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『Red』

『Red』
監督:三島有紀子
出演:夏帆,妻夫木聡,柄本佑,間宮祥太朗,片岡礼子,
   酒向芳,山本郁子,浅野和之,余貴美子他
 
前述の『ミッドサマー』を観た後、109シネマズ箕面へ移動して。
 
島本理生の同名小説を三島有紀子監督が映画化。
いろんなタイプの物語を映画にする人ですねぇ。
『しあわせのパン』(2011)、『ぶどうのなみだ』(2014)、『繕い裁つ人』(2014)は
同じ監督が撮った雰囲気がありありとしていましたが、
『少女』(2016)以降はいつも違う感じ。
私は、同監督のファンタジックな作品よりは、
『幼な子われらに生まれ』(2017)のような現実味のある作品のほうが好きです。
 
村主塔子(夏帆)は一流商社に勤める夫・真(間宮祥太朗)との結婚を機に専業主婦に。
郊外の瀟洒な一軒家に暮らし、可愛い一人娘にも恵まれたが、
姑・麻(山本郁子)との同居で何かと気を遣う生活を送っている。
 
そんな折、真に伴われて参加したパーティーで、
かつて愛した男・鞍田秋彦(妻夫木聡)と10年ぶりに再会。
酷い男だとわかっているのに、秋彦とまた会いたくてたまらなくなる。
 
数日後、ある設計事務所に勤務する秋彦から求人案内が届く。
結婚前は空間デザイナーとして働いていた塔子はすぐに応募。
なんとか真と麻の承諾を得て仕事に就く。
 
秋彦と同じ職場で働きはじめたことで、塔子の毎日が一変。
同僚たちからその能力を認められ、日々が楽しくて仕方ない。
 
ある日、秋彦のアシスタントに自ら挙手して一緒に出かけた塔子は、
秋彦から部屋へと誘われるのだが……。
 
原作未読なのでなんとも言えませんが、著者初の官能小説との触れ込み。
映画版でも濡れ場は多いものの、夏帆のヌードが見られるわけでもなし、
肝心なところを隠してあえがれてもあまりエロくはありません。
見えるからエロいってことでもないんでしょうが(笑)。
 
不倫に走るのもわかるというとなんですが、
この夫と姑と暮らしていたら逃げ出したくもなる。
帰りの遅い夫のために晩ごはんを用意しているけれど、
夫は妻のつくったものは要らないと言い、
自分の母親から「煮付けつくったけど」と言われると、
「ちょっともらうよ」とニコニコ顔。マザコンかっ。
外に連れて行くさいには自分の好みの服を着るように妻に指定し、
周囲から妻のことを褒められても馬鹿扱い、
所在なさげな妻を放置するんですから。
男性陣から見れば、こんなのたいしたことないという意見もありそうですが、
立派なモラハラ亭主だと思います。
 
そんな夫より元カレのほうがいいかと言うと、
顔は断然間宮くんより妻夫木くんのほうが好み。
しかし正体不明すぎて妻夫木くんには走りきれない(笑)。
 
光ったのは、設計事務所の同僚・小鷹淳役の柄本佑
見た目も言動もチャラいのに、すごく温かい。
柄本佑はどんどん垢抜けて、昔とは見違えるようになりましたね。
あとは雪の中で立ち寄る食堂の女将を演じた片岡礼子がよかった。
 
女って大変。男も大変!?
でも、三島監督ご自身がおっしゃっているように、
これは恋愛の問題ではなく、選択の問題。

—–

『ミッドサマー』

『ミッドサマー』(原題:Midsommar)
監督:アリ・アスター
出演:フローレンス・ピュー,ジャック・レイナー,ウィル・ポールター,
   ウィリアム・ジャクソン・ハーパー,ヴィルヘルム・ブロムグレン,アーチー・マデクウィ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、アメリカ/スウェーデン作品を。
 
原題の“Midsommar”は、夏至におこなわれるお祭りの意。
アリ・アスター監督は、長編デビュー作だった『ヘレディタリー/継承』(2019)が
ここ50年のホラー映画中の最高傑作と評価された凄い人。
直近50年どころか21世紀最高のホラーとも言われています。まだ2020年なのに(笑)。
 
