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2018年11月に読んだ本まとめ

2018年11月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5040ページ
ナイス数:1757ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)
欠陥案件って、手抜き工事などの見つかった物件のことかと思ったら、そうではないのですね。住人に体調不良が生じたり、幽霊騒ぎが起きたり。だけどその原因はオカルトではない。主人公の女大工・環奈が勤める建築会社の半間社長は、それを解決すること(だけ)が得意。増改築を繰り返す家の話に、うおっ、これはウィンチェスターハウスのようだわと思ったら、半間からその名前が出てきてワクワク。優しい目上の顧客にも敬語を使わない半間と、なんぼなんでもエラそすぎる環奈にちょっとイラッ。でも、間取り図って、見ているだけで楽しいんだなぁ。
読了日:11月01日 著者:皆藤 黒助
https://bookmeter.com/books/13068844

■静子の日常 (中公文庫)
爆発的に面白いわけではありません。だって、ここに描かれているのは、後期高齢者となったおばあちゃんの日常。息子一家と同居する静子さんは一見おっとり可愛らしい。しかしその実を知れば、やるな、婆ちゃんとニヤリ。何度かふきそうに。静子さんは、人が決めたことはそうでもないけれど自分で決めたことは絶対に守る人。まったくぶれない。そんな静子さんのことを家族が認め、畏れ、敬意を払っているのがいい。孫娘が爪切りを借りにきて言葉を交わすシーンがとても好き。すっとぼけた雰囲気なのに、ちょっぴり切ない。浮かないときには缶ビール。
読了日:11月03日 著者:井上 荒野
https://bookmeter.com/books/5052871

■スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作と同じく、深みはないけれど娯楽性の高い作品でした。『ビブリア古書堂の事件手帖』とハシゴしたら、どちらも成田凌が怖すぎて笑いました。田中圭のなせる技か、原作の富田くんよりアホっぽくも軽くもなくて誠実そう。麻美の監禁場所は映画ならでは。蛭にビビる新人刑事役で千葉雄大が大活躍。キャストがそれぞれハマっていて楽しかったです。ラストの少し前、富田くんがスマホのフォルダを見るシーンで期せずして涙ぐんでしまい、こんなんで泣くか私とまた笑う。最後は中田監督らしく、嫌な感じで。
読了日:11月04日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/11648502

■人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
脳の機能が停止したときを死とするか、心臓が停止したときを死とするか。ミステリー的要素は特になし。意識のない人が笑顔を浮かべるところを想像するとやはり怖い。しかしこれが自分の子どもなら、奇跡にすがりたくなるでしょう。娘の死と家族がどう向き合い、気持ちの整理をつけるかがドラマティックに描かれていて、470頁を一気に読ませるのはさすが。最近の東野圭吾には切なさが足りんと個人的には思うのですが(過去に何度もぼやいてすみません)、プロローグとエピローグは好き。「感涙」の映画になるかどうか。人は二度は死なない、か。
読了日:11月07日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12828764

■間取りの手帖remix (ちくま文庫)
『真実は間取り図の中に』を読んだあと勢いづいて。全部で180頁足らず、そのほとんどが1頁につき1件の間取り図だから、30分もあれば一応「読了」はできます。しかし、間取り図の奥深さよ。何度でも繰り返し眺めたくなる。どの間取り図にもタイトルが付けられていて、最初の3件でふきました。ぐるり。つるり。ずるり。よくもこんなに楽しいタイトルを思いつく。「平成の人身御供」の記事は、ホントにあった話かと思ってしまいました。でも、六畳一間にそんなにワサワサと人は入って行けんやろ(笑)。妄想を掻き立てられる、愛おしい本です。
読了日:11月08日 著者:佐藤 和歌子
https://bookmeter.com/books/519105

