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『空の青さを知る人よ』

『空の青さを知る人よ』
監督:長井龍雪
声の出演:吉沢亮,吉岡里帆,若山詩音,松平健,落合福嗣,大地葉,種崎敦美他
 
TOHOシネマズデーにTOHOシネマズ梅田で2本ハシゴ、その1本目。
 
長井龍雪監督の名前を見ると、永井龍雲を思い出して、
頭の中を“道標(しるべ)ない旅”がぐるぐる回るのは私ぐらいだろうなぁ(笑)。
けどまだ永井龍雲ってちゃんと活動しているのですよね。
 
という関係のない話は置いといて。
 
『心が叫びたがってるんだ。』(2015)を手がけたクリエイターチーム“超平和バスターズ”。
そこに所属する面々による劇場オリジナルアニメーション。
吉沢亮が声を担当するアニメって観たことありましたっけね。初めてじゃないかな。
彼も吉岡里帆もその声優ぶりがなかなか良いです。
 
始まって早々に主人公がベースでつまびく曲はゴダイゴの“ガンダーラ”。
私ら世代の掴みバッチリ。
 
埼玉県秩父市
13年前に事故で両親を失ってから二人暮らしの相生姉妹。
当時高校3年生だった姉のあかねは、まだ幼い妹のあおいの面倒をみるために、
恋人だった「しんの」こと金室慎之介と上京することをあきらめて地元で就職。
 
幼かったあおいは高校2年生になり、ひたすらベースを弾く日々。
自分のために恋も夢も手放したあかねに負い目を感じ、どこでも無愛想。
まともに口を利くのはいつもあおいの練習につきあう小学生の中村正嗣ぐらい。
 
ある日、練習場所であるお堂に行くと、そこには13年前の姿のままのしんのが。
しんの曰く、眠ってしまって起きたら今だったと。
驚くあおいだが、ひそかに想いを寄せていたしんのが現れてくれて嬉しい。
自分にだけ見える幽霊というわけでもなく、正嗣にもしんのが見えている。
しかししんのがお堂から出ようとすると壁にぶち当たって出られない。
やはりしんのはこの世の者ではないのか。
 
一方、町ではまもなく開催される音楽祭に大物演歌歌手の新渡戸団吉を招聘。
そのバックバンドとして同行してきた中に慎之介がいて……。

仲良し姉妹の人が観たらきっと泣く。

めちゃめちゃ多いですよね、タイムループとかタイムリープとかタイムスリップもの。
何がどうちがうのか、観るたびに調べるけれど、いまだにちゃんと説明できない。(^^;
で、またそのうちのどれかなのかよと思って本作を観ましたが、
しんのが時代を行ったり来たりするわけではなく、お堂にずっと居るだけ。
地縛霊のようにそこに居ることになってしまった理由を彼自身わからない。
 
音楽で食べていくことを夢見ていたしんのが、
そのとおりになった慎之介を見て喜んだのもつかの間、
30を過ぎた慎之介はやさぐれたオッサン。
バックバンドに甘んじている自分を恥じ、投げやりになっている。
過去の彼が現在の彼を叱咤する姿には胸を打たれます。
 
子どもの頃の自分がなりたかった大人になれていなかったとしても、
こういう大人もありかなと思える自分になりたいなぁ。
って、もう大人すぎるっちゅうの。
自分が憧れるおばあちゃんを目標にしよう。
 
井の中の蛙、大海を知らず。
されど、空の青さを知る。

—–

『ラブゴーゴー』

『ラブゴーゴー』(原題:愛情来了)
監督:チェン・ユーシュン
出演:チェン・ジンシン,タン・ナ,リャオ・ホェイチェン,シー・イーナン他
 
台風の日、京都シネマにて2本ハシゴの2本目。
監督は前述の『熱帯魚』と同じ、チェン・ユーシュン
1997年の作品です。
 
台北のアパートに同居する男2人と女1人。
彼らの恋愛模様を綴るラブストーリーだからと言って、
この3人の誰かと誰かが好き同士とかではありません。
だって、とても絵にはならない3人だから、この3人で惚れた腫れたは言わない(笑)。
 
