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『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』

『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』(原題:Dreamin’ Wild)
監督:ビル・ポーラッド
出演:ケイシー・アフレック,ノア・ジュープ,ゾーイ・デシャネル,ウォルトン・ゴギンズ,
   ジャック・ディラン・グレイザー,クリス・メッシーナ,ボー・ブリッジス他
 
大阪ステーションシティシネマにて3本ハシゴの2本目。
1本目の『ショウタイムセブン』で爆睡し、これもやばいかと思っていましたが、全然大丈夫でした。
ノーマークだったのにとても良かった。ということは、やっぱり面白ければ寝ないのか!?
 
実在の兄弟デュオ“ドニー&ジョー・エマーソン”を取り上げた音楽ドラマ。
弟のドニーをケイシー・アフレック、青年時代の彼をノア・ジュープ
兄のジョーをウォルトン・ゴギンズ、青年時代の彼をジャック・ディラン・グレイザーが演じています。
 
監督は『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(2015)のビル・ポーラッド。
この人は監督作は2本のみだけど、今は亡きヒース・レジャー主演の『ブロークバック・マウンテン』(2005)を皮切りに、
『それでも夜は明ける』(2013)や『怪物はささやく』(2016)など、話題になった多くの作品の製作に当たっているようです。
 
テレビもろくに映らないような田舎の農場で育ったエマーソン兄弟。
父親のトラクターに乗ればラジオから流れる音楽を一日中聴くうち、兄弟のうち弟のドニーは作曲を始める。
 
ドニーの才能は家族の誰もが認めざるをえないもの。
父親はこの芽をつぶさぬようにと金を工面して、農場の端っこに音楽スタジオを設ける。
兄のジョーがドラムを叩き、ほかの楽器とボーカルはすべてドニーが担当。
レコーディングすると1枚のアルバムを作り上げる。タイトルは“ドリーミン・ワイルド”。
しかしそのアルバムが世間の話題に上ることはなかった。
 
30年が経った今、ドニーは街で小さな音楽スタジオを経営しつつ、ドラマーの妻ナンシーとささやかなライブ活動を続けている。
愛しい娘と息子もいるが、経営状態は決してかんばしくなく、そろそろ廃業すべきかと考えている。
 
そんなとき、今も実家の農場近くでひとり暮らしのジョーから連絡が入る。
なんでも“ドリーミン・ワイルド”がバズっているらしく、エマーソン兄弟を探していた音楽プロデューサー、マットが訪ねてくると。
信じられない話だと思いながらも実家に出向くと、レコードコレクターが“ドリーミン・ワイルド”を聴いて度肝を抜かれ、
そこから皆が知るところとなったこのアルバムを有名なミュージシャンも聴いてベタ褒めしていると言う。
 
アルバムを再発してツアーまでおこなう話が持ち上がり、ジョーも家族も大喜びするが、
ドニーだけは複雑な思いを消せずに戸惑い……。
 
10代のとき、音楽に人生を懸けると誓い、自信を持ってアルバムを世に出したのに、家族以外は誰も見向きもしなかった。
自分のせいで父親は土地の大半を手放して金を作ってくれたけれど、報いることはできず。
30年も経ってから認められても、ドニーはどうしてよいかわかりません。
しかも、今の自分の相方は妻のナンシー。彼女ではなく、彼女より演奏が下手なジョーと一緒に舞台に上がるのも複雑な気分。
 
しかし彼の家族はどこまでも優しい。両親とジョーと妹たち。それにナンシーたち今の家族も。
一攫千金を狙ってドニーの味方をしているわけではなくて、とにかくドニーの才能を信じています。
たいした才能もない息子を信じる親バカという場合もありましょうが、この親はそうじゃない。
大きな愛で息子を見守り続ける父親を演じるボー・ブリッジスが凄くイイ。
ナンシー役のゾーイ・デシャネルも「私のほうが」なんてところは微塵もなくて、兄弟の仲をきちんと取り持ちます。
 
