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『クレイジー・リッチ!』

『クレイジー・リッチ!』(原題:Crazy Rich Asians)
監督:ジョン・M・チュウ
出演:コンスタンス・ウー,ヘンリー・ゴールディング,ミシェル・ヨー,
   アウクワフィナ,ケン・チョン,ソノヤ・ミズノ,ジミー・O・ヤン他

もう10月も半ばになろうとしていますが、まだ9月に観た映画の話です。

9月最後の金曜日、ダンナが飲み会へ。
飲む相手を考えると帰りはおそらく終電近くになると予想され、
ならば私は終業後に2本観ても大丈夫だろうと思いました。
体力のことを考えると1本にしておきたかったのですが、
観たい作品が公開されたばかりのときにチャンスがあるなら観ておかないと
いつ何が起こって観逃してしまうかわからない。

原作はケヴィン・クワンの世界的ベストセラー『クレイジー・リッチ・アジアンズ』。
この映画版もアメリカで大ヒット、批評家にもベタ褒めされているようです。
でもこれは日本で客を呼び込むのは難しい。
そもそも宣伝をほとんど見かけません。
そのわりに大きめのシアターが用意されていて、ものすごい違和感。
封切りだったこの日、109シネマズ大阪エキスポシティの350席以上のシアターに
客は私ともうひとりのみでしたから。もったいない。

てな様子で、かなり残念な興行になりそうですが、私は非常に楽しかった。
中国資本の作品が激増しているとはいえ、
派手なアクションなしのハリウッド作品は珍しい。
キャストは全員アジア系、中国語と英語どちらも激しく飛び交います。
移民のコミュニティに興味のある人にはオススメ。

ニューヨークで生まれ育った中国系アメリカ人のレイチェル。
全米トップクラスのニューヨーク大学で経済学の教鞭を執る才女。
恋人は中国系シンガポール人のニック。

ニックが親友コリンから結婚式の招待を受け、
家族に紹介しがてら故郷へレイチェルを連れて行きたいという。
レイチェルは喜んで同行することに。

シンガポールへ向かう飛行機に搭乗したレイチェルは
ファーストクラスへ案内されてビックリ。
だって、ニックはいたって普通の金銭感覚の持ち主のはず。
ファーストクラスなんて何かの間違い。
しかしニックは飛行機会社が実家の取引先だからと平然とした顔。
実は彼は世界有数の不動産王の御曹司だったのだ。

シンガポールへ到着したレイチェルとニックは、
空港でコリンと結婚相手のアラミンタから温かく迎えられる。

ところが、ほかの面々はレイチェルを歓迎するつもりがないらしい。
イケメンで金持ちのニックをかすめ取って行った女がレイチェル、そんな認識。
独身セレブ女子たちの激しい嫉妬を買ったばかりか、
ニックの母親エレノアからも辛く当たられて……。

もともとハリウッドで映画化の話が浮上したとき、
キャストに白人を起用することの是非で揉めたそうです。
白人以外の役柄に白人をキャスティングする(=ホワイトウォッシング)、
黒人以外の役柄に黒人をキャスティングする(=ブラックウォッシング)、
性同一性障害の役柄に性同一性障害でない俳優をキャスティングする、
映画界にはいろいろと揉める要素があるようで。

本作では結局全員アジア系俳優をキャスティングすることに落ち着いたけれど、
そうなったらなったでまた新たに揉める。
アジア系っちゅうても中国系、韓国系、日系、マレーシア系などなどさまざま。
原作では何系なのに、映画はそれ系とちゃうやん、てな感じで。
いやもう何でもええがな、あかんのんかいなと思ったりも(笑)。

会話も面白いのですが、ホンマの金持ちってこんなんなんやと驚くばかり。
「クレイジー・リッチ」って、「あり得ないぐらいの金持ち」という意味なのですよね。
金持ちにもいろんな金持ちがいて、由緒正しい金持ちもいれば、成り上がり的金持ちもいる。
セレブの世界を垣間見ることができて興奮しました。

