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『ヤクザと家族 The Family』

『ヤクザと家族 The Family』
監督:藤井道人
出演:綾野剛,舘ひろし,尾野真千子,北村有起哉,市原隼人,磯村勇斗,菅田俊,
   康すおん,二ノ宮隆太郎,駿河太郎,岩松了,豊原功補,寺島しのぶ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴの2本目。
 
出演オファーされた女優がことごとく「遠慮」して話題となった『新聞記者』(2019)。
その藤井道人監督が今度は綾野剛を主演に迎えてヤクザの世界を描きます。
 
時は1999年。
ヤクザでシャブ中の父親を亡くした青年・山本賢治(綾野剛)は、
彼を慕う細野竜太(市原隼人)、大原幸平(二ノ宮隆太郎)とつるみ、
投げやりな毎日を送っている。
 
ある日、昔なじみの女将・木村愛子(寺島しのぶ)が切り盛りする食堂で、
柴咲組組長・柴咲博(舘ひろし)と偶然居合わせる。
そこへ飛び込んできたチンピラが柴咲を殺そうと突進。
間一髪のところで山本がチンピラを叩きのめし、柴咲は命を救われる。
 
「別にあんたを助けようとしたわけじゃない。
うるせぇんだよ、おめえら」と言い残して立ち去る山本だったが、
義理人情に厚い昔気質の柴咲は、後日山本を探し出して呼び寄せ、
身寄りのない山本と父子の契りを結ぶ。
 
こうしてヤクザの世界に足を踏み入れた山本は、
生まれて初めて自分の居場所を見つけ、柴咲組の「家族」として生きてゆく。
 
その道に詳しくないので(笑)、何年と言われてもわかりませんが、
1999年から2019年までの間にヤクザを取り巻く世界は大きく変わったようです。
 
敵対する組の若頭を殺した罪を被り、14年間服役した山本。
出てきてみれば、ヤクザはケータイを買うことも許されない。
驚いたのは、車が全然ちがうこと。
シャバに出てきたらお迎えの車はプリウスだったって、
笑っちゃいけないのかもしれないけれど、ヤクザにプリウス、ちゃうやろ。
 
義理と人情を重んじる、シャブには絶対に手を出さない。
そう決めていたヤクザだって、金がなけりゃどうしようもない。
そんな窮状を見せる柴咲組若頭役の北村有起哉が○。
 
家庭を持って、ヤクザではない家族のために稼ごうとしても、
なんでもかんでもすぐにネットに晒されてしまうこの時代では、
簡単に自分の過去が暴かれて、家族まで世間の非難の対象に。
 
ヤクザの肩を持つわけではありません。
でも、生きづらいのはヤクザも同じなのかなぁと思ったりも。
 
ラスト、山本の娘(小宮山莉渚)と食堂の女将の息子(磯村勇斗)のシーンに泣きました。

—–

『名も無き世界のエンドロール』

『名も無き世界のエンドロール』
監督:佐藤祐市
出演:岩田剛典,新田真剣佑,山田杏奈,中村アン,石丸謙二郎,大友康平,柄本明他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴの1本目。
 
原作は行成薫の第25回小説すばる新人賞受賞作なのだそうです。
新人賞と聞いてつい若い作家を想像しましたが、1979年生まれとのこと。
40過ぎてるのかと思ったら、受賞は2012年。じゅうぶん若いときですね。
好きな作家として藤沢周平と伊坂幸太郎を挙げていらっしゃいます。
私の父が大好きなんです、藤沢周平。
 
と、何の関係もない話はさておき。
 
複雑な家庭環境で育ったキダ(岩田剛典)とマコト(新田真剣佑)、
ヨッチ(山田杏奈)の3人は幼なじみで、小・中・高校とずっと一緒。
 
卒業後、キダとマコトが勤める自動車修理工場に、
高級スポーツカーをぶつけたというモデルのリサ(中村アン)が現れる。
彼女は巨大な力を持つ政治家(石丸謙二郎)の娘。
どうすればリサとつきあえるようになるだろうかとキダに問いかけたのち、
マコトはある日突然姿を消す。
 
それから時が経ち、マコトの居場所を探すも見つけられないまま。
閉鎖に追い込まれた自動車修理工場の社長・宮澤(大友康平)は、
キダにある東京の会社を紹介。
そこならマコトの行方も突き止められるだろうと。
 
紹介された会社の社長・川畑(柄本明)に面会すると、
あれほど探しても見つけられなかったマコトの情報を即座に渡される。
金のないキダは、支払いの代わりに川畑のもとで働くことに。
 