おばの経営するパン屋で働くパン&ケーキ職人アシェン。
ある日、おばに留守番を頼まれて店に出ると、懐かしい女性がやってくる。
それは小学校時代の同級生リーファ。
昔から引っ込み思案で見た目も冴えないアシェンに優しかったリーファ。
あまりに突然の再会でアシェンは驚くが、リーファは気づいていない。
毎日レモンパイをひとつ買うために来店する彼女を見てドキドキ。
音楽家志望の同居人に指南、のど自慢に出演して彼女への想いを歌うことに。
 
もうひとりの同居人はタイピストのリリー。
はちきれんばかりのおデブの彼女は、食欲をどうしても抑えられない。
恋など考えられずにいたが、道でポケベルを拾ってからそれが一転。
ポケベルの持ち主の留守電の声があまりに魅力的だったから。
電話で話を交わすようになり、会おうと言われてダイエットを始める。
 
どちらも到底うまく行きそうにない恋なんです。
 
綺麗なリーファにはどう見ても男がいそう。
それでも気持ちを止められないアシェンだけど、彼女とどうにかなろうとは思っていない。
ただ想いを伝えたい、彼女の幸せを願いたい、そんなふう。
 
リリーのほうは、拾ったポケベルを届けるでもなく、
それを眺めるだけで恋人ができたかのように思い込んでいる様子はかなりウザイ(笑)。
ダイエットに励むものの、90kg以上あった体重を3kgぐらい落としただけでは。
会うのを断りきれなくて会ったら、これがまたろくでもない男で、
想定された結果でしょうが、彼女の涙がつらくて、ここで初めて応援したくなります。
 
切ない恋の結末にもかかわらず、元気がもらえる作品です。
なんかいろいろあるけれど、きっと悪いことばかりじゃないよなぁ、そう思えて。
 
20年前に観たときも好きだった。今観てもやっぱり好き。
 
余談ですが、驚いたのは台湾の美容室。
シャンプーだけしに来た客を席に座らせて、ほとんど髪も濡らさずにシャンプーしちゃうんですね。
濡らさないから泡立たないし垂れないから、それもありなんでしょうけれど、
日本では考えられない光景で、びっくりしました。

—–

『熱帯魚』

『熱帯魚』(原題:熱帯魚)
監督:チェン・ユーシュン
出演:リン・ジャーホン,リン・ツェンスン,シー・チンルン,ウェイ・イン他
 
台風が関東を直撃した先週の土曜日、晩ごはんは祇園のお店を予約していました。
お店から台風ゆえに閉めるという連絡がないかぎり、行かないわけにはいかん。
大阪や京都は百貨店など普通に営業するようだけど、
JR京都線は14:00頃から新快速を運休するとの告知。
阪急や京阪も場合によっては運転を見合わせるとのことだから、
止まる可能性も考えて日中に京都入りしておくことにしました。
そうすれば、車で向かうダンナと電車で向かう私と、
ふたりともが店に到着できないということにはならないし。
とにかくふたりともケータイを所持していないため、大変です(笑)。
それは私たちに連絡を取れないお店も同じだと思うのですけれど。すみません。
 
で、京都の映画館でできるだけ雨に濡れずに着けるところへ行きたい。
阪急烏丸駅すぐの京都シネマの上映スケジュールを調べたら、
あららん、ずいぶん昔の台湾作品が何本かかかっている様子。
確かDVDでは観たはずだけど、劇場では観たことがない。これに決定。
 
エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンと、
21世紀の台湾映画とをつなぐ90年代の最重要作品、
デジタル修復をへて遂に初の同時上映が実現!」だそうで、2本を上映。
これはそのうちの1本、1995年の作品です。
 
高校受験を目前に控えた中学生ツーチャン。
模試では目標の成績に遠く至らず、先生から厳しく叱られてばかり。
同じく勉強が苦手な父親も自分のことは棚に上げ、息子に小言。
 
ある日、級友とゲームセンターで遊んでいたツーチャンは、
私服で見回りをしていたとおぼしき警官に捕まるが、実はこいつは元警官。
退職して会社を興したものの資金繰りに困り、誘拐を計画していた。
その日は何事も起きなかったが、後日、ゲーセンで見かけた小学生ワンが奴に連れ去られるのを見かけ、
咄嗟に追いかけたツーチャンはワンと共に拉致監禁されてしまう。
 