後ろめたさを感じるたび、過去の自分と向き合うドニー。
音楽から離れることなく続けていたからこその今かと思います。
 
作品中にもカメオ出演していた本物のドニーとジョーが演奏する姿がエンディングで観られます。
客席でそれを幸せそうに見守る両親の姿も。

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『ショウタイムセブン』

『ショウタイムセブン』
監督:渡辺一貴
出演:阿部寛,竜星涼,生見愛瑠,前原瑞樹,平原テツ,内山昂輝,安藤玉恵,平田満,井川遥,吉田鋼太郎他
 
大阪でも積雪が見られた日、箕面シャンツェの異名をとる我が家の付近の道はやはり凍っていました。
この日は夙川にひとりランチの予約を入れていたので、その前後はTOHOシネマズ西宮でハシゴのつもりでしたが、
スタッドレスを履いているウチの車は大丈夫でも、まわりがどうかはわからない。
巻き込まれると厄介なので、箕面駅前までのみ車で行くことにしました。だって、駅まで歩くのも滑って転びそうだったから。
 
で、夙川でいつもどおりに酔っぱらい、阪急電車で大阪梅田へ。
大阪ステーションシティシネマにて終電近くまで映画を3本ハシゴ、その1本目。
 
大ヒットした『テロ,ライブ』(2013)のリメイクというけれど、当時それを劇場で観た人っていますか。
私は当然劇場鑑賞しましたが、私のまわりには観た人だれもおらんて。
めちゃめちゃ面白かったから、そのリメイクならさぞかし面白かろうと思っていたのに、寝てしもたやんか。(^^;
これは私が酔っぱらっていたからですか、それとも渡辺一貴監督と私の相性の問題ですか。
 
国民的ニュース番組『ショウタイム7』のメインキャスターだった折本眞之輔(阿部寛)は訳ありで降板を余儀なくされ、
ラジオ局に左遷されてからはマイナーな番組のパーソナリティを務めている。
 
ある日のラジオの生放送中、何者かからの爆破予告の電話が入った直後に発電所の爆破事件が発生。
すると、犯人を名乗る人物が交渉役として折本を指名。
 
折本は戸惑いつつもこれは復帰への絶好の機会になると睨み、『ショウタイム7』のスタジオへと乗り込むと、
これも生放送中のところ、折本の後任であるキャスター、安積征哉(竜星涼)と結城千晴(生見愛瑠)を蹴散らし、
自らがキャスターとして正体不明の犯人と交渉する姿を全国に生中継するのだが……。
 
客入り上々、満席でした。
その期待に違わず出だしは面白かったのに、なんだか芝居がかりすぎて嫌気が差し、私は睡魔に襲われる(笑)。
 
オリジナルの韓国作品のほうが明らかに緊迫感がありました。
阿部ちゃん、好きですよ。でもハ・ジョンウと比べるとアクが強すぎるせいなのか、長舌ぶたれると茶番にしか思えなくて。
視聴率のためならなんでもやっちゃうテレビ局。してやったり顔が嫌だ。
 
そういえば、犯人役が誰だかは明かされていないのですね。
書いたところでネタバレにはならないと思うんですけど、錦戸亮が演じています。
無精髭も似合っていて、良い演技でしたが、うん、茶番だ。
 
寝ちゃったところもちゃんと起きて観直したら印象変わりますか。
ほかに観るものがなくなったらそうします。

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『ファーストキス 1ST KISS』

『ファーストキス 1ST KISS』
監督:塚原あゆ子
出演:松たか子,松村北斗,吉岡里帆,森七菜,竹原ピストル,鈴木慶一,神野三鈴,リリー・フランキー
 
予告編が大好きで、絶対泣くやつと思いながら公開初日、109シネマズ箕面へ観に行きました。
 
監督は昨年から『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』と大ヒットを飛ばし続ける塚原あゆ子
 
最愛の夫を事故で失った妻が、タイムトラベルで夫が死ななかった人生をつくろうとする話だと思っていました。
予告編を観るかぎりはそんな感じだったので、不仲で離婚に至った夫婦の話だったのねと衝撃を受ける。
まぁ、大好きだった人が死なないようにするタイムトラベルの話ならちっとも珍しくないか。
 
45歳のカンナ(松たか子)は結婚して15年になる夫の駈(かける)(松村北斗)を突然失う。
仕事帰りだった駈は、線路にベビーカーごと落下した赤ちゃんを救おうとして飛び降り、
赤ちゃんを助けたものの、自身は列車に轢かれて死亡したのだ。
 
