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『ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません!』

『ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません!』(原題:Blithe Spirit)
監督:エドワード・ホール
出演:ダン・スティーヴンス,レスリー・マン,アイラ・フィッシャー,ジュディ・デンチ,
   エミリア・フォックス,ジュリアン・リンド=タット,エイミー=フィオン・エドワーズ他
 
大阪ステーションシティシネマにて。
 
原作はイギリスの作家ノエル・カワードが1941年に発表した戯曲『陽気な幽霊』。
1945年にもデヴィッド・リーン監督が映画化しています。
デヴィッド・リーンといえば『アラビアのロレンス』(1962)や『ドクトル・ジバゴ』(1965)の監督。
彼がまだ駆け出しだった頃の本作をTV版『ダウントン・アビー』のエドワード・ホールがリメイク。
 
ベストセラー作家のチャールズは目下スランプ中。
大物プロデューサーを父親に持つ妻のルースに発破をかけられるが、
何を書いていいのやらまったく思いつかない。
 
そんなある日、夫婦で霊媒師マダム・アカルティのステージを見に行き、
そのイカサマぶりにこっそり大笑いしていたところ、
不備が生じてマダム・アカルティは大勢の観客の前で醜態を晒す。
客たちの怒号が飛ぶなか、興行主は慌てて後始末に走り出す。
 
これこそが執筆のネタになると考えたチャールズは、
マダム・アカルティの控え室へ立ち寄り、
我々の自邸で降霊会を催してほしいと依頼する。
 
さっそく意気揚々とやってきたマダム・アカルティ。
チャールズとルース、それに友人夫妻のジョージとヴァイオレットも同席。
芝居がかったマダム・アカルティの言動に4人とも笑いを抑えられない。
霊など降りてくるはずもなく辞去したマダム・アカルティだったが、
翌日、チャールズの目の前に亡くなったはずの前妻エルヴィラが現れて……。
 
批評家の評価は芳しくないようですが、普通には面白いです。
 
チャールズを演じるのはダン・スティーヴンス
この人を初めて見た作品は何だったか、イケメンだなと思ったのですが、
その次に見た『ザ・ゲスト』(2014)のシリアルキラーぶりが怖すぎた。
その後なんとなくイケメン度が下がったと思っていたら、
こんなコメディまでこなすのですね。なかなか面白い役者です。
 
故人である妻エルヴィラと現在の妻ルースの板挟みになったチャールズ。
ちゃらんぽらんな男ならいい気味だけど、浮気したわけでもなんでもない。
ただ、チャールズの人気著作を書いていたのはエルヴィラで、
しかしチャールズに世間を騙すつもりはなかったし、
エルヴィラも自分が書いたのに夫の手柄になって悔しいなどとも思っていません。
この辺りの描写は、女が作家になっても売れないと言われていた時代の反映かなと思います。
 
降霊会で呼ばれて戻ってきてみたら、夫は別の女と結婚していた。
ショックを受けるエルヴィラは最初こそ気の毒ですが、
途中からは嫉妬に狂う醜い女と化し、やることなすこと全部ひどい。
たとえ嫉妬の向かう先が高飛車な女ルースであっても可哀想。
 
マダム・アカルティ役のジュディ・デンチはさすが。
彼女もイカサマ霊媒師などではない、実に真面目な霊媒師。
亡き夫に逢いたい一心であれやこれやと試しています。
それがやっと実ったのに、降りてきたのは他人の妻で、しかも送り返し方がわからない。
 
ちょっと悪趣味に過ぎる感があります。
しかも最後はチャールズひとりがすべての不幸をかぶる形で。
これまた「女は怖いよ」というひと言に尽きそうで、
もう少しどこか幸せなオチのほうがよかったかな。