■死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA)
死刑判決を下された連続殺人鬼が、「8人は確かに殺したけれど、最後の1人はオレが殺したんとちゃう」とのたまう。その殺人鬼から請われて、「冤罪」を調べ始める大学生。美形で、礼儀正しくて、話術に富んでいて、誰もを虜にしてしまう殺人鬼。そんな奴がいると信じたくはないけれど、実際に巷で起きている事件を見れば、魅入られたように犯人のそばから動けなくなっているケースが多い。小説の中だけのことだとは言い切れません。絶望的。『赤と白』を読んだとき、もうちょい重さがほしいと書きました。今やもう、「おみそれしました」。絶望的。
読了日:11月09日 著者:櫛木理宇
https://bookmeter.com/books/12368771

■アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
斉藤和義の『ベリーベリーストロング』の基となったこの連作短編集には、泥棒も殺し屋も出てこなければ大がかりな陰謀もありません。でも、この「出会い」に唸る。最初の2編で幸福感に包まれ、こりゃ私にとっては満点だと感極まりそうになったものの、全編そうとは行かなかったので、「かなり良かった伊坂幸太郎」ということで。テキトーだったりズケズケものを言ったりするけれど、人を傷つけない。そんな人たちに救われる。「あの時、あれがあの人でよかった」と思える相手に、もっと感謝しなくちゃ。最後は登場人物の相関図がほしいっす(笑)。
読了日:11月14日 著者:伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/12136344

■ちょっと一杯のはずだったのに (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)
スマホを落として殺人鬼に狙われるのと、酔っぱらって殺人犯の容疑をかけられるのとどちらがマシか。冤罪は大変だけど、サイコパスに追われるのは凄く怖い。『スマホ』のほうが面白かったよなぁと思いつつ、軽くて速攻で読めるのは同じ。B級映画にありがちな誤字「貸りる」が出てきてテンションが下がり、ここは酒の力を借りようと、ちょっと1杯、いや2杯。そうしたら、トリックが明かされる肝心のところで酔っぱらってしまい、理解できず。やっぱり読み終わるまでは飲んだらあかん。なんだこの最後のいい感じは。グッときちゃったじゃあないか。
読了日:11月15日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/12861543

■もものかんづめ (集英社文庫)
かつて、う○こが立った経験を持つ私は、「快便の友」が聞いて聞いてと電話してこられた気持ちがよくわかります(笑)。しかし、う○こネタはまず間違いなくウケる。ゆえにこれで笑いを取ろうとするのはズルイ。早世されたらなおのこと、快便のお友達は思い出して笑い泣きしてしまいそう。さくらさんがお元気だったときに読むのと今読むのとではきっとずいぶん印象が変わる。健康に気を遣っていたのもわかる数々の話を切なく感じます。みんなが思い出してニッコリ笑ってくれたらいい、空の上でそうお思いになっているかもしれません。
読了日:11月16日 著者:さくら ももこ
https://bookmeter.com/books/550753

■人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作では存在感のあった、読み聞かせをする教師は映画版には出てきません。募金に関わるのは妻ではなく夫。へ〜っ。大人の演技がヒートアップしすぎて、私は若干冷め気味。しかし子役三人の演技には泣かずにいられない。眠ったまま睫毛一本動かさない女の子。そんな彼女を見続ける弟と従妹。プロローグとエピローグは映画版でも健在ですが、原作で印象的だった台詞が削られて、その代わりに映画版にしかないシーンや会話があります。わかりやすく泣けて万人受けしそう。奇跡を信じた人も多いのでは。
読了日:11月18日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12828764

■カラヴィンカ (角川文庫)
彼女はそんなに酷い女ですか。最低の女ですか。凄まじい美貌の不幸な少女。男たちが勝手に、彼女をわかってやれるのは自分だけだと思い込んでいたように感じます。彼女は思わせぶりなことなんて何もしていない。彼女は人をかばって嘘をつく。結局、相手のことをいちばん考えていたのは彼女なのでは。『雪の鉄樹』と『アンチェルの蝶』と同様に重くて暗いけど、その2作ほどの圧倒的な余韻はありません。信頼していた人が急に変わる様子などにもいささか引き気味。それでも、たったひと言、彼女が聞きたかった言葉が明らかになったときはたまらない。
読了日:11月20日 著者:遠田 潤子
https://bookmeter.com/books/12341775