金持ちに意地悪されて凹んでも負けないヒロイン。
そりゃ応援したくなるというものです。
知的好奇心をくすぐられる楽しい作品でした。

麻雀をナメとったらアカンでぇ。
—–

『3D彼女 リアルガール』

『3D彼女 リアルガール』
監督:英勉
アニメーション監督:橋本満明
出演:中条あやみ,佐野勇斗,清水尋也,恒松祐里,恒松祐里,上白石萌歌,
   ゆうたろう,荒木飛羽,三浦貴大,濱田マリ,竹内力他
声の出演:神田沙也加

ダンナの帰りが遅い日に映画を1本観る機会に恵まれたのに、選択肢がない。
唯一これだけまだ観ていなかったので、迷うことなく。
109シネマズ箕面にて。

那波マオの人気コミック『3D彼女』を英勉監督が実写映画化。
そうか、映画版の副題が「リアルガール」なのかと思っていましたが、
「3D彼女」と書いて「リアルガール」と読むのですね。なるほど。

2次元をこよなく愛するオタクの高校3年生男子・筒井光(佐野勇斗)。
友だちは同級生で同じくオタクの伊東悠人(ゆうたろう)のみ。
両親(竹内力濱田マリ)、弟の薫(荒木飛羽)は、そんな光のことを心配している。

ところがある日、同じ学校に通う五十嵐色葉(中条あやみ)から突然コクられる。
当然のことながら恋愛経験もゼロの光は、新手のイジメを疑うが、
色葉は本気らしく、なぜか半年間限定ということで交際がスタートする。

オタクと学校一の美女の交際に、周囲は驚きを隠せない。
ちょっぴり不良でモテる高梨ミツヤ(清水尋也)は憮然とし、光に絡む。
その様子を見た石野ありさ(恒松祐里)は、ミツヤと光が親しいと勘違い。
女子との接し方を教える代わりにミツヤを紹介しろと光に凄む。

色葉のペースに乗せられてつきあううち、彼女を好きになっていく光。
しかし、彼女が医師・間淵慎吾(三浦貴大)と仲良く歩くのを見かけ、
やはり自分はからかわれているだけだと思う。
そんな折り、学校で出会ったのがオタクの1年生女子・綾戸純恵(上白石萌歌)で……。

つまらなくはない。でも私には理解しがたい世界です。(^^;

ネタバレですけれど、
彼女が記憶を失ってしまったら、最初から始めればいいというのはありがち。
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017)は実話だから本当にそうだったとしても、
『50回目のファーストキス』(2018)のオリジナルは2004年。
それよりはこっちのほうが後ですよねぇ。
記憶障害を持った人と最初からやり直す話にはまたかという思いが。

2次元ではリセットできても3次元ではできない。
でも、リスタートは可能というのは励ましになるかな。

竹内力と濱田マリが両親だったら可笑しい。
白眼向いて突進する竹内力に笑いました。
若い子みんな可愛いかったから良しとします。でも私は乗れない。(^o^;
—–

『純平、考え直せ』

『純平、考え直せ』
監督:森岡利行
出演:野村周平,柳ゆり菜,毎熊克哉,岡山天音,佐野岳,戸塚純貴,藤原季節,
   森田涼花,木下愛華,やしろ優,下條アトム,二階堂智,片岡礼子他

前述の『きみの鳥はうたえる』の上映終了時間と本作の開始時間が10分かぶっていました。
10分かぶっている場合、シネコンなら本編に余裕で間に合うのですが、ミニシアターは微妙。
前日にテアトル梅田に本作の予告編が何分かを電話で問い合わせたら9分とのこと。
ならば『きみの~』のエンドロールが終わる直前に出れば間に合うんでないの。
本作も出入り口すぐの端っこ席をオンライン予約してこのハシゴに臨みました。
目論見どおり、セーフ。

原作は奥田英朗の同名小説。
大好きな作家なのですが、これはイマイチだった印象があります。
文庫化されてすぐに読んだので、もう5年近く前のこと。
よくは覚えていないけれど、奥田さん、無理してイマドキの話を書いていると思った記憶が。

でも、純平役はお気に入りの野村周平
原作より面白いかもしれないと期待したのですけれど。

歌舞伎町のチンピラ、純平(野村周平)は21歳。
ヤクザではあるが、曲がったことが嫌い。
一人前の男になることを夢見ながら、組とアニキ(毎熊克哉)に尽くしている。

ある日、純平は組長から拳銃を渡され、鉄砲玉となることを命じられる。
当日までは存分に楽しむようにと、金も与えられる。
そんな純平が出会ったのは、他の組がケツ持ちをする不動産屋の社員、加奈(柳ゆり菜)。

