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『ヴィクラム』

『ヴィクラム』(原題:Vikram)
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:カマル・ハーサン,ヴィジャイ・セードゥパティ,ファハド・ファーシル,ナレーン,
   カリダス・ジャヤラム,チェンバン・ヴィノード・ジョーズ,アルジュン・ダース他
声の出演:カールティ
 
の命日、京都へお墓参りに行く前に109シネマズ大阪エキスポシティにて1本。
 
カマル・ハーサンタミル語映画界のスーパースターなのだそうです。
っちゅうても今年71歳になるお爺ちゃんなんですけどね。
彼とやはりスーパースターのヴィジャイ・セードゥパティの共演ということで、
オープニングクレジットには「世界のヒーロー カマル・ハーサン」とか、
「民衆の宝 ヴィジャイ・セードゥパティ」とかって出るんです。なんだかこっぱずかしい(笑)。
 
本作は2022年の作品で、世界ではすでに大ヒットを記録したのだそうな。
『マスター 先生が来る!』(2021)のローケーシュ・カナガラージ監督による、
『囚人ディリ』(2019)に続く「ローケーシュシネマティックユニバース(ロキバース)」の第2弾って意味不明と思っていたけれど、
『ラストマイル』(2024)のような「シェアードユニバース」と思えばよいのでしょうかね。
 
チェンナイで覆面をした謎の集団による連続殺人事件が起きる。
犯人を特定するように命じられたのは政府直属の秘密組織の工作員アマル。
アマルは信頼の置ける精鋭部隊を結成して捜査を開始する。
 
殺人事件の被害者は政府の関係者ばかりなのに、唯一カルナンという男だけが一般市民。
そこに疑問を抱いたアマルは、カルナンについてより詳細な情報を求める。
カルナンはそれ以前に殺された麻薬取締官プラバンジャンの家で暮らしていたらしく、
妻はプラバンジャンから自分の父親だと聞かされていたが信じていなかった。
 
プラバンジャンの死後、カルナンは酒に溺れて厄介の種。
ただ、音に敏感ですぐに泣く孫はカルナンの腕の中にいるときだけはニコニコと笑っていたそうだ。
さまざまな人から話を聴くにつけ、カルナンが善人なのか悪人なのかアマルはわからなくなり……。
 
以下、ネタバレです。
 
実はカルナンの正体はその昔、政府が任命した初代工作員のリーダー“ヴィクラム”でした。
政府は表沙汰にできない仕事をそういった工作員に片付けさせておいて、用済みになるとまとめて消そうとするわけで。
おおっ、これは『サンダーボルツ*』と同じだ。
 
消したはずの工作員がまだ生きていると知られてはいけないから、名前を変えて生きていたヴィクラム。
かつて共に活動した工作員メンバーたちの絆は深く、今もひそかに繋がっています。
そして、息子を殺されたヴィクラムはメンバーを集結し、この世から麻薬を殲滅しようとします。
 
「民衆の宝」であるヴィジャイ・セードゥパティは麻薬王サンダナムの役。悪役ぶりがいつにも増して凄い。
もうちょっと締まった体の人のほうが見ていて嬉しいけど、悪いオッサンはこんなんでええか(笑)。
 
最初はワケのわからなかった話も、なんだかんだでわかりやすく落ち着いて面白い。
アマルの恋人ガーヤトリが首を切られて死んだのはショック。いい子なのに、殺さないでよ(泣)。
 
インド作品ってどれも1作で終わってくれないのがツライ。
『SALAAR/サラール』『ハヌ・マン』『カルキ 2898-AD』も続編を待っているんですけど!

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『犬の裁判』

『犬の裁判』(原題:Le proces du chien)
監督:レティシア・ドッシュ
出演:レティシア・ドッシュ,フランソワ・ダミアン,ジャン=パスカル・ザディ,アンヌ・ドルヴァル,
   マチュー・ドゥミ,アナベラ・モレイラ,ピエール・ドゥラドンシャン他
 
イオンシネマ茨木で観たスイス/フランス作品。
フランスで実際にあった裁判を基に、女優のレティシア・ドッシュが監督と脚本と主演を務めています。
 
弁護士のアヴリルは自他共に認める「負け筋」の弁護士。
現行犯で捕まった人など負けるに決まっているから弁護を引き受けなければいいのに、
どんな人にも犯罪に絡んだ事情があるだろうからと引き受けては負ける。
弁護士事務所の上司から「負けすぎだ」と言われてクビ寸前。
次は絶対に勝てそうな依頼しか引き受けないと誓う。
 
ところがそんなアヴリルのもとへやってきたのは、人を噛んで殺処分になりそうな犬の飼い主。
視覚障害者のダリウシュはコスモスという盲導犬ではない犬を飼っている。
ダリウシュが部屋を貸していたポルトガル移民女性ロレーネの顔に噛みついて怪我を負わせた。
コスモスは過去にも2度、人に噛み付いたことがあり、3度目の今、殺処分が確定なのだ。
 