■億男 (文春文庫)
飛行機が墜落するよりも低い確率だというのに、宝くじの高額当選者ってそんなにいるのかとビックリ。お金では買えない幸せは確かにあるだろうけれど、悲しいかなそれがわかるのはお金を持ったことのある人だけなのでは。限られた額でちまちま買い物をする楽しさを私たちが知っていたとしても、金持ちならばちまちま買うことも店ごと買うこともできる。お金がないと選択肢もないわけで。おそらく著者は億男。そうなるまでに金に困った時期もあったなら、説得力のある話です。必要なのは勇気と想像力と少しの金、そう言えるようになってみたい(笑)。
読了日:11月22日 著者:川村 元気
https://bookmeter.com/books/12630164

■エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)
日本人が海外で死ぬ、外国人が日本で死ぬ。そんな場合の遺体の処置や移送も、普通の葬儀社がおこなっているのだと思っていました。国際霊柩送還士という職業があるなんて。遺体をゴミ同然に扱う国もあれば、扱う術を知らない国もある。各国各地に出向き、遺族の気持ちに寄り添った仕事をするエアハース社の面々に頭が下がります。まるで生きているかのようにではなく、故人は故人として、遺族がきちんとお別れできるように施すエンバーミング。しかし、故人の最期の願いを凄絶な遺体から知り得る場合もあるのですね。遺体と向き合い、払われる敬意。
読了日:11月26日 著者:佐々 涼子
https://bookmeter.com/books/8648447

■などらきの首 (角川ホラー文庫)
「こわいでしょお?」「こわいけど、面白いから、観てください」が楽しい、映画『来る』の予告編。映画では松たか子と小松菜奈演じる比嘉姉妹のシリーズだと聞いたら、やっぱり読むでしょ。『ぼぎわん』か『ずうのめ』か、せめて1作は読んでいないとつまらないかも。正統派の怪談もあれば、お口直し的な話も。映画で岡田准一演じるところの野崎が登場する話では、ほろり切ないものとぼぎわんを思わせるものと。いずれの話も小粒は小粒。でもいっそう比嘉シスターズのファンになりました。怖くてもちゃんと物を見なくてはという言葉、肝に銘じます。
読了日:11月28日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/13135542

■ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)
フルネームで予約して初めて行った店で、「○○様ですね」と姓名の名のほうで呼ばれたら、引く。テーブルを担当してくれるギャルソンが「○○です」と名乗ったら、引く。そのギャルソンがエチケットの意味を知らなかったら、引く。職業や荷物の中身を詮索されても、引く。とにかく冒頭から引くことだらけで、どないやねんこれと思いました。こんなビストロがほんとにあっても私は行きたいとは思えないけれど、そのわりに最後まで結構楽しく読めたことは否定しません。軽いから、ドン引きも尾を引かない。良い暗示ならかかりたい。思い込みって大事。
読了日:11月29日 著者:斎藤 千輪
https://bookmeter.com/books/13068809

■本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)
明日、私はとても怖い映画を観に行くのです。ここ50年でいちばん怖いという評判の。それで、怖くてどうしようもなくなったときに楽しい話を思い出せるように、穂村さんを読みました。なのに、嫉妬に狂って畳に箸をぷすぷすと刺した話とか、おふだのように貼り紙だらけのコンビニの話とか、怖いやんか。可笑しくて仕方のなかった『絶叫委員会』か『にょにょっ記』を再読すべきだったろうかとちょっぴり悔やみ、しかし「ツナ夫」に爆笑、以降そこそこ笑う。そういえば「ネ」は何処へ。なんだか恋しい。明日、怖くなったら「金額換算」を思い出そう。
読了日:11月30日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/557451
—–

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』(原題:Sicario: Day of the Soldado)
監督:ステファノ・ソッリマ
出演:ベニチオ・デル・トロ,ジョシュ・ブローリン,イザベラ・モナー,
   マシュー・モディーン,イライジャ・ロドリゲス,キャサリン・キーナー他

前述の『エリック・クラプトン 12小節の人生』の後、
同じく大阪ステーションシティシネマにて。
なにせ『クラプトン』は7:50からの上映でしたから、本作の上映開始時間はまだ10:30。
こんな時間にすでに2本目を観られると思うと、なんて充実した日だと嬉しくなります。

