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『あみこ』

『あみこ』
監督:山中瑤子
出演:春原愛良,大下ヒロト,峯尾麻衣子,長谷川愛悠,廣渡美鮎,阿部悠季乃,金子銀二 他
 
『心平、』の舞台挨拶付きの回が終わってから、同じく第七藝術劇場にて。
 
いまいちばん売れっ子じゃないかと思われる河合優実を起用した『ナミビアの砂漠』が話題となり、
一気に有名監督となった山中瑤子監督は現在まだ27歳。
十代最後に撮った初の劇場公開作が本作で、2017年度のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワードでは観客賞を受賞し、
ベルリン国際映画祭に史上最年少で招待された作品となりました。
そんな本作が十三でリバイバル上映されているなら行かなくちゃ。
 
女子高生のあみこ(春原愛良)は冷めた考えの持ち主。どうせ死ぬんだから頑張っても意味がない。
放課後の教室でひとりぼんやりとしていたところ、サッカー部のアオミくん(大下ヒロト)と遭遇。
 
アオミくんは学校の人気者であるにも関わらず、あみこと似た考えの持ち主。
彼に誘われて一緒に山に登る間じゅう話をして、あみこはこれは「魂の会話」だと思い込む。
言葉を交わす相手がほとんどいないあみこは、唯一の友だち・奏子(峯尾麻衣子)にアオミくんに恋したことを打ち明ける。
 
ところが翌日以降、アオミくんはすれちがっても声をかけてくれないどころか、目も合わせてくれない。
そうこうしているうちに1年以上が経過し、アオミくんが学校に来なくなる。
家出したらしい、マドンナ的存在だった先輩女子・瑞樹(長谷川愛悠)とつきあっているらしいとの噂を聞き、
あみこは町を出て大学生となっている瑞樹の部屋に奇襲をかけるのだが……。
 
何なんでしょう、この感性。十代でこんな作品が撮れちゃうんですね。
小説ならば芥川賞を獲りそうな作品です。
 
面白いけど、好きではない。
電撃的な出会いだ、愛だとか恋だとかいうような些末な概念を超越した完全運命共同体になった。
そんなふうに思っているのはあみこのほうだけ。
なぜあんな女とつきあっているのかとあみこから聞かれたときのアオミくんの答えはいとも簡単。「可愛いじゃん」。
 
一方的な思い込みは恥ずかしいし痛々しい。
あなたは誰かを見下せるほど優れた人間ではないですよと言いたくなります。
勝手に相思相愛だと思って、1年間目も合わなくてもその思いは変わらない。
誰とつきあおうが彼の勝手なのに、彼が可愛い年上女子とつきあうと怒りをあらわにする。怖いです。
 
山中監督の作品はまだ2本しか観ていませんが、今のところ共感できる人は男女問わずひとりもいません。
そこが面白いところなのだろうとは思うけれど、難しい。

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『心平、』

『心平、』
監督:山城達郎
出演:奥野瑛太,芦原優愛,下元史朗,河屋秀俊,小林リュージュ,川瀬陽太,影山祐子,
   浦野徳之,前迫莉亜,守屋文雄,蜷川みほ,吉田奏佑,成田乃愛,西山真来他
 
第七藝術劇場にて、2本ハシゴの1本目。
 
奥野瑛太といえば名バイプレイヤーズに名を連ねていい人だと思います。
しかし顔つきがなかなかイカつくて、ろくでなしの役が多いんです
チンピラ役を演じれば天下一品だから、善人を演じていると意外だったり。
そんな彼が知的障害のある役を演じると聞き、気になって観に行きました。
彼と山城達郎監督が登壇する舞台挨拶付きの回を観られてラッキー。
 
2014年、原発事故の傷跡が残る福島。
軽度の知的障害がある青年・大村心平(奥野瑛太)は、父親・一平(下元史朗)と妹・いちご(芦原優愛)の3人暮らし。
母親はとっくの昔に男をつくって出て行った。
一平はいまだ侵入禁止になっている地区の前に立つ警備員の職に就いているが、
農業を再開する住民もいるが、一平にはそんな気力なく酒ばかり飲んでいる
 
いちごはめっきり客の来なくなった天文台に勤めている。
心平にも仕事をしてほしくてあちこちに紹介してもらうも、心平は面接をぶっちしたり就職してもすぐ辞めたり。
脱いだものを洗濯籠にすら入れない父と兄に腹を立てるが、見捨てることはできず……。
 
ナナゲイで舞台挨拶があるときは、たいてい満席になるのですけれど、
この日はものすごい大雨だった影響もあるのか、客席の半分にも満たないほどの入り。
登壇されたおふたりもかなり寂しかったろうと思いますが、良い時間でした。
 
