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『泣き虫しょったんの奇跡』

『泣き虫しょったんの奇跡』
監督:豊田利晃
出演:松田龍平,野田洋次郎,永山絢斗,染谷将太,渋川清彦,駒木根隆介,新井浩文,
   妻夫木聡,上白石萌音,松たか子,美保純,イッセー尾形,小林薫,國村隼他

なんばで4本ハシゴの3本目。
2本目と同じくTOHOシネマズなんばにて。

プロ棋士・瀬川晶司五段の実話を映画化。
『火花』(2017)の脚本を担当した豊田利晃監督ご自身も
17歳までプロ棋士を目指していたそうです。へ~っ。

小学5年生の“しょったん”こと瀬川晶司は、将棋が大好き。
中学生でプロになった谷川浩司棋士のニュースに触れ、自分もプロになりたいと考える。
作文にそのことを書くと担任の先生(松たか子)から褒められて、よりその気に。
晶司の父親(國村隼)と母親(美保純)は全面的に息子を応援。
父親が晶司と隣家の同じく将棋好きの鈴木悠野を将棋道場へ連れて行くと、
そこで鍛えられたふたりはめきめきと実力をつける。

晶司と悠野が一緒に出場した中学生将棋大会。
道場の席主・工藤一男(イッセー尾形)に連れられて出向くが、
よりによっていきなりふたりが対戦、晶司は悠野に負ける。
悠野は決勝まで勝ち進んだものの、優勝を逃す。
大会で優勝できなければ奨励会には入らないと宣言していた悠野はその通りに。
晶司のみが奨励会に入会する。

プロになるには、26歳までに4段に昇段しなければならない。
まだまだそれまで間のある晶司(松田龍平)がプロになるのは確実と思われたが、
いつのまにか年月が経ち、最後のチャンスも逃し、奨励会の退会を余儀なくされる。
小学生のときから将棋しかしてこなかった晶司は大学の二部に通い、なんとか就職。
サラリーマンの道を歩みはじめる。

そんな折り、悠野(野田洋次郎)が将棋を続けてアマ大会に出場していることを知る。
奨励会に入ってもプロになれず、将棋を憎むようになってしまう者も多いなか、
やはり将棋が好きだと感じた晶司は、会社勤めのかたわらアマ大会に出場するように。
そこでプロ相手に何度も勝利を収めてちょっとした話題に。
ある大会で対戦した相手・藤田守(小林薫)からプロになりたくないかと問われて動揺。
年齢制限の厳しいルールを守ってプロになった棋士ばかりなのに、
奨励会を退会してプロ入りを諦めた自分がルールを叩くなんて。

そう思いつつも、藤田の言葉に揺り動かされた晶司は、
35歳の自分にプロ編入試験を受けさせてもらえるよう、直訴するのだが……。

キャストが豪華です。監督の人望の厚さゆえでしょうか。
棋士仲間に永山絢斗染谷将太渋川清彦駒木根隆介
新井浩文早乙女太一妻夫木聡などなど。
染谷くんなんて、将棋の映画には必ず出演する人になっていますね(笑)。
晶司が勤める会社の上司に板尾創路
晶司にエールを送る通行人役で藤原竜也がカメオ出演。
兄役に大西信満、師匠役に渡辺哲なんて顔も見られます。
小学生の親役で國村隼って、歳いきすぎやろと思いましたが、
成人した晶司の父親役をそのまま演じればいいわけですから、
役者を交代したり老けメイクを施すよりこのほうが自然。

何事も、始めるのに遅すぎることはないと私は信じていますが、
将棋の世界はそうではなかったのですね。
26歳までに4段になれなければ、プロになることをあきらめなければならない。
旧態依然といってしまえばそれまでの将棋界を変えた人。

夢を抱く誰もがこんなふうにできるわけじゃありません。
子どもがいくつになろうが信じて好きにさせる親。
できた親だといえるけれど、できた親を持つ子どもが皆いい子だとも限らないのに、
良い先生にも恵まれ、良い就職先と上司や同僚に恵まれる。本人の人柄なのかなぁ。

