはなりません(笑)。

フロリダ州マイアミ・デイド郡の保安官クリス・カシアーノの体験談に着想を得た作品で、監督を務めるのは『炎のデス・ポリス』(2021)のジョー・カーナハン。彼は『バッドボーイズ フォー・ライフ』(2020)の脚本家でもあります。マット・デイモンとベン・アフレックが揃って出演する作品は侮れません。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)の頃を懐かしみながら、すっかりオッサンとなったふたりを見るのは楽しい。ちなみにタイトルの“リップ”は「押収金」のことです。

ある晩、デイド郡警察署の女性刑事ジャッキーが何者かに殺害される。内部に犯人がいるのではないかとの疑いがかかり、警察署もFBIも刑事たちに事情を聴取する。警部補のデインは、死ぬ間際のジャッキーが情報を書き込んだのちに海の中に放り投げたスマホを密かに入手し、金が隠されているとおぼしきハイアリアの住宅街へと出向く。同行したのはデインのチームの部下マイク、ヌマ、ロロと、デインとは公私ともに親しいJD。ジャッキーが記した住所には若い女性デシが居住し、介護していた祖母が亡くなってからひとりで暮らしているのだと言う。デインたちが屋根裏部屋の壁をぶち抜いてみると、そこには麻薬カルテルの所持金らしい2000万ドルの現金が。

この金をどうするか。通常の流れとしては、現金が発見されたことを本部の上司に即報告し、現場にいる複数の人間で金額をきちんと確認して持ち帰るという決まりになっている。しかしかつてない額の金を目の前にして、よからぬことが頭を過る者が現れても不思議はない。デインはまず全員からスマホを回収すると、上司に連絡を入れようとしない。一同は戸惑いの表情を浮かべつつも、金を数えるように指示されたヌマとロロが着手。表の見張りを命じられたマイクはその通りにするが、デインとJDが言い争いを始めて……。

どうやらハイアリアという場所では麻薬カルテルと警官が癒着していて、汚職が当たり前のようです。知らんけど。(^^;

デインとJDは昔なじみだけど、JDはデインに出世の面で先を越されています。ジャッキーと恋仲だったJDはなんとしてでも犯人を挙げたい。なのにデインの態度はまるで金の隠匿を狙っているかのよう。デインは小児癌を患っていた10歳の息子を亡くし、その治療費などでいまや文無し。金がほしいことは確かです。2000万ドル全部じゃなくてもいいからそのうちの少しだけでも自分たちのものにできたら生活が一変するのにと思っているのはヌマとロロも同じこと。このふたりの女性刑事は金を数えながらそんな話もします。

途中、中だるみした部分も若干ありますが、このオチの鮮やかなこと。最後は興奮しましたね。マット・デイモンとベン・アフレックはやっぱりこうでなきゃと思う。痛快。

“Are We The Good Guys?”。はい、いつだって善人です。