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『オーガスト・マイ・ヘヴン』

『オーガスト・マイ・ヘヴン』
監督:工藤梨穂
出演:村上由規乃,諏訪珠理,藤江琢磨,長谷川七虹,山﨑龍吾,西出明,鈴木卓爾他
 
第七藝術劇場にて、前述の『ザ・エクソシズム』の次に。
十三まで出かけてコインパーキングに駐めて、映画1本だけで帰るのはもったいないなぁ、
でもたまには早く帰りたいなぁと思っていたところ、この40分の短編が。
これを観たって終わるのは21時過ぎだから、早めでありがたい。
 
奇しくも京都が舞台の作品は数日前に観たばかり。『事実無根』がそれでした。
あっちが京都全開の作品だったのに対し、こっちは標準語だということもあり、京都っぽくはありません。
 
城野譲(村上由規乃)の仕事は代理出席屋。
依頼人の親族のふりをして冠婚葬祭に出席したり、友人のふりをして依頼人が必要とする場に顔を出したり。
いろんな人のふりをしているものだから、出かけた先で誰某さんと声をかけられることもしばしば。
いつも上手く受け答えして流している。
 
譲の行きつけの中華料理店で働く三枝南平(諏訪珠理)は彼女への想いを打ち明けるもかわされてしまう。
8月が終わればこの町から出て行くかもしれない譲。落ち着かない南平。
 
ある日、代理の仕事で葬儀に参列した譲は、夢の中に現れた見知らぬ男・長谷薫(藤江琢磨)に遭遇。
どうやら譲は薫の旧友・いづみにそっくりらしく、薫は譲のことをいづみだと思い込む。
しかも薫は南平といづみの共通の友人で、薫はいづみになりすました譲を連れて南平の勤め先に現れて……。
 
「自らの肉体を持ちながら自分ではない何者かになる“演じる”という行為へ、
そして関係性を演じる中で積み重ねられる“時間”という事実へアプローチをかけながら、
人と人が共に在ることへのかけがえのなさを映し出した意欲作」とあります。
正直言って、そんな難しいことを言われても私にはさっぱりわからない。(^^;
 
けれど、深い意味があることを考えなければ、話の流れはいたってシンプル。
知らない人に夢の中で出会うこと。誰かになってみること。誰かと誰かが繋がっていること。
ひと夏の思い出として観ることができました。澄んだ空気に触れられたような気がします。

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『ザ・エクソシズム』

『ザ・エクソシズム』(原題:The Exorcism)
監督:ジョシュア・ジョン・ミラー
出演:ラッセル・クロウ,ライアン・シンプキンス,サム・ワーシントン,クロエ・ベイリー,
   アダム・ゴールドバーグ,エイドリアン・パスダー,デヴィッド・ハイド・ピアース他
 
十三・第七藝術劇場にて。あんまりこの劇場で上映するタイプの作品ではないような気がします。
実際、いつもはもっと客が入っている劇場なのに、この日はかなり少ない。
ここでラッセル・クロウを観るのはなんかちょっと違うんだなぁ。でもここでしか上映していないし。
 
ジョシュア・ジョン・ミラー監督は、あの『エクソシスト』(1973)でカラス神父役を演じたジェイソン・ミラーの息子。
ラッセル・クロウ演じる主人公の名前をミラーとしたのは、別に実体験に基づいているわけではないですよね!?
 
俳優のアンソニー・ミラーは、妻がいまわの際にいるときに娘のリーを置いて逃げ出し、酒に走った。
以降、数年の間、アルコール依存症に苦しんでいたが、このたび悪魔祓いを題材にしたホラー作品への出演が決定。
しかしこの作品は、もともと神父を演じるはずだった俳優が撮影現場で謎の死を遂げた曰く付き。
 
撮影に入ろうかという頃、リーが高校を退学処分になってアンソニーのもとへ帰ってくる。
リーはアンソニーの付き人として現場に出入りすることに。
 
久しぶりの仕事に意気込むアンソニーだったが、監督のピーターはアンソニーの演技に納得してくれない。
駄目出しばかり喰らう日々に、心身ともに追い詰められていき……。
 
冒頭、こういった悪魔憑きの作品を撮るときには、きちんとお祓いをする必要があるという女優の話があります。
たかがフィクションだとナメてかかると、あり得ない出来事が起こるのか。
ここで起きることはやっぱり芝居じみているから、途中からは茶番に見えてしまったけれど、
こんなふうに笑っていては呪われるかもしれないよとちょっとビビる。
 
