MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『ファーストキス 1ST KISS』

『ファーストキス 1ST KISS』
監督:塚原あゆ子
出演:松たか子,松村北斗,吉岡里帆,森七菜,竹原ピストル,鈴木慶一,神野三鈴,リリー・フランキー
 
予告編が大好きで、絶対泣くやつと思いながら公開初日、109シネマズ箕面へ観に行きました。
 
監督は昨年から『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』と大ヒットを飛ばし続ける塚原あゆ子
 
最愛の夫を事故で失った妻が、タイムトラベルで夫が死ななかった人生をつくろうとする話だと思っていました。
予告編を観るかぎりはそんな感じだったので、不仲で離婚に至った夫婦の話だったのねと衝撃を受ける。
まぁ、大好きだった人が死なないようにするタイムトラベルの話ならちっとも珍しくないか。
 
45歳のカンナ(松たか子)は結婚して15年になる夫の駈(かける)(松村北斗)を突然失う。
仕事帰りだった駈は、線路にベビーカーごと落下した赤ちゃんを救おうとして飛び降り、
赤ちゃんを助けたものの、自身は列車に轢かれて死亡したのだ。
 
カンナは29歳のときに出会った駈からひと月も経たないうちにプロポーズされて結婚。
当初はとにかく楽しくて幸せだったのに、駈が生活のために意に馴染まぬ職に就いてからというもの、
ふたりの間にギスギスとした空気が流れ、顔を合わせればいがみ合うか無視し合うか。
事故当日、駈は離婚届を出しに行く予定だった。どうせなら提出してから死んでよねとつぶやくカンナ。
 
舞台の美術デザイナーとして活躍しながらもなんとなく虚ろな日々を過ごしていたある日、
入手困難で3年待ちだった餃子が届く。注文したことすら忘れていた商品。
こんなにも貴重な餃子なのに真っ黒に焦がしてしまい、餃子が届く前に戻りたいと願いつつ車に乗ると、
トンネルを走行中に崩落事故に遭い、異空間を通過。
たどり着いたのは15年前、駈と初めて会った日、会った場所で……。
 
こっちは45歳だけど、あっちは出会ったときの若いままの彼。
仏前に「今日、あなたに会ったよ。かわいくない? 目なんかキラキラさせちゃって」とカンナは報告します。
 
思い出してもムカつくぐらい、亡くなる前の駈は嫌なところばかりだった。
けれど出会った当時の彼はそうじゃない。
タイムトラベル中に撮った写真と、現在の家に残っている写真を見比べたカンナは、
今日の自分の言動がのちの彼の言動に影響を及ぼしていることを知り、
ならば彼が死ななかった人生をつくれるのではないかと考えます。
 
トンネルを抜ければ何度でもタイムトラベルできるけど、行き着く先はその日だけ。
彼が事故死しないで済むように、事故当日の彼の行動をレシートなどから洗い出す。
ホームに向かう時間を変更するためにカンナが考えつくことがとても面白い。
たとえばこの日、彼がコロッケを買いに行かないようにタイムトラベル先でそのコロッケ屋の悪口を言うとか。
すると、悪口を言うことを若い駈に咎められて、タイムトラベルをやり直す。
 
大好きだった人を失いたくないから人生を書き換えようとするよりは、
殴ってやりたいほど嫌だった彼でも生きていてほしかったから書き換えたい。
自分と共に歩む人生ではなかったとしても、彼が死なないでいてくれたら。
 
カンナと駈が何十回も同じ日を繰り返し、そのことを知っているのはカンナだけ。
しかしついに駈が15年後の自分の身に起こることについて知ってしまいます。
 
絶対泣くやつと思っていました。やっぱり泣きました。
タイムトラベルものとしてはちょっと意表を突かれた感じ。
ベタな恋愛お涙頂戴ものとは違って、笑えて、切ない。
 
最近、松村北斗がとても好きです。『秒速5センチメートル』も楽しみでたまらない。

—–

『BLUE FIGHT 蒼き若者たちのブレイキングダウン』

『BLUE FIGHT 蒼き若者たちのブレイキングダウン』
監督:三池崇史
出演:木下暖日,吉澤要人,篠田麻里子,土屋アンナ,久遠親,やべきょうすけ,一ノ瀬ワタル,
   加藤小夏,仲野温,カルマ,田中美久,金子ノブアキ,寺島進,高橋克典,GACKT他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『アンデッド/愛しき者の不在』の次に。
 