カンナは29歳のときに出会った駈からひと月も経たないうちにプロポーズされて結婚。
当初はとにかく楽しくて幸せだったのに、駈が生活のために意に馴染まぬ職に就いてからというもの、
ふたりの間にギスギスとした空気が流れ、顔を合わせればいがみ合うか無視し合うか。
事故当日、駈は離婚届を出しに行く予定だった。どうせなら提出してから死んでよねとつぶやくカンナ。
 
舞台の美術デザイナーとして活躍しながらもなんとなく虚ろな日々を過ごしていたある日、
入手困難で3年待ちだった餃子が届く。注文したことすら忘れていた商品。
こんなにも貴重な餃子なのに真っ黒に焦がしてしまい、餃子が届く前に戻りたいと願いつつ車に乗ると、
トンネルを走行中に崩落事故に遭い、異空間を通過。
たどり着いたのは15年前、駈と初めて会った日、会った場所で……。
 
こっちは45歳だけど、あっちは出会ったときの若いままの彼。
仏前に「今日、あなたに会ったよ。かわいくない? 目なんかキラキラさせちゃって」とカンナは報告します。
 
思い出してもムカつくぐらい、亡くなる前の駈は嫌なところばかりだった。
けれど出会った当時の彼はそうじゃない。
タイムトラベル中に撮った写真と、現在の家に残っている写真を見比べたカンナは、
今日の自分の言動がのちの彼の言動に影響を及ぼしていることを知り、
ならば彼が死ななかった人生をつくれるのではないかと考えます。
 
トンネルを抜ければ何度でもタイムトラベルできるけど、行き着く先はその日だけ。
彼が事故死しないで済むように、事故当日の彼の行動をレシートなどから洗い出す。
ホームに向かう時間を変更するためにカンナが考えつくことがとても面白い。
たとえばこの日、彼がコロッケを買いに行かないようにタイムトラベル先でそのコロッケ屋の悪口を言うとか。
すると、悪口を言うことを若い駈に咎められて、タイムトラベルをやり直す。
 
大好きだった人を失いたくないから人生を書き換えようとするよりは、
殴ってやりたいほど嫌だった彼でも生きていてほしかったから書き換えたい。
自分と共に歩む人生ではなかったとしても、彼が死なないでいてくれたら。
 
カンナと駈が何十回も同じ日を繰り返し、そのことを知っているのはカンナだけ。
しかしついに駈が15年後の自分の身に起こることについて知ってしまいます。
 
絶対泣くやつと思っていました。やっぱり泣きました。
タイムトラベルものとしてはちょっと意表を突かれた感じ。
ベタな恋愛お涙頂戴ものとは違って、笑えて、切ない。
 
最近、松村北斗がとても好きです。『秒速5センチメートル』も楽しみでたまらない。

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『BLUE FIGHT 蒼き若者たちのブレイキングダウン』

『BLUE FIGHT 蒼き若者たちのブレイキングダウン』
監督:三池崇史
出演:木下暖日,吉澤要人,篠田麻里子,土屋アンナ,久遠親,やべきょうすけ,一ノ瀬ワタル,
   加藤小夏,仲野温,カルマ,田中美久,金子ノブアキ,寺島進,高橋克典,GACKT他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『アンデッド/愛しき者の不在』の次に。
 
癌だとわかった弟からブレイキングダウンのことを私も教えてもらって観るようになりました。
 
そのブレイキングダウンが映画になると聞き、てっきりドキュメンタリーだと思っていたら、
なんですと!? 監督は三池崇史!? ほならめちゃめちゃフィクションじゃあないか。
 
少年院に入ったばかりの日、赤井竜馬(吉澤要人)はトイレで矢倉往年(いくと)(木下暖日)に声をかける。
喧嘩で負け知らずの往年がみんなから恐れられているとも知らないで。
そのおかげで竜馬と往年はすっかり親しくなる。
 
あるとき、少年院に講演にやってきたのが人気格闘家の朝倉未来(本人)。
彼の話を聴くまではほとんどの少年が将来の夢など持っていなかったが、
朝倉自身が少年院上がりで格闘家になる夢を叶えたと知り、努力すれば夢は叶うのだと考えるように。
 
