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『解放区』

『解放区』
監督:太田信吾
出演:太田信吾,本山大,山口遥,琥珀うた,佐藤秋,岸建太朗,SHINGO★西成他
 
先々週の土曜日に出かけた帰り、テアトル梅田にて20:40の回を鑑賞。
てか、本作はその1回しか上映していなかったんですけど。
今はほかの劇場でも徐々に拡大公開されつつある静かな話題作。
 
大阪市の助成金を得て2014年に制作され、
同年の大阪アジアン映画祭で上映されるはずが、大阪市から内容の修正を求められて拒否。
太田信吾監督は大阪市に助成金を返還し、自主上映を実施するとともに、映画祭に出品。
5年の歳月を経てやっと一般公開に至りました。
 
阪本順治監督が公開に際して寄せたコメントの中に、
「先達が、フィクションはノンフィクションのように、
ノンフィクションはフィクションのように作るべしと言っていたが、
そのどちらでもありどちらでもないありかたに驚いた」とあります。
ほんとにそのとおりで、まるでノンフィクション、でもフィクション。
また、阪本監督は「まずは映画人が観るべき映画」とも書いていて、これもまたその通り。
一般人が観て面白いかと聞かれると困る。
少なくとも周囲の人には薦めない。何これって言われそう。
 
ドキュメンタリー作家を目指すスヤマは、番組制作会社に所属。
アシスタントディレクターとしてひきこもりの青年とその家族に取材するが、
撮影の進め方をめぐって先輩ディレクターと衝突。
怒りのおさまらないディレクターから暴行を受け、スヤマはその場を走り去る。
 
別の企画を進めて自分で好きなように撮るべく、
先輩ディレクターとは連絡を絶って、大阪・西成に単身乗り込むスヤマ。
しかしひとりではどうにもならないこともありそうで、
誰か協力者がほしいと思い浮かんだのはあのひきこもり青年。
必要とされた青年はこっそりと実家を出て大阪へやってくるのだが……。

監督自身が演じるスヤマは身勝手を絵に描いたような人。
冒頭こそ、あまりに偉そうな先輩ディレクターに虐げられる彼に同情するし、
警戒感あらわなひきこもり青年との距離を縮めるには
スヤマのやり方でなければ無理でしょうと思いもしますが、
西成へ青年を呼びつけてからの彼と言ったら、酷い。
 
ギャラを出すと言っておきながら、すべてひきこもり青年に立て替えさせる。
高速バスの代金ももちろん払わず、ふたりで数百円の食事代すら「すぐ返すから」と言って出さない。
宿とは言い難いドヤ街に寝泊まりさせてその代金も払わず、
青年が領収書を取って支払いを請求すると、
「ろくに仕事もしていないくせに、どうしてそんなにかかるのか」と怒る。
青年がスヤマに負けずに言い返していたのがせめてもの救い。
 
人には言いがかりをつけておいて、自分は飲みに行った先で拾った女と寝る。
起きたらその女に一切合切盗まれていて呆然。
こんなときになって青年を頼ったら、バッサリと切られていい気味です。
同棲中の彼女に電話して大阪まで金を持ってきてほしいと言えば、
これもあっさり「勝手だね。自分のことしか考えてない」と断られ。
 
ここからがまた凄い。
誰にも相手にされなくなったスヤマは、日銭を稼ぐしかありません。
そこで一緒になったおっさんやニイちゃんから、
ちょっと来てちょっと取材したぐらいで何がわかるっちゅうんや、
シャブの1本ぐらい試してみぃというようなことを言われます。
 
ドキュメンタリーを観ているかのようでした。
大阪人でさえ足を踏み入れたことのない人も多い釜ヶ崎=あいりん地区。
私も行ったことがありません。いたずらに行くことはたぶん許されない。
でも人情のある街だろうと思うのは甘いですか。
 
宿代が安いために今はバックパッカーなども増えているとのこと。
制作されてから公開までの5年の間に釜ヶ崎の印象は変わったでしょうか。

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『マチネの終わりに』

『マチネの終わりに』
監督:西谷弘
出演:福山雅治,石田ゆり子,伊勢谷友介,桜井ユキ,木南晴夏,
   風吹ジュン,板谷由夏,古谷一行他
 
TOHOシネマズ西宮にて。
先に観た『喝 風太郎!!』が意外と良くて、本命だったこちらは私はアウト。
原作は平野啓一郎の同名ベストセラー小説。
世間では評価が高いようですけれど、私にはみんな大根に見えて、
芥川賞作家の作品を大衆映画にしようとするとこんなに恥ずかしい感じになるのねと唖然。
途中で帰りたくなっちゃったよ。
 
