『六月燈の三姉妹』
監督:佐々部清
出演:吹石一恵,吉田羊,徳永えり,津田寛治,市毛良枝,
西田聖志郎,井上順,重田千穂子,山上康弘他
『結婚しようよ』(2007)、『ツレがうつになりまして。』(2011)、
そして1カ月半前に観たばかりの『東京難民』の佐々部清監督の作品。
監督としてはどちらかと言えば好きかなぁという程度。
さほど惹かれるキャストでもなかったため、ほぼノーマークでした。
本作によく知っている場所が出ているとのこと。
今は神戸の新開地に暮らす彼女がその前に住んでいたのは鹿児島。
いつもチャリで走り回っていたのがまさに本作で舞台となっている商店街らしい。
彼女のおかげでお知り合いになれた人は今も鹿児島在住の美術の先生。
先生が送ってきてくださったお手製の絵葉書を眺め、やっぱり本作を観に行くことに。
「映画の日」にTOHOシネマズ西宮にて。
鹿児島市鴨池地区にある、下町風情が色濃く残る真砂商店街。
ちょっとさびれたこの商店街にたたずむ、家族経営の和菓子店“とら屋”。
ある日、離婚を決意した次女の奈美江(吹石一恵)が東京から戻ってくる。
母親の惠子(市毛良枝)は娘の離婚話にもまったく動じる気配がない。
それもそのはず、惠子自身もバツ2で、別れた前夫の眞平(西田聖志郎)とは今も同居。
菓子職人として店を守る眞平も、妙な同居生活に不満はなさそうだ。
別れ癖のついた家系とも言えそうだが、いつも明るい惠子。
そこへ、奈美江を追って夫の徹(津田寛治)がやってくる。
離婚の意志が固い奈美江に対し、考え直してほしいと懇願する徹。
とりあえず徹が帰る日までは離婚話を保留することになり、
“六月燈”のさいに売り出す新作和菓子の準備に全力で取りかかるのだが……。
六月燈(ろくがつどう)は、旧薩摩藩領だった地域の神社や寺院でおこなわれるお祭りだそうです。
和紙に思い思いの絵や文字を綴った灯籠を奉納し、設置されたステージ上では歌や踊りを。
境内に縁日が立ち並ぶ様子が、それはそれは楽しそう。
三姉妹が振り付きで歌うのはキャンディーズの“暑中お見舞い申し上げます”。
美人三姉妹としてステージに上がるものの、
世間から美人美人と言われているのは静江と奈美江だけ。
眞平と唯一血が繋がっている栄は、姉たちと比べられて劣等感を抱いています。
かと言って、姉たちには悩みがないわけではなく、それどころか満載で、
三姉妹がとつとつと話しながら並んで歩くシーンも○。
悪役の多い津田寛治がこんなにもお人好しで、コメディにハマるとは。
眞平や惠子や栄とのやりとりの間(ま)が絶妙でクスクス笑い。
鹿児島ではとりあえずビールじゃなくて焼酎なんだということにもニヤリ。
あまり期待していなかったからということもありますが、
ほのぼの優しい、鑑賞後に爽やかな気持ちになれる作品でした。
鑑賞後、友人に「観てきたで~」とメールしました。
ロケ地や協力先に鴨池小学校や鴨池中学校同窓会が挙げられていたと話したら、
ある俳優(あえて名前は伏せますが、とっても売れっ子)が鴨池中学校出身だと教えてくれました。
先に聞いていたらもっと笑っていたはず。
だってその俳優さん、見合い写真にだけ登場していましたから。
「チャン・ドンゴンばりの男前だけど、アンポンタンのろくでなし」という設定で。(^^;
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