『ヴァチカンのエクソシスト』(2023)でも神父役を演じていたラッセル・クロウ。
こういう役が気に入ったのだとしか思えないぐらいののめり込みよう(笑)。
自身を犠牲にしてアンソニーを救おうとするコナー神父役のデヴィッド・ハイド・ピアースがよかったです。
アンソニーの不調により代役を務めることになった俳優役のサム・ワーシントンがぶった切られるシーンは、
えっ、彼、そんな扱い!?とまたしても笑ってしまったのでした。
 
ずいぶん私もホラーに慣れたもんだわ~。

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『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』

『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』(原題:Firebrand)
監督:カリン・アイヌーズ
出演:アリシア・ヴィカンダー,ジュード・ロウ,サム・ライリー,エディ・マーサン,サイモン・ラッセル・ビール,
   ルビー・ベントール,ブライオニー・ハンナ,アムール・ワケド,ジュニア・リース,パッツィ・フェラン他
 
朝いちばんに109シネマズ箕面で“こまねこ”を観て、北新地でひとりランチ
酔っぱらってから大阪ステーションシティシネマにて本作を鑑賞しました。
 
イギリス作品。ヘンリー8世だから当たり前か。(^^;
 
日本史にも世界史にも詳しくはないので、ヘンリー8世が悪名高き王であることも知らず。
予告編を観たときには衝撃を受けました。
だって、6人も娶りながら、1人目の妻キャサリン・オブ・アラゴンは宮廷から追放、
その侍女だったアン・ブーリンが2人目の妻となるも姦通罪で斬首刑に、
3人目の妻ジェーン・シーモアは出産後まもなく死亡し、4人目の妻アン・オブ・クレーヴズも離縁され、
その侍女だったキャサリン・ハワードが5人目の妻になったけど断頭台送りに。
女と見れば手を出して結婚、気に入らなきゃ理由を見つけて処刑することすら厭わない。
 
6人目の妻が本作の主人公であるキャサリン・パー。
彼女もこれが初婚ではなく、3度目だったそうな。16歳で結婚、21歳で再婚。
けれどこの時代の常、夫はそれなりの歳だったのでしょうか、ふたりとも死亡。
で、3度目の夫となったのがヘンリー8世。1543年のことでした。
 
宗教観の違いから異端視され、これまでの妻と同じ運命を辿るかに見えた彼女ですが、
ヘンリー8世だって当時にすればもうお歳。
体に悪いところも出てきてもう長くないと思われ、それに賭けるしかありません。
 
ただただ、酷い王が居たもんだと思うとともに、この時代の不条理さを思う。
そして、昔のイケメンぶりはどこへ行ったか、見る影もないジュード・ロウに唖然。
これは役作りのせいなのか、それともそのままのジュードなのか。
 
妊娠するも流産し、自分の子どもを産むことはできなかったキャサリン・パー。
でも、不遇に遭った前妻たちやその息子の信頼をきっちり得たのが凄い。

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『こまねこのかいがいりょこう』

『こまねこのかいがいりょこう』
監督:合田経郎
声の出演:瀧澤京香,若林航平,坂本真理,坂脩,小林通孝,二木静美他
 
1週間のみの限定上映でした。109シネマズ箕面にて。
 
大好きな“こまねこ”
最初に知ったのは何のときだったか忘れてしまいましたが、大好きで。
知ってから15年になるとは嘘みたい。
 
タイトルの『こまねこのかいがいりょこう』は昨年秋に製作された新作らしい。
これは8分しかない短編なので、過去の作品と併せて50分の上映。
 
再上映は『こまねこ はじめのいっぽ』、『こまとラジボー』、『ほんとうのともだち』の3本です。
ものづくりが大好きなねこ、こまちゃんは、「ももいろちゃん」と「はいいろくん」というぬいぐるみを作り、映画撮影。
基本的には家の中で遊んでいますが、お出かけするときにもこのぬいぐるみを連れて行きます。
ラジボーは機械いじりが得意な男の子で、こまちゃん宅にたまたまやってきて親しくなります。
 
