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『mid90s ミッドナインティーズ』

『mid90s ミッドナインティーズ』(原題:Mid90s)
監督:ジョナ・ヒル
出演:サニー・スリッチ,ルーカス・ヘッジズ,キャサリン・ウォーターストン,ナケル・スミス,
   オーラン・プレナット,ジオ・ガリシア,ライダー・マクラフリン,アレクサ・デミー他
 
TOHOシネマズ梅田で欅坂46を観た後、45分間ひとり呑みしてからシネ・リーブル梅田へ。
 
ぽっちゃり色白おデブの俳優ジョナ・ヒルの監督デビュー作。
彼自身の少年時代の思い出をもとにした半自伝的物語だそうで。
たいして有名な役者が出ているわけじゃないのに、よく客が入っています。
私が観た回もその次の回も満席になっていました。
何が人の興味を惹くのかわからんもんですねぇ。
 
1990年代半ばのロサンゼルス。
13歳の少年スティーヴィーは、シングルマザーの母親と兄イアンの3人暮らし。
チビのスティーヴィーは、歳が離れて体も大きなイアンからしょっちゅう暴力を受けている。
早く大人の仲間入りをしたい、そう願う日々。
 
ある日、スケートボードを抱えて座り込んでいたところ、
同じ年頃の少年ルーベンから声をかけられる。
それをきっかけにスケボーショップに出入りする「ちょっぴり不良たち」と知り合いに。
特にレイはスケボーの腕前が群を抜いていて、スティーヴィーの憧れ。
仲間として受け入れられたことを喜ぶスティーヴィーだったが……。
 
レトロとまでは行かないけれど、25年前はこんなだったかもしれません。
ちょっとワルくてカッコイイものに憧れていた少年の気持ちは
同じ年頃の時代を振り返ってみれば誰もが想像できそうに思います。
 
ルーカス・ヘッジズ演じる兄イアンから派手に殴られているというのに、
キャサリン・ウォーターストン演じる母親は気づきもしない。
母親づらしているだけのアカン女と思うのですけれど、
私がいちばん好きだったシーンは、怪我をしたスティーヴィーが運ばれた病院のロビーで、
それまで母親がつきあいを禁じていた不良たちが疲れて眠りこけているところを
母親が半ば呆れ顔で見つめるシーンでした。しゃあないな、こいつらええ奴やん、そんな顔。
 
半自伝的物語で自分の子どもの頃の役を演じるのがサニー・スリッチって、
美少年すぎやしないかい?と思ったけれど、
このときのジョナ・ヒルを思い出せば、確かに彼は美少年だったのでしょう。
 
少しの郷愁に誘われて切なく爽やか。心洗われた気持ちになります。

—–

『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』

『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』
監督:高橋栄樹
 
TOHOシネマズ梅田にて。
先週末公開されたばかり。観た順序を入れ替えて先にUPします。
 
あらすじも知らずに観に行きました。
欅坂46のドキュメンタリーでしょ、あらすじなんて知らなくてもええでしょと思って。
この間、日向坂46のドキュメンタリーを観て、
「ひらがなけやき」なるものが存在したことを知り、たまげたばかり。
今回は欅坂46だもの、知ってるよと余裕をかましていたら、
2カ月前の無観客配信ライブで欅坂46は区切りを付けることを発表したと、
本作のラスト15分ぐらいというときに知って、「えっ」と声に出そうになりました。
こんなことも知らずに観に行ったのは私だけでしょう、絶対。(^^;
 
2015年8月に結成され、『サイレントマジョリティー』でデビューした欅坂46。
以降5年の歴史がおさめられたドキュメンタリー作品です。
アイドルグループのドキュメンタリーはこれまでに何本か観ていますが、
いずれも面白いし退屈しない。すべてに関わる秋元康、えげつない(笑)。
 
もちろん欅坂46の作品ではあるのですが、
絶対的センターの平手友梨奈についてメンバーそれぞれの想いを語る作品でもあります。
天才的だけど感受性が強すぎるのか、思い通りのパフォーマンスができないときは
撮影やリハーサル、本番にも姿を現さなかったりする彼女。
普通は「ええ加減にせぇよ」と思いますよねぇ。
でも誰もそんなことは言わない。わがままだと思っているようにも見えない。
 
副キャプテンの子が言うには「平手のバックダンサーみたいな気がしていたこともある」。
それは決して卑下した言い方ではなくて、
平手のバックダンサーなら務めたいと思っているふうに感じられました。
 
