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『トスカーナの幸せレシピ』

『トスカーナの幸せレシピ』(原題:Quanto Basta)
監督:フランチェスコ・ファラスキ
出演:ヴィニーチョ・マルキオーニ,ヴァレリア・ソラリーノ,ルイジ・フェデーレ,ニコラ・シリ,
   ミルコ・フレッツァ,ベネデッタ・ポルカローリ,ジャンフランコ・ガッロ,アレッサンドロ・アベル他
 
へろっへろの日々が続くけど、観逃したくなかった作品がこれ。
土日祝は工事で新御が混むから、平日の仕事帰りにシネ・リーブル梅田へ。
 
中年男のアルトゥーロは、自他共に認める一流の料理の腕を持ち、
三ツ星レストランのシェフを務めていたのに、
短気な性格ゆえ怒りを抑えられず、職場で暴力を働いて刑務所入り。
出所の条件として社会奉仕活動を命じられ、
自立支援施設でアスペルガー症候群の若者たちに料理を教えることに。
 
さまざまな若者たちのなかに、絶対的な味覚と嗅覚の持ち主グイドがいた。
施設の指導者アンナは、祖父母と一緒に暮らすグイドの将来を特に心配。
高齢の祖父母にいつまで頼れるかわからず、早く自立させたいからだ。
 
料理が大好きなグイドは、有名シェフだったアルトゥーロのこともよく知っている。
アルトゥーロが来てくれたことを喜び、“若手料理人コンテスト”に出場したいと言い出す。
無理に決まっているとあきれるアルトゥーロだったが、
聞き入れようとしないグイドを見たアンナに懇願され、渋々引き受ける。
 
コンテストの会場であるトスカーナへと向かうアルトゥーロとグイドだったが……。
 
出所して自分の店を持ちたいのに金がない。
師匠に頼みに行くと短気な性格のせいで何度裏切られたことかと断られ、
友人に相談したときに言われることが面白い。
一ツ星だと腕が勝ちすぎる、三ツ星なら性格が問題視される。
腕さえよければ店が持てるというわけではないのですね。
 
これがハリウッド映画なら、もっと煽って感動的な話に仕立て上げたはず。
わりと淡々と進み、ラストもわりとあっさりと。
でも、師匠がいい味を出していてニヤリとさせられます。
小品だけど良い作品。
 
必要なのは完璧なポモドーロ。チョコレートソースなんてもってのほかですって。
ティンバッロ、食べたい!

—–

『ホームステイ ボクと僕の100日間』

『ホームステイ ボクと僕の100日間』(英題:Homestay)
監督:パークプム・ウォンプム
出演:ティーラドン・スパパンピンヨー,チャープラン・アーリークン他
 
テアトル梅田にて3本ハシゴの3本目。
 
森絵都の児童文学『カラフル』を映画化したタイ作品
ヒロイン役のチャープラン・アーリークンは、BNK48のキャプテンだそうな。
秋元康プロデュースのグループがタイにもあるって知らなんだ。
 
遺体安置室の中で目覚めたボク。死人が生き返ったと看護師が卒倒しかける。
記憶はまったくなく、何がどうなっているのやらわからずに戸惑っていると、
「管理人」を名乗る男が現れて言うには、一旦死んだボクは「抽選」に当たり、
自殺したばかりの男子高校生ミンの肉体に「ホームステイ」する権利を得た。
病院で息を吹き返したミンとして人生を再スタートさせることができる。
 
ただし、ミンの自殺の原因を100日以内に突き止めよとのこと。
もしも突き止められなかった場合はボクの魂は永遠に消える。
突き止められた場合はそのままミンとして生きることができるのだと。
 
家族のことも同級生たちのことも何も覚えていないながらも、
なんとかミンのことを探って自殺の原因を調べようとするボク。
母親はミンのことを誰よりも大事に思っている様子。
父親はひとでなしのようだし、兄はボクを嫌っているようだ。
学校では同じ応援部に所属する女子リーがボクの親友。
優等生の後輩パイのことをボクは好きで、向こうもたぶんボクのことが好き。
 