好きなことを仕事にするのがいちばんだと言った晶司のお父さん。
好きなことを仕事にするのは考えものだと言う人もいます。
好きなことは趣味のままにしておくほうがいいと。
私はどちらも正しいような気がします。どうでしょう。
どっちだとしても、「大丈夫、きっとよい道が拓かれます」、
そう言ってくれる先生にいてほしい。

まぁ、好きなことを仕事にできるほど極める人のほうが少ないと思うから、
やっぱり「なんらかの興味はあって、嫌いではないこと」ぐらいを仕事にするのがちょうどええかなぁ。

ところで、悠野役の野田洋次郎がRADWIMPSのヴォーカル&ギターの人だということ、
鑑賞後に知った私を許してください。上手いやん!
—–

『累―かさね―』

『累―かさね―』
監督:佐藤祐市
出演:土屋太鳳,芳根京子,横山裕,筒井真理子,生田智子,檀れい,浅野忠信他

なんばで4本ハシゴの2本目。
なんばパークスシネマで1本目の『500ページの夢の束』を観てから
TOHOシネマズなんばへ移動しました。ここで3本観ます。

原作は松浦だるまの同名コミックとのこと。未読だけど、どんな絵か気になる。
佐藤祐市監督の作品はあまり好んで観た記憶がありません。
『キサラギ』(2007)は小栗くんがカッコイイのだとわかった記念すべき映画ですが、
『ストロベリーナイト』(2013)は竹内結子が脱がないラブシーンが嘘くさく(笑)。
TVシリーズを多く撮っていらっしゃるようですが、なんか暗い。
映像的にも凹みそうだなぁと思いつつ、とりあえず観てみる。

今は亡き大女優・淵透世(檀れい)の娘・累(芳根京子)。
母の血を引いたか、天才的な演技力に恵まれながら、
右頬に口元から醜く裂けたような傷を持っているために、
幼い頃からいじめられ、身を寄せる親戚一家からも疎まれてきた。

母の十三回忌の日に現れた男・羽生田釿互(浅野忠信)は、
累にある舞台のチケットを渡す。
それは美人女優・丹沢ニナ(土屋太鳳)が主演を務める芝居の舞台。
興味を抑えられずに観に行った累は、芝居に魅了されながらも、
ニナよりも自分の演技力のほうがずっと上であると内心思う。

芝居が終わると、羽生田は累とニナを引き合わせ、
スランプ中のニナに代わって累が舞台に立つ話を持ち出す。
こんな醜い顔の累に自分の代役などできるわけがないとニナが怒ると、
累は母から授けられた口紅を取り出し、ニナにキスをする。
すると、累とニナの容姿が入れ替わるではないか。

利害関係の一致したふたりは、契約を交わす。
一度のキスで入れ替わる時間はきっかり12時間。
ニナとなった累は、有名演出家・烏合零太(横山裕)のオーディションに合格。
その後の舞台でも烏合の期待通りの演技を見せる。
烏合に想いを寄せるニナは累に嫉妬するのだが……。

鑑賞後にちょっとネットで調べてみたら、
原作は母親の秘密がもっと詳しく書かれていて、その死には羽生田が関わっている様子。
映画版もたいがいドロドロしているのに、ほんとはもっとドロドロしているのですね。

暗すぎて気が滅入りますが、つまらないわけじゃない。
睡魔に襲われることもありませんでしたし(笑)。

土屋太鳳と芳根京子の演技もなかなか凄いです。
顔が入れ替わるだけでなくて人格まで変わるわけで、
一人二役しているのと同じこと。

凄いなぁとは思うけれど、どちらの性格も好きにはなれないから、
よかったという感想にはなりません。
ただ演技のぶつかり合いを見られたのは面白かったかな。
—–

『500ページの夢の束』

『500ページの夢の束』(原題:Please Stand By)
監督:ベン・リューイン
出演:ダコタ・ファニング,トニ・コレット,アリス・イヴ,リヴァー・アレクサンダー,
   マイケル・スタール=デヴィッド,ジェシカ・ロース,マーラ・ギブス他