平手がいないとやっていけない。それぐらい彼女の存在が大きい。
欅坂46をほとんど知らない私としては、
見た目だけなら男子受けしそうな子はほかにいくらでもいそうなのに、
実力のみならず人気もピカイチだったの? へ〜っと思わずにいられません。
彼女の脱退を受けて欅坂46としての活動を休止し、改名するというのですから、
その存在感は凄まじいものなのでしょう。
 
誰のことも応援したくなります。
この手の作品を観るたび、この子のことは覚えておこうとか思うのですが、
すぐにどのグループの子だったかわからなくなってしまう。(^^;
でも、改名後の彼女たちには注目したいと思っています。
 
みんな日本語を懸命に選びながらしゃべっているのも好感が持てます。
が、ひとつ。キャプテン、「日の目を浴びない」は間違い。
「日の目を見ない」、覚えといてや〜。

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『ファヒム パリが見た奇跡』

『ファヒム パリが見た奇跡』(原題:Fahim)
監督:ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル
出演:イザベル・ナンティ,ジェラール・ドパルデュー,アサド・アーメッド,ミザヌル・ラハマン他
 
テアトル梅田にて、前述の『剣の舞 我が心の旋律』とハシゴしたフランス作品。
不法滞在の移民の少年がフランスのチェス大会で優勝したという実話に基づく。
 
バングラデシュに暮らす8歳の少年ファヒムは、類い稀なチェスの才能を持つ。
チェス大会で勝利を重ね、新聞にも取り上げられるような有名人。
そのせいで、情勢不安定なバングラデシュにあっては誘拐されるかもしれない。
 
このままでは息子の身に危険が及ぶと考えた両親は、
まず父親ヌラがファヒムを連れてフランスに向かい、
無事に住む場所と職を確保してから家族を呼ぶことに。
不安を抱きながらもなんとかフランスに入国したヌラとファヒム。
 
手持ちの金で3日間は安宿に宿泊したものの、
仕事が見つかるはずもなく、路上で夜を明かしていたところ、
赤十字の難民センターのスタッフに声をかけられる。
難民認定を受けるまでとの条件で、センターに身を寄せる親子。
早速フランスでも有数のチェスのトップコーチ、シルヴァンに会いに行くのだが……。
 
チェスの才能を携えてパリへ行って、そこでいじめられるのかと思ったら、
意地悪なことを言うのは大人だけ。
同じチェスクラブの少年少女たちの温かいことと言ったら。しかもオモロイ。
チェスを習うくらいだから、家庭的にはまぁ裕福なのかなと思うけれど、
どこの国のなに人なのかよくわからない子もいて事情はさまざま。
 
子どもたちはベンガル語しかできないファヒムともすぐに仲良くなり、
言葉をあれこれ教えるところがめちゃくちゃ可笑しい。
「出て行ってくれ」、これをフランス語で言うてみ、と言われたファヒムは、
「うざいから失せろ」なんて言い回しもすぐに披露してみせます。
「ショボい」とか「ムカつく」とか「キョドる」とか、
意味がわからない言葉については即座に尋ねるファヒム。
説明を受けたファヒムが使ってみせると「今の使い方カンペキ」と褒めるのもイイ。
 
差別しない親を持つ子どもは差別しない。
いきなりファヒムを連れ帰って「今日泊めるよ」と言われて戸惑っても
ちゃんと歓待するんですよねぇ。
親の言うことすることを子どもはやっぱり見て育つのだと思います。
 
肝心のチェスの試合もようわからんままに非常に面白く見ました。
ファヒムはフランス大会で優勝したのち、世界大会でも優勝したとのこと。
いいお話です。

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『剣の舞 我が心の旋律』

『剣の舞 我が心の旋律』(英題:Sabre Dance)
監督:ユスプ・ラジコフ
出演:アンバルツム・カバニャン,アレクサンドル・クズネツォフ,アレクサンドル・イリン,
   イヴァン・リジコフ,ヴェロニカ・クズネツォーヴァ,インナ・ステパーノヴァ他
       
世間のお盆最終日だった日曜日、がら空きの新御(しんみ)を走って梅田へ。
テアトル梅田にて、ロシア/アルメニア作品を鑑賞。
 
『剣の舞』を知らない人はいないですよね、きっと。
もしそのタイトルを知らない人がいたとしても、曲を聴けば知っているはず。
小学生の頃、運動会でかかっていたような気がします。
 
その『剣の舞』を作曲したのはアルメニア人のアラム・ハチャトゥリアン。
旧ソ連、ロシア帝国の支配下にあったグルジア(現ジョージア)
1903年、アルメニア人家庭に生まれました。
本作は『剣の舞』が誕生するに至った秘話を描いています。
 