さまざまな状況からまず自殺の原因を兄ではないかと考えるボクだったが……。
 
20年くらい前のタイ作品と比較して、どんどん洗練されてきているように思います。
昔はムエタイかニューハーフの印象が強かったですから。
 
ミン、パイ、リーが初々しくて、特に私はリー役のSaruda Kiatwarawutが好き。
日本語のサイトがなくてなんと読めばいいかわかりません。(^^;
親友としてつきあっているけれど、ミンに寄せる想いが切なさいっぱい。
 
『バッド・ジーニアス』でも感じた、良い成績を収めることがとにかく必要な社会。
特にあまり裕福でない家庭では、よからぬことを求められても応じるしかない状況らしい。
そんなこともわかって、興味を引かれます。
 
誰もわかってくれない。自分はひとりぼっちだと思い込んで命を絶つ人がいる。
本当にそんな境遇にある人もいるかもしれないけれど、
もしこれまでの人生を見つめ直してみたら、こんなこともあるかも。
 
あの人にもこの人にも好きだと伝えたい、そんな気持ちになる作品だと思います。

—–

『お料理帖 息子に遺す記憶のレシピ』

『お料理帖 息子に遺す記憶のレシピ』(英題:Notebook from My Mother)
監督:キム・ソンホ
出演:イ・ジュシル,イ・ジョンヒョク,キム・ソンウン,
   キム・ソンファ,イ・ヨンア,イ・ジュンヒョク他
 
テアトル梅田にて、3本ハシゴの2本目。
 
韓国と日本の関係がニュースになるたびに心がしくしくと痛む私は、
ラグビー日本代表の具智元選手がテレビ出演しているのを見ると嬉しくなる。
劇場で韓国作品を観るときも同じ気持ち。
日本人も韓国人も同じものに感動できるはずなのになぁ。
 
監督は『犬どろぼう完全計画』(2014)のキム・ソンホ。
4年前に劇場で観てボロ泣きしたのを思い出す。
あれほどは泣かなかったけど、これもほんのちょっぴり涙。
 
30年続く惣菜店をひとりで切り盛りするエラン。
息子のギュヒョンは万年非常勤講師で実入りが少ないから、
嫁のスジンは幼い子どもたちの食事をエランに頼っている。
今度こそ教授になるべくよろしく取り計らってもらおうと、
友人を通じて宴席を設けてもらったところ、
教授になるには大学への寄付金5千万ウォンが必要だと耳打ちされる。
どうやって金を工面すればよいのか。
 
そんな折り、エランに認知症の兆候が現れはじめる。
ギュヒョンは妹のヘウォンと相談するが、どちらも母親を引き取る余裕はない。
家と店を手放したくはない、でも息子や娘の世話にはなりたくないエランを
金銭的になんとかなりそうな施設に入れることに決め、
店を閉めて売り払う準備に取りかかるギュヒョンだったが……。

住宅街の中にある、店舗と一体型の家がまず面白くて興味を惹かれます。
また、こういう家はすぐに売れるとのこと。
5千万ウォンつくれたらいいと思っていたら、
不動産屋から2億ウォンになると聞かされてギュヒョンの目は真ん丸に。
 
どうしようもないし、どうする気もないのに
そして、一旦は施設に入れるけれどやはり引き取るというのも映画に多い。
施設に入れるのは可哀想、最後まで家で面倒を見るのがいいこと。
この意識が根底にあることは気になります。
 
韓国料理店に並んでいるような料理とは一味も二味もちがう数々の家庭料理。
好き嫌いのある子どもたちが美味しいと言って食べられるようになされる母親の工夫。
母親に愛されていないと思っていた息子が、自分のためにつくられた料理を思い出すとき。
 
