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『セメントの記憶』

『セメントの記憶』(原題:Taste of Cement)
監督:ジアード・クルスーム
 
連日の飲み会にそろそろ疲れが出てきた頃。
にもかかわらずこの日も晩に食事の約束があり、その前に2本(だけ)観るつもりでした。
ところがボーッとくつろいでいた朝、
飲み友だちの姉さんによる、本作が衝撃的だったというSNSの書き込み発見。
えーっ、スルーするつもりだったけど、そんなに凄いんですか。
時計を見ると、間に合いそうな時間。
ほな腰を上げて行ってみますかと、第七藝術劇場へ。
 
ドイツ/レバノン/シリア/アラブ首長国連邦/カタール作品。
ドイツの作品はまぁまぁあるとして、
それ以外に並ぶ国名を見るだけで、軽く観てはいけない空気がすでに流れています。
 
レバノンの首都ベイルート。長い内戦の爪痕が残る街。
復興が進むこの街は、超高層ビルの建設ラッシュ。
その建設現場を支える労働力となっているのは、
今も内戦が繰り広げられているシリアからの移民や難民。
ジアード・クルスーム監督は元シリア軍の兵士で、のちにレバノンへ亡命した人。
 
内戦の続く国では、建設中のビルが空爆に遭ってたちまち崩れ落ちる。
監督の父親はそんな国で建設に携わり、ビルが完成すれば内戦のない国に移動。
そしてそのビルが崩れると、また建設に向かうという生活を送っていたそうです。
 
邦題は「セメントの記憶」ですが、原題は「セメントの味」。
崩れたビルに埋もれ、救出されるのを待つ者が知るセメントの味。
私たちには決して想像できない味だけれども、
それが暗闇の中で口いっぱいに広がることを想像するだけで苦しい。
 
異国へ労働に来て、淡々とこなす仕事。
談笑など聞こえない。壁に響くのは工事の音だけ。
静かな作品かと思いきや、終盤に轟き渡る空爆の音と空に広がる白煙。
 
この衝撃は『草原の実験』(2014)以来。
同じ世界で、なぜこのようなことが今も続いているのか。
言葉を失って、ただただ呆然、そんな感じ。

—–

『ある少年の告白』

『ある少年の告白』(原題:Boy Erased)
監督:ジョエル・エドガートン
出演:ルーカス・ヘッジズ,ニコール・キッドマン,ジョエル・エドガートン,
   ジョー・アルウィン,グザヴィエ・ドラン,ラッセル・クロウ他
 
TOHOシネマズ西宮にて。
182分の『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観た直後だったから、
集中力が持つかどうか心配でしたが、これも面白かった。
と言っても明るい気持ちには全然なれませんけれど。
 
原作はガラルド・コンリーの回顧録。
同性愛者であることは「病気」であると言われ、
その「治療」を目的とする矯正プログラムを受けた実体験を綴っています。
 
アメリカの田舎町に暮らす少年ジャレッド・イーモンズ。
父親は牧師で住民の人望厚く、母親は美しく優しい。
何不自由なく育つが、ガールフレンドとの交際になんとなく違和感がある。
 
大学生に入り、寮生活を始めたのをきっかけに彼女とは別れ、
同じ寮暮らしのヘンリーと親しくなる。
自分が同性愛者であることに気づきつつ認めることを恐れるジャレッドは、
ある日ヘンリーに強姦されそうに。
なんとか逃げたジャレッドに、ヘンリーは涙ながらに謝罪し、
過去に別の少年を強姦したことがあると打ち明ける。
 
自分もまちがいなくゲイ。しかしヘンリーとはもうつきあえない。
ヘンリーを避けていると、通報されることを恐れたのか、
大学のカウンセラーを名乗ってヘンリーが実家に電話を入れ、
「お宅の息子さんの性的指向に問題がある」と話す。
 
慌てた父親は町の長老に相談。その結果、矯正プログラムへの参加を提案される。
母親の涙を見るうち、これは病気だ、治さなければと感じたジャレッドは、
その提案を受け入れて施設に入るのだが……。

俳優ジョエル・エドガートンがメガホンを取り、
施設の指導員サイクス役で出演もしています。
 
終盤こそ、この施設が明らかにおかしいことがわかりますが、
最初はただの熱血指導員で、それなりに真面目に見えるのです。
ラッセル・クロウ演じる父親も、ニコール・キッドマン演じる母親も、
息子ジャレッドのことを深く愛していて、本当に心配している。
本人も自分が病気だと疑わず、両親のためにも治療したいと願う。
 
病気だ、そうではない、これは変えられないことだ。
心の動きを表情にするジャレッド役のルーカス・ヘッジズがめちゃめちゃよかった。
 
「私は神を愛している。神も私を愛している。それは間違いない。
 そして私は、息子を愛している。とても単純なこと。それが母親。
 でも、父親はちょっと複雑なの」。
矯正するなんてとんでもないことだと悟った母親の言葉。
父親だってそんなことはわかっているはずなのに、まず体面を気にしてしまう。
 