—–

『マスカレード・ナイト』

『マスカレード・ナイト』
監督:鈴木雅之
出演:木村拓哉,長澤まさみ,小日向文世,梶原善,泉澤祐希,東根作寿英,石川恋,
   石黒賢,沢村一樹,勝村政信,木村佳乃,凰稀かなめ,麻生久美子,高岡早紀,
   博多華丸,鶴見辰吾,篠井英介,石橋凌,渡部篤郎他
 
封切り日に109シネマズ箕面にて。
 
『マスカレード・ホテル』(2018)の続編ってこんな話だったっけと鑑賞中に思っていたら、
東野圭吾の原作のシリーズ第2弾は『マスカレード・イブ』で、それは映画化されていなかったのですね。
そしてこの第3弾は未読でした。買ってもおらん。今さらだけど読まなくちゃ。
 
ある殺人事件の目撃者だという人物から、捜査本部に匿名の密告状が届く。
犯人は、大晦日にホテル・コルテシア東京で開かれるカウントダウンパーティに参加するはずだと。
 
当日、潜入捜査を命じられた警視庁捜査一課の刑事・新田浩介(木村拓哉)は、
ホテルのフロントクラークの職に就くことに。
コンビを組むのはコンシェルジュ・山岸尚美(長澤まさみ)。
 
“マスカレード・ナイト”と呼ばれるそのカウントダウンパーティーは、
参加者が500人と見込まれるうえに、全員が仮面で仮装する。
密告状から察するに、犯人はパーティーでまた殺人を犯す可能性がある。
決して被害者を出すことのないよう、新田ら警察組と山岸らホテル組は
協力体制を敷いて捜査に臨まねばならないのだが……。
 
前作同様、これだけのキャストですから、それを見るだけでも楽しい。
序盤に登場する訳ありっぽい“おひとり様”に田中みな実。
続いてやってくる“夫も一緒だと嘘をつくおひとり様”に麻生久美子
勝村政信木村佳乃は夫婦で、夫の愛人=妻の友人は高岡早紀
無理難題を押しつけてくる偉そうな男性客に沢村一樹
彼がプロポーズをしようと目論んでいる相手女性に凰稀かなめ。
この人は元宝塚歌劇団の宙組トップスターなのだそうで。なるほどそれっぽい。
 
東野圭吾の著作に関しては、重めの話のほうが好みです。
でも、湿っぽくなるそういう話よりも、映画化するならこんな派手なやつのほうが、
いかにも娯楽作品という感じがして楽しめるかな。
 
個人的には、最初のタンゴのシーンには引き気味。
ま、タンゴがあってこそ犯人に辿りつけるわけですから、必要なのでしょうけれど。
真犯人の動機や目的もあんまり好みではありません。
殺人の動機に好みも何もあったもんじゃないか(笑)。
熱演は認めますが、その格好も何もかも、ちょっと無理矢理感があります。
 
石橋凌とか渡部篤郎とか、おじさんたちがあまり動き回ることなくデンとかまえて
偉そうに演技しているのは安心できます。
 
コロナ禍、気分だけでもホテルに行った気になれるのはいいかもしれませんが、
大晦日の話をするにはちょっと早いような気もしませんか。
冬休み公開のほうが雰囲気は味わえたなぁ。

—–

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

 『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
監督:堀江貴大

出演:黒木華,柄本佑,金子大地,奈緒,風吹ジュン他
 
“TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2018”で準グランプリを受賞した作品。
この賞って、完成した映画で応募するのではなく、企画で応募するものなんですね。
で、何らかの賞を獲得した企画が映画化される。
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』は爆睡した覚えがありますが(すみません)、
それ以外はどれも面白かった。そして本作もアタリでした。
 
イオンシネマ茨木にて。
 
売れっ子漫画家の早川佐和子(黒木華)は連載の最終回を描き上げたところ。
さっそく次の連載について相談したいという編集担当者の桜田千佳(奈緒)に
検討することを約束して、彼女を送って行くよう、夫の俊夫(柄本佑)に促す。
 