天才クラシックギタリストとして大人気の蒔野聡史(福山雅治)は、
その名が世界に轟けば轟くほど自らの音楽に迷いはじめていた。
そんな折、ある日の公演後、旧知の音楽プロデューサー・是永慶子(板谷由夏)が
友人だというジャーナリスト・小峰洋子(石田ゆり子)を連れて控え室を訪れる。
 
洋子には若手実業家のリチャード新藤(伊勢谷友介)という婚約者がいたが、
聡史は彼女に対する気持ちを抑えることができない。
音楽への迷いは消えないまま、活動を休止する聡史だったが、
惹かれ合うふたりはひそかに連絡を取り、絆を育む。
 
しかし、聡史の付き人を務める三谷早苗(桜井ユキ)にとっては聡史がすべて。
ふたりの関係に気づき、どうしても見過ごすことができず……。
 
みんな演技の上手い人のはずですよね。
でも本作に関しては私はどうしてもそう思えなかった。
福山雅治も石田ゆり子もわざとらしくしらじらしい。
桜井ユキに至ってはその表情も何もかも嫌になるほどでした。
たぶん彼女に罪はないし、一所懸命の演技です。なのにごめん。
 
そもそも莫大な製作費をつぎ込んでいそうな海外ロケをする邦画が私は苦手。
これが小説の中で繰り広げられる分にはいいのでしょうが、
パリ行ってニューヨーク行って、だから何?って感じです。
 
日系人という設定ならいっそ外国人俳優を使えばええのに、
伊勢谷友介と石田ゆり子が常に英語で会話している姿にも違和感。
はいはい、ふたりとも英語が堪能なことはわかりましたよと言いたくなる。
 
早苗が要らんことせんかったらとっくに一緒になっていたふたり。
良心の呵責に耐えられず、結婚して子どもも生まれてから事実を打ち明けて、
それで何事もなかったように一緒に暮らし続けていけるんやねぇ。
人間できてるわぁ。←褒めてるんじゃありません。呆れてます。嫌味です。
 
私には美しさを感じられず、切なさもまったく抱けなかった1本。
「実は舞台の上からお誘いしてたんです」なんて言われたいか。
言われたい女性が多いからこんなに評価が高いのか。
んなもん福山雅治やから成立する台詞で、
イケメンでもタイプでもない男から言われたらドン引きやろ。
 
隣席の女性一人客は20分に一度スマホを見る奴で、
映画に集中していないくせして、こういう奴に限って「よかった」とか抜かしよる、
と思ってしまいました。マジ最悪最低。
 
とにかく皆さんどうぞご勝手に。
書き始めたら止まらず、なんか言いすぎました?(^^;

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『喝 風太郎!!』

『喝 風太郎!!』
監督:柴田啓佑
出演:市原隼人,藤田富,工藤綾乃,二ノ宮隆太郎,木村知貴,藤代太一,
   吉岡そんれい,板野友美,鶴田真由,近藤芳正,麿赤兒他
 
金曜日の仕事帰りにTOHOシネマズ西宮へ。
後述の『マチネの終わりに』を観るのが目的でしたが、
西宮まで行って1本で帰るのはもったいない。
時間が合いそうな作品を調べたら、同日に封切りとなった本作みっけ。
結果的には『マチネの終わりに』よりずーっと良かった。
 
原作は本宮ひろ志の同名コミック。
本宮さんって、1965(昭和40)年に漫画家デビューされているのですよね。
古稀を過ぎた今も勢い衰えず。こうして実写映画化されたりもして頼もしい。
この「風太郎」はもとはパチンコグループを展開する浜友観光のイメージキャラクターだそうで。
なかなかおおっぴらには宣伝しにくいか。(^^;
 
市原隼人演じる破天荒な僧侶が迷える現代人を救う物語で、
登場人物がかぶってつながる3つのオムニバス。
時系列をさかのぼって見せてくれるのも私の好きな構成です。
 
山奥の寺で修行を積み、下界のことは何も知らない僧侶・風太郎(市原隼人)。
大僧正(麿赤兒)から初めて下山を命じられて街へと降り立ったものの、
風太郎にとっては何もかもが新しい。
 