コスモスが殺されるなんてダリウシュには耐えられないこと。
どうにかして殺処分を免れるよう、アヴリルに法廷で闘ってほしいのだと。
負けるとしか思えない裁判だが、アヴリルは引き受けてしまい……。
 
3度噛みついた犬は殺されるという決まりがあるそうです。
負ければクビ決定のアヴリルはなんとか勝つ道を見出そうとしますが、とても難しい。
とりあえず、犬としてではなく人としてコスモスを裁いてほしいと訴えます。
 
ダリウシュがいい人ならまだしも、前科者で態度も悪い。
この飼い主にしてこの犬と見られる部分もあって前途多難。
それでも、コスモスは人に噛みついたなんて信じられないほど賢く可愛げのある犬で、
アヴリルは犬の立場になって考えようとします。
 
本筋の「犬の裁判」の話に加えて、アヴリルの隣の部屋に住むヨアキムの話からも目が離せません。
ヨアキムもとても賢い少年だけど、どうも親から虐待を受けているらしい。
ベランダ越しのアヴリルとヨアキムの会話、ついに逃げ出してきたヨアキムの様子に惹かれます。
 
きっと裁判に勝って万々歳のオチを想像していたから凹む。
そう上手くは行かないものなのですね。
でも、この裁判で人生を考えるきっかけになった人はアヴリル以外にもいるはず。

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『無名の人生』

『無名の人生』
監督:鈴木竜也
声の出演:ACE COOL,田中偉登、宇野祥平,猫背椿,鄭玲美,鎌滝恵利,西野諒太郎,中島歩,毎熊克哉,大橋未歩,津田寛治他
 
大阪ステーションシティで朝8時過ぎから映画を2本観た後、北新地昼呑みして酔っぱらう。
またしても「飲んだら観るな、観るなら飲むな」の掟を破ってしまい、酔っぱらった状態で十三の第七藝術劇場へ。
だって本作のことがどうしても気になっていて、この機会を逃せないと思ったから。
 
鈴木竜也監督は、個人制作で手がけた短編アニメーション作品が各地の映画祭で評判となって注目を浴びた人。
そこで再び個人制作で自身初の長編アニメに挑戦したのだそうです。独学というのだから凄い。
話題の監督らしくて、満員とは行かずとも相当な大入りでした。
 
仙台の団地に暮らす少年。いじめられっ子で孤独な毎日を送っていたのに、ある転校生と出会って人生が変わる。
父親と同じアイドルを夢見るようになった彼が成り上がるまでの過程。
源氏名だったり蔑称だったり、さまざまな名前で呼ばれるけれど、一度も本名で呼ばれたことはないまま生涯を終える。
 
そんな物語はとても面白そうだし、絵も好きだったんですが、なにぶん酒が入っていると話にのめり込むのが難しい。
声優陣も実に魅力的なのに、惜しいことをしました。だから、飲むなって。(^^;
 
上映終了して帰るとき、エレベーターで一緒になった人たちが「だいぶ変わった映画やったな」と話していました。
もしかして素面で観てもややこしくて寝たんちゃうんかいな私、と思う。
機会をつくってもう一度観たい。

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『か「」く「」し「」ご「」と「』

『か「」く「」し「」ご「」と「』
監督:中川駿
出演:奥平大兼,出口夏希,佐野晶哉,菊池日菜子,早瀬憩,ヒコロヒー他
 
大阪ステーションシティシネマにて、前述の『秋が来るとき』の次に。
 
『君の膵臓をたべたい』(2017)の住野よるによる同名小説を『少女は卒業しない』(2022)の中川駿監督が映画化。
予告編を観るかぎりでは特殊能力を持つのは男子高校生ひとりだけに見えました。
そうですか、変わった能力を持つ高校生がほかにもいろいろいるのですね。
 
高校生の京(奥平大兼)は、人の気持ちが「!」や「……」などの記号として見える特殊な能力の持ち主。
しかし、その能力のせいで同級生たちの気持ちがわかったとしてもまさか打ち明けるわけにはいかず。
どう振る舞えばいいのかわからないから、毎日がもどかしい。親友のヅカ(佐野晶哉)にも秘密を話せないまま。
 
彼が気になっているのはクラスの人気者、ミッキー(出口夏希)のこと。
彼女に対するこの気持ちは恋なのか、それとも単なる憧れなのか。
あるとき、彼女がシャンプーを変え、それを京に気づいてほしがっていることに気づいてしまう。
女子に「シャンプーを変えたでしょ」だなんて言ってはいけないと思っていたが、
ミッキーから強い圧を受けてついそう言うと、意外な結果となり、以降、ミッキーと話すように。
 
これが縁で不登校だったエル(早瀬憩)も学校に来るようになり、
ミッキーの親友パラ(菊池日菜子)とも親しくなって、彼女たちやヅカと京は一緒に過ごすことが多くなり……。
 