そんな監督が、スウェーデンを舞台にしたホラーを撮ってほしいと請われ、
んなこと言われても思いつかんわと一旦は断ったものの、
降ってきたアイデアにおぉ!これだ!とやっぱり引き受けることにしたんだとか。
 
一人暮らしの女子大生ダニーは情緒不安定。
気分が落ち着かなくて、恋人のクリスチャンに何度も電話をかけてしまうから、
クリスチャンはかなり辟易、友人たちから別れろと言われている。
踏ん切りがつかずに電話に出ては優しくなだめていたが、
ある日、ダニーの妹が実家の両親と無理心中を図り、3人とも亡くなる。
 
家族全員を一度に亡くしたダニーはますます体調が悪くなる。
あまりの落ち込みようを見ていられないクリスチャンは、
男友達だけで行くはずだったスウェーデン旅行につい彼女を誘う。
 
誘ったところで来ないだろうと思っていたのに、ダニーは参加すると言う。
一同が向かったのはスウェーデンの田舎の村ホルガ。
クリスチャンの友人のうちのひとり、ペレの故郷らしい。
 
ホルガでは90年に一度開かれるという特別な夏至祭がおこなわれる予定で、
各地の夏至祭を研究のテーマにしているジョシュ、女にしか興味のないマーク、
そしてクリスチャンとダニーがペレの案内でホルガへ到着。
 
草原の続く奥地にその村はあり、開けた場所には太陽が降り注いでいる。
村人たちは一様に白い衣装に身を包み、笑顔を絶やさず親切。
やがて始まる神秘の祝祭を一同は体験することになるのだが……。
 
もうなんというのか、絶対変態ですよね。奇才か鬼才か知らんけど。
 
一見皆善人。でもなんだかおかしい。
全員が家族との認識で、年齢層ごとに眠る場所が決められている。
自然を崇拝し、自給自足の生活をしています。
こういう自然崇拝の信仰をペイガニズムというんだそうで。
 
ネタバレになりますが、一定の年齢以上は自ら死ぬのが当たり前で、
その命は生まれてくる赤ん坊に引き継がれるという考え方。
だから、死んだ人の名前を赤ん坊に付けるのです。
この自殺のシーンがえげつない。
高い崖から身を投げて、顔がぶっ潰れるのは見たくなかった。
万が一、飛び降りて死に損ねた場合は、でかい鉈だかなんかで息の根を止められる。
『ヘレディタリー』よりはグロ度低めですが、変態度は高い(笑)。
 
村の秘密を持って外に出ようとする「よそ者」は容赦なく殺され(具体的なシーンは無し)、
近親相姦になりがちなコミュニティに、新しい血を入れるべくよそ者を引き入れた村人は英雄です。
意図的な近親相姦で生まれた奇形児は神の啓示を皆に伝える役割を持っている。
どうです、めちゃくちゃ変でしょ。
 
変なんですけど、変だというだけには思えなかった。
かつては首狩り族を野蛮だと思っていた私ですが、
『セデック・バレの真実』(2013)を観て印象が変わりました。
自分たちの文化とだけ比較して、野蛮だとか変だと言ってはいけない。
本作のようなコミュニティがあるとしたら、私自身は理解できないけれど、
頭から否定してはいけないんじゃないかという気もします。
 
夜になっても暗くならない、
白夜の狂気には『フィンランド式残酷ショッピング・ツアー』(2012)を思い出したりもして、
観たら死ぬまで忘れられそうにない作品です。結構好きかも♪
でも人に薦めたら変態だと思われるので、よう薦めません。(^^;
今日から上映時間170分のディレクターズカット版も公開。こりゃ観に行っちゃうな。

—–

『スキャンダル』

『スキャンダル』(原題:Bombshell)
監督:ジェイ・ローチ
出演:シャーリーズ・セロン,ニコール・キッドマン,マーゴット・ロビー,ジョン・リスゴー,
   ケイト・マッキノン,コニー・ブリットン,マルコム・マクダウェル,アリソン・ジャネイ他
 