『ボーダーライン』(2015)の続編。
前作の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴでしたが、本作の監督ステファノ・ソッリマは知らない人。
ウィキペディアの日本版にはまだ名前がありません。
しかし脚本はテイラー・シェリダンだし、出演陣も渋く豪華。
男臭さがウケるのか、予想以上に客が入っていました。
『クラプトン』もオッサンばかりだったけど、これもオッサンだらけ(笑)。

アメリカ・カンザス州カンザスシティの商業施設で、
子どもを含む多くの民間人を巻き込む自爆テロ発生。
アメリカ合衆国国土安全保障省は、犯人らを不法入国者と推測し、
メキシコの麻薬カルテルが彼らにテロ資金を提供していると仮定する。

大統領からカルテルの殲滅を命じられたCIAエージェントのマット・グレイヴァーは、
かつてカルテルに家族を殺されたコロンビアの元検察官アレハンドロ・ギリックをリクルート。
そのほか、信頼できる精鋭部隊を率いて極秘ミッションに取りかかる。

マットが考えたのは、カルテル同士の抗争を誘発させる手段。
巨大カルテル、レイエス家の娘イサベルを学校帰りに誘拐すると、
それを敵対するカルテルの仕業だと思い込ませるのだが……。

前作から3年経っていますから、話なんてほとんど忘れています。
観ているうちに少しずつ場面を思い出したものの、全部はとても思い出せない。
しかし何も知らなくても楽しめる作品です。

アレハンドロ役のベニチオ・デル・トロがとにかく切ない。
一時すごい中年太りで、もともと下ぶくれの顔がよりたるんだ印象でしたが、
どことなく引き締まり、渋い格好良さがあります。
イサベルを連れて国境へ向かうシーンは『レオン』(1994)のよう。

昔、このブログにも確か書いたことがある話。
メキシコに旅行した知人が、向こうの空港で「大阪は怖い」とメキシコ人が話しているのを聞いたとか。
これを観たら、どこが大阪怖いねん、メキシコの比やないやろとまたツッコミ入れたくなります。

幼い頃から犯罪に手を染め、やがて暗殺者になるかもしれない子どもたち。
生きるためにはそうするしかないのかと思ってしまう。
お金がなくても幸せだなんて、言えない。

で、続編あるんですね。いつになるか知らないけど、待ってます。
—–

『エリック・クラプトン 12小節の人生』

『エリック・クラプトン 12小節の人生』(原題:Eric Clapton: Life in 12 Bars)
監督:リリ・フィニー・ザナック

勤労感謝の日。
午後にMOVIXあまがさきでおこなわれる爆音映画祭を予約済み。
それまでに1本、頑張れば2本観られなくもない。
2本観るには朝6:55に家を出て大阪駅へ向かわないと。
休日に仕事に行く日より早く出かけるなんてと思いつつも、目が覚めてしまう。
大阪ステーションシティシネマにて7:50上映開始の本作を。

クイーン同様、エリック・クラプトンについてもそんなには知りません。
有名な曲を知っている程度で、ファンとは言えない。
それでも心に残る曲はいくつかあります。
7:50から映画を上映していることも驚きですが、
こんな朝も早くから劇場へ足を運ぶ奴なんておるんか?
いましたねぇ、30人ぐらい。オッサンばっかり(笑)。

クイーンのフレディ・マーキュリーが史上最高のリードボーカリストと評されるならば、
エリック・クラプトンはローリング・ストーン誌が選出する、
「最も偉大な100人のギタリスト」の第2位。
第1位はジミ・ヘンドリックスなのだそうです。

本作はクラプトンの人生を綴るドキュメンタリー。
『ボヘミアン・ラプソディ』に比べるとかなり地味で、
私程度にしかクラプトンを知らずに観に行くと睡魔に襲われる箇所も。(^^;
もっとクラプトンの曲がバンバンかかっていたら眠らなかったかも。

