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『きみの瞳が問いかけている』

『きみの瞳が問いかけている』
監督:三木孝浩
出演:吉高由里子,横浜流星,やべきょうすけ,田山涼成,野間口徹,
   奥野瑛太,般若,森矢カンナ,坂ノ上茜,町田啓太,風吹ジュン他
 
前述の『鵞鳥湖の夜』を観た後、同じく109シネマズ大阪エキスポシティにて。
公開前週だった10月15日1日限定の先行上映を鑑賞しました。
 
2011年の韓国作品『ただ君だけ』を原案にしているそうです。
チャップリンの『街の灯』(1931)をモチーフにしているとのこと。
あんな名作をモチーフにするって、大胆すぎる(笑)。
 
キックボクサーとして将来有望だった篠崎塁(横浜流星)は、
悪い仲間とつるんでいたせいで事件を起こし、服役する。
出所後は世話になったジムには戻らず、配送のバイトで身を立てていたが、
駐車場の管理事務所で夜間も仕事を始める。
 
その仕事の初日、事務所に突然現れたのが柏木明香里(吉高由里子)。
彼女はかつて事故に遭って両親を亡くし、自らも視力を失った
前任の管理人が辞めたのを知らずに気安く入ってきたのだ。
 
お互い驚いたものの、明香里はその後もしばしば事務所を訪れるように。
心が荒みきっていた塁は、明香里の明るさに癒やされ、
もう一度キックボクシングを始めて……。
 
何が驚いたって、いつもわりとクールな善人役のイメージがある野間口徹が、
明香里のゲス上司役だったこと(笑)。
ほんとにキモくて、今後は見る目が変わってしまいそう。(^^;
ジムのトレーナーを演じるやべきょうすけは温かくてすごくよかった。
 
物語としてはなんら目新しさはなく、フツーです。
吉高由里子は可愛いし、横浜流星はカッコイイし。
復帰したら昔の悪い奴らがまた誘いにやってきて邪魔をするのも、
彼女の眼の手術のために金を稼ごうとするのも、
何もかも考えられる筋書き通りだから、まぁ、はい。
ステレオタイプすぎるけど、だからみんな安心して観られるんだろうなぁ。
 
一方、視覚障害者が職を得るのにどれほど苦労しているかということ、
就職した後も解雇の可能性に怯えながら、
雇い主の横暴に従わざるを得ない場合があることなど、
実際問題としてあるかもしれないと考えさせられました。
 
飼い犬の「スク」が名脇役です。
人は気づかなくても犬は気づくって、もうそれだけで泣くやん(笑)。

—–

『鵞鳥湖の夜』

『鵞鳥湖(がちょうこ)の夜』(原題:南方車站的聚会)
監督:ディアオ・イーナン
出演:フー・ゴー,グイ・ルンメイ,リャオ・ファン,レジーナ・ワン,チー・タオ他
 
観る機会がなくてあきらめかけていましたが、どうにも気になって。
ミニシアターでしか上映しそうにない作品なのに、
ありがたいことに109シネマズ大阪エキスポシティで観ることができました。
 
中国のノワールサスペンスってなんかビミョーな印象。
『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』みたいな感じを想定して観に行ったら、
暗いのは暗いけれど、もっとわかりやすくてとても面白かった。
 
2012年、中国南部。バイク窃盗団のグループ同士で抗争が勃発。
刑務所から出所したばかりの片方のグループのリーダー、チョウ・ザーノンは、
敵対するグループのリーダーから撃たれて負傷する。
逃げる途中、敵と誤って警官を撃ち殺し、
多額の懸賞金のかかった賞金首となってしまう。
 
服役していることすら知らせていなかった妻子が気にかかる。
どうせなら妻に通報させて懸賞金を取らせたいと、
チョウは旧知のホアに連絡して妻子の居場所を探させる。
待ち合わせの場所に妻が現れるのを待っていると、
そこに現れたのは見知らぬ女性リウ・アイアイ。
 
ホアの頼みで来たというリウから事情を聞き、
チョウとリウはリゾート地である鵞鳥湖畔に向かうのだが……。
 
いろいろとカルチャーショックを受けました。
リゾート地には水浴嬢なる女性たちがいます。いわゆる売春婦
昼でも夜でも男性から声がかかればお供して、水中でもヤリ放題。
昔の話ならともかく、2012年にこんなのありだなんて。
犯人を射殺した警官の面々が、死体を囲んで大勢で記念写真を撮る姿にもドン引き。
2020年の今はどんな感じなのでしょうか。変わらない?
 