住民があちこちに移って行き、辺りは空き家が多数。
物が残されたままのそんな家に侵入しては物色する心平。
宝飾品などを次々と自分のリュックサックに入れて立ち去る姿に火事場泥棒かと思いきや、
彼がそういった物を集めていたのにはほかに理由がありました。
それが映し出されるシーンがとても綺麗。
 
傘店の店員・由香(影山祐子)に熱を上げ、要りもしない傘を何本も買う。
愛想よく接してくれる由香ですが、それは客だからというだけ。
心平が帰り際に手渡した飴を見る目は汚いものを見るようで、そのままゴミ箱に投げ捨ててしまう。
けれど、あれが自分でも同じように扱っただろうと思うし、
彼が知的障害だから優しくしなきゃとか、温かい目で見なきゃとか、その時点で何か間違っているのでしょうね。
 
どうせ何もわかっちゃいない、バカだと言われている心平は、人の言葉をすべて暗記しています。
数々の心無い言葉を繰り返してみせるシーンには胸が痛くなります。
 
どう生きて行くのが正解か。いちごが模索しながら生きて行く様子もよかった。
一平が太陽のもとで差してみる傘は裏勝り。とても素敵な傘でした。
 
山城監督、応援します。

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『DOG DAYS 君といつまでも』

『DOG DAYS 君といつまでも』(英題:Dog Days)
監督:キム・ドクミン
出演:ユン・ヨジョン,ユ・ヘジン,キム・ユンジン,チョン・ソンファ,キム・ソヒョン他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『十一人の賊軍』の次に。
 
顔を見ただけで笑ってしまいそうになるユ・ヘジンの競演。
キム・ドクミン監督は本作が長編デビュー作なのだそうです。
 
建築会社に勤める独身男性のミンサン(ユ・ヘジン)はビルのオーナーでもある。
自分が所有するビルの1階に動物病院“DOG DAYS”が入っているせいで、周辺に犬の糞が散乱。
毎度腹を立てては院長のジニョン(キム・ソヒョン)と喧嘩している。
 
ところが世界的建築家のミンソ(ユン・ヨジョン)がDOG DAYSの病院の客だと知って態度を一変。
ミンサンがプレゼンを担当するリゾートホテル建設の話を相談したい、
あわよくばミンソに関わってほしいとと考える。なんとしてでも彼女をジニョンに紹介してもらわねば。
 
一方、夫に先立たれミンソにとっては愛犬ワンダだけが心の支えだったが、
狭心症でかねてから医師に手術を勧められていた彼女はワンダの散歩中に倒れてしまう。
デリバリー配達員のジヌ(タン・ジュンサン)が倒れた彼女を発見して救護したものの、
救急車を追いかけて走り去ったワンダが行方不明に。
病院で目を覚ましたミンソは途方に暮れてジヌに連絡するも、ジヌにわかるはずもない。
 
住宅街の片隅で寂しげに身を潜めていたワンダを見つけたのは、
不妊に悩んでいたソニョン(チョン・ソンファ)とジョンア(キム・ユンジン)夫婦のもとへ
養子として児童養護施設からもらわれてきたばかりの少女ジユ(ユン・チェナ)。
ソニョンとジョンアがジユのためにどれだけ心を砕こうともなかなか打ち解けずにいたが、
この犬をどうしても飼いたいと懇願したジユに満面の笑顔が見えはじめる。
もちろん犬の名前がワンダだとは一家が知る由もなく、ジユはこの犬にサランと名付ける。
 
ジヌの協力を得てミンソはワンダ探しを開始するも手がかりはなく……。
 
上記以外にもうひとり重要な登場人物がいます。
恋人の留守により彼女の飼い犬と暮らすはめになったヒョン(イ・ヒョヌ)。
犬に振り回されて大変だけど、彼女の元彼ダニエル(ダニエル・ヘニー)が現れて、
犬との月1面会の権利を主張するから面白くない。
恋人は出張中だと思っていたら、終盤に故人であることが知らされます。あ、ネタバレごめんなさい。
犬も鬱病を患うのですね。なんとも切ない。
 
ジユ役のユン・チェナが反則かと思うほど可愛い。
優しい里親にもらわれても、うるさくすると施設に戻されると思い込んでいるからただただおとなしい。
食べ過ぎても嫌われると施設の子どもたちの噂を耳にしていたゆえ、ごはんもあまり食べない。
彼女の態度の理由が彼女自身から明かされるときは涙なしでは見られません。
 