不動産屋の仕事に退屈していた加奈は、純平に一目惚れ。
加奈に想いを寄せる同僚(岡山天音)が止めるのも聞かず、純平のもとへ。
純平と加奈はすぐにホテルで関係を持ち、以降、一緒に過ごすことに。

純平が数日後に鉄砲玉となると知った加奈は、それをSNSでつぶやく。
すると思いのほか反応があり、見知らぬ人がふたりの行く末を気にし始めて……。

スゴイのはふたりのベッドシーン。
柳ゆり菜ちゃん、どうよ、この脱ぎっぷり。
彼女、NHK朝の連ドラ『マッサン』で、「太陽ワイン」の半裸モデルを演じた子なんですね。
こんなに若くて可愛くて、もう脱いでそんなベッドシーンやっちゃうの!?

ストーリー自体は面白いと思うのですが、なんか薄っぺらい。
薄っぺらいわりにレイプなど暴力的シーンもあって、しんどい。

SNSでふたりを見守ってきた人たちがじっとしていられなくなり
歌舞伎町に駆けつけてふたりを捜すって、う~ん。
上手くいけば『サマーウォーズ』(2009)のように大盛り上がりだけど、
結局誰も彼らを見つけられないし、止められない。
そしてその喪失感も伝わってこないのです。
ヤクザの世界だって、こんなに甘くはないでしょ。

純平が加奈を連れて自分の母親(片岡礼子)に会いに行くシーンはよかったです。
原作をあまり面白いと思えなかったものは、映画化されても同じ感想だなぁ。
でも、評判はいいようです、これ。ふーん。
周平くんがお尻を見たいならば、あり(笑)。
—–

『きみの鳥はうたえる』

『きみの鳥はうたえる』
監督:三宅唱
出演:柄本佑,石橋静河,染谷将太,足立智充,山本亜依,
   柴田貴哉,水間ロン,渡辺真起子,萩原聖人他

大阪ステーションシティシネマで『判決、ふたつの希望』を観終わってから10分もない。
最短距離を小走りで突き進み、ぜぇぜぇ言いながらテアトル梅田へ到着。
オンライン予約していた出入り口脇の端っこ席へ。

佐藤泰志といえば函館。
函館三部作として公開された『海炭市叙景』(2010)、『そこのみにて光輝く』(2013)、
『オーバー・フェンス』(2016)はいずれも異なる監督がメガホンを撮りました。
本作もまた別の監督が、函館シネマアイリス開館20周年記念作品として撮ったとのこと。

天童荒太『悼む人』(2014)の原作を読む前、
長らく積んでいた本を何度も見ていたはずなのに、『恨む人』だと思い込んでいました。
そして本作の原作もずっと積読の山の中。
この映画を観るまで『きみの鳥はうろたえる』だと勘違いしていました。
上映スケジュールを調べるときに「うたえる」とあるのを見て誤字だと思ってしまった。
そして観終わった今、「うろたえる」でもいいんじゃなかろうかと思ったりもして。(^^;

書店のアルバイト店員である「僕」(柄本佑)は、
失業中の静雄(染谷将太)とルームシェアしている。
気ままな僕は、アルバイトを無断欠勤することもしょっちゅう。
代わりに呼び出される同僚の森口(足立智充)は腹を立てているようだが、
店長(萩原聖人)は僕を軽く諫めるだけで特に怒りもしない。

ある日、店長とデキているらしい同僚の佐知子(石橋静河)に誘われる。
僕は彼女との約束をすっぽかすが、以来なんとなくつきあうように。
静雄との生活に佐知子も加わり、3人は夜通し飲み明かすのだが……。

3連休の間、ここまでに観た映画は7本、これが8本目でした。
疲れていても睡魔に襲われる作品はなかったのに、すみません、これは一瞬寝ました。

出てくる人みんなだらしない。
共感できる人もただひとりとしていなくて、かといってイライラするほどでもない。
この人たち、この先どうなるんだろうと心配する気も起きません。