チョウ役のフー・ゴーはかつての吉田栄作を思わせる風貌。
リウ役のグイ・ルンメイはちょっと波瑠っぽくて、
日本でリメイクするならこのふたりだなと勝手に思っていました。
 
結構グロいシーンも多いですが、そこはノワール。
色控えめなので、血しぶき飛び散るふうではありません。
悲劇ながら、ちょっと温かいラスト。
それを見つめる警官の表情が優しくはないところに笑いました。
 
私はこの作品がかなり好きです。

—–

『シカゴ7裁判』

『シカゴ7裁判』(原題:The Trial of the Chicago 7)
監督:アーロン・ソーキン
出演:サシャ・バロン・コーエン,エディ・レッドメイン,ジョセフ・ゴードン=レヴィット,
   マイケル・キートン,マーク・ライランス,アレックス・シャープ,ジェレミー・ストロング,
   ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世,ジョン・キャロル・リンチ,フランク・ランジェラ他
 
Netflix独占配信作品をなぜか上映するのはいつもイオンシネマ。
どういう繋がりなのですかね。
本作に関してはシネ・リーブル梅田でも上映中。
Netflixを契約していないから劇場で観るしかない。
契約していても劇場で観られるならそうしたい。
というわけで、イオンシネマ茨木へ。
 
シカゴで実際にあった裁判を描いた物語。
簡単に言うと、ベトナム戦争の反対を唱える組織3つのリーダーが、
抗議デモを企てたとして起訴された裁判です。
 
1968年8月、イリノイ州シカゴで民主党全国大会が開催され、
大統領選の候補者たちがベトナム戦争にどのように対処すべきかとを討論していました。
同じ頃、会場近くの公園に集結した戦争に反対する活動家や市民。
民主党全国大会会場に乗り込んで戦争反対を訴えようとしましたが、
現れた警官隊が彼らに向かって催涙ガスを発射、激しく殴られ蹴られます。
暴力をふるわれたほうではあるけれどこの事態を招いた活動家7人が後に起訴されます。
 
起訴されるまでの過程からして目が釘付け。
それより前、司法長官だったラムゼイ・クラークは、
大統領から活動家の起訴を検討していると言われ、すべきではないと結論付けます。
組織3つのリーダーたちの間に繋がりはなく、まったく別個の団体。
彼らが共謀した事実はなく、また、暴動のきっかけはシカゴ警察側にあると。
そう進言したラムゼイは司法長官の座を追われ、
後任となったジョン・N・ミッチェルによって、起訴が果たされました。
 
ラムゼイを演じるのはマイケル・キートン。出番が少なくてもオイシイ役どころ。
彼らの代理人を務める弁護士役にマーク・ライランスとベン・シェンクラー。
対するキレ者の若手検事にジョセフ・ゴードン=レヴィット
そしてもっともクセ者なのはフランク・ランジェラ演じる判事。
 
起訴されたのは当初8人。
たまたまその日シカゴにいたというだけの公民権運動指導者ボビー・シールが
何の関係もないのに一緒に起訴されます。
黒人をひとり加えて陪審員の印象を悪くする魂胆だったらしい。
この点に限らず、検察のやり方の醜悪なところがいろいろ見え隠れ。
 
ちょっとバックに音楽がかかりすぎてテレビ的なのは気になるものの、
非常に見応えのある1本でした。
 
しかし私はこんな事件があったことも裁判があったことも知らんかったもんなぁ。
「逮捕されたのは反戦アカデミー賞にノミネートされたと思えば名誉」という台詞が印象的でした。

—–

『望み』

『望み』
監督:堤幸彦
出演:堤真一,石田ゆり子,岡田健史,清原果耶,三浦貴大,
   早織,加藤雅也,市毛良枝,松田翔太,竜雷太他
 
前述の『星の子』とハシゴ。
同じくTOHOシネマズ伊丹にて。
 
原作は雫井脩介の同名小説で既読です。レビューはこちら
 
石川家は4人家族。
一級建築士の一登(堤真一)とその妻である貴代美(石田ゆり子)、
長男で高1の規士(岡田健史)、長女で中3の雅(清原果耶)。
自宅隣に事務所を持ち、設計の相談に来た顧客に自宅を見せることもある。
 
恵まれた生活を送っているように見えていたが、
サッカーで前途有望視されていた規士が試合中に負傷、
膝を痛めて選手生命を絶たれ、以来自暴自棄に。
夜中に出かけたまま帰ってこないことも多く、
いつもふてくされた態度の規士を夫婦ともに持て余し気味。
 
そんなある日、いつもなら翌日の昼には帰宅する規士が
いつまで経っても帰ってこない。
貴代美のLINEに一度返信があったきりで連絡もつかなくなる。
やきもきしているところへ、テレビで衝撃のニュースが。
高校生とおぼしき少年の他殺体が発見されたというのだ。
 
殺されたのは規士の友人だと判明。
遺体のそばから逃走する同じような年頃の2名が目撃されていた。
警察は規士が2名のうちのひとりと決めつけて行方を追っている様子で……。
 
のちに2名とは別にもう1名が殺されていることがわかります。
自分の息子は加害者で逃げているか、もしくは被害者で殺されているか。
どちらのほうがいいと思いますか。
 
父親は、自分の息子は人を殺せるわけがない、加害者ではないと信じようとする。
しかし母親はそんな話を受け入れられない。
なぜなら夫の言うことがあっていれば、息子はすでに死んでいることになるから。
たとえ殺人を犯していたとしても、息子には生きていてほしい。
 
原作ではどちらの結末が待っているのだろうとドキドキしましたが、
映画版では堤真一と石田ゆり子が親の役だから、
息子は絶対に被害者のほうでしょう。悪いことなんかしない。
 
