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『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』
監督:長崎健司
声の出演:山下大輝,岡本信彦,梶裕貴,稲田徹,中村悠一,三宅健太,
     本名陽子,野島裕史,中井和哉,林原めぐみ,吉沢亮他
 
京都へお参りに行くために休みを取った日、
義姉と姪っ子と3人で食事して帰宅したら15時すぎ。
16時すぎからのこれに間に合うやん。行っとこか。
連日、109シネマズ箕面にて。
 
“僕のヒーローアカデミア”のことはひとつも知りませんでしたが、
結構おもしろかったのですよねぇ。全然知らなくてもついて行けて。
今回はどうしようかと思ったけれど、ゲスト声優が吉沢亮なら観たいでしょ。
 
私同様にまったく知らない方のために少し説明すると、
人は誰しも個性を持っているということが前提で、その個性こそが超常能力。
超常能力を磨き上げて、人々と社会を守る職業が“ヒーロー”。
ここに登場する少年少女たちはヒーローとなることを目指しています。
 
本作では、その個性を否定して個性保持者を殲滅しようと目論む者が現れます。
無個性の者で形成される世界こそが理想だという、
新興宗教団体のような組織“ヒューマライズ”のリーダー、フレクト・ターンが、
ヒーローたちを罠に陥れてまとめて消そうと、爆弾を世界中に仕掛けます。
 
たまたまインターン中だったヒーロー科の生徒たちも招集され、各地で爆弾の回収を進めつつ、
主人公のデクこと緑谷出久と共にこれに巻き込まれた一般人のロディが
フレクト・ターンに立ち向かう、というお話。で、ロディの声を担当するのが吉沢くん。
 
子ども向けのアニメだからって侮れません。相当良い。ウルッと来ます。
 
ロディはいわばヤングケアラーなのですよね。
母親を亡くし、優しい父親がロディとその弟妹を可愛がってはいたけれど、
父親が突然蒸発してしまう。
父親がヒューマライズに所属していたとわかって、ロディは幼いながら非難の的。
町にもいられなくなって、トレーラーハウス住まい。
弟と妹の世話をしながら懸命に生きてきました。
この辺りからしてもうただのアニメとは思えません。
 
自分が無個性で何の取り柄もないと思い知らされていたとしたら、
無個性の君こそ生きる価値があるのだよと言われて嬉しくなるのは当然。
そんな気持ちを利用して、ヒューマライズは世にも恐ろしい組織となります。
新興宗教に入信して洗脳される人はこんな思いなのかも。
 
何の見返りも求めず、ただ、人を救いたいんだというデク。
みんなの笑顔だけを望む彼の姿を見習いたい。
 
こういうアニメが人気である限り、この国は大丈夫だと思うのですが、甘いですか。

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『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

『妖怪大戦争 ガーディアンズ』
監督:三池崇史
出演:寺田心,杉咲花,猪股怜生,安藤サクラ,大倉孝二,三浦貴大,大島優子,
   赤楚衛二,SUMIRE,北村一輝,松嶋菜々子,岡村隆史,遠藤憲一,
   石橋蓮司,HIKAKIN,荒俣宏,神木隆之介,柄本明,大森南朋,大沢たかお他
 
さほど観たいわけでもないのに観に行く必要がありますか。
必要があるかどうかを考えると、別にない。
私ひとりが観に行ったところで、コロナ禍の劇場経営になんら影響があるわけじゃなし。
でもある日突然どこかの劇場が閉館に追い込まれたりして、
「あのとき観に行っときゃよかったなぁ」なんて後悔するのは嫌だから、行く。
109シネマズ箕面にて。
 
『妖怪大戦争』(2005)の続編といえば続編ですが、単独で観てもなんら問題ありません。
前作と同じく三池崇史監督。
キャストも同じ人がちらほら出演していますが、
ぬらりひょん役の忌野清志郎が亡くなってしまったので、代打は大森南朋
 
小学5年生の渡辺兄(けい)(寺田心)は弟の弟(だい)と二人兄弟。
父親はふたりがもっと幼い頃に亡くなり、
看護師の母親(松嶋菜々子)がひとりで兄弟を育てている。
 
ある晩、兄は友人たちと肝試し。呼びもしないのに弟もついてくる。
祠を見つけ、そこにあったおみくじを引くと、
友人たちは皆「吉」だとか「凶」だとか普通のおみくじだったのに、
兄が引いたおみくじはなぜか字がなく、真っ赤に塗られていた。
 
