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『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』(原題:The Hummingbird Project)
監督:キム・グエン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ,アレキサンダー・スカルスガルド,サルマ・ハエック,
   マイケル・マンド,サラ・ゴールドバーグ,アンナ・マグワイア,フランク・スコーピオン他
 
飲み会の日がたまたまファーストデーと重なったので、
ついでに有休を取って映画を観てから飲みに行くことにしました。
こういう機会があると、ついつい仕事に行くときより早く家を出てハシゴする計画を立ててしまう私は、
この日も一応そういう計画を立てていました。
朝の用事の片付け具合で無理っぽかったらやめておくつもりでしたが、
なんとなく間に合いそうだなと思った瞬間から動きがハイピッチに。
結局、計画どおりの4本ハシゴに。
 
1本目は大阪ステーションシティシネマにてカナダ/ベルギー作品を。
タイトルを聞いても何の話なのか全然ピンと来ない。
金融市場で繰り広げられる「高頻度取引」の実態をモチーフにした作品です。
 
株の取引って、ミリ秒単位で莫大なお金が動くんですよね。
何ミリ秒か遅れただけで大損したりする世界だから、
他社より少しでもはやく取引をおこなえれば大儲けできる。
本作の主人公のヴィンセントといとこのアントンは、
ニューヨークで株の高頻度取引を進める会社に勤めています。
 
トレーダーとして活躍するヴィンセントとアントンは、
傲慢な女社長エヴァのもとで言われるがままに働くのが嫌になり、
自分たちでもっと面白いことをして儲けようと考える。
 
取引速度を短縮するにはとにかく「直線」で結ぶこと。
そう信じるヴィンセントは、直線にこだわり、
カンザス州のデータセンターとニューヨーク証券取引所のサーバーの直線上に
ファイバーケーブルを敷設しようと思い立つ。
そうすれば、従来のアクセス時間を0.001秒短縮できるはず。
 
さっそくエヴァの会社に辞表を提出し、
信頼のおけるマークという男を仲間に引き込む。
資金を提供してくれそうな人物にヴィンセントが直談判。
見事スポンサーを射止め、土地の買収に着手するのだが……。
 
0.001秒ですよ。
息つくひまもないほどのミリ秒を短縮することに執念を燃やす人々。
この方面についてまったく無知な私の言うことですから聞き流してください。
言っちゃ悪いですが、トレーダーにはどことなく「人の褌で相撲を取る」的な印象がありました。
それが一変。そのアイデアといい、働きぶりといい、儲けて当然。
 
地下にケーブルを通すんだから、見た目の影響なし。
誰でも土地を売ってくれると思いきや、絶対嫌だと言う人もいるし、
勤務していた会社の社長はあの手この手で邪魔をしようとするし、
山や川にぶち当たって上手く掘れないことも。
 
どこの会社もミリ秒短縮しようと必死だから、
0.001秒縮めて喜んでいたと思ったら、
翌日には他社がさらに縮めている場合だってあるんですよね。
 
ヴィンセント役のジェシー・アイゼンバーグ、アントン役のアレキサンダー・スカルスガルド、○。
エヴァ役のサルマ・ハエックはハマりすぎて憎たらしいほど。
 
どんな仕事も、楽して儲けるのは無理。
そこにはさまざまな犠牲と苦労があるのだなとしみじみ思いました。

—–

『ホテル・ムンバイ』

『ホテル・ムンバイ』(原題:Hotel Mumbai)
監督:アンソニー・マラス
出演:デヴ・パテル,アーミー・ハマー,ナザニン・ボニアディ,
   ティルダ・コバン=ハーヴィー,アヌパム・カー,ジェイソン・アイザックス他
 
日曜日の定刻夕食16:00を終えてから、
どうしてももう1本観たくて109シネマズ箕面へ。
 
インドで起きた同時多発テロを基に映画化。
 
2008年11月26日。
ムンバイ各地にイスラム過激派と見られる若者たちが入る。
彼らは同時多発テロを目論んでおり、
標的となったのは多くの人が利用する駅、カフェ、ホテルなど。
 
5つ星ホテルのタージマハル・ホテルの従業員アルジュンは、
この日レストランのフロアサービスを担当していたが、
銃声を聞いてすぐに消灯に走り、テロリストたちに気づかれぬようにする。
 
ムンバイには特殊部隊が置かれておらず、
現地の警察はこのような事態に面したことがないから及び腰。
デリーから特殊部隊がこちらに向かうらしいが、いったいどれだけかかるのか。
 