私は猫派ですが、犬もやっぱり可愛い。

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『十一人の賊軍』

『十一人の賊軍』
監督:白石和彌
出演:山田孝之,仲野太賀,尾上右近,鞘師里保,佐久本宝,千原せいじ,岡山天音,松浦祐也,一ノ瀬颯,小柳亮太,本山力,
   野村周平,田中俊介,松尾諭,音尾琢真,柴崎楓雅,佐藤五郎,吉沢悠,駿河太郎,松角洋平,浅香航大,佐野和真,
   安藤ヒロキオ,佐野岳,ナダル,ゆりやんレトリィバァ,木竜麻生,長井恵里,西田尚美,玉木宏,阿部サダヲ他
 
封切り日、午後休を取ってなんばグランド花月吉本新喜劇を観たあと、なんばパークスシネマにて。
 
名脚本家と称えられる笠原和夫が映画化を目指すも叶わないまま2002年に他界。
そんな幻の企画を『凶悪』(2013)や『日本で一番悪い奴ら』(2016)、“孤狼の血”シリーズの白石和彌監督が映画化した時代劇エンターテインメント
 
余談ですが、予告編のナレーションを担当する声にも好き嫌いはあって、私はこの予告編を担当した女性の声が好き。
苦手なのは、いつの頃からか邦画洋画問わずとてもよく聞くようになった女性の声で、色っぽいけど私は好きじゃなくて。ごめんなさい。
予告編のナレーションといえば遠藤憲一がよく起用されていることで有名ですが、ほかの人の名前も知りたい。
 
1868(慶応4)年の戊辰戦争のさなか、新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟に加わる新発田藩が寝返ったという史実を基にしています。
 
戊辰戦争が勃発し、山縣狂介(玉木宏)が指揮を執る新政府軍(=官軍)とそれに抵抗する奥羽越列藩同盟(=旧幕府軍)が各地で激しい戦闘を繰り広げている。
越後の小藩・新発田藩は一応同盟側の立場を取っているが、新政府側への寝返りをひそかに画策中。
いつまでも戦いに加わろうとしない新発田藩に腹を立てた同盟の参謀・色部長門(松角洋平)、斉藤主計(駿河太郎)が新発田城に押しかけてくる。
 
そうこうしている間に新政府側も進軍して城へと迫りつつあり、両軍が激突すれば新発田の町が戦渦に巻き込まれてしまうだろう。
それを避けたい家老・溝口内匠(阿部サダヲ)は、城に通じる峠の砦で官軍を足止めして時間を稼ぎたい。
溝口は新発田藩主である若殿・直正(柴崎楓雅)に代わって考え抜き、決死隊を結成すると決める。
 
決死隊のメンバーとして選出されたのは、さまざまな罪で死刑囚となった罪人たち。
駕籠かき人足の政(山田孝之)は自身の物言えぬ妻・さだ(長井恵里)を襲った新発田藩士・仙石善右ヱ門(音尾琢真)を殺害した。
イカサマ博徒の赤丹(尾上右近)、男の家に放火した女郎のなつ(鞘師里保)、檀家の娘を手籠めにした坊主・引導(千原せいじ)。
刑場でさらし者にされていた政のことを自分の兄だと思い込んで逃がそうとしたノロ(佐久本宝)。
ロシアへの密航を試みた医者の倅・おろしや(岡山天音)、一家心中を図りながら自分だけ生き残った三途(松浦祐也)、
侍の女房を寝取った二枚目(一ノ瀬颯)、無差別に人を斬って回った辻斬(小柳亮太)、強盗殺人を働いた爺っつぁん(本山力)。
 
どちらにつくのか態度を明らかにせよと迫る色部と斉藤を溝口がなんとか言いくるめて追い返すまでの間、
官軍が新発田の町に攻め入ることができないように最後の砦を守るのが罪人たちの役目。
もしもこれを果たしたあかつきには無罪放免にするというのが溝口の示した条件。
 
条件を飲むしか生きる道がない罪人たちはこの役に就くことに。
この10人に溝口から命を受けた凄腕の剣術士・鷲尾兵士郎(仲野太賀)が加わると、
溝口は自分の娘・加奈(木竜麻生)の婚約者で新発田藩士の入江数馬(野村周平)を隊長に任命し、
同じく新発田藩士・荒井万之助(田中俊介)と小暮総(松尾諭)と共に砦の死守に臨むのだが……。
 
役目を果たせば無罪放免となるけれど、誰かがその場から逃げようとすればご破算。
連帯責任ゆえ、裏切り者は自分たちの手で殺してしまわねばなりません。
新発田のために戦えと言われても、政は新発田藩士に最愛の妻を傷つけられているから新発田なんてクソ食らえ。
皆の目を盗んで再三逃亡を図り、捕まったところで殺してくれりゃいいと投げやりです。
 