ワンは養子で両親から見放されているらしく、金は要求できない。
ツーチャンの自宅に電話をかけて身代金を要求するが、受け取りに失敗。
主犯の元警官社長はなんとその帰りに車に撥ねられて死亡。
社長の部下アケンは少年2人をどうすればよいかわからず、
悩んだ末に台北を離れて田舎の実家に2人を連れて行くのだが……。
 
ぽや〜んとしたボンクラなんです、このツーチャン。
対するワンはもうちょっと賢そうだけど、チビで生意気なデブ。
誘拐されて両手両足を縛られて段ボールの中に入れられていても「お腹すいた」。
こんな2人を図らずも引き取ることになったアケンも阿呆丸出し。
 
事情を知ったアケンの母親をはじめとする家族は、
口をきこうとしない娘しかまともではなく、
誘拐を続行して身代金を取ってから返そうと考えます。
でもツーチャンが受験生であることを知り、
アヤンはとにかく受験に間に合わせたい、ここで勉強させたいと願う。
この辺りは、ろくに勉強してこなかったせいで良い人生を歩んでいないアヤンが、
ツーチャンに自分のような人間になってほしくないと思っているのが見て取れます。
 
誘拐事件として都会の人たちが騒ぎ立てているのに、
ツーチャンもワンも田舎暮らしが楽しくて仕方がない。
ちょっとした脱力系で面白いけれど、ヘヴィーな問題もはらんでいる。
軽く観るだけにはとどまらない作品でした。
 
空に浮かぶ熱帯魚、とてもいいシーンです。
夢をあきらめちゃ駄目だって。
 
そういえば、冠水した家で水にちゃぷちゃぷ浸かりながら
普通に食事している姿がなんとも言えん光景です。
タイ人は洪水のときにボートを浮かべて遊んだり、
校舎の屋上から先生も生徒も一緒に飛び込んではしゃいだりすると、
タイに出張の多いダンナが言っていました。
日本のように水流の激しいところでは絶対無理でしょうが、
お国柄を思って不思議な感じがします。

—–

『蜜蜂と遠雷』

『蜜蜂と遠雷』
監督:石川慶
出演:松岡茉優,松坂桃李,森崎ウィン,鈴鹿央士,臼田あさ美,ブルゾンちえみ,
   福島リラ,眞島秀和,片桐はいり,光石研,平田満,斉藤由貴,鹿賀丈史他
 
TOHOシネマズ梅田にて、前述の『ジョーカー』とハシゴ。
 
直木賞本屋大賞のダブル受賞を果たした史上初の作品だそうです。
恩田陸の原作は友だちからずいぶん前に借りたまま、まだ積読の中。
上下巻あるために躊躇していました。→鑑賞後に読みました。レビューはこちら
これに関しては先に原作を読んでおいたほうがよかったでしょうね。
 
国際ピアノコンクールが開催されている何日間かが舞台。
執筆に当たって原作者が取材したのは、浜松国際ピアノコンクール。
3年に1度、5日間にわたって、予選と本選がおこなわれるとのこと。
 
世界中の若手ピアニストの登竜門、芳ヶ江国際ピアノコンクール。
天才少女とあがめられていた栄伝亜夜(松岡茉優)は、13歳だった7年前、
ピアノの先生でもあった母親を亡くして表舞台から消えていたが、
このコンクールに復活をかけて挑戦。
 
会場で再会を果たしたのは、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。
亜夜とマサルは幼なじみで、彼は名門音楽院に在籍中。
ライバルではあるものの、懐かしさで双方胸がいっぱい。
 
ほかに、亜夜の前に立ちはだかるのは、
妻子を養いながらピアノを弾くサラリーマン、高島明石(松坂桃李)、
ピアノの神様と呼ばれる故ホフマン氏が推す無名の少年、風間塵(鈴鹿央士)。
 
