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『犬部!』

『犬部!』
監督:篠原哲雄
出演:林遣都,中川大志,大原櫻子,浅香航大,田辺桃子,安藤玉恵,
   しゅはまはるみ,坂東龍汰,田中麗奈,酒向芳,螢雪次朗,岩松了他
 
109シネマズ箕面にて。
 
109シネマズでは、エグゼクティブシートにだけ客がいるという光景をよく見ますが、
この日の客は私ともうひとりで、そのもうひとりのお方は最後列の端っこに。
これはなかなかないことです(笑)。
私はもちろんエグゼクティブシートに着席。
 
原案は2010年に発行された片野ゆかのノンフィクション。
北里大学獣医学部に実在した動物保護サークル“犬部”への取材を基にしているそうです。
 
青森県十和田市にある大学。
獣医学部の学生・花井颯太(林遣都)はバカが付くほどの犬好き。
自室で犬のみならず多くの保護動物の世話をしている。
 
あるとき、目の前のすべての命を救いたいという思いから、
動物保護を目的とするサークル“犬部”を設立。
やはり犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)と猫好きの佐備川よしみ(大原櫻子)を巻き込んで活動を開始する。
そこに彼らの指導教授・安室(岩松了)の助手を務める秋田智彦(浅香航大)も参加。
 
保護犬の譲渡会などを企画し、動物保護に青春を捧げる颯太は、
やがて卒業、自分の動物病院を開業するに至るのだが……。
 
真面目に話をする前にどうしてもひとこと言いたい。安藤玉恵、サイコー。
本作では颯太が経営する動物病院の看護師役です。
 
殺処分される動物の話は本当につらい。
本作中にも出てくる、商売を目的とするペットショップでの繁殖は
どうにも理解できなくて目を覆いたくなります。
 
獣医になるためには、殺処分対象の生きた犬の解剖をする。
それをしなければ単位がもらえないからと普通は飲むところ、
颯太は「1匹も殺したくない」と教授に直訴。
命を救うために手術をおこなう動物病院を自ら調べて訪ね、
見学を認めてもらってレポートを書くことで教授にうなずかせます。
 
動物を殺したくないんだと主張するばかりではなく、
やるべきことに代わる方法をきちんと自分で見つけ、
国家資格を取得して医師になっても、さまざまな問題が押し寄せる。
他のところに就職して、死んでゆく動物と対峙できずに病む者もいる。
 
またしても思い出します。この台詞を。
「目の前の危機を救えばいいじゃないですか。
 今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、
 明日、世界を救えるわけがないんですよ」。 
 
フィクションの世界にではなく、現実にこれを叶えようとしている人がいる。
それが凄いし、嬉しい。
傍観者になっていてはいけないと思うけれど、どうすればよいかわかりません。

—–

『少年の君』

『少年の君』(原題:少年的你)
監督:デレク・ツァン
出演:チョウ・ドンユイ,ジャクソン・イー,イン・ファン,ホアン・ジュエ,
   ウー・ユエ,チョウ・イェ,チャン・ヤオ,チャン・イーファン他
 
シネ・リーブル梅田にて。
 
第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた中国/香港作品。
青春映画のジャンルでは中国歴代第1位を記録したそうです。
冒頭で、本作がいじめに遭っている人の一助になればとのテロップ。
私の中では今までの中国映画のイメージがひっくり返りました。
 
少女チェン・ニェンは名門進学校でトップ10に入る成績を収める優等生。
母親と二人暮らしだが、その母親は妙な商売にばかり手を出し、家計は火の車。
借金取りがやって来るから自分はいないほうが安全だと、家に居ようとしない。
扉を叩く音に耳を塞ぎながら受験勉強に集中するニェン。
 
ある日、いじめに遭っていた同級生が校舎から飛び降りて自殺する。
そこら中の生徒が遺体にスマホを向けて撮影するなか、
ニェンは遺体に近づき、自分の上着をふわりとかける。
 
取り調べに来た刑事から呼び出されたニェンは、
同級生に何があったか知っているのだろうと詰め寄られるが、何も答えない。
しかしニェンが何か告げ口したに違いないと考えるいじめっ子たちは、
今度は標的をニェンに変え、執拗にいじめを繰り返すように。
 
