MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『THE UPSIDE/最強のふたり』

『THE UPSIDE/最強のふたり』(原題:The Upside)
監督:ニール・バーガー
出演:ブライアン・クランストン,ケヴィン・ハート,ゴルシフテ・ファラハニ,
   アヤ・ナオミ・キング,テイト・ドノヴァン,ニコール・キッドマン他
 
シネ・リーブル梅田で4本ハシゴの2本目。
 
『最強のふたり』(2011)のハリウッドリメイクと聞けば観たくなる。
意外に早く上映終了してしまいそうで焦りましたが滑り込みセーフ。
 
スラム街で育った無学の黒人男性デル。
保護観察中の身で、求職活動をしていることを証明しなければ生活できない。
掃除人を募集しているらしい大富豪フィリップのペントハウスへ、
面接に来たというサインだけを求めて乗り込む。
 
他の応募者を見ると、皆きちっとした格好をして、おとなしく順序を待っている。
そんなに待てずに面接がおこなわれている部屋に入ってみると、
雇用主のフィリップは車椅子に乗り、首から上しか動かない、全身麻痺。
 
秘書を務めるイヴォンヌにとにかくサインだけくれと頼むと、
意外にもフィリップは自分を採用すると言う。
破格の待遇のうえに、住むところもないデルに対して仕事は住み込みとのこと。
別居中の妻子にいい顔をしたいこともあり、デルはフィリップの介護職に就くのだが……。
 
基本的にはいい話です。
もっと感動できたはずなんですが、そうでもなかったのはなぜなのか。
 
オペラを観るシーンは嫌でした。
ほかの観客が静かに鑑賞するなか、オペラを初めて観るデルの態度はひどい。
フィリップはそれを注意するでもなく面白がります。
金持ちゆえ、何でも許されていそうなところが鼻につく。
最終的にはすっかりオペラの虜になったデルが
真っ先に立ち上がって「ブラボー!」を連呼するのはいいけれど、
前のめりになって鑑賞するのはそもそもルール違反ですよね。
 
硬いこと言いなさんなと言われそうな、こんな部分がいくつかあります。
凹んだときにはドラッグ有効みたいな雰囲気もあるし、
手放しでは楽しめなかったのが残念なところ。
 
オリジナルではすごくよかったアース・ウィンド・アンド・ ファイアーの“September”も
本作では聴けず。その代わり、アレサ・フラクリン。これはこれで○。
 
文句は付けてみたけれど、それなりには良かった。悪くはありません。

—–

『だれもが愛しいチャンピオン』

『だれもが愛しいチャンピオン』(原題:Campeones)
監督:ハビエル・フェセル
出演:ハビエル・グティエレス,アテネア・マタ,フアン・マルガージョ,
   ヘスス・ビダル,ホセ・デ・ルナ他
 
シネマート心斎橋で4本ハシゴした翌日は、シネ・リーブル梅田で4本ハシゴ。
確実に命削って映画鑑賞しているような気がします。
これがあっての年間300本達成なのですけれど。
 
知的障害のある人々で結成されたスポーツチームが感動を呼ぶ。
泣けるのは約束されたようなもので、
ちょっと涙の安売りをしすぎではないかとうっすら嫌悪感。
だからパスしようかと思いつつ観に行ったのですけれど。
良かったんだなぁ、これが。
本国スペインで大ヒットを飛ばした作品なのだそうです。
 
背は低くとも有能なサブコーチとしてプロ・バスケットボールチームに勤めていたマルコ。
ところが、旧知のコーチのやり方にどうにも納得できず、
試合中に暴言暴力を働いたところがTV中継までされて、クビになってしまう。
簡易裁判で言い渡された判決は、服役の代わりの社会奉仕活動
知的障害者が集うバスケットボールチームのコーチをすることに。
 
刑務所に入るよりはマシだと行ってみてビックリ。
意思の疎通すら危うく、バスケをするなど到底無理。
しかし、近々開催される試合に出場することが彼らの夢で……。
 
話自体には何の新鮮味もありません。
知的障害者に偏見しか持っていなかったマルコが、
彼らと接するうちに考え方を変えてゆく。
教えているはずが、教えられていたという王道の物語です。
 
でも、オーディションで選ばれたという、実際に知的障害を持つキャストが素晴らしい。
知的障害があるから理解できない、していないということが偏見そのもの。
彼らはわかろうと努めているし、わざわざ努めずともわかっていることもある。
 
妻と別居中のマルコが、彼らのおかげで復縁。
40歳を過ぎている妻は出産を熱望しているけれど、
マルコは年齢ゆえにダウン症等の障害が出る可能性を心配しています。
妻とのその会話を聞いてしまったチームの一員のひとりにマルコが取り繕おうとしたとき、
「いいんだ。僕たちも僕たちのような子どもは生まれてほしくない。
でも父親はあなたのような人がいい」。泣いてしまった。
 