ライバルたちとお互いに刺激を受け合いながら、
まだ自分の音を取り戻せずにいる亜夜だったが……。
 
悪くはないです。良いです。
良いですけれど、心に沁み入るところまでは行かない。
原作を読んでいたら、それぞれの思いをもっと感じ取れていたかも。
亜夜がなぜふっきれて会場に戻ったのかなどなど、
心境の変化のきっかけがちょっと伝わって来にくい。
 
そもそも、日本が舞台の映画に、著名ではない外国人俳優がいっぱい出て、
英語でいろいろやりとりしているのがたぶん苦手なんです、私。
これが本なら違和感ないのにと思いました。
 
私の心に響いたのは、明石の「好きなことを続けていていいのかなって」かなぁ。
笑ったのは片桐はいりのクローク係です(笑)。

—–

『ジョーカー』

『ジョーカー』(原題:Joker)
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス,ロバート・デ・ニーロ,ザジー・ビーツ,フランセス・コンロイ,
   マーク・マロン,ビル・キャンプ,グレン・フレシュラー,シェー・ウィガム他
 
TOHOシネマズ梅田にて。
 
ずいぶん前から劇場で予告編を目にしていました。
何度目かまでこの“ジョーカー”がDCコミックス“バットマン”シリーズに登場するジョーカーだとは思いもせず、
あのジョーカーなのだと知ったときは驚きました。
 
かつて映画実写版でジョーカーを演じたことがある俳優は、
『バットマン』(1989)でジャック・ニコルソン
『ダークナイト』(2008)でヒース・レジャー
ジャック・ニコルソンはもとからおかしいとして(笑)、
ジョーカーを演じると取り憑かれたようになるふしがあります。
 
取り憑かれた結果なのかどうかはわかりませんが、
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞の受賞を果たしました。
アメコミが原作の作品としては史上初となる快挙だそうで。
さらには本作の内容がアメリカで物議を醸しているらしく、
ものすごい話題作となっています。
 
いやはや、すごく多彩であることは明らか。
 
アメリカの大都市ゴッサム・シティ(架空の都市)。
コメディアンとして成功することを夢見る中年男アーサー・フレックは、
ピエロのメイクを施した大道芸人として日銭を稼いでいる。
 
病弱な母親ペニーは、30年前にゴッサムの名士トーマス・ウェインの屋敷で働いていたと言い、
この貧しい暮らしから助け出してほしいと毎日のようにトーマスに手紙を書いている。
当然のことながら、トーマスからの返信はない。
 
真面目で優しいアーサーだが、ピエロとして派遣された先で時に不気味がられ、
また、不良少年たちから暴行を受けたりも。
ある日、そんなアーサーのためを思ってか思わずか、同僚が彼に銃を押しつける。
その銃が派遣先の施設でポケットから滑り出てしまい、場は騒然。
雇い主からクビを宣告される。
 
うちひしがれて帰る途中、地下鉄で金持ちの酔っぱらい3人が女性に絡んでいるのを見て、
注意を引こうと笑い声を上げたところ、3人から殴られ蹴られる。
つい銃を発砲すると思いのほか気分がスッキリ、3人とも追いかけて撃ち殺すのだが……。
 
貧富の差が激しく、街には不満を抱く者がいっぱい。
そこへ登場した正体不明のピエロを英雄視する貧困者たち。
人生に絶望した男が無差別に銃を乱射する事件を思い起こさせ、
それをまるで称賛しているかのようだと批判があるようです。
 
私はといえば、あのジョーカー誕生の物語として観ているから、
そことはまったく繋げて考えることはしませんでした。
ただ真面目につましく生きている人が虐げられ、
援助も打ち切られて誰も頼ることのできない状況に、
これって貧乏人は死ねと言われているのと同じやなと辛くなりました。
 
アーサーの憧れのコメディアン役にロバート・デ・ニーロ
彼の番組でアーサーを取り上げたら、反響大きくアーサーに出演要請。
しかしアーサー自身が言うように、善意で呼ばれたとは思えない。
彼を笑い者にしようという意図が見え見えで、これも辛い。
金持ちの、人気者の、奢った様子が透けて見えます。
 
あばら骨が見えるほど痩せたホアキン・フェニックスの役者魂に脱帽。
これ、最初はレオナルド・ディカプリオに打診されていたのですね。
ディカプリオだったらどうなっていたかなぁ。

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