癌だとわかった弟からブレイキングダウンのことを私も教えてもらって観るようになりました。
 
そのブレイキングダウンが映画になると聞き、てっきりドキュメンタリーだと思っていたら、
なんですと!? 監督は三池崇史!? ほならめちゃめちゃフィクションじゃあないか。
 
少年院に入ったばかりの日、赤井竜馬(吉澤要人)はトイレで矢倉往年(いくと)(木下暖日)に声をかける。
喧嘩で負け知らずの往年がみんなから恐れられているとも知らないで。
そのおかげで竜馬と往年はすっかり親しくなる。
 
あるとき、少年院に講演にやってきたのが人気格闘家の朝倉未来(本人)。
彼の話を聴くまではほとんどの少年が将来の夢など持っていなかったが、
朝倉自身が少年院上がりで格闘家になる夢を叶えたと知り、努力すれば夢は叶うのだと考えるように。
 
少年院を出たら格闘家になると決めた往年と竜馬はキックボクシングのジムへ。
しかし、外にはふたりの因縁の相手がうようよしている。
特にその界隈を仕切っていた往年は、いなくなった往年に代わる吉祥丸盾(久遠親)に狙われる。
また、吉祥丸たちすら歯向かうことを避けてきた半グレ集団“クリシュナ”も現れて……。
 
ちょっと朝倉未来を持ち上げすぎじゃないかと思わないこともないけれど、
そもそも彼自身がエグゼクティブプロデューサーなのだし、それはそれで楽しみましょう。
というか、彼のファンしか観ないでしょうし。
 
典型的な青春もので、クサい台詞も多い。でも、三池監督作品はもともと好きだから楽しい。
少年院の良いほうの教官にやべきょうすけ、悪いほうの教官に一ノ瀬ワタル
ジムのオーナーに寺島進、不良どもが集うバーのマスターに金子ノブアキ
竜馬の母親には土屋アンナ、往年の両親は高橋克典篠田麻里子
クリシュナのリーダーをGACKTが演じています。
ワケわからん役でホリエモンが登場、山田孝之も着ぐるみかぶってカメオ出演。
こんなキャストも楽しいし、ずらり並ぶブレイキングダウン関係者を見るのもファンなら満足では。
 
「観てきたよ~」と弟に報告しました。

—–

『アンデッド/愛しき者の不在』

『アンデッド/愛しき者の不在』(原題:Handtering av Udode)
監督:テア・ヴィステンダール
出演:レナーテ・レインスヴェ,ビヨーン・スンクェスト,ベンテ・ボアシュム,アンデルシュ・ダニエルセン・リー,
   バハール・パルス,オルガ・ダマーニ,イネサ・ダウクスタ,キヤン・ハンセン他
 
なんばパークスシネマにて。
 
ノルウェー/スウェーデン/ギリシャ作品だということを忘れたまま観はじめ、
最後まで「これはどこの国の映画なんやろ」と思っていました(笑)。
そうでした、原作者は『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)や『ボーダー 二つの世界』(2018)と同じ、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストでしたね。
監督は本作が長編デビューとなるテア・ヴィステンダール、ノルウェー出身だそうです。
 
最初は何が起きているのか、何が起ころうとしているのかまったくわかりません。
ポスターなどを見たかぎりでは、子どもがゾンビ化してしまった母親の話かと。
そんな単純なものではなかったけれど、難解な話だというわけでもありません。
 
大切な人を失った3組の人々。
 
1組目は、目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた孫エリアスを亡くした老人マーラー。
エリアスの母親であるアナは息子を失ってからすっかり生きる気力を失っている。
 