実はこのおみくじを引いたものこそが人類と妖怪を救う勇者。
フォッサマグナに眠る“妖怪獣”がちょうど目を覚まし、東京に襲来しかけていた折で、
自らの手では妖怪獣を止められぬと考えた妖怪たちは、武神“大魔神”の力を借りることに決める。
 
大魔神を起こすには、伝説の妖怪ハンターの血を引く勇者の力が要る。
妖怪の世界に引き入れられた兄にぬらりひょん(大森南朋)たちは期待を寄せるが、
兄はとても勇者と思えぬほど弱気。そこへ兄を追って現れたのが弟。
弟の物怖じせぬ姿に、妖怪たちは弟こそが勇者だと勘違いして……。
 
ショボいっちゃショボいですよ。でもなんだか憎めない作品です。
何より役者陣がみんな楽しそうなんです。
狐役の杉咲花、姑獲鳥役の安藤サクラ、雪女役の大島優子
猩猩役の大倉孝二、天狗役の三浦貴大、天邪鬼役の赤楚衛二
それになんといっても隠神刑部役の大沢たかお
こんな楽しそうなのに、駄目出ししたって仕方ないでしょという気にさせられる。
 
とにかく凄いメイクなので、誰だかわからない人が多い。
顔じゃわからんから、聞いたことのある声だなぁ、誰だっけと考えながら観るのも楽しい。
 
意外にも反戦を唱える作品の一面もあります。
「戦っちゃ駄目だ。耳を澄ませて、お互いの声を聴かなきゃ」。
寺田心くん演じる兄の言葉が心に残ります。

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『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル』

『かぐや様は告らせたい  天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル』
監督:河合勇人
出演:平野紫耀,橋本環奈,佐野勇斗,浅川梨奈,堀田真由,影山優佳,福原遥,
   板橋駿谷,高橋文哉,池間夏海,ゆうたろう,高嶋政宏,佐藤二朗他
 
シネコンでは観るものがなくなってきましたゆえ、
観なくてもいいかなと思っていた本作も観に行く。109シネマズ箕面にて。
 
最後まで観たら、これほんまに完結編なん?と思わなくもない(笑)。
どんな作品も、大ヒットを飛ばせばさらなる続編を作れる余地は残しているように感じます。
 
河合勇人監督って、まだお若いのかと思っていたら、50歳を過ぎてるやん。
相米慎二監督作品の助監督を務めていらっしゃったこともあるそうな。
相米監督とはずいぶん雰囲気が違う気はするけれど、
思えば相米監督も『翔んだカップル』(1970)や『セーラー服と機関銃』(1981)を撮っていた。
時代が違うから雰囲気が異なるように感じるだけで、若手の起用の仕方は似ているのかな。
 
名門私立高校・秀知院学園では選挙戦が終わり、
ふたたび生徒会長および副会長として生徒会に戻った白銀御行(平野紫耀)と四宮かぐや(橋本環奈)。
会計の石上優(佐野勇斗)と書記の藤原千花(浅川梨奈)といういつもの面々に、
生徒会に憧れる伊井野ミコ(影山優佳)が会計監査として新たに加わる。
 
お互いに想い合っているというのに、自分からはコクれない御行とかぐや。
いかにして相手に告白させるかを考えるが、事態は変わらない。
そうこうしているうちに体育祭文化祭という学園の2大イベントがやってきて……。
 
前作ではとにかく相手にコクらせようとがんばっているイメージでしたが、
本作では相手がコクってくれないからもう自分からコクろうと思うのだけど
そのタイミングが掴めなくてあたふたする感じです。
 
監督の年齢を思うと、こんな恥ずかしいもんよう撮るわと思ったりも(笑)。
ひとりで観ているからええんですけど、恥ずかしくてニタニタ笑ってしまう。
ここで真面目な顔をして『全裸監督』の真似をする高嶋政伸、壊れてます。
佐藤二朗も相変わらずで、彼のことが嫌いじゃなくなった私は何?
 