それでも面白いと思える作品であったことは間違いありません。
なにしろ私は知らないことばかり。
実姉だと思っていた人が母親だったとか、その生い立ちからして衝撃的。

美形だったんですねぇ。でもずっと変人呼ばわりされていた少年時代。
そんな彼を救ったのが音楽、そしてギター。

親友だったジョージ・ハリスンの妻に恋して、実らせて結婚。
しかし別の女性との間に女児をもうけ、
また別の女性との間に生まれた男児を目の中に入れても痛くないほど可愛がり、
そのおかげでアルコール依存症からも脱却。
なのに、幼い息子は高層ホテルから転落死して、また周囲が心配するなか、
亡くなってから届いた息子の葉書が酒への逃避を思いとどまらせたとのこと。
このとき書き上げた曲が“Tears in Heaven”。心に突き刺さりました。

「天に召されるとき、最期に君の声を聴きたい」。
偉大なミュージシャンからそんな言葉を贈られるクラプトン。
まだまだギターを弾き続けてくれますよね?
—–

『ヴェノム』

『ヴェノム』(原題:Venom)
監督:ルーベン・フライシャー
出演:トム・ハーディ,ミシェル・ウィリアムズ,リズ・アーメッド,スコット・ヘイズ他

MOVIX京都にて、前述の『鈴木家の嘘』とハシゴ。
またゴミが落ちているのかなとテンション低めで入場したら、このシアターは綺麗でした。
アイスもなかの空き袋が放置されていたのはたまたまだと思いたい。

公開直後から観たかったのに、あやうく観逃しそうになっていた本作。
レディースデーにちゃんと字幕版を観られてよかったです。

マーベル・コミック“スパイダーマン”の宿敵“ヴェノム”。
予告編を観て気色悪い容貌だなぁと思っていました。
そんな容貌も慣れると可愛く見えてくるから不思議です。

正義感あふれるジャーナリストのエディ・ブロック。
弱者の立場で真実を追求し、相手がどんなに大物であろうと
おもねる取材は決してしないエディは、巷でも人気者。

医療福祉から宇宙開発まで幅広い科学分野を手がけるライフ財団の創始者、
カールトン・ドレイクにインタビューすることになったエディ。
問題を起こすなという上司の命令に背き、エディは人体実験についてカールトンに詰問。
そのせいでインタビューが取りやめになったどころか、会社をクビに。
しかも、人体実験の情報は、恋人で弁護士のアン・ウェイングのPCを盗み見して得たもの。
エディに情報を流したと疑われ、アンまでも解雇されてしまう。

仕事も恋人も失ったエディに接触を図ったのは、ライフ財団の研究者ドーラ・スカース。
彼女曰く、人を救う仕事に従事しているつもりだったのに、
カールトンはホームレスを拉致して人体実験をおこなっている。
なんとかやめさせてほしいとエディに懇願。

ドーラの手引きでライフ財団に潜入したエディは、
“シンビオート”なる地球外生命体を人間に寄生させる実験がおこなわれていることを知る。
シンビオートと共生すれば、宇宙に移住することも可能だとカールトンは考えているらしい。
しかしシンビオートと人間はなかなか適合に至らず、
その結果、実験台となった人間が次々と死んでいるのだ。

実験台の中に顔見知りのホームレスを見つけて駆け寄ったさい、
シンビオートに寄生されてしまったエディ。
とてつもない力を得てとまどう彼に、
“ヴェノム”と名乗るシンビオートが脳内で語りかけてくるのだが……。

エディとヴェノムのやりとりがとても面白い。
脳内でヴェノムから話しかけられ、ぶつぶつ答えるエディ。一見ひとり言。
腹減った、ええ女やな、などと言われて、うるさい黙れ、人間を食うなと
必死にヴェノムを制御しようとするけど実らない。
あんな太い首で困惑するトム・ハーディが可愛くて笑えます。

マーベル作品はエンドロールの後にも何かあるのがお約束。
本作でもエンドロール途中で“スパイダーマン”のアニメが流れます。
で、それが終わった後のエンドロールの長いこと
全部で20分ぐらいありました。これは過去に観た映画の中で最長かと。