2組目は、レズビアンの老女トーラで、長年連れ添ってきたエリザベスを亡くす。
 
3組目は、ダヴィッドとその娘フローラ、息子のキアン。
ダヴィッドの妻エヴァが外出先で交通事故に遭い、手術台の上で死亡する。
 
マーラーがエリアスの墓に参ると、土の下から物音がする。
孫は生きているに違いないと墓を掘り返すと、エリアスが生き返っていた。
また、葬儀を終えたばかりのトーラが床に就くと家の中で物音がする。
侵入者かと確かめに行くと、そこにはエリザベスがいるではないか。
ダヴィッドが臨終を告げられたエヴァのベッドの傍らで佇んでいると、エヴァの目が開く。
 
こんなふうに3組それぞれの「死んだはずの人」が生き返るわけですが、
あきらかに生前とは様子が異なり、彼や彼女のまわりをしょっちゅう虫が飛んでいます。
誰もひと言も口を利きませんが、ただ、何か言いたげな様子はあるし、涙も見せる。
 
最愛の人ならば、ゾンビになってもそばにいてほしいと思えるか。
3組とも最初はそう思う。けれどやはりゾンビはゾンビで、次第に様子が変わってゆきます。
食べ物を差し出せば噛みつかんばかり。ペットを渡せば力まかせに握りしめる。
そこにいるのは、もう自分たちが知っている人ではないのです。
 
アナ役は『わたしは最悪。』(2021)のレナーテ・レインスヴェ。
台詞は多くないせいで余計に悲哀が伝わってきました。
 
ラストの彼女の選択をどう受け止めますか。

—–

『遺書、公開。』

『遺書、公開。』
監督:英勉
出演:吉野北人,宮世琉弥,志田彩良,松井奏,髙石あかり,堀未央奈,忍成修吾,上村海成,
   川島鈴遥,荒井啓志,松本大輝,星乃夢奈,榊原有那,藤堂日向,菊地姫奈,大峰ユリホ,
   阿佐辰美,兼光ほのか,日高麻鈴,大東立樹,金野美穂,鈴川紗由,浅野竣哉,青島心,楽駆他
 
109シネマズ箕面にて。
 
原作はスクウェア・エニックスが発行する『月刊ガンガンJOKER』で連載されていた陽東太郎の同名漫画。
脚本を鈴木おさむが担当し、監督は“東京リベンジャーズ”シリーズの英勉
予告編を観て若者向きの作品だろうなぁと思いつつも、この監督と脚本のコンビなら面白いかもと思う。
 
高校2年生の新学期初日、D組になった生徒たち全員に「序列」を記したメールが届く。
序列には生徒ばかりか担任教師の甲斐原誠(忍成修吾)の名前もあった。
 
誰が何の目的でこんなものを送りつけてきたのかはわからないが、
序列1位と記されていた姫山椿(堀未央奈)はいつも笑顔で優しく、皆が1位にふさわしいと考える。
2位の赤崎理人(松井奏)は椿にコクって交際、ふたりは周囲の憧れのカップルに。
3位の御門凛奈(髙石あかり)は椿の親友。
 
一方、そんな生徒たちよりも低い10位に記された甲斐原はなかばスネ気味。
また、下位組の生徒たちは、華やかな上位組を見ながら控えめにそれなりの日々を送っている。
 
ところがその半年後、昼休みに教室を出たまま椿が帰ってこない。
凛奈がトイレに様子を見に行くと、椿は個室の把手にかけたロープで首を絞めて自殺していた。
 
葬儀に参列した生徒たちが教室に戻ると、全員の机の上に遺書が置かれているではないか。
差出人は椿になっているが、本当に彼女自身が書いたものなのか。
悪戯に決まっていると回収しようとする甲斐原に生徒たちは反発。
それぞれの遺書を公開して椿がなぜ自殺したのかを突き止めることにするのだが……。
 
たいして期待はしていなかったのですが、想像していたよりも面白くて没頭。
遺書には一見よいことばかり書かれているように思えるけれど、読み解くとこれは皮肉。
たとえば恋人だった理人への手紙では、よくよく読めば理人の浮気がバレていたようだし、
その人間性についても椿に見抜かれていたことがわかります。
 
1年生のときは椿と仲の良かった相畑詩帆(日高麻鈴)などは、自分が下位組であるせいで引け目を感じ、距離を置くように。
そのせいで椿が自殺したのかもしれないと責任を感じます。
また、椿のことをいちばんわかっていると思っていた様子の千蔭清一(宮世琉弥)の言動も面白い。
 