マコトに会いに行くと、彼はリサと交際すべく着々と計画を進行中。
キダもその計画に手を貸す約束をするのだが……。
 
どこから書いてもネタバレになりそうで。
中村アン演じるリサがめちゃくちゃ高飛車で嫌な女なので、
この復讐劇はスカッとします(笑)。全然気の毒じゃない。
 
こういった事件の揉み消しって、権力者には本当にありがちなことなのか。
まったく嫌な話です。
「ラスト20分の真実」は煽りすぎの感がなきにしもあらずだけれど、
人気俳優が出演していることがウリの作品の中では面白かった。
 
ところで4千万円どうやって貯めたのか教えてくれんのかいっ!

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『哀愁しんでれら』

『哀愁しんでれら』
監督:渡部亮平
出演:土屋太鳳,田中圭,COCO,山田杏奈,ティーチャ,安藤輪子,
   金澤美穂,中村靖日,正名僕蔵,銀粉蝶,石橋凌他
 
TOHOシネマズくずはモールで『花束みたいな恋をした』を観た後、
ひとりランチで酔っぱらい、もう一度TOHOシネマズへ戻って本作を鑑賞。
飲みすぎたせいで途中ちょっとだけ寝ました。(^^;
でも終盤は怖すぎて寝ていることができませんでした。
 
これもオリジナル脚本。
“TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016”のグランプリ受賞作で、
渡部亮平監督の記念すべき商業映画デビュー作なのだそうです。
ブラックコメディだと思っていたら、思いっきりサスペンスでしたがな。
 
小春(土屋太鳳)には幼い頃に母親に捨てられた過去がある。
辛い思いを抱えながらも児童相談所に勤務し、
育児放棄虐待が疑われる親を見ると激怒せずにはいられない。
そんな毎日ではあるが、わりと平穏な実家暮らし。
 
ところがある夜、突然不幸に見舞われて、一晩ですべてを失う。
呆然とするしかない小春だったが、開業医の大悟(田中圭)と出会い、
彼からすぐさまプロポーズされてびっくり。
 
大悟は妻と死別し、8歳の娘ヒカリ(COCO)を男手ひとつで育てていた。
自分がいきなりヒカリの母親になれるものだろうかと迷う小春だったが、
プロポーズを受け入れ、大悟を支えることに。
大悟の住まいは絶句するほどの豪邸で、友人たちから玉の輿だと羨ましがられるのだが……。
 
金持ちでイケメンで優しい夫と巡り逢えたと思ったのに、どこかおかしい。
可愛いはずのヒカリが本当にいい子なのかどうかもわからなくなります。
さらに恐ろしいのは、この父娘をおかしいと思っていた小春が、父娘と同化してしまうこと。
洗脳されたわけでもないのに、どんどん大悟と同じ思考に染まっていきます。
 
寝てしまったのは、小春と大悟が出会う場面。
だからどうやって出会ったのかわかりません(笑)。
眠りから覚めたら大悟と小春が結婚していました。(^^;
 
ラストはもう怖くて怖くて。
母親に捨てられた経験を持つ小春が、ヒカリを同じ目に遭わせてはいけないと思うあまり、
違和感を自分の裡に押さえ込んでしまう様子がなんとも言えない。
 
いつも思うことですが、こういう悪魔のような子どもを演じた子役って、
トラウマになったりしないんですか。
演技が上手すぎて寒イボ出そうになりました。
非常に面白い脚本ですけど、怖すぎる。

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『花束みたいな恋をした』

『花束みたいな恋をした』
監督:土井裕泰
出演:有村架純,菅田将暉,清原果耶,細田佳央太,
   オダギリジョー,戸田恵子,岩松了,小林薫他
 
枚方だとか寝屋川だとかの京阪沿線には土地勘がなく、
出かけるとなるとほとんど小旅行するような気持ちになります。
しかし、お世話になっていたレストランのスタッフのおにいさんが、
このたび東京の店舗へ異動されることになり、
その前にお会いする最後のチャンスがこの日だから、
片道1時間半以上かけて樟葉へおじゃましようと決めました。
 
どうせなら映画も観たいやん。
樟葉にはちょうどTOHOシネマズくずはモールもあることですし。
このシネコンで観るのはいつ以来かなと調べてみたら、
2年半、いや、ほとんど3年前でした。超ひさしぶり。
ほんとにまるで小旅行、ウキウキします。(^O^)
 