悪い奴は食っちゃって良し。
続編を撮るなら、同じルーベン・フライシャー監督がいいな~。
—–

『鈴木家の嘘』

『鈴木家の嘘』
監督:野尻克己
出演:岸部一徳,原日出子,木竜麻生,加瀬亮,吉本菜穂子,
   宇野祥平,山岸門人,川面千晶,岸本加世子,大森南朋他

先週のこと。
水曜日がお仕事お休みの人と祇園で晩ごはんをご一緒することになり、
終業後に京都へ向かってもじゅうぶん間に合うところ、
レディースデーなのに映画を観ないのももったいと午後休を取りました。

正午の鐘とともに職場を出て、そのまま車で名神吹田から京都南へ。
晩は当然お酒を飲むけれど、帰りは下戸のダンナが運転してくれますから。

川端通り沿いで目を付けていたコインパーキングのうちの1箇所は満車。
もう1箇所は観光シーズンゆえ「特別料金実施中」との表示。
20時までは最大料金設定があるものの、夜間の料金が20分300円だとぉ?
1時間に900円も払っていられるかと、ほかを当たる。
なんとか納得できる料金のパーキングに空きを見つけて駐車。

そこからてくてく歩いてMOVIX京都へ。
前週にMOVIXあまがさきでメンバーズカードを入手済み。うふっ。
ちゃんと名前を登録してポイントを貯めることができるのでした。

初めて行くMOVIX京都にはちょっぴりショックを受けました。
ビルの各階にシアターがあるのですが、1階にゲームセンターも入っています。
そのせいなのかどうなのか、トイレがめちゃくちゃ汚い。
便器が汚いわけじゃないから、掃除はきちんとされているのでしょうが、
個室にゴミが落ちすぎ。キンキラリンの紙とか、いったい何に使うもの?
鏡の前に陣取る女子高生は、手を洗いたい客に譲るつもりもない様子。
シアターに入ったら入ったで、座席にアイスもなかの空き袋が放置されている。
来月ここで開催予定の爆音映画祭に行きたいと思っていたのに、萎えました。

という話はさておき、気になっていた作品を観ました。
『テルマエ・ロマエ』(2012)、『舟を編む』(2013)、『まほろ駅前狂騒曲』(2014)、
『恋人たち』(2015)、『セトウツミ』(2016)、『嘘を愛する女』(2018)等、
数々の名作で助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作。

鈴木家は父親・幸男(岸部一徳)、母親・悠子(原日出子)、
長男・浩一(加瀬亮)、長女・富美(木竜麻生)の四人家族。

ある日、長年ひきこもりだった浩一が自室で首を吊って自殺。
それを発見した悠子が包丁で手首を切る。帰宅した富美がそれを見つけて119番。
悠子は一命を取り留めたものの、なかなか意識が回復しない。

四十九日ぶりに目を覚ました悠子は、浩一が亡くなったことを覚えていない様子。
ショックのあまり記憶が飛び、自分は台所で倒れただけだと思い込んでいる。
事実を知ってまた手首を切られては大変だと、
浩一は元気かと悠子から問われた富美は、咄嗟に嘘をついてしまう。
「お兄ちゃんはひきこもりをやめて、アルゼンチンへ行った」と。

こうして幸男と富美、悠子の弟・博(大森南朋)、幸男の妹・君子(岸本加世子)も
悠子のために嘘をつきつづけることにするのだが……。

息子は死んだと言えない娘たちが母親のために嘘をつく、
『やさしい嘘』(2003)というグルジアを舞台にした作品がありました。
それを思い出しながら観ていましたが、こっちのほうがだいぶんキツイ。
顔ぶれを見てコメディを予想していたら、全然ちがう。
笑えるシーンはごくわずかにあるだけで、相当ヘヴィー。
PG12指定の理由はソープランドのシーンがあるからなのでしょうが、
浩一が首を吊るシーンもかなりエグイです。

大切な人を亡くした人が集う会で、泣き叫ぶ参加者の声が私にはきつかった。
『人魚の眠る家』と同じく、大げさに思えてしまうのです。
しかし、富美の気持ちがあきらかになるシーンは心を揺さぶられました。

遺された家族が気持ちの整理をつけるまでの日々。
今後も野尻監督の作品が気になりそうです。
—–