それにしてもマスコミの酷いことよ。
どこから聞きつけるのか、規士が帰宅していないことを知り、
家に押しかけて両親の写真を撮ろう、声を録ろうとする。
テレビに映ればどこの家かはわかるから、
これもまた心ない人たちが壁や車に落書きをする。
規士の妹が「お母さんの前では言えないけれど、
お兄ちゃんが被害者のほうでないと私は困る」という言葉は切実です。
 
シリアスな人間ドラマではありますが、堤幸彦監督だからエンタメ性に富んでいる。
わかりやすい感動があるといえば皮肉っぽいですけれども、
老若男女だれが観ても感動できると思います。
 
石川家を訪れる女刑事役の早織、今まで何度か見ているはずなのに印象なく。
能面のように凍った表情がめっちゃ怖かった。怖すぎたから気になります。
コンビを組む加藤雅也から逆に珍しく若干温かい印象を受け、
ちょっと面白いキャストでした。

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『星の子』

『星の子』
監督:大森立嗣
出演:芦田愛菜,永瀬正敏,原田知世,岡田将生,大友康平,
   高良健吾,黒木華,蒔田彩珠,新音,田村飛呂人他
 
TOHOシネマズが今頃2週間にも渡ってシネマイレージデイ開催って、
サービス改悪で期限が設けられたポイントを使わせないようにする腹じゃないかと思う(笑)。
だってそうでしょ、この12月に初めてその期限が訪れるわけだから、
今までポイントを貯めつづけていた人は、使いまくって無料鑑賞するのが今。
ポイントを使うなら、何の割引もない日に使わないともったいない。
なのにシネマイレージデイを開催されたら、有料鑑賞してしまうやん。
ぜったい無料鑑賞する客を減らそうと思っているにちがいない。
 
で、まだまだポイントが残っているというのに、
仕方なく1,200円払ってTOHOシネマズ伊丹にて鑑賞。
今村夏子の同名小説を大森立嗣監督が映画化。
原作は既読。そのレビューはこちら
 
中学3年生のちひろ(芦田愛菜)。
父親(永瀬正敏)、母親(原田知世)、姉(蒔田彩珠)の4人家族だが、
姉はある日突然出て行ってしまった。
というのも、「普通」の家庭ではないから。
 
ちひろは生まれてまもないころから湿疹に悩まされ、
赤く腫れたちひろの皮膚を見て両親は途方に暮れていた。
そんなとき、父が会社の同僚から教えられたのが「水」。
その水でちひろの肌を優しく拭いたところ、目に見えて快復。
喜んだ両親はその水を販売する新興宗教にずっぽりとハマる。
 
緑色のジャージを着て、頭にタオルをのせ、水をかける両親。
その水のおかげなのか、両親はいたって健康。
なんだか変だと思うけれど、両親はとても優しい。
何も言わずにちひろは両親に従っていたが、
姉はたまりかねたのか家出してしまったのだ。
 
そんななか、新任の数学教師・南先生(岡田将生)にちひろは一目惚れ。
授業中もせっせと先生の似顔絵を描きつづけるのだが……。
 
芥川賞作家の作品ですから、原作はわかりやすくはありません。
巻末の小川洋子との対談を読んでわかった箇所もいくつか。
映画版も大森監督となればそんなにわかりやすく撮るはずもなく、
原作そのまんまの印象を持ちました。
大きく違うとすれば、家出したままどうなったかわからなかった姉が、
映画版ではどうしているかがチラリとわかること。
 
ちひろは両親が新興宗教にハマっていることを特には言わないけれど隠してもいない。
彼女とはまるでちがうタイプに思える美人同級生・なべちゃん(新音)との関係性が良い。
なべちゃんは宗教のことでちひろに気を遣ったりしないし、
むしろスパッと切り込んでくる。
でもちひろがそれでいいならいいやとばかりに、
必要以上には言わないし、やめさせようともしません。
 
逆に、ちひろの伯父(大友康平)はどうにかしてやめさせようとします。
自分の妹夫婦を説得するのは無理だと知るや、
ちひろを引き取ることを考えはじめます。
 
友人と身内では関わり方が異なるのも当然に思えますが、
どちらが正しいとか誤っているとかいうこともないだろう難しい問題。
それこそミイラ取りがミイラになるときがよくあるのでしょうね。
 
人から見れば自分の家族は変だ。
虐待されているわけじゃないけれど、人によってはこれも虐待だと考える。
でも、ちひろは十二分に両親の愛情を感じていて、
誰から何を言われようが、両親のそばを離れないと断言します。
これも一種の共依存なのではないでしょうか。
 
原作では、それでもちひろが両親のもとを離れそうな予感がありましたが、
映画版でもそれは同じこと。
黒木華演じる教団の女性の「迷っているのね」という言葉に、
ちひろも、両親も、いつか離れることを予感して、
こうして一緒に流れ星を見ているのかもしれません。
 
本作を観てエドワード・ファーロングって誰よと思った人は多いはず。
ほんと、昔々は美少年だったのですけれど、
今はヨレヨレ、ヤク中アル中で残念なことになっています(泣)。

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