ホテルから出られずにいる宿泊客と従業員は500人以上。
テロリスト集団は1部屋ずつ回り、誰かを見つけるや否や無慈悲に殺害。
 
とりあえずは安全な部屋へ。
アルジュンや料理長オベロイをはじめとする従業員らは、
テロリストたちの目を盗み、6階のラウンジへと移動するのだが……。
 
オーストラリア/アメリカ/インド作品です。
ハリウッド映画ほど派手でないとはいえ、娯楽の要素が強い。
けれどもテロの話だと思うと笑うことは許されない気がして。
 
テロリストの若者たちは、ただボスの言葉を信じて動いているだけで、
彼らには彼らなりの事情や理由があると言いたげ。
その気持ちに寄り添いたくはないのです。
 
アルジュン役のデヴ・パテル、アメリカ人のセレブ役にアーミー・ハマー
ロシア人のセレブ役にはジェイソン・アイザックス
料理長役のアヌパム・カー、みんな良いんです。
特に料理長なんて、裏口から帰りたいという従業員を止めない。
「出て行きたい者は出て行ってかまわない。出て行くことは恥ではない」と
実に優しく声をかけます。ほとんどが帰らないのはそりゃもう感動的。
 
ただ、もっと淡々と描いてもよかったんじゃないかと思うし、
逆に『パトリオット・デイ』(2016)のようにテロに立ち向かう、
アメリカ万歳的な娯楽作品ならば割り切って楽しめたかもしれません。
本作は楽しいと言うとバチが当たりそうで微妙。
 
面白くて退屈するひまはなかったけれど、
どういう思いで観るべきなのか困る、そんな作品でした。

—–

『パリに見出されたピアニスト』

『パリに見出されたピアニスト』(原題:Au Bout des Doigts)
監督:ルドヴィク・バーナード
出演:ランベール・ウィルソン,クリスティン・スコット・トーマス,ジュール・ベンシェトリ,
   カリジャ・トゥーレ,エルザ・ルポワーヴル,アンドレ・マルコン,ミシェル・ジョナス他
 
フランス/ベルギー作品。
当たっても行けないと思いつつ試写会に応募したら当たりました。
飲み友だちのお姉さまにピンチヒッターとして行っていただき、
その10日後、テアトル梅田で普通に有料鑑賞。
 
パリ郊外の低所得者層が暮らす団地。
マチューは母親とまだ幼い弟妹との4人暮らし。
不良仲間とつるんで盗みを働くなどしている。
 
そんなマチューが仲間に秘密にしていることがある。
それはピアノを弾くのが大好きだということ。
幼い頃、別の部屋から聞こえるピアノの音色に惹かれるままにたどり着き、
ひとり暮らしの温厚な老人ジャックからピアノを習っていた。
マチューは驚異的な記憶力と絶対音感を持つ天才なのだ。
 
ピアノを見ると弾かずにはいられないマチューは、
パリ北駅に置かれているピアノを弾くときが何よりも幸せ。
そんな彼を偶然見かけて驚いたのが、
パリの名門音楽学校コンセルヴァトワールディレクター、ピエール。
思わずマチューに話しかけ、とにかく連絡をくれと名刺を渡す。
 
ある日、盗み目的で豪邸に押し入ったマチューは、
グランドピアノに魅入っていたせいで逃げ遅れ、警察に捕まる。
実刑を回避するためにやむをえずピエールに連絡したところ、
公益奉仕としてコンセルヴァトワールでの清掃を条件に釈放される。
 
コンセルヴァトワールは長らく国際大会での優勝者を出しておらず、入学希望者は減る一方。
ディレクターのピエールの力量を問われて崖っぷち。
マチューの才能を信じて疑わないピエールは、彼を大会に出場させると決めるのだが……。
 
「音楽×映画」が大好きです。
それがピアノだったりすると、もう絶対に外せない。
ピアニストの映画でも、期待するほど演奏シーンがなくてがっかりすることもありますが、
これはレッスンシーンも含めて堪能しました。
 
マチュー役のジュール・ベンシェトリは、
おじいちゃんもおばあちゃんもお母さんも俳優、お父さんは映画監督。
お母さんとは死別して、お父さんが最近ヴァネッサ・パラディと再婚。
つまりジュールの義母がヴァネッサで、
ヴァネッサと元夫ジョニー・デップの娘とは義兄妹という、
もう何が何だかわからないけど、とにかく映画界の名家出身。
確かに品のある顔立ちで、不良のはずが不良に見えないのが難点(笑)。
 
原題の“Au bout des doigts”は、パリ北駅のピアノの上に掲げられている言葉。
直訳すると「あなたの指先で」。
指先から世界が広がる。夢はあきらめたらおしまい。あきらめなければ叶うのかも。
 
ピエールから借りたジャケットを着て大会に出ていましたが、
いつも練習するときは上着を脱いでいるのに、
かさばって指が動かせないのではという心配は要りません?(笑)

—–

『宮本から君へ』

『宮本から君へ』
監督:真利子哲也
出演:池松壮亮,蒼井優,井浦新,一ノ瀬ワタル,柄本時生,星田英利,
   古舘寛治,ピエール瀧,佐藤二朗,松山ケンイチ,螢雪次朗他
 
梅田ブルク7にて。
しまった、ムビチケを買い忘れていたと思ったけれど、
お誕生日クーポンがあるじゃあないか。
使わせていただきました。
 
原作は1990年から1994年にかけて『モーニング』に掲載された漫画。
新井英樹のデビュー作だったそうですが、傑作だと評判に。
1992年には小学館の漫画賞も受賞、昨年TVドラマ化。
TVドラマ版の監督を務めた真利子哲也が映画版も手がけています。
 