109シネマズ箕面にて。
 
アメリカでトランプ大好きなニュース専門局といえば“FOXニュース”。
他のメディアのリベラル偏向に対抗して中立の姿勢を貫くと言っているけれど、
中立の姿勢どころかがっつり保守系、共和党に肩入れ丸出し。
とても中立とは思えません。
 
本作は、そんなFOXニュースで2016年に起きたセクシャルハラスメント事件の全貌。
マーゴット・ロビーという美貌の女優陣を配して見た目抜群。
かつ、3人とも確かな演技力があるから、見応え十分の1本です。
 
FOXニュースの看板キャスター、メーガン・ケリーは、
保守的な発言しか許されない社風のなか、
ドナルド・トランプ大統領候補との対談で堂々と彼を非難する意見を述べる。
ツイッターでメーガンへの嫌がらせを執拗に繰り返すトランプ。
共和党の支持者からも罵詈雑言を浴びせられて身の危険を感じ、
FOXニュースのCEOロジャー・エイルズに相談するが、何もしてくれない。
 
その頃、FOXニュースのベテランキャスター、グレッチェン・カールソンは、
人気番組の担当を降ろされたのを機に、ロジャーを訴えようと考える。
降板はロジャーの性的誘いを拒絶したせいだったから。
アメリカTV界の帝王を訴えても勝ち目はないと思われるが、
なんとしてでも長年セクハラを繰り返してきたロジャーを負かしたい。
弁護士と綿密に計画を練り、告発の準備を密かに進めていた。
 
一方、グレッチェンのもとで働いていた若手ケイラ・ポスピシルは、
メインキャスターの座を狙っている。
このままでは将来がないと、ロジャーとの面接の機会を画策するのだが……。
 
シャーリーズ・セロン演じるメーガンが、
私たち観る者に対して社内を案内して回るふうに始まります。
彼女のメイクをカズ・ヒロが担当。京都のご出身だそうで。
第92回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。
このメイクがさすがに凄い。本物のメーガン・ケリーとそっくり。
そりゃシャーリーズのほうが綺麗なんですが、
よくここまで似せるメイクを違和感なくできたなと驚く。
そして違和感がないものだから、老けメイク苦手な私もメイクに気を取られなくて済む。
 
こんな親父が舌なめずりして若い女性の体を眺めて、
出世のためなら彼と寝ることを厭わなかった人たちがいることに絶句。
歩行器使っていてもやることはやれるのということにもびっくり。(^^;
夫を信じている妻も阿呆というべきなのか偉いというべきなのか。
 
ケイト・マッキノン演じる、実は民主党が好きでゲイだという社員が印象に残りました。
他局も受けたけど全部落ちて合格したのはFOXニュースのみ。
転職活動をこっそりしているものの、FOXニュースに勤めていると言うと即落とされる。
結果、民主党派であることもゲイであることもいちばん隠さなければいけないFOXニュースにいるなんて。
ここの部分は脚色でしょうけれど。
 
華麗で、上品で、描かれる世界は下劣。

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『グッドライアー 偽りのゲーム』

『グッドライアー 偽りのゲーム』(原題:The Good Liar)
監督:ビル・コンドン
出演:ヘレン・ミレン,イアン・マッケラン,ラッセル・トヴェイ,ジム・カーター他
 
109シネマズ箕面にて。
 
ニコラス・サールの『老いたる詐欺師』をビル・コンドン監督が映画化。
主演のヘレン・ミレンイアン・マッケランは、ふたりとも大英帝国勲章の受章者。
いわゆる“ナイト”とか“サー”とかの称号を授けられるというやつですね。
 
勲章にもいろいろランクがあって、上位2ランクならそれに該当。ヘレンはそうです。
イアン・マッケランは“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズのガンダルフ役で有名な俳優ですが、
ゲイであることをずいぶん前にカミングアウトしています。
昔、自分がなかなか大英帝国勲章を授与されないのはそのせいだと嘆いていたような記憶が。
無事に授与されてよかった。
 