それを止めるのが罪人たちのなかで紅一点のなつ。あんたの女房が今どんな思いをしているかわかるか。
夫は侍殺しだから周囲から非難を受け、耳も聞こえず口も利けず、体を売るぐらいしかできないだろう。
一刻も早く役目を果たして女房のところへ帰ってやるべきじゃないのかと。
 
侍にもいろいろいて、罪人を人扱いしない者もいます。
そういう奴に限ってビビりで、官軍と斬り合いになったときには震え上がっていたり。
そこを罪人に助けられてもそれを認めようとしない。
入江も最初はその立場かと思っていたら、彼にはちゃんと良心がある。
 
政役の山田孝之が良いのはもちろんのことですが、一番はなんと言っても鷲尾役の仲野太賀。
剣捌きも見事だし、11人目の賊軍である彼の思いがビンビン伝わってきて、最後なんて思わず涙。
 
俠気あふれるなんて言うと今どき差別的でしょうか。
なつ役の鞘師里保という女優を見るのは初めてだと思いますが、彼女も超カッコイイ。
佐久本宝演じるノロは知的障害がありながら、随所で仲間を救う。
「おめえみたいな馬鹿は殺されねぇから逃げろ。生きろ」。
これも差別的なのでしょうが、温かい。彼が生きていてくれるのが嬉しい。
 
いや〜、やっぱり好きだなぁ、白石監督。

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『がんばっていきまっしょい』

『がんばっていきまっしょい』
監督:櫻木優平
声の出演:雨宮天,伊藤美来,高橋李依,鬼頭明里,長谷川育美,江口拓也,竹達彩奈,三森すずこ,内田彩他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『ボルテスV レガシー』の次に。
 
『がんばっていきまっしょい』といえば思い出すのは1998年の実写版。
あのとき主演の田中麗奈はいくつだったのでしたっけ。彼女は1980年生まれだからまだ18歳!?
2005年には連続ドラマ化されてフジテレビ系列で放送。そのときの主演は鈴木杏でした。
映画では杏ちゃんをあまり見かけませんが、テレビドラマには今も出ていますか。
 
そんな作品を今回は劇場アニメ映画化。
いつの時代になっても映画化される作品は、色あせない魅力があるのでしょうね。
 
愛媛県立三津東高校では、ボート部が廃部寸前だというのに、
強豪校だった時代の名残で毎年ボートのクラスマッチが開催される。
2年生の悦ネエこと村上悦子は、同級生で幼なじみのヒメこと佐伯姫に推されてクラス代表として出場。
それなりに頑張ってはみたものの、途中でやる気が失せ、漕ぐのをやめてしまう。
そう、悦ネエには「一生懸命やったところで上手く行くことなんてまずないから意味がない」とあきらめる癖がついているのだ。
 
ところがそんな悦ネエの姿を見て転入生のリーこと高橋梨衣奈が大興奮。
悦ネエやヒメと同じクラスになったリーは、ボート部に入りたいと言うが、そもそも悦ネエはボート部員ではない。
現在唯一のボート部員である二宮隼人にリーを紹介すると、二宮は大喜び。
あと2人入部すればボート部を復活させられると言い、流れで悦ネエとヒメも名前を貸すことに。
 
名前だけ貸す約束のはずが、今までずっと女子校だったというリーは男子が苦手。
一緒に練習に参加してほしいと懇願され、悦ネエとヒメも参加を余儀なくされる。
 
すると、ボート部復活の噂を聞きつけたダッコこと兵頭妙子とイモッチこと井本真優美も入部を希望。
このふたりはお互いの家が不仲らしく、そのせいで子ども同士も強いライバル意識を持っているらしい。
来年のクラスマッチで相手を粉砕するためにボート部で力をつけたいのだと。
 
こうして5人の女子がギャーギャー言い合いながらも大会出場を目指して練習しはじめるのだが……。
 
5人のキャラがさまざまで、とても面白い。
海も空も美しくて、アニメの世界ながら引き込まれます。
 
犬猿の仲に見えたダッコとイモッチも実はそんなことはなくて、なんとなく勝手に気まずくなっていただけ。
お互いの良いところを認め合っているのが微笑ましい。
 
今まであまり観る機会のなかったボート競技に興味が湧くし、
実写版の『がんばっていきまっしょい』をもう一度観たくなります。
何度も映像化されている理由がわかる作品。
 
青春だねぇ。

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