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『キケンな誘拐』

『キケンな誘拐』(原題:Soodhu Kavvum)
監督:ナラン・クマラサーミ
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ,アショーク・セルヴァン,ラメーシュ・ティラク,
   ボビー・シンハー,カルナーカラン,サンチター・シェッティ他
 
昨年暮れにDVDレンタルが開始された2013年のインド作品。
日本では劇場未公開でしたが、“インディアンムービーウィーク”で2017年に上映されました。
(当時の名称は“インディアン・シネマ・ウィーク 2017”。)
公開された2014年には南インド国際映画賞、最優秀作品賞、
最優秀新人監督賞を受賞したタミル語の作品です。
 
150分超の長尺も珍しくないインド作品のなか、これは133分。
これでもじゅうぶん長いのに、ボリウッドにしちゃ短めと思ってしまう(笑)。
 
職場で言い寄ってくる女性を袖にしたら、
逆恨みされてセクハラの濡れ衣を着せられて解雇されたケーサヴァン。
その友人で高級ホテルの駐車場係を務めていたセーカルも客の車を無断で持ち出してクビに。
そんなふたりのもとへ転がり込んできたのが、
故郷に人気女優ナヤンターラーの寺院を勝手に作って村を追い出されたパガラヴァン。
 
酒場でくだを巻いていた無職の3人は、怪しげな男ダースと出会う。
ダースは自らにルールを課し、安全第一の誘拐を標榜する誘拐屋。
生活費を稼ぐためにダースと組むことにする。
 
4人はあるふてぶてしい少年の誘拐に成功するが、
彼らの誘拐の手はずに感心した少年の父親からある相談を受ける。
その父親の兄は公共事業を請負う建設業者なのだが、
財務大臣が選挙戦略のために企てた罠に引っかかり、贈収賄の罪で捕まったらしい。
復讐したいから、大臣の息子アルマイを誘拐してくれと頼まれた4人は……。
 
安全第一の誘拐の掟とは、
その1、有名人やその子供は狙わない。
その2、「殺す」と脅さない。
その3、身代金はお手頃に。
その4、武器は使わない。
その5、失敗したらすぐ逃げる。
 
多額の報酬に釣られ、4人はその1の掟を破ってしまいます。
アルマイを誘拐しようとしたら、何者かに誘拐を横取りされ、
後をつけてみたところ、アルマイ自身による狂言誘拐。
大臣からボンクラ呼ばわりされて腹を立て、
んじゃ自分が誘拐されたことにして、身代金を大臣から巻き上げてやろうという魂胆。
 
概ね楽しくはあるものの、好きなタイプがいないのがツライ(笑)。
ボリウッドらしい踊りのシーンも少なく、
綺麗どころで登場するのは、ダースにだけ見える夢の女だけ。
人気作のようですが、DVDでは楽しさ半減。
“インディアンムービーウィーク”で観るべきでしたねぇ。

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『BLUE/ブルー』

『BLUE/ブルー』
監督:吉田恵輔
出演:松山ケンイチ,木村文乃,柄本時生,東出昌大,守谷周徒,吉永アユリ,
   長瀬絹也,松浦慎一郎,松木大輔,竹原ピストル,よこやまよしひろ他
 
日曜日の晩、109シネマズ箕面にて。
 
好きなんです、吉田恵輔監督。
ハッピーエンドじゃない作品も多いけど、忘れがたいものばかり。
本作もそんな1本となりました。
 
ボクシングの話です。
吉田監督自身、中学生の頃から30年以上、ボクシングジムに通い続けているそうです。
 
プロボクサーの瓜田(松山ケンイチ)は、ボクシングを愛してやまない男。
試合に出れば負けるから、彼のことを揶揄する者も多いが、
黙々とトレーニングに励み、後輩たちの面倒もよく見ている。
同じジムに所属する小川(東出昌大)は、瓜田の後輩でありながら、
いまや日本チャンピオン目前の連戦連勝の男。
同棲中の千佳(木村文乃)との結婚もまもなくだろう。
ジムにひょっこり現れたのは、ゲーム店に勤める楢崎(柄本時生)。
同僚女性の気を惹きたくて、「ボクシングしてる風」を目指す。
そんな楢崎の練習メニューを組むのが瓜田。
ありがちなボクシングの映画とはずいぶん趣を異にしています。
ボクシングとの向き合い方は三者三様。
瓜田の初恋の相手は千佳で、瓜田は実は千佳に勧められてボクシングを始めました。
でも自分が勧めたことを千佳は全然覚えていない。
その瓜田が後輩の小川をボクシングに誘い、
小川はみるみるうちに強くなったうえに、千佳の恋人に。
嫉妬しても不思議はないのに、瓜田はいつも穏やか。
ふたりに同様に優しく接し、僻む気持ちなどつゆほども見せない。
本当はどろどろした感情があるのではなんてことも思わせない。
それ以上に、彼が純粋にボクシングを愛していることを感じます。
松山ケンイチの見せる表情に引き込まれました。
小雪って、見る目あったんだなぁと今さらながら思う(笑)。
面白いのは柄本時生演じる楢崎。
ジムを最初に訪れた日、まず縄跳びをさせようとする瓜田に、
自分はしんどい思いなどしたくない、
あくまで「ボクシングしてる風」でいいのだと言い張ります。
なのにいつのまにかボクシングにハマってしまう。
 
