『ウィキッド ふたりの魔女』(原題:Wicked)
監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ,アリアナ・グランデ,ジョナサン・ベイリー,イーサン・スレイター,ボーウェン・ヤン,
ブロンウィン・ジェームズ,キアラ・セトル,ミシェル・ヨー,ジェフ・ゴールドブラム他
声の出演:ピーター・ディンクレイジ
封切り日翌日、シアタス心斎橋にて字幕版を鑑賞しました。
アメリカの児童文学作家ライマン・フランク・ボームが1900年に著した『オズの魔法使い』は、
もともとはライマンが手作りして自分の姉妹に贈ったものなのだそうです。
と言っても、すでに『マザー・グースの物語』をヒットさせていたライマンですから、
手作りの本だからってそれで終わるわけもなく、すぐに出版された様子。
ライマンの友人ウィリアム・ウォレス・デンスロウによるカラーの挿絵が当時は革新的で、すぐに大人気を博す。
その後、世界中で翻訳され、映画化された『オズの魔法使』(1939)も大ヒット。注) 映画版のタイトルは「い」を送らない。
主演したジュディ・ガーランドは時の人となったせいで、波乱の人生を送る。
昨年公開された『ツイスターズ』(2024)にも『オズの魔法使い』へのオマージュが込められていました。
そして本作は、『オズの魔法使い』に登場する魔女ふたりを描いた、いわばスピンオフです。
西の悪い魔女エルファバと南の良い魔女グリンダはどのように生まれ、どんな関係があったのか。
監督は『クレイジー・リッチ!』(2018)や『イン・ザ・ハイツ』(2020)のジョン・M・チュウ。
全2部作の第1部なんですが、子ども向け作品かと思ったら161分の長尺。げげーっ。
魔法と幻想の国オズのマンチキンランド。
母親が父親スロップ総督の留守中に浮気してできた娘エルファバは生まれながらに全身緑色。
スロップはエルファバを忌み嫌い、乳母のダルシーベア(喋るクマ)に世話を任せる。
母親はエルファバの妹であるネッサローズを出産したさいに死亡。
ネッサローズを溺愛するスロップだったが、ネッサローズは車椅子生活を送る身に。
ネッサローズがシズ大学に入学した日、付き添いとして同行したエルファバ。
緑色の彼女を見て怯えたり嘲笑したりする学生らにエルファバが怒りをたぎらせた瞬間、まわりの物が空中へと舞い、ガラスが割れる。
その様子を見た魔法学部の学部長モリブルはエルファバの力を見抜き、魔法学部に迎え入れると決める。
寮のスイートルームを個室利用する予定だったお嬢様グリンダは、モリブルからエルファバと部屋を分けるように言われて憮然。
お金持ちで、育ちが良くて、明るく可愛いグリンダは皆の憧れの的。
一方のエルファバは、暗くて真面目で不気味だから、誰も近寄ろうとしない。
しかし、動物教師(喋るヤギ)のディラモンドはエルファバに目をかけ、また、モリブルはエルファバの力を引き出すべく指導に熱心。
そんななか、動物教師を排斥することが決まり、エルファバは激しく反対するのだが……。
素人にも玄人にも大人気、評価は高いようで。
確かに映像も歌声も素晴らしく、大画面で観る醍醐味はじゅうぶんに味わえますが、私はこの話自体は嫌いです。
悪い魔女と良い魔女の間の感動秘話、友情の物語みたいな触れ込みだけど、どこがそうなの?
みんなからちやほやされるグリンダはいじめっ子気質バリバリでしょ。
エルファバを見下していたのに、モリブルが彼女のことを褒めると対抗意識まる出し。
イケメンが現れると自分の運命の人と決めつけて駆け寄ります。
自分に気のある男子生徒には近寄ってほしくないから、「あの車椅子の哀れな女子に声をかけてあげたら?
そうしたら私はあなたのことを好きになるかも」とか平気で言うような奴。
どこが親友やねんと最初から最後までずーっと嫌でした。
まわりの人間もみんなグリンダのおこないを「優しい」とか賞賛するような奴ばっかりだし。
第2部が急に短くなるとも思えないから、きっとまた3時間ぐらいの長尺でしょ。
こんなにイライラさせられる作品に次も耐えられるか心配です。(^^;
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