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『きっと、またあえる』

『きっと、またあえる』(原題:Chhichhore)
監督:ニテーシュ・ティワーリ
出演:スシャント・シン・ラージプート,シュラッダー・カプール,
   ヴァルン・シャルマ,プラティーク・バッバル他
 
シネマート心斎橋にて、前述の『鬼手』とハシゴ。
こっちが本命でしたが、思いがけず『鬼手』が面白くて。
これもよかったのはよかったけれど、
『きっと、うまくいく』(2009)の二番煎じか三番煎じみたいなこの邦題、
魂胆見え見えでイマイチじゃないですか。(^^;
ちなみに原題の“Chhichhore”はヒンドゥー語で「お気楽な」みたいな意味だそうです。
 
監督は『ダンガル きっと、つよくなる』(2016)」のニテーシュ・ティワーリ。
ま、そのときの邦題からしてすでに二番煎じの感がありましたもんね。
『きっと、うまくいく』を超えるのは厳しそうです。
主演は『PK』(2014)にも出演していたスシャント・シン・ラージプート、
ヒロイン役は『サーホー』(2019)のシュラッダー・カプール、美人だなぁ。
 
アニは名門ボンベイ工科大学出身のエリート。
妻のマヤと別れ、一人息子のラーガヴはアニと豪邸で暮している。
ラーガヴはアニとマヤどちらとも良好な関係を築いており、
目下の悩みは進学のことだけだと思われていたが、
合格発表の日、不合格の通知を見たラーガヴは飛び降り自殺を図る。
 
一命は取り留めたものの、脳内に出血があり、予断を許さない状況。
医師曰く、ラーガヴには生きる意志が希薄で、これは致命的だと。
無意識のうちにラーガヴにプレッシャーをかけていたと知ったアニは、
自身の大学時代、負け犬と呼ばれていたことをラーガヴの枕元で話しはじめるのだが……。
 
負け犬というけれど、負け犬でもないのです。
たまたまアニが入寮することになった学生寮4号棟が
10個ある寮のうち、いちばんボロくて変人が集まる棟。
意識のないラーガヴに想い出を語るうち、
懐かしくなってアニはかつての仲間に連絡を取ります。
やがて意識を取り戻したラーガヴの病室に皆が集まり、
話を聴くうちにラーガヴの気持ちが変化してゆきます。
 
こんな話がよくない話であるはずもなく、最初から最後まで楽しい。
ただ、『きっと、うまくいく』と比べると、スケールが小さい。
うん、まぁ、こんなもんかなで終わってしまうのでした。
エンドロールまで踊りもないし、ちょっと寂しい気も。
 
それにしてもインド作品を観るといつも思うのが、
同じ人との会話の中で、今ヒンドゥー語で話していたはずが
いきなり英語で話しはじめたり。どうなっているのか知りたい。
 
学生時代と今を同じ役者が老けメイクをほどこして演じています。
老けメイク苦手な私だけど、これはなぜか大丈夫でした。めっちゃ自然。
 

—–

『鬼手』

『鬼手』(英題:The Divine Move 2: The Wrathful)
監督:リ・ゴン
出演:クォン・サンウ,キム・ヒウォン,キム・ソンギュン,ホ・ソンテ,ウ・ドファン,
   ウォン・ヒョンジュン,パク・サンフン,チョン・インギョム他
 
平日の晩に食事に行くことになり、時間休を取るつもりでしたが、
どうしても本作を観たくなって、午後休に変更。シネマート心斎橋へ。
 
囲碁とアクションの異色の組み合わせ」ってどないよ。
と観る前は笑っていたけれど、午後休を取ってでも観に行ってよかった。
なんでこんなに面白いの。
 
囲碁の世界で神と崇められるファン・ドギョンの屋敷。
孤児の姉弟は清掃をして駄賃をもらい、なんとか日々を凌いでいた。
ある日、姉が自ら命を絶つ。
姉を死に追いやったドギョンに復讐を誓う少年。
 
ドギョンに勝負を挑むだけの力をつけるため、
碁盤を背負ってまずはソウルへと向かった少年は、
不良に追われてなけなしの金を奪われてしまう。
当面の金を稼ぐつもりで碁会所へと乗り込んだ少年は、居合わせた大人全員に勝つ。
その様子を見ていたのがホ・イルド。
 
イルドは少年の囲碁の素質を見抜き、徹底的に教え込む。
見事に才能を開花させた少年とイルドはコンビを組んで賭け碁で荒稼ぎ。
しかしふたりに負かされた者の恨みを買い、イルドは殺されて……。
 