いい話にされすぎている印象はあるけれど、シンプルに、美味しそうでした。
このおにぎりは食べたい。

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『レディ・マエストロ』

『レディ・マエストロ』(原題:De Dirigent)
監督:マリア・ペーテルス
出演:クリスタン・デ・ブラーン,ベンジャミン・ウェインライト,スコット・ターナー・スコフィールド,
   アネット・マレァブ,レイモント・ティリ,シェイマス・F・サージェント他
 
新御堂筋ではこのところほぼ毎週末、工事で車線規制をしているのです。
そのせいで恐ろしく渋滞する。
梅田へ向かう朝はまだマシでも、帰りは新御に乗るのさえ困難なほど。
空いていれば梅田から家まで20分で帰れるのに、
新御に乗っても迂回してもどのみち混んでいて1時間以上かかる。
 
だから、北摂あるいは西宮の劇場で手を打とうと思ったけれど、
梅田で観たい作品がいっぱいあるんだよぉ。
ダンナ出張中だから劇場から慌てて帰る必要もないし、梅田まで行くことに。
あ、電車で行けば渋滞は関係ないんですけどね、車が好きなんです(笑)。
 
迷いながらも梅田まで行ってよかったと心の底から思えたオランダ作品。
テアトル梅田にて。
女性指揮者の先駆者アントニア・ブリコの半生を映画化。
 
1926年、ニューヨーク。
両親とともにオランダから移住してきたウィリー・ウォルターズは、音楽が大好き。
楽器を買うことなど到底できない暮らしだから、
粗大ゴミの中から見つけて拾ってきたピアノをこっそりと弾いて練習。
 
コンサートホールで案内係として職を得るが、
従業員はホール内で演奏を聴かせてもらえないことが腹立たしい。
敬愛するオランダ人指揮者ウィレム・メンゲルベルクがやってきたさいに、
折りたたみ椅子を客席の最前列横の通路に広げて自分が座るという暴挙に出る。
当然ながら解雇を言い渡される。

めげないウィリーは、名指揮者で音楽学校の教授マーク・ゴールドスミスを訪ね、
音楽学校に入れるようにピアノを教えてほしいと懇願。
彼女のピアノを聴いたマークはその願いを一笑に付すが、
同席した地元の御曹司フランク・トムセンが彼女に強い魅力を感じる。
 
授業料を払ってゴールドスミスのピアノ指導を受けることになったウィリーは、
求人情報を手にあちこちの扉を叩くが、仕事は見つからない。
その様子を見かけた酒場のオーナー、ロビン・ジョーンズが彼女をピアノ弾きとして雇う。
 
コンサートホールをクビになったことがバレ、母親と口論。
そのさい母親がつい口を滑らせ、ウィリーは養子であることを知らされる。
本当の名前はアントニア・ブリコで、新聞の広告欄を通じて売買された赤ん坊だったことを。
 
あまりのショックに家を飛び出したウィリーは、ロビンの厚意を受けて部屋は確保。
ウィリーを探し続けていたフランクと再会、ふたりは恋に落ちるのだが……。

なんぼ演奏を聴きたいからって、従業員が最前列で椅子を広げるってあかんでしょ(笑)。
最初はあきれてしまって共感しづらかったのですけれど、
これぐらいの心臓がないと先駆者にはなれないのでしょうかね。
また、この暴挙のシーンが最後には非常に効いています。
 
指揮者になるために恋をあきらめると宣言したはずの彼女が、
フランクがほかの女性と結婚すると聞いた瞬間に前言撤回、
「私が間違っていた、考え直して」などと縋る手紙を出すシーンには違和感。
そんな簡単に「縋る女」にならんといてよと思ってしまいました。(^^;
 
どう見ても男装の女性であるロビンの苦悩に気づかないウィリーもどうだか。
気づくのが遅すぎる感が否めません。それにしてもロビン、いい奴。
 
でも、良かった。
女が指揮者なんて無理だと決めつけている人々を彼女が喝破するシーンは
思わず聞き入ってしまいます。
彼女が師事することになったドイツ人指揮者カール・ムックとのやりとりは特にイイ。
そして偏見の塊だったムックも、彼女の言葉を聞く耳をちゃんと持っている。
さぞかし良い師弟関係を築いたことだろうと思われます。
 