こんな施設が今なお存在し、何十万人という少年少女が入所している事実に呆然とします。

—–

『アベンジャーズ/エンドゲーム』

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(原題:Avengers: Endgame)
監督:アンソニー・ルッソ,ジョー・ルッソ
出演:ロバート・ダウニー・Jr.,クリス・エヴァンス,マーク・ラファロ,クリス・ヘムズワース,
   スカーレット・ヨハンソン,ジェレミー・レナー,ドン・チードル,ポール・ラッド,
   ブリー・ラーソン,カレン・ギラン,グウィネス・パルトロー,ジョシュ・ブローリン他
声の出演:ブラッドリー・クーパー,ヴィン・ディーゼル他
 
飲み会続きで映画に行くのもしんどいけれど、
メーデー1日、ファーストデーは行かなきゃもったいない。
またまた這うようにして起きてTOHOシネマズ西宮へ。
 
朝イチの回だというのに混んでいます。
182分って、長すぎるやろ!寝てまうやろ!と思いました。
でも一瞬たりとも眠くならんかったなぁ。
 
ついに完結、“アベンジャーズ”
好きですよ、大好きですけどね、繰り返し観る性分ではないので、
1年前に観た前編の内容をあまり覚えていません。
とにかくサノスによって人類の半分が消滅させられてしまったことを覚えているだけ。
それでじゅうぶんかと。
 
全宇宙の生命の半分が消失し、消えたヒーローも多数。
そんななか、生き残ったヒーローたち、
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ、ブルース・バナー/ハルク
ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシンソー、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウが
なんとか打つ手を模索し続けいると、スコット・ラング/アントマンが現れる。
 
スコットは量子世界に閉じ込められていたおかげで何が起こったかを知らずに無事。
その後、量子世界から抜け出すことに成功してアベンジャーズを訪ねてきたのだ。
彼は自分の経験をもとに、タイムマシンをつくることが可能ではと言う。
タイムマシンをつくって過去に戻り、インフィニティ・ストーンがサノスの手に渡るのを阻止しようと。
 
この手の話はトニー・スターク/アイアンマンに相談するよりほかない。
しかしトニーは妻子と共に穏やかに暮らすことを選び、話に乗ろうとしない。
仕方なくブルースがタイムマシンづくりに取りかるのだが……。

とにかくオールキャストですから、楽しくないわけがありません。
終盤にはドクター・ストレンジスパイダーマンブラックパンサーもみんな出てきて大興奮。
誰かひとりのオイシイとこ取りではなくて、満遍なく活躍の見どころがあります。
特に目立っているのはキャプテン・マーベルといえなくもないけれど、
今回はアントマンがいないと進まない話だから、ポール・ラッド好きとしては嬉しい。
クリス・ヘムズワース演じるソーが呑んだくれで腹出たまんまというのが悲しい(笑)。
 
どのスーパーヒーローも知っている人のほうがそりゃ楽しめます。
観ていなければ、せっかく笑えるところなのに笑えない台詞もいっぱい。
でも、アベンジャーズ初見でもそれなりには楽しめるんじゃないですかね。
ロバート・レッドフォードのカメオ出演にもびっくりして笑った。
 
これでほんとに終わりなんだと思ったのは、エンドロールの最後に何もなかったこと。
何にもないマーベル作品なんて、これが初めてのような気がします。
すすり泣きの声も漏れていたのは、よほどのファンか。
いえ、私もトニーとスパイダーマンの少年の抱擁シーンは泣きました。
 
クリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンがまたコンビを組む、
『メン・イン・ブラック:インターナショナル』の公開を楽しみに待ちます。
予告編を観るとソーネタもありますしね。
 
ありがとう、アベンジャーズ!

—–

『AKIRA』

『AKIRA』
監督:大友克洋
声の出演:岩田光央,佐々木望,小山茉美,玄田哲章,大竹宏,石田太郎,鈴木瑞穂,
     北村弘一,池水通洋,渕崎ゆり子,大倉正章,荒川太郎,草尾毅他
 
塚口サンサン劇場にて2本ハシゴの2本目。
これが私の「平成最後に観た映画」でした。
 
大友克洋監督の名作であるのは言うまでもないこと。
日本における初公開は1988年7月。
その後、欧米アジア各国で公開され、世界的に高い評価を受けました。
2002年にはリバイバル上映があり、そしてなぜまた今なのかと思ったら、
舞台がちょうど2019年なのですよね。
へ〜っと驚いている私はなんと初見です。(^^;
特別音響上映、1,500円也。価値があります。
 