時系列がいじられているので、最初は「ん?」。
歯の有無(笑)や髪型の違いで判断しつつ観ました。
 
文具メーカーの営業マン・宮本浩(池松壮亮)は、
年上のOL・中野靖子(蒼井優)と出会う。
ある日、靖子の部屋を訪ねると、彼女の元恋人・風間裕二(井浦新)が押しかけてくる。
 
ろくでなしの裕二と別れようにも別れられない靖子が
宮本を当て馬として利用しただけだったのだが、
裕二から暴力をふるわれる靖子を見て、宮本は咄嗟に宣言する。
「この女は特別だ。この女は俺が守る」と。
 
話が行きつ戻りつすることにはなかなか慣れません。
前歯3本折れて、腕のどこかも骨折している様子の宮本が、
いったい誰と喧嘩してその結末はどうなったのか。
靖子はおめでたらしいけど、それは果たして宮本との子なのか。
 
両方の実家に挨拶に行ったり、会社の元先輩たちと飲んだり、
取引先の会社の偉いさんに囲まれたり。
 
会社の元先輩に松山ケンイチ
取引先の会社の人にピエール瀧佐藤二朗
宮本の上司は古舘寛治、先輩にはほっしゃん。
靖子の父親に螢雪次朗。みんな一癖あって面白い。
 
靖子がラガーマンに強姦されるシーンは辛い以外の何物でもありません。
ワールドカップで盛り上がるこの時期、ラガーマンはあかんやろなどと思ったりも。
 
そんな凄絶なシーンも含めて、池松壮亮と蒼井優が凄い。
時系列のわかりにくさには慣れないのに、
それが逆に話を面白くして目が離せません。
 
熱すぎるけど、阿呆だけど、こんな奴がいてもいいじゃないか。
思わず応援してしまいます。
えぐいシーンも多いから、人には薦めづらいけど、私は大好き。
宮本浩次が歌うエンディング曲もカッコイイ。

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『見えない目撃者』

『見えない目撃者』
監督:森淳一
出演:吉岡里帆,高杉真宙,浅香航大,大倉孝二,酒向芳,
   松大航也,國村隼,渡辺大知,松田美由紀,田口トモロヲ他
 
日曜日の朝、TOHOシネマズ伊丹にて、1本だけ。
 
初めて予告編を観たとき、タイトルといい、内容といい、
なんかデジャヴだなぁと思っていたら、以前観た作品のリメイクでした。
原題が“我是証人”という2015年の中国作品で、それもリメイク。
オリジナルは中国版と同じ監督による韓国作品でした。
 
中国版がとても面白かったので、日本版の主演が吉岡里帆と聞いてちょっと心配。
だって私は彼女にちっとも良い印象がない。
すごく可愛い女優だとは思うけれど、彼女の出演作が面白いと感じたことがなくて。
だから期待値低めで観に行ったら、彼女のことを見直しました。上手いやん!
これに彼女を起用した森淳一監督、グッジョブ。
 
警察学校を首席で卒業した浜中なつめ(吉岡里帆)。
しかし、助手席に弟の大樹(松大航也)を乗せた車で事故を起こし、
大樹は死亡、なつめも両目の視力を失う。
 
当然のことながら警察官の道も絶たれて3年が経過。
母親の満代(松田美由紀)と暮らし、テープ起こしの仕事に就いている。
出かけるときは盲導犬のパルが頼り。心の傷はまったく癒えないまま。
 
ある日、大樹の墓参りに行くべく満代と家を出たなつめだったが、
どうしてもまだ大樹の墓に近寄る気持ちになれず、
満代と口論した挙句、パルを伴ってひとりで帰ろうとする。
その途中、車が誰かと接触する音を聞いて現場に駆けつけると、
車の後部から助けを求める女性の声が聞こえ、車は急発進。
 
なつめは誘拐事件に違いないと考え、警察に連絡するが、
刑事の木村友一(田口トモロヲ)と吉野直樹(大倉孝二)は信じていない様子。
一歩も引こうとしないなつめを持て余し、
なつめが主張するもうひとりいるという目撃者、すなわち車と接触したらしい人物を探し、
それがスケボーに乗る高校生の国崎春馬(高杉真宙)だと判明するのだが……。
 
絶対に中国版リメイクのほうが面白いだろうと思っていたら、お見それしました。
遜色ないというのか、日本の話である分、こっちのほうが入り込みやすい。
犯人については、韓国版や中国版を観ていなくても途中で想像がつくかと。
だってそいつの態度、あきらかにおかしいから(笑)。
 
ネグレクトによる事件のニュースが後を絶たない昨今、
家出しても気にもかけられない子どもたちがこんな目に遭っている。
かなりグロいシーンも多いので、それが駄目な人はご用心。
 
被害者たち同様に親には無視されてきた春馬が、
なつめの熱意を鬱陶しく思いながらも協力し、
自分の将来に夢を抱きはじめたラストもとても良いです。
 
里帆ちゃん、あなたを見る目がまるで変わったので、今後は期待しています。

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