ひとりランチで昼酒を呑む前にまず1本、本作を。
公開週には一瞬『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入を抜いた模様。
菅田将暉有村架純の人気の表れか。
監督は土井裕泰『罪の声』の次の監督作がこれとは、結構ビックリ。
人気脚本家、坂元裕二のオリジナル脚本なのだそうです。
 
大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、
共に京王線の明大前駅で終電を逃す。
同じく乗り遅れた2人の男女と朝まで開いている店へ。
盛り上がるその男女とは別れ、帰途についた麦と絹は、
好きな本や映画などがことごとく同じであることに気づく。
 
恋に落ちたふたりはつきあい始め、卒業後はフリーターとなって同棲開始。
河を臨むアパートまで駅から徒歩30分、
毎日のように一緒に歩き、拾った猫にバロンと名付けて可愛がり、
このままずっと大好き同士でいるかと思われたが……。
 
生活するにはお金が必要。
そのためには仕事しなきゃとまずは絹が医療事務の資格を取って病院に就職。
イラストレーターで食べていくことを夢見ていた麦は挫折、
あちこちの会社を受けては落とされ、やっと営業職を掴み取ります。
けれども仕事で忙しくなった麦はイライラしっぱなし。
絹との会話も次第に減って、お互いにいつのまにか恋愛感情が消え失せる。
 
多少なりとも恋愛経験のある人なら、どこか身に覚えのある台詞やシーンがあるはず。
さして珍しくもない話だからこそ、共感を得るのでしょうね。
 
だけどこの映画、実はかなりマニアックです(笑)。
麦と絹の会話に出てくる作家の名前や映画の話がどれだけわかるか。
たぶん、わかればわかるほど面白い。
いきなり穂村弘の名前が挙がるし、今村夏子の名前なんて、どれだけ出てくることか。
ふたりが観に行こうとしていた映画がエドワード・ヤン監督の作品だったり。
そんなわけで、本や映画好きの人ならニタっと笑ってしまう作品だと思います。
 
あと、なんぼなんでも5年前の自分たちの状況に
ここまでそっくりの子たちを見かけることはないと思いますけどね。出来過ぎ(笑)。
これはあくまで映画の中だけで起こり得ること。
だから映画っていいのです。
 
さて、ランチタイムとなりました。こちらの店で酔っぱらう。

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『KCIA 南山の部長たち』

『KCIA 南山の部長たち』(英題:The Man Standing Next)
監督:ウ・ミンホ
出演:イ・ビョンホン,イ・ソンミン,クァク・ドウォン,イ・ヒジュン,キム・ソジン,
   ソ・ヒョヌ,パク・チイル,キム・ミンサン,ジェリー・レクター他
 
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの3本目。
 
原作はキム・チュンシク原作のノンフィクション小説。
1979年に起きた韓国のパク・チョンヒ大統領暗殺事件を描いた作品です。
『インサイダーズ/内部者たち』(2015)のウ・ミンホ監督が映画化、
主演はイ・ビョンホンと来たら絶対観るでしょ。
 
世界にはいったいいつの時代の話やねんと思うことがいろいろ。
 
大統領の直属の機関として絶大な権力を振るうKCIA(韓国中央情報部)。
そのトップだったパク・ヨンガク元部長(クァク・ドウォン)が亡命し、
腐敗した韓国大統領を告発する証言をアメリカの議会でおこなう。
 
これに激怒したパク大統領(イ・ソンミン)は、
現部長のキム・ギュピョン(イ・ビョンホン)に事態の収拾を命じる。
さっそく渡米し、ヨンガクに接触するキム部長だったが……。
 
この1本前に観た『羊飼いと風船』では申し訳なくも睡魔に襲われましたが、
本作は眠気に誘われる隙などまったくなし。
見ていたくなるイケメンのイ・ビョンホンではないけれど、
眼鏡をかけた堅物風であっても彼の演技には魅入られます。
 
パク大統領、パク元部長、キム現部長、そして嫌みこのうえない警護室長、
みんな革命に命を懸けた同志なのに、大統領はいつしか独裁に走り、
自分におべっかを使う警護室長を可愛がる。
デモ隊なんぞ戦車で轢き殺してしまえばいいという大統領の言葉を聞いたとき、
キム現部長は、このままでは革命の意味がなくなる、
大統領を殺すしか道はないと考えます。
 
後日談によれば、キム現部長による嫉妬心から起きた事件として彼は死刑に処されました。
実際にはどうだったのかはわかりませんが、
彼の心を推し量った本作は非常に面白い。
 
革命の意味がなくなると考えて大統領を殺した結果、
また独裁政権が始まってしまったとはなんたる皮肉。
こうして世界のいろいろを知るたびに、日本の平和を思う。

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