その直後、佐和子の母親である下條真由美(風吹ジュン)が事故に遭ったとの報せ。
幸い怪我はたいしたことがなかったが、脚の骨にひびが入っているらしく、
車でなければ移動できないような田舎に住んでいるのに、運転できない状態に。
漫画ならどこででも描けるからということで、佐和子と俊夫は実家へ。
真由美が快復するまで同居を申し出る。
 
運転免許を持っていない佐和子は、この機会に実家近くの教習所へ。
自身も漫画家でありながらもう4年何も描けず、
今は佐和子のアシスタントを務めている俊夫が佐和子を教習所へ送迎。
 
ある日、佐和子の留守中に描きかけのネームをこっそり見た俊夫は愕然。
その内容は、夫と編集担当者の不倫を知った主人公の女性漫画家が教習所に通いはじめ、
復讐のために若い男性教官と浮気するという内容で……。
 
不倫がバレていないと思っていた夫が、妻は何もかもお見通しだったと知るときの表情。
最近シリアスな役が多かった柄本佑ですが、この彼はめちゃくちゃ可笑しい。
何度ふきだしたことかわかりません。全然タイプじゃないけど、絶品。
 
イケメン教官には金子大地。このところ、映画を観れば彼に当たる。
 いつもわりと自信なさげな役で、本作もそう。そこがいい。
 
はたして妻の描く漫画はどこまでが真実なのか。
途中、『マリッジ・ストーリー』(2019)みたいな終着点を想像しましたが、
あんな切なく美しいラストは待っていませんでした(笑)。
佐和子にしろ、浮気がバレていると知ってもまったく動じない千佳にしろ、
やっぱり「女って怖ぇな」と言わざるを得ません。
 
あ~、面白かった!

—–

『スパイラル:ソウ オールリセット』

『スパイラル:ソウ オールリセット』(原題:Spiral: From the Book of Saw)
監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:クリス・ロック,マックス・ミンゲラ,マリソル・ニコルズ,サミュエル・L・ジャクソン,
   ダン・ペトロニエヴィッチ,リチャード・ゼッピーリ,パトリック・マクマナス他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
“ソウ”シリーズの第1弾が公開されたのは2004年のことでした。
低予算で作られたにもかかわらず、世界的に大ヒット。
監督のジェームズ・ワン、脚本と主演を務めたリー・ワネル共に瞬く間にビッグネームに。
その後、さまざまな監督がシリーズを手がけましたが、彼らほど大物になった人はいませんねぇ。
 
ジグソウが死んだというのにいつまで続けるつもりやねんと思うのですけれど、
このシリーズは永遠に誰かが続けることになりそうです(笑)。
本作は、シリーズのファンを公言する俳優クリス・ロックが主演を務める第9弾。
ジェームズ・ワンやリー・ワネルもプロデューサーとして名を連ねています。
監督は2作目から4作目までと同じ、ダーレン・リン・バウズマン。
 
地下鉄のトンネル内で猟奇殺人事件が発生。
被害者はホームレスかと思われたが、非番のボスウィック刑事だった。
 
捜査の指揮を執ることになったのは、ジークことバンクス刑事。
ジークの父親は同署の元署長で、皆の尊敬を集める人物だが、
同僚の汚職を告発したジークは署内で四面楚歌。
誰に対しても疑心暗鬼になっているジークに、
現署長のアンジーは、新人刑事のシェンクと組むように命じる。
 
ボスウィックとは親しかったジークは、シェンクの調べにより、
ボスウィックが実は法廷で何度も偽証していたことを知る。
ゆえに、ボスウィックの遺体は舌を引き抜かれていたのだ。
 