久しぶりに観た『はじめのいっぽ』はやっぱりよかったけれど、『ほんとうのともだち』もちょっと泣いてしまう。
仮病を使って寝たきりのいぬ子は、実はこっそりと雪男の着ぐるみを着て出歩き、森の中で人を驚かしています。
こまちゃんも最初は驚いたものの、すっかり雪男が好きになって、一緒に遊ぶように。
初めてできた友達に正体を明かせぬままだったいぬ子の前に、本物の雪男が現れて。
 
森の木立の間から舞い落ちる雪の美しいこと。
このストップモーションアニメを観ると、温かい気持ちで満たされます。何度でも観たい作品。

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『ブルータリスト』

『ブルータリスト』(原題:The Brutalist)
監督:ブラディ・コーベット
出演:エイドリアン・ブロディ,フェリシティ・ジョーンズ,ガイ・ピアース,ジョー・アルウィン,
   ラフィー・キャシディ,ステイシー・マーティン,イザック・ド・バンコレ,アレッサンドロ・ニヴォラ他
 
なんばパークスシネマにて『SKINAMALINK/スキナマリンク』を観て釈然としないまま、
TOHOシネマズなんばへ移動。215分の大長編である本作は、間に15分の休憩あり。
これこそ寝てしまうんじゃないかと思いましたが、1秒も眠くなりませんでした。
 
アメリカ/イギリス/ハンガリー作品。
 
監督は『シークレット・オブ・モンスター』(2015)、『ポップスター』(2018)のブラディ・コーベット。
まだ36歳で、写真だけ見ればオタクっぽい彼は(すみません)、役者でもあります。
『ファニーゲーム U.S.A.』(2007)なんで強烈でしたねぇ。いや~、面白い人です。
 
バウハウスで学んだハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート。
ホロコーストを生き延びたものの、最愛の妻エルジェーベトと姪のジョーフィアとは生き別れに。
成功を夢見てアメリカへと渡った彼は、ペンシルヴェニア州フィラデルフィアでいとこのアティラの世話になる。
アティラは妻のオードリーと共に家具店を経営しており、斬新なセンスを持つラースローのことが必要なのだと。
 
ある日、バックス郡在住の富豪ハリソン・ヴァン・ビューレンの息子ハリーが来店し、
読書家の父親の書籍がうずたかく積まれている書斎を改装したいと告げる。
費用はハリーとその妹マギーが負担し、父親の留守中に工事を完了してサプライズで喜ばせたいとのこと。
ラースローは人手と資材をかき集めて素晴らしくモダンな書斎を完成させる。
 
ところが、予定より早く帰ってきたハリソンは、許可なく家に立ち入られたうえに改装されたと激怒。
ハリーはまるでラースローのせいのように言い逃れ、金の支払いを拒否する。
 
アティラにもラースローの責任を問われたばかりか、オードリーに言い寄ったと難癖をつけられ、追い出される。
致し方なく救貧院に身を寄せたラースローは、日雇いの肉体労働でなんとか生きる。
 
数年が経ち、ラースローのもとへ現れたのはあのハリソン。
ハリソンはラースローが母国では有名な建築家だと知り、ラースローをずっと探しつづけていたらしい。
ラースローが手がけたヴァン・ビューレン邸の書斎は雑誌にも取り上げられて絶賛されていたのだ。
ハリソンはラースローを自宅に招き、盛大なパーティーを開くと、
その席で亡き母の名前を冠したコミュニティセンターの創設を宣言。ラースローにその指揮を委ねて……。
 
どう見ても実話に基づいている話っぽいところ、すべて創作だというのだから凄い。
こんな壮大な物語をイチから考えるなんて、それこそイマジネーションの塊だ。
この監督なら、『SKINAMALINK/スキナマリンク』を観てもわかるのだろうかとふと思う(笑)。
 
創作ではあるものの、タイトルに由来する“ブルータリズム”の建築家がいるのは事実。
ブルータリズムは第二次世界大戦後に広まった建築様式で、装飾を極力排したシンプルなもの。
代表的な建築家としてル・コルビュジエが挙げられます。
 
ヨーロッパでいくら有名な建築家でも、アメリカに来れば崇拝されるばかりではありません。
宗教の違いなどから怪訝な目で見られ、ユダヤ人であることも常に悪いほうにつきまとう。
ただ、建築が好きで、それを考える時間が幸せだというのに。
 
幾多の試練を乗り越えた先に広がるこの建物。
ぜひ大画面でご覧ください。

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