そんな彼の様子を見た詐欺師・笹本健司(藤田富)は、
「飲み放題」という言葉すら知らない風太郎からぼってやるつもりで声をかける。
タダで酒が飲めると勘違いした風太郎はホイホイついて行くが、
支払いの段になって風太郎が一文無しであることが判明。
これには健司も唖然呆然。
 
無銭飲食と聞いて飛び出してきた怪しげな兄ちゃんたち。
ビビる健司を尻目に彼らを一網打尽にする風太郎。
健司は風太郎を教祖に奉って儲けるビジネスに方向転換。
 
騙しやすそうなターゲットを物色中だった健司は、
冴えないサラリーマン・高平末吉(近藤芳正)に接触。
風太郎の説教を聴かせて金をふんだくろうという魂胆。
ところが当然のことながら風太郎は金儲けに1ミリも関心なし。
そんな風太郎の言動が人々の心を動かして……。

1話目はこの末吉にまつわる物語。
2話目は風太郎の下山直後の大立ち回りを録画して動画サイトにUP、
自称インフルエンサーの滝田詩織(工藤綾乃)の物語。
3話目は健司の物語。
それぞれの身に起きた時間がかぶっているので、
おおっ、このときこんなことが起きていたのかと面白い。
 
能天気に見える奴でも事情がある。
バカみたいに生きているわけではないんだなぁとしんみり。
 
一見女神のような人なのに、
その実、ホームレスを食い物にする支援団体の悪魔のような女に鶴田真由
鬼の形相の彼女を見る機会はこれまであまりなかったような。
占い師役でちょこっと出演しているのは板野友美
 
ノーマークでしたが、スッキリ心洗われる作品でした。
たまにこうして「ヒットはしないだろうけれど、私はこんなちょっといいやつ観たよ」
と思える映画に出会えるから楽しい。

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『ジェミニマン』

『ジェミニマン』(原題:Gemini Man)
監督:アン・リー
出演:ウィル・スミス,メアリー・エリザベス・ウィンステッド,
   クライヴ・オーウェン,ベネディクト・ウォン他
 
109シネマズ箕面にてレイトショー。
 
監督は巨匠と言っていいでしょう、アン・リー
ウィル・スミスを起用した本作の予告編を観て、
こんなのも撮るのねとちょっぴり驚きました。
私の中のアン・リーは、いつまでも『ウェディング・バンケット』(1993)や
『恋人たちの食卓』(1994)だから。
 
ヘンリーはDIA(アメリカ国防情報局)に所属する凄腕のスナイパー
これまでに70人以上もの悪党を暗殺する任務を成功させてきたが、
若かりし頃にはなかった時折生じる迷いに引退を決める。
 
最後の仕事で殺した人物は、生物兵器を用いるテロリスト
ところが、かつての同僚で親友のジャックから、
実はターゲットはテロリストなどではなかったことを知らされる。
政府にとって何かしら都合のよくない人物で、
ヘンリーを利用してこの世から消したということを。
 
政府はヘンリーの監視役をDIAの女性潜入捜査官ダニーに命じていたが、
それを見破ったヘンリーがダニーを問い詰めたところ、
彼女は陰謀については本当に何も知らない様子。
 
真偽を確かめるためにロシアまで行こうとしたところ命を狙われ、
ヘンリーはダニーを連れて逃げることを余儀なくされる。
 
なぜかヘンリーの行動はすべて読まれているようで、行く先々に刺客が。
DIAいちばんのスナイパーだったヘンリーは、難なく敵をなぎ倒していくが、
ただひとり、倒せないかもしれない相手が現れる。
それは30年前の自分とそっくりの刺客。
やがてその刺客がヘンリーのクローンであることがわかり……。
 
結論からいうと、まぁまぁです(笑)。
面白くないわけじゃないけど、そんなに面白いわけでもない。
なんというのか、キレがあまりよくない印象。

でもその金のかかり方のわりに地味なのです。

 
自分の若い頃とそっくりのクローンというのもなんだか気味が悪い。
でも、自分とまったく同じDNAを持つからこそ、
お互いの動きがわかるというのは面白い。
ダニーについて、50代の今は眼中にないけど30年前なら自分の好みのタイプ、
だからクローンもダニーを守ろうとするはず、なんてところも可笑しい。
そんなダニー役のメアリー・エリザベス・ウィンステッド、知的で○。
 
20年前にディズニーが製作して公開する予定だったそうです。
当時はこれを完成させるほどの技術がなくて、話は流れたとのこと。
そのころ監督として名前が挙がっていた面々や、
主演候補だった俳優たちの顔ぶれが凄いです。
凄すぎてワラけるほどなので、興味おありの方はウィキペディアをご覧ください。
 