そんなとき、下校途中に集団リンチの現場に遭遇。
暴行を受けていた少年シャオベイを助けるため、ニェンは通報しようとする。
それがきっかけでニェンはチンピラのシャオベイにボディガードをしてもらうようになるのだが……。
 
貧困層から脱出するには学歴がすべて。
何が何でも一流大学に入らねばならないと、皆が全国統一入学試験(通称:高考)に臨む姿は異様。
そんなに勉強せなあかんのやったら、人をいじめてるヒマはないやろと思うのですが、
毎日が面白くないからか何なのか、そのいじめの凄まじさに背筋が凍ります。
 
私がいじめられっ子だったのは幼稚園の2年間だけでしたが、
いじめっ子に挟まれて過ごす1日の長いことと言ったら。
幼心にも親に心配はかけたくないから、家では絶対に言えない。
 
いじめっ子って、ひとりじゃ何もできないのですよね。必ずつるんでいる。
私をいじめていたふたりは小学校が異なったおかげで、
ひとりになってからは何もしないどころか、なりを潜めておとなしくしていましたが、
あのふたりがあのまま私と同じ小学校に上がっていたらと思うと今でもぞっとします。
 
小山田圭吾のいじめ発言等、オリンピック開催まぎわにとんだことになりました。
小山田さんは本当に反省しているのかもしれないけれど、
私は基本的に、心の底から反省しているいじめっ子など存在しないと思っています。
話題にされて、事の重大さに気づいて、保身で謝ってみせているだけ。
本作のいじめっ子のリーダー、ウェイ・ライもそう。
ニェンに謝罪に来たのは、付近の住民に通報されて困っただけのこと。
その後、彼女の身に起きたことは、私はいい気味だとしか思えません。
 
私が一生許せないと思っているいじめっ子、
でも向こうは私のことなど覚えてもいないでしょう。
いじめって、そういうものなのかなと思います。
 
と、自分のことばかり書いて、ほとんど感想ではなくなってしまいましたが、
私のように少なからずいじめを受けたことのある人間にとって、この映画は救いになる。
 
「君のことは俺が守る。君は世界を守れ」。
似た台詞があったなぁと思ったら『ワンダーウーマン』(2017)でした。
こんなにも違う映画だけど、目指す先は同じなのかも。

—–

2021年7月に読んだ本まとめ

2021年7月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2835ページ
ナイス数:683ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■蠱峯神 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
たぶん私は春菜の百倍くらい歴史が苦手。なのに半ば近くまでが歴史を交えた隠温羅流のルーツを探る旅。事件は何も起こらないから、名前は出ても姿は見えないパグ男の登場を切に願ってしまいました(笑)。このまま何も起こらない巻かと思った頃に聞かされる、虫に食われたみたいな穴だらけの遺体の話。想像すると心底怖い。唐突すぎるプロポーズ。いよいよ最後かしら。今更ながら『愛の不時着』を観はじめたせいか、私の頭の中では仙龍がヒョンビン、春菜がソン・イェジン。いや、春菜はむしろソ・ジヘかも。でもコーイチはやっぱり菅田将暉だなぁ。
読了日:07月03日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/17969131

■ブルース (文春文庫)
「男の美しさ」をすべて持っている男。本作のあらすじを簡単に言い表すならば、そんな男の少年時代から命を落とすまでの連作短編集。彼には生まれつき6本の指があり、愛想はなく、色気がある。その時々に彼にハマった女たちの目線で描かれます。表紙から想像する雰囲気も、話中で流れる音楽も、何かにつけて昭和の色が濃いなぁと思ったら、テレビのニュースから舞台が昭和であることがわかる。映像化したらR-18指定になりそうだけど、桜木紫乃の世界はいつもエロティックなのに品があって、薄っぺらさを感じない。なんだかとても哀しくなる。
読了日:07月06日 著者:桜木 紫乃
https://bookmeter.com/books/12314193