大阪弁まったくなし、標準語でしゃべり続ける教師役のヒコロヒーが新しい(笑)。
 
京の特殊能力だけは予告編でわかっていましたが、パラは人の心拍数がわかる能力、
ヅカは人の頭の上に浮かぶハートにスペードにクローバーにダイヤのマークで人の気持ちがわかる能力があります。
ミッキーは人の気持ちがプラスとマイナスどちらに寄っているかが胸元に見えて、
矢印が見えるエルは、誰から誰に気持ちが向かっているかわかる。
 
こんなふうに「見える」能力の持ち主5人だけど、見えたものだけで判断しようとすると勘違いや誤解が生じます。
そもそも人の気持ちは見えても自分の気持ちはわかっていなかったりして。
 
結局のところ、言わなわからん。そんな結論に私はたどり着くのでした。

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『秋が来るとき』

『秋が来るとき』(原題:Quand vient l’automne)
監督:フランソワ・オゾン
出演:エレーヌ・ヴァンサン,ジョジアーヌ・バラスコ,リュディヴィーヌ・サニエ,ピエール・ロタン,
   ガルラン・エルロス,ソフィー・ギルマン,マリック・ジディ,ポール・ブールペール他
 
ここからやっと、6月に入ってから観た作品です。もう上映が終了している作品があるかも(泣)。
 
6月最初の日曜日、北新地でランチの前に大阪ステーションシティシネマで映画を2本。
朝8:20からの回を観るために、仕事に行くときよりも早起きして家を出ました。
 
1年に1本のペースで撮り続けるフランソワ・オゾン監督の最新作。
多作なのにどれも趣が違って面白く、だけどやっぱりオゾン監督だなぁと思わせられます。
そういえばこの人もゲイであることをカミングアウトしています。
ペドロ・アルモドバルルカ・グァダニーノ、そしてオゾンが私がすぐに思いつく「カミングアウトしている人」ですが、
オゾンは群を抜いて男前。優しそうで、毒を感じないイケオジです。というのはどうでもいいか。(^^;
 
フランス・ブルゴーニュの美しい田舎町でひとり暮らす老女ミシェル。
訳あって彼女を恨む娘ヴァレリーが孫のルカを連れて休暇を過ごすためにやって来ることになり、ミシェルは大喜び。
娘と孫に食事をふるまうため、森にキノコを採りに行く
 
食事後も相変わらず素っ気ないヴァレリーを残し、ルカと散歩に出るミシェル。
ところが、家に戻るとヴァレリーが救急搬送されるところだった。
ヴァレリーは食中毒を起こしたらしく、自ら電話したのちに失神した模様。原因はキノコ。
幸い命に別条はなかったが、怒ったヴァレリーはルカを連れてすぐにパリに帰り、以降完全にミシェルを無視。
 
一方、いつ何時もミシェルの心の支えとなっていた親友マリ=クロードは、
服役していた息子のヴァンサンが出所して喜ぶも、仕事が見つかりそうになくて心配している。
ミシェルは薪割りや庭掃除などをヴァンサンに頼むことにして日当を払う。
 
ミシェルとマリ=クロードの話を立ち聞きしたヴァンサンは、ヴァレリーを説得しようとこっそりパリへ。
仕事に来る約束だったのに来ないヴァンサンを心配していたミシェルのもとへ、ヴァレリーが死んだと警察から連絡が入り……。
 
良好な仲でなかったとはいえ、ヴァレリーという一人娘を亡くして悲しむミシェルですが、
離婚調停中だったヴァレリーの夫ロランはドバイに単身赴任中。
ルカがフランスを離れたくないと言ったものだから、ミシェルがルカを引き取ることになります。
 
ミシェルが食中毒になったのは、ヴァレリーがわざとキノコを使ったからではないのか。
ヴァレリーが死んだのは事故だったのか、それともヴァンサンに殺されたのか。
さまざまな疑問ははっきりとは解消されないまま最後に至ります。
 
どれもこれも、結局自分に都合の良いように人は解釈したがるし、そうしなきゃ生きるのは難しいとも思えます。
死を目前にしたマリ=クロードが「良かれと思ってしたことが裏目に出て」と言ったとき、
ミシェルは「良かれと思うことが大事」と答えます。独りよがりかもしれないけれど、それでいいのかもしれません。
 
ネタバレですが、ヴァレリーがミシェルを憎んでいたのは、ミシェルがかつて娼婦だったから。
娘を女手ひとつで育てるためにミシェルが選んだ道。
パリにアパートメントを所有するまでになった彼女は、そのアパートメントをヴァレリーに譲ってブルゴーニュの田舎に戻ったわけですが、
ヴァレリーは自分のためであっても母親のことを許さず、ブルゴーニュの家までとっとと自分に譲れと言います。
ルカの目の前でも夫婦喧嘩が絶えず、死んで自業自得とは言わないけれど、これがみんな円満におさまる道だったように映る。
 
ルカ役のガルラン・エルロスの美しさに目を惹かれました。どう育つのか楽しみ。

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