『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』(原題:Borg McEnroe)
監督:ヤヌス・メッツ
出演:スヴェリル・グドナソン,シャイア・ラブーフ,ステラン・スカルスガルド,ツヴァ・ノヴォトニー他
TOHOシネマズ西宮で2本ハシゴの2本目。
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の上映終了と本作の上映開始時間が10分かぶっていたため、
私にしては珍しく『SUNNY』をエンドロールを最後まで観ずに退場。
かぶっているのが5分ならば最後まで観ても間に合うのですが、
10分だとお手洗いに行く時間がないのです。
「さ入れ」でテンションが下がったせいで、さして惜しいとも思わなかったのでした。
テニスラケットを持ったことがあるのはかつて一度のみ。
学生時代に出かけた先でちょっとやってみただけです(笑)。
そんなふうにテニスにほぼ興味のない私でも、このふたりは知っている。
ビョルン・ボルグとジョン・マッケンロー。
ふたりの試合だけは深夜にテレビに食らいついて観た覚えがあります。
凄い試合でした。その伝説の一戦を映画化したのが本作。
「ビョルン・ボルグ」が一般的な表記だったように思うのですが、
本作では「ビヨン」と表記されていましたので、レビューはそれに合わせます。
テニスの聖地ウィンブルドン。
1980年の大会で5連覇を目指すのは、世界ランキング1位のビヨン・ボルグ。
そのプレースタイルを「氷の男」と評されるほど冷静沈着なボルグだが、
5連覇という前人未踏の歴史的記録がかかる大会だけに、ナーバスに。
長年にわたって彼を支えてきたコーチ、レナート・ベルゲリンや、
婚約者のマリアナに対してもイライラを抑えられず、感情を爆発させる。
そんなボルグに相対するのは「悪童」と呼ばれるジョン・マッケンロー。
傍若無人にふるまい、審判に悪態をつくこともしょっちゅう。
コートの嫌われ者で、観客からもブーイングを浴びようとも気にしない。
ボルグがプレッシャーを感じて苦戦しながら勝ち上がるが、
マッケンローは着実に勝利をものにしてゆく。
そしていよいよ決勝、ふたりが対戦する日を迎えるのだが……。
ボルグ役にスヴェリル・グドナソン、マッケンロー役にシャイア・ラブーフ。
なかなか本人に近づけているとは思いますが、スヴェリル・グドナソンはイイ男すぎ。
実物はここまで色気のある人ではないでしょう(笑)。
ベルゲリン役にはもう引く手あまたのステラン・スカルスガルド。
『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』で見たかと思えば今度はこんなコーチ役で。
マフィア役でも何でもできちゃう顔つきですよね、この人。
ついでに、ボルグの少年時代を演じているのは、ボルグの実の息子だそうで。
当日の試合の再現が面白かったのは言うまでもありませんが、
少年時代のふたりのことを興味深く観ました。
ボルグは優等生、マッケンローは不良のようなイメージがあったのに、
実のところは子どもの頃のボルグは問題児。
テニスの才能はあるのに、コートですぐにキレて厄介者扱い。
それがここまで感情を抑えられる選手になるなんて。
一方のマッケンローは、名士の父親を持つ、賢いお坊ちゃま。
のちにふたりが親友になったという逸話からも、
お互いのことが手に取るようにわかったのかもしれません。
どれだけの多くの観衆に囲まれて声援やブーイングをおくられても、
決勝を戦うときの気持ちがわかるのは、そこに立ったことのある選手だけ。
ふたりの表情にその思いがにじみ出ていて、観ていて感極まりそうになりました。
26歳で早くも引退したボルグがビジネスに失敗しただとか、
後日談を知るとちょっと悲しいかな。
映画を観るだけにしておいたほうがよかったかも。
ところで、大坂なおみちゃん、おめでとう!
今朝また表彰式スピーチを見て泣きました。
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