少年院を出たら格闘家になると決めた往年と竜馬はキックボクシングのジムへ。
しかし、外にはふたりの因縁の相手がうようよしている。
特にその界隈を仕切っていた往年は、いなくなった往年に代わる吉祥丸盾(久遠親)に狙われる。
また、吉祥丸たちすら歯向かうことを避けてきた半グレ集団“クリシュナ”も現れて……。
 
ちょっと朝倉未来を持ち上げすぎじゃないかと思わないこともないけれど、
そもそも彼自身がエグゼクティブプロデューサーなのだし、それはそれで楽しみましょう。
というか、彼のファンしか観ないでしょうし。
 
典型的な青春もので、クサい台詞も多い。でも、三池監督作品はもともと好きだから楽しい。
少年院の良いほうの教官にやべきょうすけ、悪いほうの教官に一ノ瀬ワタル
ジムのオーナーに寺島進、不良どもが集うバーのマスターに金子ノブアキ
竜馬の母親には土屋アンナ、往年の両親は高橋克典篠田麻里子
クリシュナのリーダーをGACKTが演じています。
ワケわからん役でホリエモンが登場、山田孝之も着ぐるみかぶってカメオ出演。
こんなキャストも楽しいし、ずらり並ぶブレイキングダウン関係者を見るのもファンなら満足では。
 
「観てきたよ~」と弟に報告しました。

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『アンデッド/愛しき者の不在』

『アンデッド/愛しき者の不在』(原題:Handtering av Udode)
監督:テア・ヴィステンダール
出演:レナーテ・レインスヴェ,ビヨーン・スンクェスト,ベンテ・ボアシュム,アンデルシュ・ダニエルセン・リー,
   バハール・パルス,オルガ・ダマーニ,イネサ・ダウクスタ,キヤン・ハンセン他
 
なんばパークスシネマにて。
 
ノルウェー/スウェーデン/ギリシャ作品だということを忘れたまま観はじめ、
最後まで「これはどこの国の映画なんやろ」と思っていました(笑)。
そうでした、原作者は『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)や『ボーダー 二つの世界』(2018)と同じ、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストでしたね。
監督は本作が長編デビューとなるテア・ヴィステンダール、ノルウェー出身だそうです。
 
最初は何が起きているのか、何が起ころうとしているのかまったくわかりません。
ポスターなどを見たかぎりでは、子どもがゾンビ化してしまった母親の話かと。
そんな単純なものではなかったけれど、難解な話だというわけでもありません。
 
大切な人を失った3組の人々。
 
1組目は、目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた孫エリアスを亡くした老人マーラー。
エリアスの母親であるアナは息子を失ってからすっかり生きる気力を失っている。
 
2組目は、レズビアンの老女トーラで、長年連れ添ってきたエリザベスを亡くす。
 
3組目は、ダヴィッドとその娘フローラ、息子のキアン。
ダヴィッドの妻エヴァが外出先で交通事故に遭い、手術台の上で死亡する。
 
マーラーがエリアスの墓に参ると、土の下から物音がする。
孫は生きているに違いないと墓を掘り返すと、エリアスが生き返っていた。
また、葬儀を終えたばかりのトーラが床に就くと家の中で物音がする。
侵入者かと確かめに行くと、そこにはエリザベスがいるではないか。
ダヴィッドが臨終を告げられたエヴァのベッドの傍らで佇んでいると、エヴァの目が開く。
 
こんなふうに3組それぞれの「死んだはずの人」が生き返るわけですが、
あきらかに生前とは様子が異なり、彼や彼女のまわりをしょっちゅう虫が飛んでいます。
誰もひと言も口を利きませんが、ただ、何か言いたげな様子はあるし、涙も見せる。
 
最愛の人ならば、ゾンビになってもそばにいてほしいと思えるか。
3組とも最初はそう思う。けれどやはりゾンビはゾンビで、次第に様子が変わってゆきます。
食べ物を差し出せば噛みつかんばかり。ペットを渡せば力まかせに握りしめる。
そこにいるのは、もう自分たちが知っている人ではないのです。
 
アナ役は『わたしは最悪。』(2021)のレナーテ・レインスヴェ。
台詞は多くないせいで余計に悲哀が伝わってきました。
 
ラストの彼女の選択をどう受け止めますか。

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