結局ウィル・スミスに落ち着いたわけだけど、
ほかの俳優だったところでそんなに出来が変わったとも思えず、
まぁこれでよかったのかなぁ。

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『たわわな気持ち』

『たわわな気持ち』
監督:古澤健
出演:松本菜奈実,あけみみう,加藤ツバキ,古澤健,川瀬陽太,後藤ユウミ他
 
コインパーキングの値段がアホみたいに高くなりました。
以前なら終業後に梅田まで車を飛ばしてシネ・リーブル梅田で2本ハシゴしても、
駐車場代は500円とかだったのに、今はその3倍くらい取られる。
なんとか最大料金1,320円のタイムズを見つけて駐車。
それにしてもこの10月から駐車料金に端数が付くとこ多すぎ。(^^;
 
前述の『トスカーナの幸せレシピ』だけ観て帰るつもりでしたが、
20分220円の駐車場で最大料金分を払って1本観るだけってなんかもったいない。
やっぱり2本観ることにしました。
 
選択肢いろいろ。
村上春樹のドキュメンタリーも気になるし、観そびれていたフランス作品もある。
で、ノーマークだったのが本作。21:00からの回で舞台挨拶付きってどーゆーこと?
 
劇場のリーフレットで調べてみたら、“OP PICTURES+フェス”なるものを開催中。
日本で最初にピンク映画を配給したのが大蔵映画株式会社。1962年のこと。
以後、大蔵映画は「OP PICTURES(オーピー ピクチャーズ)」名義で36本のピンク映画を製作。
ピンク映画をより多くの人に観てもらえるようにと企画されたのがこれらしい。
2015年に始動したプロジェクトだそうで、
そういえば去年もシネ・リーブルでピンク映画やってるなと思った記憶が。
せっかく舞台挨拶付きの回を観る機会に恵まれたのですから、これは観たい。
ちなみに本作にはR15+とR18+バージョンがあり、上映していたのはR15+バージョンでした。
 
エロ雑誌ライターの綾(松本菜奈実)は肇(古澤健)と同棲中。
しかし肇はモラハラ気味で、綾の仕事を貶めるようなことばかり言う。
AVのような行為を求めるとはしたないと叱られ、どうしていいのか悩む日々。
 
ある日、肇が脱ぎ捨てた上着のポケットから風俗のスタンプカードを発見。
肇はカレン(あけみみう)という風俗嬢をいつも指名しているらしく、
カレンと会ってみたくなった綾は、取材のふりをして面会を申し込む。
 
取材の途中で、綾は自分が肇の恋人であることをカレンに伝え、
いつも肇がどういうプレイに勤しんでいるのかを尋ねる。
すると驚くことに、肇はコスプレを好み、自分はコンビニの店長役、
カレンにはそのアルバイト役を務めさせていることがわかり……。
 
女性客がいることで男性客が楽しめないかもしれないとも思いますし(笑)。
これが新世界の劇場とかなら絶対観に行けませんが、シネ・リーブルならもちろん大丈夫。
 
知っている俳優は綾の同僚で見た目冴えないけどモテる男、一郎役の川瀬陽太のみ。
お世辞にも上手いとは言えない女優陣の演技に萎えそうになっていたのですが、

彼女たちれっきとしたAV女優なんですね。

そらそうか、私がAV女優いろいろ知ってたらおかしいですよね。(^^;
彼女たちの一生懸命さは伝わってくる。
 
上映終了後の舞台挨拶、古澤健監督の話がすごく面白かった。
AV女優は目の前にカメラがあるのが普通だから、
カメラが遠くにあると逆に落ち着かないそぶりを見せるとか。なるほど。
 
肇役を監督自ら演じています。
自分で濡れ場を演じていいものか考えているときに
ロマン・ポランスキー監督の『テナント/恐怖を借りた男』(1976)を観て、
なぁんだ監督本人がずっぽりこんなことやってるじゃん、
じゃあ僕もやっちゃおうと思ったそうな(笑)。
 
監督曰く、「いつから映画に“余韻”が求められるようになったのか」。
昔は余韻なんて求められていなかったのに、
実生活っぽい映画、つまり余韻を皆が望むようになったのではと。
余韻要らんやんと笑う監督。そう言いつつ、ありますよね、余韻(笑)。

女も観られるピンク映画、観に行ける環境を歓迎します。

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