キーロフ記念レニングラード国立オペラバレエ劇場は戦禍を逃れて地方に疎開中。
団員たちはバレエ『ガイーヌ』の初演を控えて猛稽古中だが、
公演まであと2週間しかないというのに、振付家アニシモワが何度も振付を変更。
それに合わせて曲も変更を求められ、作曲家ハチャトゥリアンはイライラ。
さらにはそこへ文化省の役人プシュコフがやってきて、好き勝手言い始め……。
 
このプシュコフがもの凄く嫌な奴なんです。
地獄へ堕ちろ〜と念じたくなるぐらい(笑)。
どうやらかつてはハチャトゥリアンと同じく作曲家を目指していて、自分はその夢叶わず、
ハチャトゥリアンだけが成功を収めたことが悔しいらしい。ちっせぇ男です。
 
ただただ良い音楽を作りたくて作曲に没頭しているハチャトゥリアンのことを
音楽には政治的意味が込められるものだと言って貶めようとしたり。
しかしナチスドイツが兵士にワーグナーをよく聴かせていたとは知りませんでした。
作曲家が意図してもいないのに政治的意味を持たされてしまうことは
往々にしてあるのでしょう。逆に実は意図しているということもあるのでしょうけれど。
 
アルメニアに特別な想いを抱くハチャトゥリアンはこう言ったそうです。
アルメニア人虐殺をもしも世界が傍観せずにいたら、ユダヤ人虐殺は起こらなかったかもしれない」。
 
戦地で負傷して帰国し、退院したらまたすぐ出征する兵士たち。
出征前夜にせめてバレエが観たくて劇場に向かい、何も観られないと知って憤る。
そんなとき、ハチャトゥリアンの独断で兵士らは招き入れられ、
目を輝かせてリハーサルに見入る。とてもいいシーンでした。
 
「運動会の曲」にこんな誕生秘話があったことが知れてよかった。

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『ぶあいそうな手紙』

『ぶあいそうな手紙』(原題:Aos olhos de Ernesto)
監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード
出演:ホルヘ・ボラーニ,ガブリエラ・ポエステル,ホルヘ・デリア,ジュリオ・アンドラーヂ他
 
シネ・リーブル梅田にて。
前述の『ハニーボーイ』といい本作といい、派手な展開は全然ないのに、
どうして眠くならないのか。
よさげなのに眠くなる作品とこれらと、どういう違いがあるんでしょうねぇ。
 
ブラジル作品。
原題の“Aos olhos de Ernesto”を直訳すると「エルネストの目には」。
邦題は内容にぴったりだとは思いませんが、観たい気持ちにはなります。
 
ブラジル南部の町ポルトアレグレ。
78歳のエルネストはウルグアイからこの地にやって来て46年。
妻に先立たれて今は一人暮らし。
視力が次第に衰えて、近頃は何もかもがぼやけて見える。
そんなエルネストを心配して、息子のラミロが一緒に暮らそうと言うが、
エルネストは金もないくせに断固拒否。ラミロは困り果てている。
 
ある日、エルネストのもとへ1通の手紙が届く。
それはウルグアイ時代の女友だち、ルシアからだった。
自分で読もうにも文字が見えないから、家政婦に読んでもらおうとするが、
彼女はポルトガル語しかできず、スペイン語の手紙は読めないという。
隣に住むハビエルに頼むと、女性からの手紙ということで茶々を入れすぎる。
腹が立って途中で取り上げ、手紙の続きは未読のまま。
 
そこで出会ったのが23歳の見るからに奔放な女性ビア。
手紙を読んでもらったところ、返事を書こうとビアが言い出し……。
 
ちぃともいい子じゃないんです、このビアが。
エルネストの目がほとんど見えていないことをそれとなく確かめると、
置いてあった鍵を盗んで勝手に合鍵をつくる。
それを用いて忍び込むと、部屋の中にあった金をくすねてしまう。
なのに観ていてイライラしないのは、エルネストがすべて承知のことだから。
手癖が悪いことを知っていながら部屋の中に入れるのです。
 
いくら彼女には彼女の事情があるといっても、
そんな女だから、金だけ盗んでいなくなる。
打ちひしがれるエルネストの姿にたまらなく悲しい気持ちになっていると、
手紙の返事が読みたいからと彼女が舞い戻ってきて、
すべてエルネストに打ち明けるシーンが◯。
 
最近観たなかでは『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のラストが
100点だったと書きました。
本作のラストも素敵です。老いたってロマンチック、ええやんか。

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