なんばで4本ハシゴの1本目。なんばパークスシネマへ行きました。

どこへ行っちゃったんだろうと思っていたダコタ・ファニング
長編映画初出演だった『I am Sam アイ・アム・サム』(2001)でその演技を絶賛され、
『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』(2005)では
主演のロバート・デ・ニーロを食ったとまで言われ、
『宇宙戦争』(2005)ではトム・クルーズとも共演。
その後もコンスタントに映画に出つづけてはいたものの、
いまやすっかり4つ下の妹エル・ファニングのほうが売れっ子。
姉ダコタは『オーシャンズ8』にも出ていたのに、私は気づかず。
どこに出演していたのかと思い返してみたら、
アン・ハサウェイ演じるダフネが嫉妬するセレブのペネロペ役だったのですね。

しかし本作を観て、彼女に気づかなかったのも無理はないと思いました。
ダコタと安達祐実ってなんとなく似ていると思っていたものだから、
成長してもダコタは少女のままの面立ちだと信じ込んでいたのです。
そうしたら、ちゃんと大人になっていて。
すらりとした体型にサラサラの髪、顔もその姿とバランスがいい。
そして演技力もやはりそのまま持っています。

自閉症のウェンディは、既婚の姉オードリーと離れて施設で暮らしている。
毎日規則正しい生活を送れるよう、ソーシャルワーカーのスコッティの支援を受けて奮闘。
姉夫婦には生まれたばかりの娘ルビーがいて、叔母として会う日を夢見ているが、
いつ癇癪を起こすかわからない自分にはまだまだ会わせてもらえそうにない。

そんなウェンディが唯一誇れるのは、誰よりも“スター・トレック”に詳しいということ。
スコッティと決めた日々のスケジュールの中の自由時間を用い、
“スター・トレック”脚本コンテストに応募するため、執筆にいそしんでいる。

やっと脚本を書き上げたものの、郵送していては〆切に間に合わない。
パラマウント・ピクチャーズへ自分で直接持ち込むことを決意したウェンディは、
日の出を待ってこっそり施設を抜け出す。
勝手についてきた愛犬ピートは追い返そうとしても帰らない。
仕方なくピートを抱え、ロサンゼルス目指して出発するのだが……。

ふだんシナボンを売る店で働いているウェンディにとっては、店と施設の往復がすべて。
横断歩道の渡り方はわかっていても、横断してはいけないと言い渡されている通りがあります。
その通りを渡って踏み出すことから彼女の旅が始まるのです。

決死の覚悟で出発しても、戸惑うウェンディに親切な人ばかりではない。
バスを途中で降ろされ、有り金のほとんどとiPodを盗まれ、
立ち寄ったコンビニではぼったくられそうになる。
酷い人もいれば優しい人もいるけれど、基本、自分で切り拓く。
なんとか目的地まで行く方法を考えて、たどりつけたなら。

ウェンディ役にダコタ・ファニング。
スコッティ役にはトニ・コレット。オードリー役にアリス・イヴ
いつのまにかウェンディを応援したくなります。
シナボンの店の同僚を演じたトニー・レヴォロリと、警官役のパットン・オズワルトもよかった。

ネタバレですけれど、せっかく届けた脚本、受賞はできません。
受賞して超ハッピーエンドにはしなかったのもイイ。
世の中そんなに甘くない。でも、旅に出たことは無駄ではない。
いちばん読んでほしい人に読んでもらえたのだから。

原題は“Please Stand By”、ウェンディがパニックを起こしたときに
スコッティがウェンディに言い聞かせる言葉、「そのまま待機」です。
そのまま待機しなくても、踏み出していいよ。
—–

『ポップ・アイ』

『ポップ・アイ』(原題:Pop Aye)
監督:カーステン・タン
出演:タネート・ワラークンヌクロ,ペンパック・シリクン,チャイワット・カムディ,
   ユコントーン・スックキッジャー,ナロン・ポンパープ他

シネ・リーブル梅田で5本ハシゴの5本目。
1本目の『カメラを止めるな!』を観はじめたのが12時半。
5本目の本作を観おわるのは22時半。10時間かぁ。
5本ハシゴは久々なので、なかなか体に堪えます(笑)。