試合に出るからには勝ちたい、それは当たり前の気持ちでしょうけれど、
真剣に戦い、楽しみ、お互いを尊重しあって称えること。それがいちばん。

—–

『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』

『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』(原題:Hevi Reissue)
監督:ユッカ・ヴィドゥグレン,ユーソ・ラーティオ
出演:ヨハンネス・ホロパイネン,ミンカ・クーストネン,ヴィッレ・ティーホネン,
   マックス・オヴァスカ,アンティ・ヘイッキネン,サムリ・ヤスキーオ,ルーン・タムティ他
 
シネマート心斎橋で4本ハシゴのラスト。
 
ずいぶん前に「俺たち、ほにゃらら」という邦題が目白押しでした。
どれもB級確実。これももちろんB級です。でも愛すべき作品。
オンライン予約した時点では10席ほど埋まっているだけでしたが、
入場してびっくり、ほぼ満席。
この手の作品って、客層が面白いんですよ。
このタイトルですから当たり前なんでしょうが、みんなメタルファン。ですよね?
 
フィンランド/ノルウェー作品。
ちなみにフィンランドはメタル大国なのだそうです。
 
フィンランド北部、ロン毛は「ホモ」とからかわれるような片田舎。
ロン毛のままでいることだけは譲れない25歳のトゥロ。
老人介護施設で働きながら、旧友とヘヴィメタバンドを組んで練習に励んでいる。
トゥロはボーカルを務め、ギターはロットヴォネン、ベースはパシ、ドラムはユンキ。
結成して12年になるというのに、まだ一度もステージに立ったことがない。
 
ある日の練習中、フランクと名乗る中年男性がやってくる。
てっきりトナカイの肉を買いに来たのだと思ったら、
ノルウェーで開催される巨大メタルフェスのプロデューサー。
そうと知ったユンキが咄嗟にデモテープを渡すと、
フランクも彼らの演奏を気に入ってくれた様子。
 
連絡係となったトゥロは、フランクの確約も取れないうちに、
想いを寄せる花屋の店員ミーアにフェス出場が決まったと言ってしまう。
小さい町のこと、ミーアが誰彼となく触れ回り、トゥロたちは町の英雄に。
現状を知るのはトゥロだけだから、メンバーたちも大盛り上がり。
フェスに出場する前に町の店のライブに出演することになるのだが……。
 
こんな話がA級作品になるはずもなく、しょうもなと思いながら観ていました。
なのに時折ふきだしてしまうぐらい可笑しい。
 
この日の客はたぶんほぼ全員ヘヴィメタファン。だからヘヴィメタネタできっちり笑う。
例えば、カバー曲ばかり演奏している彼らが「まずはオリジナル曲を作らんと」と言うところ。
ギターのロットヴォネンがオリジナルだよと自慢気にリフを奏でると、
なんでも知っているパシが「それパンテラのいついつのなんとかいう曲」と即座に突っ込む。
事故で呆気なく昇天してしまったユンキの葬儀の席では、
パシが素晴らしい詩を謳って一同感動してシーンと静まり返るわけですが、
パシの詩だとばかり思っていたら、「1980年、ロニー・ジェイムス・ディオ」とか。
客席大爆笑。メタルファンでもないのについていっている私、エライかも(笑)。
 
ゲロネタだけは勘弁してほしかったけれど、
ゲロがゲロっぽくなくて、真っ白キレイだったからまぁええか。
 
エンドロールが回り終わったとき、拍手も起きていました。
本作を観て思ったのは、「ロレス関係の映画とヘヴィメタ関係の映画は劇場で観るに限る」。
観客の一体感が凄くて、めちゃめちゃ楽しいです。

—–

『スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班』

『スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班』(英題:Hit-and-Run Squad)
監督:ハン・ジュニ
出演:コン・ヒョジン,リュ・ジュンヨル,チョ・ジョンソク,ヨム・ジョンア,
   チョン・ヘジン,ソン・ソック,キー(SHINee),イ・ソンミン他
 
たいてい、全部アタリという幸せな年末になります。
去年の4本ハシゴも、1本目の『アイリッシュマン』当たり、
2本目の『2人のローマ教皇』も当たり、そして3本目の本作も大当たり。
めっちゃ面白かった。
 
F1レーサーで大物実業家チョン・ジェチョルが
警察署長に賄賂を贈ったらしいという疑惑があり、
それについて調べていたエリート女性警官ウン・シヨン。
しかし捜査は実らなかったばかりか、交通課に左遷されてしまう。
 
とんでもないところに飛ばされたものだと凹むシヨンだったが、
その人事は先輩警官ユン・ジヒョンの思惑あってのこと。
シヨンの異動先は未解決のひき逃げ事件を扱うひき逃げ専門捜査班で、
ジヒョンによればジェチョルを捕まえるチャンスがあるらしい。
 
ひき逃げ専門捜査班のオフィスは地下の窓もない部屋。
シヨンが出勤すると、そこにいるのは身重の妊婦課長ウ・ソニョンただ一人。
窓際に追いやられたお荷物部署としか思えなかったが、
ソニョンが「我が課のエース」と呼ぶソ・ミンジェと行動を共にしてみると、
並外れた洞察力を持っているうえに、車にもやたら詳しい様子。
 