■夜がどれほど暗くても (ハルキ文庫)
ゴシップをウリにする週刊誌の副編集長が主人公。彼の息子にストーカー殺人犯の嫌疑がかかり、息子自身も死亡。ネタを追う側が追われる側に変わるとどうなるか。既婚俳優と若手女優の不倫話だとか、お騒がせ議員の問題発言だとか、リアルなゴシップを反映した小説をこんなにも速攻で書ける七里センセは凄い。だけど、私にとっては最近の七里作品の中ではいちばんつまらなくて、いつものドンデン返しすら肩すかしもいいとこ。ところがそのままでは終わりませんでした。抱腹絶倒の巻末、西原理恵子の解説漫画。ヘイ、西原さん、次も待ってるぜ(笑)。
読了日:07月08日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/16327612

■異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 剥皮の獣 (メディアワークス文庫)
シリーズ第1弾を読んだのが約半年前。そのとき何か引っかかる言葉があったなぁと思っていましたが思い出せず。読み始めて思い出す、「けれどの莉花ちゃん」と名付けたことを。第1弾よりは頻度少なめですが、やっぱり多い「けれど」。引っかかるのは彼女には「が」のほうが似合うと思うから。事件そのものよりも彼女を貶めようとする同僚たちにゲンナリ。感情希薄で雪女と揶揄されるヒロインのことを応援したくなるし、段々と好きになってきました。何よりこのシリーズは薄いのが嬉しい。しかしどう見てもますますクラリスとハンニバル・レクター。
読了日:07月09日 著者:久住 四季
https://bookmeter.com/books/17977132

■異端の祝祭 (角川ホラー文庫)
タイトルこそ普通の(?)単語の組み合わせですが、各章に付けられた妙な響きの平仮名は澤村伊智を思わせます。だけど著者は三津田信三の大ファンだそうで、読めばなるほどその雰囲気が強い。民俗学ホラーを謳うラノベなどには時折「どこが民俗学やねん」とツッコミを入れたくなることがありますし、本作もそこは少し疑問。でも不気味なカルト教団の存在に引き込まれます。それ以上に怖いのは、常識人だと思われていた人に隠されている実際の姿。本作のるみと小野不由美『ゴーストハント』のナルが一緒に現場に臨むところを勝手に想像して楽しむ。
読了日:07月13日 著者:芦花公園
https://bookmeter.com/books/17851763

■ボーダレス (光文社文庫 ほ 4-17)
誉田哲也も引き出しの多い作家ですね。ドロドロ系もあれば爽やか系もあって、本作は後者ではあるけれど、「お嬢様」の章が微妙にドロッ。並行して描かれる4つの出来事のうち、1つは登場人物のひとりが書く小説の話だと思っていたら。騙されたわけではないけど、ほ〜、そうですか。言い回しの違う伊坂幸太郎とか道尾秀介とかを想像しましたが、凄いトリックが潜んでいるわけでもない。事件をきっかけとして彼女たちがそれぞれの人生を歩み始める。これがスタートラインとなる物語。だから、面白かったわりにはまだまだこれからな感じがもどかしい。
読了日:07月18日 著者:誉田哲也
https://bookmeter.com/books/17526969

■もう一杯、飲む? (新潮文庫)
小説とエッセイのごった煮。純粋に酒をテーマにしていると感じられたのはエッセイの中に2つだけ。他はどれもあくまで「お酒のある風景」。私もアルコールは大好きですが、ビールはお腹が膨れるのであまり執着がありません。でも文章にするならビール最強。缶を開けるときの「プシュッ」という音、この文字を目にすれば、飲みたくてたまらなくなる。最も酒の話に徹していた小泉武夫さんのエッセイに登場する『千日酒』が面白い。飲めば心地よく酔って千日間。しかしそのまま埋められたら困る(笑)。私は小説のほうが好みでしたが、こんな試みは粋。
読了日:07月22日 著者:角田 光代,島本 理生,燃え殻,朝倉 かすみ,ラズ゛ウェル細木,越谷 オサム,小泉 武夫,岸本 佐知子,北村 薫
https://bookmeter.com/books/17982813