クリスタン・デ・ブラーンはとにかく美人で絵になる女優。
彼女が指揮棒を振るシーンに心を打たれ、いくつもの曲で涙がこぼれそうに。
いま話題になっている「音楽×映画」の筆頭は『蜜蜂と遠雷』でしょうが、
私は本作と『パリに見出されたピアニスト』のほうが断然好きです。
 
アントニア・ブリコは女性指揮者のパイオニアとなったけれど、
いまだに名指揮者ランキング50位に女性がひとりもいないというのは寂しいですね。
エンドロールで凹みました。

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『108 海馬五郎の復讐と冒険』

『108 海馬五郎の復讐と冒険』
監督:松尾スズキ
出演:松尾スズキ,中山美穂,大東駿介,土居志央梨,栗原類,LiLiCo,福本清三,
   乾直樹,宍戸美和公,堀田真由,岩井秀人,酒井若菜,坂井真紀,秋山菜津子他
 
ダンナ出張中につき、飲みに行っているか映画を観ているかのどちらかの夜が続く。
もうへろっへろなのに、時間が空くと映画を観に行かずにはいられません。
TOHOシネマズ梅田にてレイトショー。
 
松尾スズキは私と同じ白衣高血圧。それだけで親近感が湧きます。
凄い才能の持ち主だとも思いますし、ちょうど上映時間も合うしで、
迷うことなく鑑賞を決めましたが、R18指定なんですね。
ふきだしてしまうシーン多数のエロコメディでした。
だけど、3つほど向こうのカップル笑いすぎ。サクラかと思うほど。(^^;
 
売れっ子脚本家の海馬五郎(松尾スズキ)。
ある日、オーディションを受けに来た赤井美月(堀田真由)から、
妻の綾子(中山美穂)が浮気していることを知らされる。
美月が示したフェイスブックの画面には、綾子と思われるアカウントのページ。
そこにはコンテンポラリーダンサー、ドクタースネーク(乾直樹)とのツーショット写真が。
 
綾子のことを愛してやまない五郎は発狂寸前。
彼女を問い詰めたところ、あっさり認めて家を出て行ってしまう。
離婚になれば財産分与で半分は持って行かれると友人の糸井(岩井秀人)から指摘され、
全然納得が行かない。悔しすぎる。
今あるカネは2千万。なんとか1千万は使いたい。
何に注ぎ込むか考え、浮気した綾子への復讐として女を抱くことに使おうと決意する。
 
2週間で108人。
108は煩悩の数ではない。綾子のフェイスブックのタイムラインに付いた「いいね!」の数。
最初はごく普通に風俗でと考えていたが、それだと2週間ではとても使い切れそうにない。
糸井のアドバイスによって高級娼婦のサイトを知り、
1回に15万円を注ぎ込むことにするが、思うように勃たず……。

ちょっと向こうの席のカップルは笑いすぎだと思ったものの、かなり面白かったのは確か。
R18というと、女性ひとりでは観に行きづらいかもしれませんが、たぶん大丈夫(笑)。
ま、シネコンで上映している作品ですからね、安心して観に行けると思います。
 
風俗嬢その他、もちろんみんな潔く脱いでいるわけですが、ミポリンが脱ぐわけもなく。
脱いでいなくても彼女が悶えている様子って、男性は興奮します?
全然色っぽいと思えないのは僻みでしょうか(笑)。
彼女演じる綾子が「どうせ私は貧乳です」という台詞には笑いました。
 
五郎の妹役の坂井真紀、五郎の親友かつセフレの美津子役に秋山菜津子
みんな痛々しくて良い感じ。
 
エロネタが駄目だという人も楽しめるのではないかと思う奇想天外さ。
そのわりに終わり方がフツーすぎて、そこはもったいないでしょうか。

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