振り返れば国際色に飛んだ5本でした。
1本目は日本、2本目はフランス、3本目はイギリス、
4本目はブラジルで、この5本目はタイ

バンコクに暮らす中年男タナー。
かつては一流建築家としてもてはやされ、話題の建築物を多く手がけてきたが、
最近は代替わりした会社の若手経営者にほぼ無視されている状態。
家に帰れば妻はひたすら冷ややかな態度で、どこに行っても厄介者扱い。

ある日、街角でゾウを見かけたタナーは、
それが幼いときに一緒に過ごしたゾウであると気づく。
ポパイと呼んでいたそのゾウを衝動的に持ち主から買い取って連れ帰ると、妻は激怒。
そこでタナーはポパイを故郷に戻そうと考える。

こうしてタナーとポパイは500キロの旅に出るのだが……。

タイの映画を観るのは久しぶり。
しかもそれ以外でもタイ作品として記憶にあるのは“マッハ!”シリーズなので、
タイのこんなほんわかロードムービーを観るのは初めてかもしれません。

「ほんわか」と書いたわりにはなかなか辛辣な内容です。
クビを切られるところまでは行かないものの、
会議の時間も教えてもらえないような状況。
妻の持ち物を探ればバイブレーターが出てくるし、
ならばと妻に抱きついたら「臭いから寄るな」と叩かれる始末。
道中、娼婦に声をかけられてその気になったのに勃たない。

なんだこれじゃあとても「ほんわか」とは言えない(笑)。
しかし、会社にも妻にも相手にされずにちょっと投げやりになったタナーが
ポパイといるときだけは安らいでいる様子はやはり和む。
彼が旅の途中で出会うのは、ホームレスだったりニューハーフだったりで、
みんな憂き目に遭っているのにたくましい。

ゾウが街なかを歩いていても誰も驚かないのはさすが。
ところで、ゾウっていくらで買えるものなんですか。
—–

『ディヴァイン・ディーバ』

『ディヴァイン・ディーバ』(原題:Divinas Divas)
監督:レアンドラ・レアウ

シネ・リーブル梅田で5本ハシゴの4本目。

ブラジルのドキュメンタリー作品で、
ドラァグクイーン版“ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”と言われています。

「ドラァグクイーン」という言葉はみなさんご存じかと思いますが、
簡単に言うと、女装した男性。しかもパフォーマンスを目的としているのでド派手。
私はこの言葉を『プリシラ』(1994)で知りました。
ゲイバイセクシュアルの人が圧倒的に多いそうですが、
性的志向はストレートだけれど女装が好きだという人も中にはいるようです。

1960年代の軍事政権下のブラジル
ドラァグクイーンの第一世代と呼ばれる人たちは現在70~80代。
リオデジャネイロのヒバルシアターを拠点として活躍したドラァグクイーンたちが、
50周年を記念して再集結、2014年にライブを開催しました。
本作ではその舞台のパフォーマンスとともに、
当時の映像およびドラァグクイーンたちの人生を映し出しています。

これが監督デビューとなるレアンドラ・レアルは、ナイトクラブのオーナーの孫娘。
幼少の頃、舞台袖から彼女たちを見つづけてきましたから、
波瀾に満ちた彼女たちの人生をよく理解している様子。
冷めたところが少しもなく、敬意と熱意を持って本作を撮ったのが伝わってきます。

本作では元気な顔を見せているのに、
その後お亡くなりになった方もいらっしゃって、とても残念。

20年くらい前は、ドラァグクイーンとはなんぞやと尋ねられたら、
「女装のオカマ。」とわりと簡単に答えていました。
今は「オカマ」なんて軽々しく言ったり一括りにしたりしてはいけない雰囲気があるけれど、
安易に答えていた頃と比べて彼女たちは少しでも生きやすくなっているでしょうか。
偏見が表に出にくくなっただけだとは思いたくない。
いくらかでも生きやすくなっているならば、彼女たちの偉業ゆえ。
—–