■稲荷書店きつね堂 アヤカシたちの奮闘記 (ハルキ文庫)
ヨモギが学校に行っている様子がないことをいつか通報されやしないかと心配するのはもうやめた(笑)。狐と犬が人間に化けて書店を盛り立てようと奮闘する姿に、ひたすら応援したくなります。加えて、怪しすぎたツンデレの狸がどんどん愛らしくなっている。悪い話が降りかかるのは次に持ち越されたらしく、安心の第4弾。って、いつもわりと安心できますけど。いちばん笑ったのは「なんで吐くまで飲むんだろう」「人間の世界も大変だな」というヨモギたちの台詞。いやほんと、なんでそんなに飲むんでしょうね(笑)。私は最近そこまで飲んでないよ。
読了日:07月23日 著者:蒼月海里
https://bookmeter.com/books/17447029

■夏への扉 [新版] (ハヤカワ文庫SF)
SF映画は大好きなのですが、小説は私の頭ではついていけないことが多く、本作も敬遠していました。しかし不朽の名作といわれる本作を日本で実写化するなんてと驚き、訝りつつ観たら、面白い。で、原作も読むことに。原作ファンの評価は知らないけれど、意外と原作に忠実でよくできた映画だと私は思いました。ダンは巨乳好きで(笑)ベルにお熱だったようで、山﨑賢人演じる宗一郎はそんなふうではなかったところが高得点(笑)。また、清原果耶演じる璃子はリッキーほど幼くないから、宗一郎を待っていても違和感なし。今後もSFは映画→小説で。
読了日:07月29日 著者:ロバート・A・ハインライン
https://bookmeter.com/books/16899272

■京都おもしろウォッチング (とんぼの本)
7月に読んだ本を10冊にするための完全な冊数稼ぎで、長らく本棚に飾っていた本書を引っ張り出して読みました。これまでの人生で読んだ本のうち、猛烈に楽しかったものを5冊挙げるとすれば、『超芸術トマソン』がたぶん入ります。本書は路上観察学会の紹介的なところもあるので、書籍としての楽しさはトマソンのほうが上ですが、写真を見ているだけでニヤニヤと笑ってしまう。鬼門とか縛り物とか、ホラー小説を読んだ後なら不気味に見えるものもあったりして(笑)。注意して周りを見ればこんなにも面白いものが転がっている。上を向いて歩こう。
読了日:07月31日 著者:赤瀬川 原平,藤森 照信
https://bookmeter.com/books/21332

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『シャイニー・シュリンプス! 愉快で愛しい仲間たち』

『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』(原題:Les Crevettes Pailletees)
監督:セドリック・ル・ギャロ,マキシム・ゴヴァール
出演:ニコラ・ゴブ,アルバン・ルノワール,ミカエル・アビブル,ダヴィド・バイオ,
   ロマン・ランクリ,ロラン・メヌ,ジョフレ・クエ,ロマン・ブロ,フェリックス・マルティネス他
 
コロナ禍でもなじみのお店が営業している限りは外食しようと誓っているので、
土曜日毎に相変わらず外で食事していますが、なかなか大変です。
というのも職場ではまだ感染者が出ていませんし、
こうして今までどおり映画に行き、外食もしている私が万が一第1号になろうものなら、
何を言われるやらわかりません。言われなくても思われる(笑)。
だから私は絶対にコロナにはかかれない。万全の対策をして出かけなければ。
 
そんなふうに出かけて、京都で酔っぱらった翌日。
もうええ加減しんどいし、連休最後の日ぐらい家でじっとしていようと思ったのに、
目覚ましをかけずとも朝6時には目が覚めてしまうんですよねぇ。
長く寝ていられるのは若い証拠。無理。目が覚めたなら起きなきゃもったいない。
 
もしも普通に起きられたら観に行こうと決めていた1本。
フランスに実在するゲイの水球チームをモデルにした作品。
同チームに所属するセドリック・ル・ギャロが自ら監督を務めています。
シネ・リーブル梅田にて鑑賞しました。
 
水泳選手マチアスは、オリンピックの銀メダリスト。
世界水泳で頂点を目指すべく練習に励んでいたがスランプ気味で、
インタビュアーに毒づいたところ、その発言が問題視される。
というのも、同性愛者であるインタビュアーに「ホモめ」と言ったから。
そのせいで世界水泳の選考会の出場資格を剥奪される。
 