その後も連続して事件が起こる。
無実の人間を銃殺した刑事は指を切断されるというように、
清廉潔白なジークの周囲にいる同僚たちが狙われているらしく……。
 
犯人は早いうちに想像がつきます。だって、こいつしかおらんやろ~。
 
このシリーズに何を期待するわけでもなし。
『セブン』(1995)のように、己の罪で裁かれ殺されてゆく人々。
孤立無援のジークが気の毒で、彼にイケズをした奴は皆殺されてしまえ!と痛快だったりも。
ただ、私はクリス・ロックの声があまり得意ではなくて、
コメディならまだしも、こういうシリアスな作品であの声だとかなり違和感があります。
 
グロいです。
グッチャグチャになる過程を見せられるのはつらくて、直視できなかったシーンがいっぱい。
画面は観ていないにもかかわらず、音だけで想像できてしまうところが困ります(笑)。
 
まだまだ続くのではないかと思われます。
もうええわと思いながらも観に行ってしまうんだろうなぁ(笑)。
直視できないくせして。(^^;

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『ムーンライト・シャドウ』

『ムーンライト・シャドウ』
監督:エドモンド・ヨウ
出演:小松菜奈,宮沢氷魚,佐藤緋美,中原ナナ,吉倉あおい,中野誠也,臼田あさ美他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
平日の終業後に伊丹まで行くのすら遠く感じる今日この頃ですが、がんばって行ってみた。
最近頭の中で高田みづえの曲“パープル・シャドウ”がよく流れるのはなんでかと考えたら、
本作を観ようとしていたせいですね(笑)。
 
原作は吉本ばななの連作短編集『キッチン』の中の1編。
吉本ばななが大学の卒業制作の作品として発表したものなのだそうです。
監督は原作のファンだというマレーシア出身のエドモンド・ヨウ。
 
さつき(小松菜奈)が落とした鈴を拾った等(宮沢氷魚)。
それが縁でつきあいはじめるふたり。
 
等の弟・柊(佐藤緋美)は、初対面の人を自分の料理でもてなすのが流儀。
食べるところを一目見れば、その人のことがほぼわかるのだと言う。
等と柊が暮らす家を訪れたさつきは、柊の恋人・ゆみこ(中原ナナ)とも意気投合。
いついつまでも4人で楽しい時を過ごせると思っていた。
それなのに、ある日突然、等とゆみこが事故に遭って亡くなってしまう。
 
哀しみに暮れるふたりは、やがて不思議な女性・麗(臼田あさ美)と出会う。
ゆみこがよく話していた「月影現象」について、
麗なら知っているのではないかと、ふたりは考えるのだが……。
 
大切な人を喪ったふたりが、それぞれのやり方で気持ちの整理をつけようとします。
柊はゆみこのセーラー服を着続ける。
さつきは走って走って、息の仕方を思い出そうとする。
どちらも人の心配なんてできそうにもない状態なのに、
柊はさつきが何も食べていないことが気がかり。
ちっとも空腹を感じずにいたさつきが、心の裡を言葉にしてみたとき、
「お腹が空いた」といきなり言うシーンが好きでした。
状況はまるで違いますが、『浜の朝日の嘘つきどもと』の茉莉子先生の最後の言葉、
「やっときゃよかった」を聞いたときと同じ気持ち。
 
月影現象とは、満月の夜の終わりに、死者にもう一度会えるという現象。
麗がその案内人のようだけど、この世の人ではない雰囲気も漂っていて、
いでたちと言い、表情と言い、こんなに不気味な臼田あさ美は見たことがない(笑)。
発熱で苦しむさつきの部屋の隅にぬぼっと麗が現れたときは、
これはオカルト映画かいなと思ったほどです。マジで怖かった。
 
そんなふうにオカルトちっくなファンタジーの場面があり、
会話にも哲学的なところが多分にあるため、ちょっと乗りにくい。
人の死と向き合うのが大切だということはじんわり感じられます。
 
ところで、柊役の佐藤緋美って、浅野忠信とCHARAの息子なんですね。
今後どんな作品を選ぶのか、興味が湧いています。
食事するところを見ればその人となりがわかるというわりには、
彼のお箸の持ち方は握り箸でひどい。これも演技なのかしらん。

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