1年前に夫を亡くした老女ベティとひとり暮らしの老人ロイが出会い系サイで知り合う。
ネット上のやりとりのあと、実際に会ってみることに。
お互いに好感を持ち、以後たびたびデートを重ねるようになる。
 
足を痛めているロイの辛そうな歩き方を見かねて、
ベティはしばらく自宅で一緒に暮らさないかと提案。
ロイを紹介されたベティの孫スティーヴンは悪い予感を抱くが、
当のベティはロイへの好意を隠そうともしない。
 
実はスティーヴンの想像どおり、ロイはどうしようもない悪人。
ベテラン詐欺師で、あちこちであくどい詐欺を働いていた。
ベティに近づいたのも、彼女の資産を狙ってのこと。
詐欺師仲間のヴィンセントと共謀し、資産を丸ごと頂戴すべく、
ベティにふたり共同で口座を開こうと提案するのだが……。
 
女が一方的に騙される話ではないと事前に知っていたので、
最後は大逆転なのだろうと思っていました。
しかしこう来るかという感じで、いや、驚いた。
 
それがわかるまでのロイはものすごく嫌な奴です。
早く奴をぎゃふんと言わせてくれ~と願うばかり。
ベティの前では紳士的で優しい老人。
彼女から見えなくなるや、そのずるそうな顔といったら。
イアン・マッケランの演技に舌を巻きます。
 
一方のヘレン・ミレンもさすがの演技。
真実が明かされるくだりはその執念が怖くて怖くて。
 
ここまでするかと思わなくもないものの、
大御所ふたりの役者ぶりを堪能。
嫌な話ではありますが、面白かった。

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『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』

『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』
監督:成島出
出演:大泉洋,小池栄子,水川あさみ,橋本愛,緒川たまき,
   木村多江,戸田恵子,濱田岳,松重豊他
 
2日続けて仕事帰りに109シネマズ箕面へ。
 
原作は第23回(2016年度)読売演劇大賞最優秀作品賞の受賞作で、
ケラさんことケラリーノ・サンドロヴィッチのヒット舞台。
基になっているのは太宰治の未完の遺作なのだそうです。
凄いですよね、ケラさん。毎年何やらの演劇賞を受賞しているのですから。
 
ダメ男なのになぜかモテまくる文芸誌編集長・田島周二(大泉洋)。
青森にいる妻子を気にしつつも、何人もの愛人と別れられずにずるずると。
愛娘からの「お父さんと暮らしたい」という便りを読み、
ようやく生き方を改めてすべての愛人たちと別れる決意をする。
 
どのように別れを切り出せばいいだろうと旧知の漆山連行(松重豊)に相談すると、
偽の妻を金で雇って愛人たちのところに連れて行けば簡単さと言われる。
半信半疑ながらほかに良い方法もないから、
田島は担ぎ屋・永井キヌ子(小池栄子)にその偽の妻役を頼むことに。
カネにがめつく大食いのキヌ子は、報酬目当てに引き受けるのだが……。
 
妻役は木村多江。愛人役は3人。
1人目は花屋の店員で、緒川たまき。ケラさんのホンモノの奥様です。
2人目は挿絵画家で、橋本愛。3人目は女医で、水川あさみ
田島に関わる彼女たちは当然のこと、ほかのキャストがとても楽しい。
挿絵画家の兄役に皆川猿時、田島の部下役に濱田岳
易者役の戸田恵子が怪しすぎて絶品です。
 
序盤はちょっぴりもたもたしていて、シャレもスベリ気味に思えました。
それに小池栄子演じるキヌ子のしゃべり方が
『魔法使いサリー』のよし子ちゃんみたいであることにものすごい違和感。
いい女優なのに、どうしてわざわざこんなしゃべり方をさせるのか不思議でした。
しかし途中からはそのしゃべり方で「田島の妻でございます」と言うのが妙に可笑しく、
気になるどころか好きになっていました。
 
たぶん舞台のほうが面白いだろうなぁとは思うけれど、
戸田恵子演じる易者を真似れば、「だいたい」面白い(笑)。

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