囲碁の盛んな国のひとつが韓国であることすら知りませんでした。
囲碁と聞くと目の色を変え、負けるとプライドがずたずたにされる。
命が危険にさらされることさえ考慮しておかなければならないというのは
映画の中だけのことだと思いたいですが、
そこにお金が絡むとなると、命を奪われることだってあるのでしょうね。
 
少年が成長してからを演じるのがクォン・サンウ
私、実はこの人はかなりタイプのようです(笑)。
本作のようなシリアスな役をしているときも非常にカッコいい。
鍛え抜かれた肉体が美しく、思わず惚れ惚れ。
囲碁の腕を磨きながら、狙われたときのために肉体も鍛えなあかんとは。
彼を恨んで追いかけるサイコ野郎役にはウ・ドファン。彼もイイ。
 
最後のプロ棋士100人との対決も見応えがあります。
やっぱりチェス将棋も囲碁も、賢くないとでけんなぁ。

—–

『ジョーンの秘密』

『ジョーンの秘密』(原題:Red Joan)
監督:トレヴァー・ナ
出演:ジュディ・デンチ,スティーヴン・キャンベル・ムーア,ソフィー・クックソン,
   トム・ヒューズ,ベン・マイルズ,テレーザ・スルボーヴァ,ニーナ・ソサーニャ他
 
TOHOシネマズで貯まったポイントを使う機会がなかなかないので、
何の割引もない木曜日を選んで鑑賞。
TOHOシネマズ西宮にて、この日が本作の上映最終日でした。
 
“実話に基づく”だらけですねぇ。
原作は2013年に発表された英国人作家ジェニー・ルーニーの同名小説。
80代の老女メリタ・ノーウッドがスパイ容疑で逮捕されたという、
2000年に起きた実際の事件をモチーフにした小説です。
 
息子はとっくに独り立ちし、夫の亡き後、ひとりで静かに暮らすジョーン・スタンリー。
ところが2000年5月、自宅に突然MI5の職員が現れ、ジョーンは逮捕される。
容疑は、ソ連に原爆開発に関する機密情報を漏洩したというもので……。
 
大半は1938年の回顧シーン。
2000年のジョーンを名優ジュディ・デンチ(『キャッツ』は悲惨だったけど(^^;)、
1938年のジョーンをソフィー・クックソンが演じています。
 
ジョーンはケンブリッジ大学で物理学を学ぶとても優秀な学生でした。
在学中に友人になった快活な女性ソニアを通じて、
共産主義者でユダヤ系ドイツ人の青年レオ・ガーリチと知り合い、恋をします。
大学を首席で卒業した彼女はその賢さを買われ、
原爆開発の極秘プロジェクトのメンバーに抜擢されます。
 
話の流れから、彼女は自分がスパイを働いているなんてことに気づかず、
好きになった相手に利用されて、情報を渡していたのかと思っていました。
でもそうではない。KGBの一員となったレオにいくら言われようと、
機密情報は教えられないと頑として断ります。
 
しかし、広島に原爆が投下されるのを見て、心が押しつぶされそうになった彼女は、
同盟国であるソ連とも情報を共有すべきだと考え始めます。
皆が原爆を持てば、お互い投下し合うなんてことはなくなる。
核兵器の恐ろしさを皆が同等に理解していれば、これが使われることはなくなると。
 
原爆のつくり方を知らせることで平和を保つ。
凄い考え方があるものだと思ったけれど、
じゃあ彼女はどうすべきだったのかと思うと、ほかに答えが見つからない。
 
ちょうど前日に『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』を観たところだったので、
スターリンを崇拝していたレオたちを見ると、虚しい気持ちが募ります。

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『窮鼠はチーズの夢を見る』

『窮鼠はチーズの夢を見る』
監督:行定勲
出演:大倉忠義,成田凌,吉田志織,さとうほなみ,咲妃みゆ,小原徳子他
 
先週末の公開時は客が押し寄せたようで、土日共によく混んでいました。
いったいみんな誰目当てなの?大倉くん成田くん?などと思いながらスルー。
週が明けてから仕事帰りに109シネマズ箕面にて。客は私を含めて3人。
 
そういえば同監督の『劇場』がコロナの間にAmazonプライムビデオで配信開始されたのに、
劇場で映画を観るのに忙しくて、家で観る時間がありません(泣)。
 
サラリーマンの大伴恭一(大倉忠義)の前に大学時代の後輩・今ヶ瀬渉(成田凌)が現れる。
興信所に勤める渉は、恭一の浮気調査を請け負って調べているのだと言う。
真っ黒の事実を恭一の妻・知佳子(咲妃みゆ)には報告しない代わりに、
渉は7年前からずっと好きだったと恭一に打ち明けてキスを求める。
 
