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『お名前はアドルフ?』

『お名前はアドルフ?』(原題:Der Vorname)
監督:ゼーンケ・ヴォルトマン
出演:クリストフ・マリア・ヘルプスト,フロリアン・ダーヴィト・フィッツ,カロリーネ・ピータース,
   ユストゥス・フォン・ドナーニー,ヤニナ・ウーゼ,イリス・ベルベン他
 
緊急事態宣言発令前も解除後も、この劇場がいちばん客が入っている気がします。
上映時間と上映時間の間には、スタッフがひとつずつ座席を拭いていらっしゃいます。
京都シネマで3本ハシゴの1本目。
 
こんな内容だからてっきりもともとドイツで生まれた話だと思っていたら、
オリジナルは2010年にパリで初演された人気舞台劇
それをゼーンケ・ヴォルトマン監督が映画化してドイツで大ヒット。
 
哲学者文学教授のシュテファンと国語教師の妻エリザベトは、
エリザベトの弟夫婦のトーマスとアンナ、
エリザベトとトーマスの幼なじみで姉兄弟のように育ったレネを招き、
ホームパーティーを始めるところ。
 
まずレネとトーマスがやってきて、妊娠中のアンナのお腹の中にいる子どもの話に。
男の子だということで、トーマスはすでに名前を決めているらしい。
それをみんなで当てようと、口々に名前を挙げはじめるが全部ハズレ。
トーマスから正解を聞いて唖然、「アドルフ」だと言うのだ。
 
アドルフ? あのアドルフ?
ヒトラーの忌まわしき名前を息子に付けるなんてどうかしている。
ありえないことだと全員が非難するのだったが……。
 
もとが舞台劇なので、夫妻の家の中だけで事は進み、
登場人物も彼ら以外は電話で話すエリザベトの母親のみ。
この雰囲気は『おとなの事情』(2016)に似ています。
 
最初はアドルフという名前について議論していたのに、
次第に彼らのあれやこれやが明らかになる。
母親の恋人って、え、そうだったの!?とか、
良き妻のはずのエリザベトが実はそんなに鬱屈した思いを抱えていたのかとか。
 
日本人とはちょっと笑いのツボが違うのでしょう、大笑いにはならない。
まぁ、妻の不満というものは全世界共通なのかなと思うぐらいで。
 
「アドルフ」という名前について、法律で語られているところが面白かった。
禁止されているだろうそんな名前はとシュテファンがスマホで調べたら、
基本的には禁止ではない、その名前を付ける理由が納得できるものであれば、なんですって。
「アディダス」の創始者の名前がアドルフだということも初めて知りました。
アディダスのアドルフはまさか後にヒトラーが出てくるなんて思いもしなかったでしょうけれど。(–;
そんなこんなで、いろいろと物知りになれます。

—–

『今宵、212号室で』

『今宵、212号室で』(原題:Chambre 212)
監督:クリストフ・オノレ
出演:キアラ・マストロヤンニ,ヴァンサン・ラコスト,カミーユ・コッタン,
   バンジャマン・ビオレ,キャロル・ブーケ他
 
予告編を観たとき、ちょっと面白そうだと思いました。
しかしさほど評判がいいわけでもなく、上映終了が近づいてくる。
もうパスだなと思いはじめた頃、
前述の『君がいる、いた、そんな時。』とハシゴする機会が訪れました。
同じくテアトル梅田にて。
 
フランス/ルクセンブルク/ベルギー作品。
 
パリに暮らすマリアとリシャールは結婚して20年。
大学で教鞭をとるマリアは、若い男に目がない。
気に入った相手を見つけると自分から誘って即ベッドイン。
火遊びと割り切り、寝た男の数は両手でも足りないほど。
一方のリシャールはピアニスト
マリアと出会ってから25年、一度も浮気したことはない。
 
その日も浮気をしたマリアは、何食わぬ顔をして帰宅。
しかし彼女のスマホの画面を偶然見てしまったリシャールは、
そこに並ぶ男からの甘い言葉に唖然。
マリアに詰め寄ると、まるで悪いとは思っていない様子。
 
ふて寝をするリシャールを放置して、
向かいのホテルの212号室に泊まることにしたマリアだったが、
目の前に25歳のリシャールが現れて……。
 
ジャンルとしてはファンタジーになるのでしょうかね。
「マジカルロマンティックコメディ」というらしい。
 
マリアの前に登場するのは若かりし頃の夫のみならず、
夫がまだ16歳だった頃の情事の相手や、
ひと部屋には入りきれないと思うほどの数のマリアの浮気相手。
 
マルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴの娘だなんて、大変。
でも、美しい歳の取り方をしていると思います。
 
