『死ぬまでにしたい10のこと』(原題:My Life Without Me)
監督:イザベル・コヘット
出演:サラ・ポーリー,マーク・ラファロ,スコット・スピードマン,
レオノール・ワトリング,デボラ・ハリー他
前述の『ビッグ・フィッシュ』と同じく、死に直面した人の物語をもうひとつ。
アンは23歳。
コンサート会場で出会ったドンと10代で結婚。
現在ドンは失業中。
母親の住まいの隣の空き地を借り、
幼い娘ふたりとともにトレーラー暮らし。
生活費を稼ぐためにアンは病院で清掃のパート。
ある日、腹痛に襲われたアンは、医師から癌を宣告される。
余命はあと2か月ほど。
家族にはそれを伝えないまま逝く決意をした彼女は、
夜更けのコーヒーショップで「死ぬまでにしたい10のこと」を書きとめる。
去年の晩秋に公開された、スペイン/カナダの作品です。
邦題が女性客のツボにハマったのか(原題は“My Life Without Me”)、
映画館では流行ってました。
ビデオ&DVDもいつもレンタル中だし。
彼女が死ぬまでにしたいことは、
娘に毎日愛していると言う、
娘の気に入る新しいママを見つける、
娘が18歳になるまで毎年贈る誕生日のメッセージを録音する。
彼女が書きとめるのは、邦題とはちがって
“Things to do before I die”なので、
「したいこと」と言うよりは
「しとかなアカンこと」という感じです。
夫以外の男とつきあってみる、
誰かに真剣に惚れさせてみる、
酒とタバコを好きなだけ、
髪型と爪を変えてみる。
こんな「したいこと」をする彼女は
無意味なことだと思いつつもそれを楽しんでいるよう。
主演のサラ・ポーリーは、『バロン』(1988)や『スウィート・ヒアアフター』(1997)など
子役から順調にキャリアを伸ばしてきた人で、
ロードショー中の『ドーン・オブ・ザ・デッド』でも活躍。
12,3歳の時分から政治的に危険な人物として
ディズニーのブラックリストにも名前が挙がっている、
はたから見てると非常におもしろい女優さんです。
これは良くも悪くも彼女の映画。
サラ・ポーリーだから、涙が押しつけがましくならなかったように思います。
アンの隣人役のレオノール・ワトリングは、
この作品のプロデュースも務めたペドロ・アルモドバルの監督作『トーク・トゥー・ハー』(2002)で、
意識不明の患者をハダカ&無言で演じた女優。
台詞があってもキレイだったけど、無言だった映画のほうが好きだなぁ。
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