『残穢 住んではいけない部屋』
監督:中村義洋
出演:竹内結子,橋本愛,坂口健太郎,滝藤賢一,佐々木蔵之介,
山下容莉枝,成田凌,吉澤健,不破万作,上田耕一他
前述の『シーズンズ 2万年の地球旅行』とハシゴ。
昨年末から劇場へ行くたびに目にする予告編は怖そうだったけれど、
それを紹介する橋本愛の髪型と服装がインパクトありすぎでワラけるほど。
隣に座る竹内結子があまりに普通のいでたちだったから余計に。
そんな予告編のせいもあり、気になるからせめて原作ぐらいは読んでおこうと、
今年のお正月休み中に読んだのが小野不由美の『残穢』でした。
怖い怖いと思いながらも本ならば大丈夫。
映像化されたら絶対怖くて観られないと思っていたけど、
中村義洋監督ということもあって、好奇心には勝てず。
劇場に入って驚いたのは、小学生ぐらいの女の子がお母さんと来ていたこと。
上映前も終映後もまったく平気な様子でスゲェと思いました。
イマドキの子どもたちってホラー慣れしているのでしょうか。
私が小学生だった頃は、こんな怖い映画を親と観に行く子なんていなかったはず。
ホラー好きの親に『エクソシスト』(1973)に無理やり連れて行かれたという友人は、
一回転する首や緑のゲロシーンに泣きわめいたらしいです。
小説家の「私」(竹内結子)は、読者から寄せられる体験談を基にした短編を雑誌に連載中。
この日も編集者の田村(山下容莉枝)と会い、読者からの手紙を受け取る。
こんな連載を請け負ってはいるが、心霊現象には懐疑的。
夫の直人(滝藤賢一)も小説家で、特にミステリーの執筆を生業としているが、
「私」以上に心霊現象に否定的。
夫婦の終の棲家となる一戸建てを新築する予定で、
良さそうな土地を夫が物色中、まもなく決まりそう。
読者からの手紙に目を通している途中、気になる話に遭遇。
女子大生の久保さん(橋本愛)が、居住中のマンションの部屋で異音がすると言う。
ありがちな話ではあるのだが、どこかが引っかかる。
過去にもらった手紙の束をひっくり返してみると、
久保さんと同じマンションの住人から数年前に同じ内容の手紙が来ていたのだ。
しかも久保さんとは別の部屋。
「私」と久保さんは連絡を取り合い、調査を開始する。
するとその岡谷マンションには不思議と人が居着かない部屋が存在することが判明。
しかも岡谷マンションから出たあと、引っ越し先で不幸な死を遂げている人多数。
しかし、このマンションには「曰く付き」の部屋はないらしい。
ということは、マンション建設前にこの土地で何かがあったのではないか。
「私」と久保さんが調査を進めるうち、マンション付近に留まらず、
次第に調査すべき範囲が広がって行く。
話を聞きつけた作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)もヤジウマ的に調査に参加。
平岡の紹介で心霊マニアである三澤徹夫(坂口健太郎)の協力も得て……。
原作を読んでいたおかげで先がだいたい予測できるから、
さほど怖いとは思わずに観られました。
が、映像ならではの脅しシーンが出てきても嫌だから、
なんとなくそうなりそうな箇所では画面を直視せず、
スクリーン下方に目を向けるようにしました(笑)。
ちなみに原作を読了後に“ブクログ”に投稿した私のレビューは下記のとおり。
「今月末に公開の映画版はあまりに怖くて観に行けそうになく、
それでも気にはなるので原作だけは読むことに。
主人公である作家がかつて手がけたホラーシリーズ。
シリーズが終了してから何年も経つというのに、
いまだにしばしば寄せられる読者からの怖い話。
そのうちのひとつが怪異現象が起こるマンションについての情報でした。
実話かと思ってしまうようなモキュメンタリー(=フェイクドキュメンタリー)。
作家と情報提供者が調べてみると、マンションの部屋のみならず、
付近一帯の忌まわしい過去があきらかになります。
ビビりながらも非常に面白く読みましたが、
あきらかになる過去がおぞましいだけのもので、
私の好きなスパニッシュホラーにあるような「切なさ」がありません。
恐ろしくも涙してしまうという内容ではないので、個人的にはいまひとつ。
映画版では作家に竹内結子、情報提供者に橋本愛。
映像化されたら怖すぎて、ホラー苦手な私には絶対無理(笑)。」
岡谷マンションが建つ土地には、過去にさかのぼっておぞましい出来事があり、
そこに住めば、触れてはならない穢れに触れたことになります。
引っ越してどこへ行こうが穢れがそのままついてきて拡散される。
明らかになる過去はとてつもない不幸ばかりですが、
原作のレビューに書いたように、悲哀を感じてしまうような背景とはちと違う。
いきなり何かが飛び出してくるような、怖がらせるだけの映像はないし、
私のようにホラーが苦手な人でも調査の進展を興味深く観られると思います。
切なさが足りないから好きだとは言えないうえに、ものすごく嫌な終わり方(笑)。
その電話は怖すぎるっちゅうの。
どうでもいいことですが、「私」の姓は「小松」のようですね。一瞬だけ映りました。
小ネタが好きな中村監督だから、何か意味がある名前なのかなと勘ぐったりして。
上映前も明るくお母さんと会話、終映すると足取り軽く帰って行った小学生女子。
なんで怖くないの~。尊敬します。(^o^;
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