真相がわかるのは当然最後の遺書が公開されてから。それは池永柊夜(吉野北人)の遺書。
あ、じゃなくて、不登校の絹掛愛未(青島心)が駆けつけるんでしたね。
 
とにかく興味深かったのは廿日市くるみ(志田彩良)。
下位組のひとりで、人間観察が趣味だという彼女がキーとなっています。
 
みんなが豹変してドロドロっぷりを見せるのが怖くて面白い。
エピローグは要らなかったような気も私はしますけど。
 
1位がいいってわけじゃないらしい。こわっ。

—–

『美晴に傘を』

『美晴に傘を』
監督:渋谷悠
出演:升毅,田中美里,日高麻鈴,宮本凜音,和田聰宏,上原剛史,井上薫,
   阿南健治,織田あいか,菅沼岳,和田ひろこ,徳岡温朗他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
本ブログを書くときに参考にしている映画のデータベースには映画のタイトルと監督の名前、
キャストわずか3名の情報しか記載されていませんでした。
これって、ご当地ムービー的な要素の強い作品なのかと訝る。
ご当地ムービーはどれもそれなりに味があるものの、内輪で盛り上がっている感が強いのも事実。
で、スルー寸前だったのですが、イオンにコーヒーを買いに行くついでに観ようかと。
 
後から調べたことですが、渋谷悠監督は日本語と英語に堪能なバイリンガルで、どちらの言語でも本を書くそうな。
劇作家であり脚本家であり、舞台演出家でもあって、劇団も主宰。多才な人のようです。
 
結論から言って、スルーせずに観てよかった。
 
海沿いの町にひとり暮らす漁師の善次(升毅)。
息子の光雄(和田聰宏)も当然後を継ぐものと思っていたのに、詩人になりたいと言う。
詩人なんて食べて行けるわけがない、何を馬鹿なことをと腹を立てた善次は、光雄を家から追い出す。
 
上京した光雄は透子(田中美里)と結婚、2人の娘に恵まれる。
時折、光雄から善次のもとへ手紙が届いていたが、善次が返事を書くことはなかった。
そして、光雄は癌で亡くなってしまう。
 
透子から訃報を受け取りながらも、東京で執りおこなわれた葬儀に参列しなかった善次。
漁師仲間から声をかけられても陽気に返すことはできず、沈んだままのところへ、
四十九日を前にして、透子が長女の美晴(日高麻鈴)と次女の凛(宮本凜音)を連れて訪ねてくる。
 
息子の妻とはいえ、善次が意地を張っていたせいで一度も会ったことはなく、「はじめまして」。
しばらく滞在させてもらうと言って上がり込んできた3人に善次は戸惑うのだが……。
 
美晴は聴覚過敏の自閉症
突然やってきたそんな孫にどう接してよいかわからない善次は、つい「知恵遅れ」などと口走ってしまいます。
透子と娘たちはとても良い親子関係を築いてはいるものの、透子は美晴のことを心配しすぎ。
何も自分でやらせてもらえない心の裡を美晴は口に出すことができません。
 
凜がめちゃめちゃ良い子なんですよね。見た目はイマドキの子で、口も良くはない。
善次を訪ねることになったときも「会ったことのないお爺ちゃんなんて、ただの爺ちゃんじゃん」。笑いました。
けれど、姉の美晴のことをよくわかっていて、彼女の思いを尊重します。
 
まさか漁師の町でワイナリーの話が出てくるとは思わず、それも楽しかったところ。
 
いちばん心に刺さったのは、善次と書道の先生(井上薫)とのやりとりです。
光雄に返事をしなかったのは、実は善次が上手く字を書けなかったから。
詩人になるような息子なのだから、父親はちゃんとした字を書けなければ手紙を書くのは恥ずかしいと善次は思っていました。
書道を習いはじめたのに、手紙を書く前に息子が亡くなってしまった。
先生は「漢字の書き順が大事だ」と言っていた。人の場合も同じではないのか。
親より先に子どもが死ねば、めちゃくちゃになるのではないかと言う善次に、先生は答えます。
確かに順序は大事だと言ったけど、たとえ順序が変わっても、意味は変わらないと。
 
そう思いたいです。

—–