東出昌大演じる小川はものすごく強いけれども、
パンチドランカーゆえの症状が出て、このままでは危ない。
勝つことに執着してやめないのかと思ったけど、
そういうことではないのだと最後は感じます。
ボクシング映画といえば、勝った負けたで熱くなるもの。
本作にはそういうところはほとんどありません。
なのに観終わってからの余韻が強く、
ボクシングから離れられない彼らの気持ちに寄り添いたくなります。
とても切ない。
エンドロール直前の瓜田の動きが忘れられない。
青コーナーを定位置としていた彼。
すごく良いタイトルだと思います。

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『ザ・スイッチ』

『ザ・スイッチ』(原題:Freaky)
監督:クリストファー・ランドン
出演:ヴィンス・ヴォーン,キャスリン・ニュートン,ケイティ・フィナーラン,セレスト・オコナー,
   アラン・ラック,ミシャ・オシェロヴィッチ,ユリア・シェルトン,デイナ・ドゥロリ他
 
大阪ステーションシティシネマで『JUNK HEAD』を観た後、
TOHOシネマズ梅田へ移動して。
 
めちゃくちゃ面白かった『ハッピー・デス・デイ』(2017)と『ハッピー・デス・デイ 2U』(2019)。
そのクリストファー・ランドン監督の新作ということで、
すっかり同監督の虜になっている私は、ホラー映画であろうとも観ずにはいられません。
 
女子高生のミリーは、母親と姉の3人暮らし。
1年前に父親を亡くして以来、母親は飲酒をやめられず、
ミリーも母親のことが気がかりで元気なし。
警察官の姉は、そんな2人を見て怒っている。
 
いつもふさぎ込んで地味なせいか、学校ではいじめの標的に。
女子ナイラとゲイの男子ジョシュとだけは今も親友。
 
ある日、ミリーを迎えに来るはずの母親が酒を飲んで居眠り。
いつまで経っても来てくれない母親を待つミリーの目の前に、
ブッチャーと呼ばれる連続猟奇殺人鬼が現れる。
 
逃げ惑うミリー、追いかけるブッチャー。
捕まってしまったミリーの肩付近をブッチャーが一刺し。
その瞬間ミリーの姉が駆けつけて、ブッチャーは退散する。
 
翌朝、それぞれ目覚めたミリーとブッチャーはびっくり仰天。
双方の体が入れ替わり、ミリーはブッチャーの体に、
ブッチャーはミリーとなっていて……。
 
原題が“Freaky”なのは、『フリーキー・フライデー』(1976)へのオマージュでしょう。
あっちも面白かったけど、こっちも面白い。
 
凶悪な殺人鬼の姿をしているのに中身は内気な女子高生。
それを演じるヴィンス・ヴォーンのなんと愛らしいことよ。
こんなオッサンとキスシーンを撮ることになったブッカー(ミリーの想い人)役、
ユリア・シェルトンには同情しますが(笑)、
なんかそのキスシーンもよかったんだなぁ。
どう見ても殺人鬼に間違いないオッサンから「私はミリーよ!」と言われ、
信じて助けようとする親友たちもめっちゃ良い。
 
ミリー役のキャスリン・ニュートンは美人なのに、
ブスで冴えない子みたいに描写されているのだけが解せません。
センスのない彼女の体が殺人鬼のオッサンに乗っ取られ、
オッサンのセンスで着こなすといきなりクールでモテるようになるんだから、
もとはもう少しブスじゃないと説得力がないと思うけど、
まぁ、ビジュアル的に良くなけりゃ映画を観る気になりませんわね(笑)。
 