再び資格を得る条件として連盟が提示したのは、
ゲイのアマチュア水球チーム“シャイニー・シュリンプス”のコーチを務めて
3カ月後に開催される“ゲイゲームズ”(LGBTQ+による世界大会)に参加せよというもの。
 
ほかに選択肢はないのだから引き受けるよりほかない。
渋々コーチを引き受けたマチアスだったが、
彼を待ち受けていたチームの面々は、およそ勝つ気のないお調子者だらけで……。
 
自分で泳ぐのは特に好きでも嫌いでもないのですけれど、
プールの話ってなんか楽しくないですか。
 
問題行動を起こした選手やコーチが弱小チームのコーチを仕方なく引き受ける。
最初はどうしようもないチームで、教えたい気持ちも湧かない。
打算で教えるうちにメンバーとの絆ができあがるというのは全然珍しくない話。
 
よくある以外の何物でもないストーリー展開なのですが、
人はこの手の話がやっぱり好きだと思うのですよ。
たいていが駄目な奴だけど、基本的に善人。
たまにすごく才能のある奴もいて、時には余命わずかな者もいる。
彼らがひとつになって試合に臨む姿が胸を打たないはずもない。
 
マチアス役のイケメン、ニコラ・ゴブが「このマッチョハゲ!」と罵られたり、
ひとりでマチアスを敵視するメンバーと他のメンバーの憤る点がズレていたり、なかなか笑えます。
あまりに品のないジョークに関しては、ゲイはいつもこんなこと言ってるみたいで、
ゲイに怒られたりしないかい?と心配になりました。(^^;
 
ところで、ゲイの人たちがセリーヌ・ディオンを嫌いだというのはもはや一般常識ですが、
ライアン・ゴズリングが大人気だというのは初耳だったので目からウロコ。へ〜っ!
 
明るく振る舞ってはいても、まだまだ世の中は厳しい。
ゲイゲームズが世界中で中継されるようになればいい。

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『ライトハウス』

『ライトハウス』(原題:The Lighthouse)
監督:ロバート・エガース
出演:ウィレム・デフォー,ロバート・パティンソン,ワレリヤ・カラマン他
 
京都シネマで4本ハシゴの〆には本作を選択。
 
デビュー作の『ウィッチ』(2015)が強烈に頭に残っているロバート・エガース監督。
その監督の2作目である本作を絶賛しているのはアリ・アスター監督、
つまり『ミッドサマー』(2019)の監督です。
もうこれを聞いただけで、楽しい作品を想像するほうが無理。
絶対イヤな作品に決まっているのですが、どうにも好奇心を抑えられません。
 
全編モノクロ。
このふたり以外に登場するのは幻の人物だけ。
 
舞台は1890年代、ニューイングランド孤島
灯台と島の管理のため、ここへ派遣されたふたりの男。
ひとりはベテランのトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)。
もうひとりは新人のイーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)。
ふたりは灯台守として4週間を共に過ごすことになる。
 
しかし、トーマスは灯台守の仕事を一切教えようとせず、
イーフレイムに命ずるのは雑用ばかり。
掃除掃除の毎日で、しかもどれだけ丹念に床を磨き上げようが、
トーマスから必ず駄目出しされる。
食事時には飲酒を強要され、イーフレイムのストレスは溜まる一方で……。
 
ほかに誰もいない。たったふたり。
しかも、ウマが合うとは思えない傲慢な上司と同じ部屋で寝泊まり。
そりゃもう気が変になるでしょう。
 
イーフレイムのアタマがじわじわとおかしくなる様子がめちゃくちゃ怖い。
双方の鬼気迫る演技から目が離せません。
予想通り、明るさのかけらもない、ものすごく嫌な話で気が滅入ります(笑)。
 
だけど、観たことを忘れてしまいそうな作品も多い中、
これは何年経とうが忘れられない作品になる。忘れたいけど。
 
とりあえず、まずカモメを見るとおののいてしまいそうです。(^^;

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