原作をまだ読んでいないので、佐藤泰志が描いていたのも同じ世界だったのかどうか。
本作のLINEでやりとりするシーンなどは、原作が執筆された1980年代には当然ないから、
今に置き換えたことでどう空気が変わっているのか気になります。

ちょっと退屈だったなぁ、寝ちゃったなぁと思いつつも、
佐藤泰志の映画化作品を観ると、この人が41歳で自殺してしまったことが
必ず思い起こされてしまうからつらいのです。
世の中を、自分を、彼はどんなふうに見ていたんだろう。

「僕」が佐知子のことを「おまえ」呼ばわりするのが似合わなくて、
なんとなく「君」と呼ぶほうが合っているのにと思っていましたが、
ラスト間際のシーンを見るとわざとだったか。

人間って、面倒くさいのは嫌だと言いながら
どうして面倒くさいほうばかり選んでしまうのでしょう。

などと、鑑賞後数日経ってから振り返ることが多くて、不思議な作品です。
—–

『判決、ふたつの希望』

『判決、ふたつの希望』(原題:L’insulte)
監督:ジアド・ドゥエイリ
出演:アデル・カラム,カメル・エル・バシャ,カミーユ・サラメ,リタ・ハイエク,
   クリスティーヌ・シューイリ,ジャマン・アブー・アブード他

晩ごはんが16時という日に朝から3本観るのは無理だと思ったんです。
でもとりあえずチャレンジしてみる価値はあるかと思い、計画を立てました。
1本目は大阪ステーションシティシネマにて、
観逃しそうだとあきらめかけていた作品を上映終了週に滑り込みで鑑賞。

レバノンの映画って、観るのは人生初かもと思ったら、
レバノン作品として初のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品だとか。
それほど珍しいということみたい。

レバノンの首都ベイルートに暮らすトニーと身重の妻。
あなたの故郷に帰ろうという妻に対し、ベイルートで暮らすことにこだわっているトニー。
自動車の修理工場を経営する彼は、やっと手に入れたマイホームを手放す気はない。

付近の住宅の補修作業の現場監督を務めるのはパレスチナ難民のヤーセル。
ある日の作業中、頭上から水が降ってきて、作業員たちに掛かる。
ベランダで水撒きをするトニーの部屋の樋が破損しているせいだ。
さっそくヤーセルはトニーの部屋の樋を修理させてほしいと話しに行く。

ところがトニーはヤーセルを問答無用で追い返す。
作業員たちにまた水が掛かっては困ると、ヤーセルは勝手に樋を修理。
すると怒ったトニーはヤーセルが修理した樋を叩き壊してしまう。
憤ったヤーセルがトニーに叫ぶ、「くず野郎」と。

近隣住民とトラブルを起こしたくないヤーセルの上司は、
トニーに謝罪するようヤーセルに言い聞かせる。
渋々ながらも承知したヤーセルが上司とともにトニーのもとを訪ねるが、
トニーのひと言にヤーセルは怒りを抑えられずに殴りかかる。
結果、トニーの肋骨が折れ、事態は裁判に発展し……。

トニーはキリスト教徒。ヤーセルはイスラム教徒。
私たちには理解しにくい宗教に絡む話。
もっとややこしい話かと思ったら、とてもわかりやすい話でした。

最初はトニーのことをものすごく嫌な奴だという印象を持ちます。
ヤーセルが加害者とはいえ、真面目で不幸な境遇にある。
彼に肩入れしてしまうのは仕方のないこと。
そのうえ、トニーの弁護士はあからさまな差別主義者で、
彼が法廷に立つと途端に政治色が濃くなる。
これでこっちが勝ったらいやだなぁなんて思うのですが。

ところがトニーにもとても悲しい過去がある。
まわりでガタガタと騒いでいるけれど、
本当にトニーを思いやれるのはヤーセルなのかも。

裁判の帰り、車のエンジンがかからなくて困っているヤーセル。
敵なんだから知らん顔してもいいところ、そうはできないトニー。
やってやっているという態度もなければ礼もない。
そのシーンがすごく良くて涙が出ました。

勝った負けただけでいえば納得できない人が多いはず。
でも、ふたりは判決が出る前に納得していたはずだから。

劇場で観られてよかったです。
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