ハッピーエンドと見せかけて嫌なオチが待っていないか不安でしたが、
その点もスッキリ。
やっぱりブラムハウス・プロダクションズ製作のホラーコメディは外せない。

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『JUNK HEAD』

『JUNK HEAD』
監督:堀貴秀
声の出演:堀貴秀,三宅敦子,杉山雄治他
 
シアタス心斎橋に行った折に予告編を観て、こりゃなんか凄そうだと思っていました。
どう考えてもミニシアターでかかりそうな作品で、
そのとおり、十三の第七藝術劇場でも上映中。
しかし時間が合わないなぁと思っていたら、どんどん公開劇場拡大。
大阪ステーションシティシネマでも公開となりました。
 
堀貴秀監督は独学で映像表現を学んだそうです。
まずは本作の短編版を製作し、それから7年という歳月をかけて長編を完成。
各国の映画祭で上映にこぎつけて、さまざまな賞を受賞。
このたび日本での劇場公開が実現したという逆輸入のストップモーションアニメです。
 
長寿になったのと引き換えに生殖能力を失いつつある人間たち。
地下世界には独自に進化した人工生命体マリガンがいる。
マリガンの遺伝子を調べて人類存続の参考にしようと、
政府は地下世界に赴く調査員を募集。
あるダンス講師が名乗りを上げ、地下世界へと向かうのだが……。
 
世界は何層にも分かれていて、そのいちばん上で生活しているのが人間。
そこから下の世界を目指した主人公ですが、
下の世界の者たちは敵が来たかと勘違い、主人公は撃墜されてしまいます。
頭と胴体はぶった切られ、目を覚ますとベッドの上。
 
手術を施してなんとか人型にしてくれた博士は、
人間など見たこともない地下世界の者たちに、
人間こそが自分たちを創造した神だと教えます。
 
さて、このあと主人公はどうなるのか。
不思議な世界観に圧倒されましたが、決して難解ではありません。
地下世界の者たちがどのように生まれたのかも最後まで観ればわかります。
 
何もかもが手作り。
登場人物の声のほとんどを堀監督自身が担当しています。
日本語でも英語でもない、謎の言語を喋るから、字幕付き。
人工生命体のほとんどがグロテスクで少々気持ち悪いけど、
それも含めて何もかもが面白かった。
エンドロールでは制作過程も映し出され、ただただスゲェ。
 
ウイルスだとか共存だとか、今のご時世にもピッタリ。
先見の明も感じます。いやはや、凄い作品でした。
ちょっとグッと来たりなんかもして、もう一度観たくなっています。

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『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』

『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』
監督:松居大悟
出演:田口トモロヲ,松重豊,光石研,遠藤憲一,濱田岳,柄本時生,
   菜々緒,高杉真宙,芳根京子,有村架純,天海祐希,役所広司他
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『21ブリッジ』の次に。
DVDも買ったのですが、もったいなくて開封すらしていません。
おまけに付いていたトランプも新品のままです。
さて、その劇場版の監督は松居大悟。楽しそうではないですか。
富士山麓に佇む撮影所“バイプレウッド”。
いくつものドラマや映画の撮影が各スタジオでおこなわれるなか、
濱田岳柄本時生を従えて自主映画の撮影を開始していた。
手伝っているのは菜々緒高杉真宙芳根京子の面々で、
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに、犬を主人公にした作品。
役所広司が出演を快諾してくれたものの、
予算がなさすぎて現場はトラブル続き。
あまりの段取りの悪さに、菜々緒と高杉真宙と芳根京子から愛想を尽かされ、
濱田岳と柄本時生だけで進めざるを得なくなる。
100人の役者を揃えて壮大なエンディングシーンを撮るつもりが、
到底そんなに集められるとは思えず……。
名脇役たちがぞろぞろ出ているのですからそりゃ楽しい。
一見ふざけているように見える撮影風景も、
放送されているのを観れば、こういうシーンだったのかとわかったり。
特に印象に残ったのは菅田俊渡辺いっけいら、おじさんたち。
木村多江岸井ゆきのの登場シーンも面白かった。
一瞬しか映らないのに私の目に焼き付いて離れなかったのは安藤玉恵。笑った。
寺島進はどうして出演しなくなっちゃったのですか。
やっぱり寂しいなぁと思って調べたら、えっ、もしかして酒癖悪い!?(^o^;
これほどの役者たちが一堂に会しているのを楽しむ以外はない作品。
あの人この人、みつけましょう。
大杉漣を偲ぶ。

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