そんななか、数カ月前に起きたひき逃げ事件の犯人について、
ジェチョルである可能性が浮上、色めき立つシヨンだったが……。
 
登場人物の個性が際立っていて、とても良いのです。
特にリュ・ジュンヨル演じるミンジェは、元暴走族のリーダー。
モサッとしている風なのに、腕をまくれば刺青だらけ、
喧嘩をすれば一網打尽、車のハンドル握ればかっ飛ばす。
そうとは見えないだけに、やるときゃやる姿がカッケー。
ミンジェが暴走族をやめて警官になった経緯がまた泣かせる。
 
チョ・ジョンソク演じるジョチェルは憎らしいことこのうえない。
お目目パッチリ、可愛いかしらんけど私の苦手なタイプで(笑)、
余計に憎たらしさを増しているという。
 
続編ありそうな感じです。
次作がこれより面白くなるとは思えないけれど、観に行っちゃうかも。
ほんと、めっちゃ面白かったんですから。

—–

『2人のローマ教皇』

『2人のローマ教皇』(原題:The Two Popes)
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:アンソニー・ホプキンス,ジョナサン・プライス,フアン・ミヌヒン他
 
シネマート心斎橋にて4本ハシゴの2本目。
1本目に観た『アイリッシュマン』は、209分の長尺に眠くなるはずが眠くならず、
だけど2本目の本作はなんとなく眠くなりそうなタイトルじゃないですか。
監督がフェルナンド・メイレレスだと気づかなければパスしたかもしれません。
だって好きなんですよ、スペイン語とかポルトガル語圏の映画が。
これも『アイリッシュマン』と同じくNetflix独占配信作品
 
2012年にホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(=現教皇)と教皇ベネディクト16世(=現名誉教皇)の間で
実際に交わされたという対話を再現しています。
眠くなるどころかめちゃめちゃ良くて、対話だけでこんな佳作がつくれるものなのかと驚きました。
 
オープニングからにっこりしてしまう。
ネットがイマイチわからん教皇が航空券を自分で予約するために航空会社に電話。
名前を聞かれて答えたら、「教皇と同じ? 冗談やめてよね」と切られてしまう(笑)。
そんなシーンからスタートします。
 
アルゼンチン・ブエノスアイレスの枢機卿ベルゴリオは、いわば革新的。
聖職者による児童虐待が露見したとき、聖職者の担当をただ異動させただけのカトリック教会を非難。
また、同性愛を認めない教会にも反対の姿勢を見せ、同性愛者も躊躇なく受け入れている。
 
第264代ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世が亡くなり、
第265代を選出するための“コンクラーヴェ”がおこなわれたさい、
ベルゴリオも革新的な意見を持つ枢機卿たちの票をいくらかは集めたが、
票集めに余念がなかったベネディクト16世が満々のやる気を見せて教皇に。
 
変わろうとしない教会に嫌気が差し、枢機卿を辞職することを考えるベルゴリオは、
ベネディクト16世に辞職願を提出しようと手紙を書くが、一向に返事が来ない。
仕方なくバチカン市国まで出向こうとしたまさにそのとき、
先方から話がしたいので来るようにとの連絡が入る。
辞職願を手に、ベルゴリオはベネディクト16世に会いに行くのだが……。
 
ベルゴリオにジョナサン・プライス。ベネディクト16世にアンソニー・ホプキンス
ほぼこのふたりの会話劇なのですが、これが圧巻で。
 
生き方も考え方もまるで違う両人。
ベルゴリオが口ずさむのはアバの“ダンシング・クイーン”で、ビートルズにも詳しい。
一方のベネディクト16世はピアノが得意でCDまで出している。
そのCDをアビーロードスタジオで録音したにもかかわらず、ビートルズわからんと言う。
誰にでも気さくに声をかけ、庭師ともすぐ仲良くなるベルゴリオに対し、
ベネディクト16世は他人をよせつけない雰囲気があります。
普通の格好をしてピザまで買いに行くベルゴリオに笑いました。
 
相容れることはないと思われたふたりなのに、話をするうちに様相が変化する。
ベネディクト16世が実は退任するつもりだとベルゴリオに打ち明けるくだりは
観ているこちらも唖然。マジかよオッサンと言いたくなりました(笑)。
ローマ教皇って、死ぬまで在位、死んだら退位というのが普通らしく。
過去に自ら退位を宣言した例はあるそうですが、12世紀の話なのだそうです。
 
我が国の天皇が存命中に退位ということになったのも、
ローマ教皇のこんな例があったからなのかと思わずにはいられません。
 
涙を流すなら嬉しい涙を。
こんな人が現ローマ教皇であることを嬉しく思う。
と思っていたのに、年始のニュースを見て焦りました。
信者の女性の手を教皇がぺしぺしと叩いたとか。
だけど「痛いやんか」と言いたくなるぐらい強い力で
女性が教皇を引っ張っている姿も写っていたようで、
それでも手を叩いたのはあかんことやったと詫びる教皇に人々は同情的とのこと。
ちょっと安心しました。

—–