「若気の至り」じゃなくて「青春時代の酔狂」というのがものすごく気に入りました。
みんな大なり小なりそんなものがあるはず。
 
羨ましいのはこのアパルトマンの環境。
映画館の上階で、向かいにはこんな洒落たホテル。
静かな生活ができるかどうかは知らんけど、いいなぁ、徒歩30秒で映画館へ行けるなんて。
私だって、車で5分で行ける映画館があるからいっか。

—–

『君がいる、いた、そんな時。』

『君がいる、いた、そんな時。』
監督:迫田公介
出演:マサマヨール忠,坂本いろは,小島藤子,阪田マサノブ,岸本雄二他
 
観た順にUPして行くはずが、このところ劇場に通いすぎていて、
1日1本観た順にUPするマイルールを守っていると、
どの作品もUPする頃には上映終了間際になってしまうのです。
かと言って1日複数回UPするのはしんどいから、
どうしても先にご紹介したい作品は順序を無視してUPすることにしました。
 
テアトル梅田の上映スケジュールをぼんやりと眺めていたとき、
本作の舞台挨拶付きの回があると知りました。
どんな作品なのかなと思ったら図書室がどうとかこうとか書いてある。
図書館が出てくる作品は外せないでしょ、観てみよう。
 
舞台は広島県呉市の小学校。
その呉市出身の迫田公介監督の長編映画デビュー作なのだそうです。
 
岸本正哉(マサマヨール忠)は、父親が日本人、母親がフィリピン人。
ハーフであることをからかわれ、そこそこに酷いいじめを受けている。
そんな彼の心の支えは、毎日放課後に図書室へ行くこと。
本を読むのが好きで、自ら小説を執筆中の正哉に対して、
司書の山崎祥子(小島藤子)だけが優しく接してくれる。
 
同じクラスの香山涼太(坂本いろは)は変わり者として有名。
放送委員の涼太は、DJカヤマを名乗って校内放送に力を注ぐが、
うるさいだけでちっとも面白くない放送をみんな鬱陶しがって嘲笑うだけ。
それでも気にせずにマイペースで放送を続ける涼太に正哉は半ば呆れている。
 
ある日、またいじめられた正哉が、誰もいない屋上で鬱憤を晴らそうとしたところ、
どこからともなく現れた涼太が、「英語が話せるなら放送に参加して」と言う。
冗談じゃないと断る正哉だったが、涼太はしつこくつきまとう。
挙句、図書室までやってくると、正哉が祥子と過ごす時間に割り込んできて……。
 
演技初挑戦の小学生が主役とあって、上手だとは言いがたいのですが、
そのぶん、とても初々しい。
役の上での彼のことも、俳優としての彼のことも応援したくなります。
 
心ない言葉に傷つけられ、いじめに遭っているのに、
気づかないのか気づかないふりをしているのか、てんで頼りにならない担任教師。
自分がこんなにも悩んでいるのに、いじめられる原因の母親は能天気に見える。
でも、母親が口ずさむ歌の意味を知れば、能天気なばかりではないことがわかります。
 
フィリピーナだといじめられる正哉だけど、彼には愛情深い両親がいる。
一方、明るくふるまっている涼太は家庭環境に問題があり、
また、祥子の心にもとてつもなく大きな闇がある。
「自分だけどうしてこんな目に」みたいにふてくされた顔をしていた正哉が、
涼太や祥子の心の傷、そして母親の心の裡を感じて立ち向かいます。
 
この前日に観た『コンフィデンスマンJP プリンセス編』の豪華な舞台挨拶とは異なり、
監督がたったひとりで乗り込んできた舞台挨拶。
髪の毛金色なのに(笑)訥々と話す監督の真摯な態度に、頑張れと声をかけたくなりました。
監督が涙声になるもんだから、一緒に泣きそうになってしまった。(^^;
そんな監督に情が移り、書き溜めてある15本以上を保留してこれを先にUPする次第です。

—–

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』
監督:田中亮
出演:長澤まさみ,東出昌大,小手伸也,小日向文世,関水渚,ビビアン・スー,白濱亜嵐,古川雄大,
   滝藤賢一,濱田岳,柴田恭兵,北大路欣也,竹内結子,三浦春馬,広末涼子,江口洋介他
 
前述の『ゲド戦記』からここまでの間に観た作品は15本以上あるのですが、
せっかくなので封切りしたばかりの本作を先にUP。
 
タダで観られる回にすりゃよかったんです。
でも時間的にちょうどいいのが公開初日だった昨日の初回、舞台挨拶生中継付きの回で。
昼から動楽亭でおこなわれる寄席に行く前にTOHOシネマズ梅田にて。
 