約束どおり、渉は知佳子に浮気の事実なしと偽報告したようだが、
実は知佳子こそが不倫をしていて、別れやすくなるように恭一の身辺を調べただけ。
まさか知佳子から別れてほしいと言われるとは思わず、呆然とする恭一。
 
転居した恭一のもとへ転がり込んできた渉。
自分はゲイではないと頑なに渉を拒んできた恭一だったが、
いつしか自身もよくわからない感情が芽生え、
恭一にとって渉は特別な存在となってゆく。
 
一方、勤務先には恭一を慕う部下・たまき(吉田志織)がいる。
また、浮気相手の瑠璃子(小原徳子)との関係もなかなか切れず。
そんなとき、大学時代のサークル仲間・夏生(さとうほなみ)と再会して……。
 
行定監督の作品は売れる。
人気の原作で、人気のキャスト、人気の音楽だから、売れないわけがない。
でも私は泣けない(笑)。
そもそも恭一の魅力がわからんのです。こんな勝手な男がなぜモテる。
まぁ、顔がタイプじゃないからなぁ(笑)。
 
本作の見どころは、やはり主演ふたりの絡みのシーンでしょう。
R15+作品で、そりゃまぁそうやわな、小中学生は観たらあかん。(^^;
男も女も脱いでます。かなり濃厚。
 
あまり心打たれるところも私にはなかったけれど、
唯一、渉が恭一から誕生日プレゼントにもらったワインを
ものすごく大事そうに抱きしめる成田凌の表情はよかった。
切なさに胸をキューッと絞られるような顔をしています。
恭一から「変態」とあきれられながらも恭一の部屋着を着たがるところとか、
おおっ、これはわかるわかるなんて思いました。
 
このふたりが上手く行ってほしいと思う半面、
恭一を想うのはツライでしょと思ったりも。

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『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』

『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』(原題:Hors Normes)
監督:エリック・トレダノ,オリヴィエ・ナカシュ
出演:ヴァンサン・カッセル,レダ・カテブ,エレーヌ・ヴァンサン,ブライアン・ミヤルンダマ,
   バンジャマン・ルシュール,マルコ・ロカテッリ,アルバン・イヴァノフ他

              
梅田で3本ハシゴの3本目。
2本目の『喜劇 愛妻物語』と同じく大阪ステーションシティシネマにて。
 
実話に基づくフランス作品です。原題の“Hors Normes”は「規格外」の意。
この副題はまったく好きじゃないけれど、
これぐらいの副題を付けておかなければ人の興味は引けないとも思います。
偽善臭を感じなくもない副題ですが、内容は偽善に走ったものではありません。
 
自閉症の子どもたちをケアする2つの団体。
彼らに住居を提供し、就職可能であれば仕事先も探すのが“La Voix des Justes(=正義の声)”。
その“正義の声”へ支援員の若者たちを派遣するのが“L’Escale(=寄港)”。
“正義の声”をブリュノが、“寄港”をマリクが運営している。
 
“正義の声”の入居希望者は増える一方だが、15年間無認可のままで赤字経営。
ただでさえ大変だというのに、厚生局の監査が入ることに。
「何とかする」というのが口癖のブリュノも危機に直面するのだが……。
 
24時間ケータイを手放すことなく、自閉症児のケアを続けるブリュノ。
どんな重度の症状を持つ子どもであれ、ブリュノは決して断りません。
一方のマリクは、いわゆる不良を社会復帰させるために“寄港”を運営し、
そこらでたむろしていた若者たちを支援者に育て上げています。
サボリなんて当たり前、言葉遣いも知らない若者を叱咤激励。
気にかけられているのがわかるから、彼らもそれに報いようとします。
 
自閉症の症状の重さはさまざまで、自傷行為を止められない少年ヴァランタンや、
電車の非常ベルを見ると押したい衝動に駆られてしまう青年ジョゼフなどなど。
ジョゼフが非常ベルを鳴らすたびに呼び出されて迎えに行くブリュノが、
駅員や警官に詫びた後に「ちなみにどこで押しましたか」と尋ねるのが可笑しい。
ジョゼフがどこまで我慢できたかをさりげなく確認しているんですねぇ。
 
この施設が閉鎖されたらどうなるのか。
重度の子どもほど薬漬けにされ、部屋の中に閉じ込められるという現実。
支援員の資格の有無をお役人は問うけれど、
資格がありさえすれば子どもを殴ってもよいのか。そんなの変。
 
絶世の豊満美女(笑)、モニカ・ベルッチの元旦那ヴァンサン・カッセルがブリュノ役。
昔は色男役ばかりだったのに、こんな役が似合うとは不思議。
マリク役のレダ・カテブと共に、実に良い。
 
見ないふりをしないで、せめて一緒に考えられたら。
ぜひご覧いただきたい作品です。

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