1988年、関東地区で新型爆弾が使用されて第三次世界大戦が勃発。
 
31年が経過した2019年の首都ネオ東京では、
軍(アーミー)と反政府ゲリラとの戦いが繰り広げられている。
 
いわゆる暴走族のリーダー格、金田は、改造バイクを駆って日々疾走。
その日も仲間たちと共に進入禁止の高速道を走っていたところ、
先頭を走っていた鉄雄が、突然現れた奇妙な小男を避けようとして転倒。
その小男は、背丈と服装はまるで子どもなのに、顔だけは老人だった。
 
金田らは鉄雄のもとへと駆けつけるが、
アーミーのヘリが着陸し、小男と鉄雄を連れ去ってしまう。
 
翌日、金田が行方不明となった鉄雄を探しに出かけたところ、
反政府ゲリラの一員ケイと出会う。
鉄雄の居場所を突き止めたい金田は、
アーミーの動きを不審に思う反政府ゲリラと目的が一致。
手を組むことにするのだが……。

正直なところ、よくわかりませんでした。私の頭ではついていけない。
ついていけないのにちっとも眠くならない。
なんだかすごく面白い作品であることはわかる。
 
2020年の東京オリンピック会場が決戦の場になっていたりと、
大友さん、予知能力者ですかと言いたくなる。
その部分だけ採ってみても、『AKIRA』はすごい。
 
なんかわからんけどすごいアニメやったなと思いつつ外に出たら、
外国人がいっぱいいてたまげました。
どうして塚口にこんなにいかつい外国人いっぱいなのと思ったら、
みんな次の回の『AKIRA』を観に来たお客さんで。
「世界的に評価が高い」を実感しました。
平成最後にこんな「わけわからけどすげぇ映画」を観られてよかった。

—–

『クイーン ヒストリー 1973-1980』

『クイーン ヒストリー 1973-1980』(原題:Queen: Under Review 1973-1980)
監督:ロブ・ジョンストーン
 
テアトル梅田で『こどもしょくどう』を観たあと、阪急電車に乗って塚口へ。
塚口サンサン劇場にて2本ハシゴの1本目。
 
『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットついでに
2005年に発売されたDVDを劇場でかけちゃいましょう、そんなとこですかね。
第七藝術劇場でもかかっています。
『クイーン ヒストリー2 1980-1991』というDVDもあるんですが、
さすがにあざといと思わそうだからか、それとの抱き合わせ上映なんてのは無し。
 
DVD自体の評判はあまりよくありません。
評論家の話がほとんどで、コアなファンなら知っている話ばかりだそうな。
歌がガンガン聴けることを期待して観るとガックリするでしょう。
 
私の場合、TSUTAYA DISCASで以前(わりと最近(笑))レンタルしたのですが、
そんなふうに歌はほとんどかからないせいで、集中力が持たず。
真剣に観ないまま返却してしまったので、劇場で観るのもいいかなと思って。
 
レンタルDVDで観られるものをわざわざ1,400円払って観たわけですが、
私はとても楽しめました。
『ボ・ラプ』が純粋な伝記ではないこと、
どの年の話を繋いでできあがった映画だったのかもわかります。
 
音楽評論家の話も非常に面白い。
ポール・ガンバッチーニ、マルコム・ダン、クリス・ウェルチって、
私は全然知らない名前ばかりですが、有名な評論家なのでしょうね。
彼らが皆評論家だからといって、同じ曲を評価しているのではなくて、
ある人は「お気に入りの曲だ」といい、
別の人は「どうしてあんな曲をつくったのかいまだにわからん」と酷評する。
好みが同じ人ばかりがしゃべるのを聞いても面白くないですもん。
 
クイーンが音楽をする人たちに与えた影響は意外に少ないということ。
というのも、クイーンはカテゴリーを飛び越えていろんな音楽にチャレンジするバンドだったから、
真似しようにもしようがないから。
そして、パンクが台頭して消え去ったバンドも多いなか、
流行に乗らなかったクイーンは流行に押しつぶされることもなかったということ。
 
ギター片手に曲のコード進行について話すのは、ギタリストのサイモン・ブラドリー。
コードのことはわからない私も実演付きだからわかりやすくて。
フレディはピアノを弾く人だから、無意識のうちにピアノで弾きやすいコードで作曲している。
同じ曲中にギターソロを入れる場合、その点でブライアンは苦労しただろうという話。
ピアノで弾きやすいコードはギターでは弾きにくく、
でもブライアンはフレディの作曲部分を無視して自分のソロを作曲するわけにはいかなかった。
だから、ソロ部分も微妙に難しいコード進行になっているとか。
 
メタリカがカバーしたことにより、世間がクイーンの曲の良さを再認識したという
“Stone Cold Crazy”の話なども、にわかクイーンファンの私としては「へ〜っ」でした。
 
DVDならではなのか、ありえない字幕の誤字も。
アルバムタイトル『戦慄の王女』が『旋律の王女』となっていたのにはワロた。
 
それにしても、本作に出てくる名前は見事にフレディとブライアンのみ。
“Another One Bites the Dust”の話でリフがいいよとディーキーの名前は一度出たか。
誰かドラムのロジャーのことも褒めてあげて!

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