劇場版第2弾。
TVドラマ版はまったく観たことのないまま第1弾を観に行きました。
めっちゃ面白かったけど、その後もTVドラマ版の再放送等は観ず。
んなもん手を出したらきっとハマって、映画を観る時間も本を読む時間も無くなってしまう。
 
10兆円の資産を持つ大富豪レイモンド・フウ(北大路欣也)が亡くなる。
遺産を相続するであろうフウの子どもは、長女ブリジット(ビビアン・スー)、
長男クリストファー(古川雄大)、次男アンドリュー(白濱亜嵐)の3人。
ところが、フウの忠実な執事トニー(柴田恭兵)が読み上げた遺言書には、
誰もその存在すら知らなかった4番目の子ども、ミシェルに全財産を遺すと書かれていた。
 
世界中から自分こそミシェルだと名乗る人間が現れるが、もちろん偽物。
そこでダー子(長澤まさみ)がミシェルに仕立て上げたのは、
こくりこくりとうなずくことしかできない身寄りのない少女コックリ(関水渚)。
ダー子が母親として彼女に付き添い、フウの遺産を丸ごと頂戴すべくシンガポールへと乗り込む。
 
TVドラマ版や第1弾を観ていない人も問題なく楽しめると思います。
出てくるひと皆、無名な人はいないぐらいの豪華キャスト。
舞台挨拶では「あの人を観に、この人を観にという感じで観に来てもらえれば、
20回でも30回でも楽しめます」と言うてましたが、
 
誰も死なない。誰も傷つかない。
騙されたほうすら喜んでいる。←江口洋介演じる赤星のカワイイこと。(^O^)
ボクちゃん役の東出昌大は、本作のおかげで復帰できるんじゃないかと思うぐらい、
なんかいい感じで、モテるのもわかると初めて思えました。
関水渚って、広瀬すずに似てるなぁと思ったら、ネットでもそう噂されている。
観ている間じゅう、これは広瀬すずか?違うよね?やっぱりそうか?と思い、
エンドロールで違うということを確認してしまいました。そこまでは似てない?
デヴィ夫人、ワラける。劇場内、大爆笑。
 
三浦春馬が亡くなったことに触れられるかと思ったけれど、それは無し。
追悼の言葉があってもよかったようには思います。
彼が自ら命を絶ってしまったのは本当に残念です。もういないなんて。
彼の本作での華麗なプレイボーイぶりを目と心に焼き付けました。

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『ゲド戦記』

『ゲド戦記』
監督:宮崎吾朗
声の出演:岡田准一,手嶌葵,菅原文太,田中裕子,香川照之,
     風吹ジュン,内藤剛志,倍賞美津子,夏川結衣,小林薫他
 
宮崎駿監督の息子・吾郎の初監督作品ということで
2006年に鳴り物入りで公開されたジブリ作品も現在あちこちで上映中。
イオンシネマ茨木で『アンチグラビティ』を観た後、
そや、これも劇場で観たことないんやったわとついでに観て帰ることに。
 
SF作家アーシュラ・K・ル=グウィンの世界的に有名なファンタジー。
もともとは宮崎駿が原作の大ファンだったそうです。
原作者のル=グウィンは、もしも映画化する話があれば、
OKを出せるのは宮崎駿だけだと言ったとか。
それを聞いた駿さんは喜んだものの、日程的に無理があって見送り、
ジブリでどうしても映画化をという話になり、
結局監督することになったのが息子の吾郎さん。
 
均衡が崩れつつある世界で、自分の父親である国王を刺してしまった王子アレン。
宮殿を飛び出し逃げる途中で出会った偉大な魔法使いハイタカ(ゲド)と共に旅へ。
ハイタカは心に闇を持ち怯えるアレンをを旧知の女性テナーのもとへと連れてゆきます。
そこには親に捨てられた少女テルーも住んでいますが、
彼女は、自分の命を大切にしようとしないアレンを嫌悪している様子。
 
当時、ヴェネツィア国際映画祭で特別招待作品として上映されましたが、評判は散々。
国内外で2006年度の最低映画との評価を受けました。
そこまで酷く言われる映画を観ておかなきゃと観に行ったわけですが、
かろうじて寝ませんでした(笑)。
 
なんだか「ぶつ切り」な印象で、これは脚本がよくないんですかね。
と思ったら、吾郎さん本人が脚本も書いている。
辻褄の合わないシーンが多くて、まぁ、そりゃ酷評されるかなぁ。
 
でも、これ、デビュー作ですもんね。
スタジオジブリのお膳立てがあるとはいえ、1本目がこれならいいのでは。
 
偉大すぎる父親を持つと常に比較されて大変ですが、応援しています。

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