橋本環奈は22歳、平野紫耀は24歳。
まだまだ高校生役ができそうな面持ちではありますが、
う~ん、この辺でやめておくほうがいいでしょうか。
 
「好きです」と言う機会なんていくらでもあるのに、言えないもんですねぇ。

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『ドライブ・マイ・カー』

『ドライブ・マイ・カー』
監督:濱口竜介
出演:西島秀俊,三浦透子,霧島れいか,岡田将生,パク・ユリム,ジン・デヨン,
   ソニア・ユアン,アン・フィテ,ペリー・ディゾン,安部聡子他
 
上映時間179分って。長っ。
派手な動きはなさそうな作品だと予想していたので、
もしかすると寝てしまうかもと思いながらTOHOシネマズ伊丹へ。
 
第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞しました。
濱口竜介監督の代表作のひとつが『寝ても覚めても』(2018)。
例の東出昌大唐田えりかの不倫のきっかけとなった作品でした。
『スパイの妻』(2020)の脚本を担当したのもこの人。
東大文学部卒の超インテリだということはこのたび知りました。
 
原作は村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収載されている1編。
『トニー滝谷』(2004)、『ハナレイ・ベイ』(2018)、『バーニング 劇場版』(2018)などなど、
村上春樹の短編は映像作家の心を掻き立てるものがあるのでしょうか。
 
舞台俳優であり人気演出家でもある家福(かふく)悠介(西島秀俊)。
妻の音(霧島れいか)とふたり、満ち足りた生活を送っている。
 
しかし、飛行機の都合で出張が1日延びた日、自宅に舞い戻ってみると、
音が若い男を連れ込んで情事に及んでいた。
そのままこっそり自宅を出てホテルに宿泊した家福は、
目撃したことを音に打ち明けられず、その後も普段通りに振る舞う。
 
ある日、思い詰めた表情の音と晩に話す約束をして出かけるが、
帰宅すると音がくも膜下出血で倒れており、目覚めることなく息を引き取ってしまう。
 
2年が経ち、演劇祭で上演される『ワーニャ伯父さん』の演出を任された家福は、
愛車のサーブ900ターボに乗って広島へ。
宿泊先と会場との往復も自分で車を運転するつもりだったのにそれは許されず、
主催者側が雇う運転手・渡利みさき(三浦透子)にサーブを運転させるのだと言う。
不満に思いつつも従うと、みさきの運転は素晴らしく快適。
 
翌日、さまざまな国からやってきたオーディション参加者の中には、
当時の音の浮気相手である高槻耕史(岡田将生)の姿もあり……。
 
きっと眠くなると思っていたのに、意外や意外、3時間平気でした。
すごく好きかと聞かれると私は微妙なのですが、概ねよかった。
これが日本語の通じない海外で上映されたら、より高評価になるのはわかる気がします。
 
言葉が通じなくても高評価になるぐらいだから、
登場人物の心情の言葉による説明はほとんどありません。
それでも心の裡がひしひしと伝わってくる。
 
妻の浮気現場を目の当たりにしたのに、何も見なかったことにする夫。
その後に妻が死亡したときには、『永い言い訳』(2016)を思い出しました。
「もう1ミリも愛してない」という台詞が印象的だったから、
本作も実は妻はそんな気持ちだったのかもなんて思ったりして。
でもそうじゃなかったらしい。浮気は浮気。
お互いがいない状況なんて考えられなかった夫婦。
 
一転して終盤は説明しすぎなのではと思わないこともない。
高槻があれこれしゃべるところでは、こりゃ日本語が言葉として耳から入ってくるよりも、
字幕で観るほうが受けるイメージがいいかもと思いました。
 
芝居の本読みにとても興味が湧きます。
何の感情も入れずにただ棒読みすることの意味。なるほどなぁ。
 
ちなみに原作では黄色のサーブ900コンバーチブルのところ、
映像化するには赤のほうが映えるということでこれになったそうな。
また、原作の舞台は東京だけど、ロケ時の車の通行量の加減で広島に。
ロードムービーを撮るには日本はいろいろと大変っぽい。

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『シュシュシュの娘』

『シュシュシュの娘』
監督:入江悠
出演:福田沙紀,吉岡睦雄,根矢涼香,宇野祥平,金谷真由美,松澤仁晶,三溝浩二,
   仗桐安,安田ユウ,山中アラタ,児玉拓郎,白畑真逸,橋野純平,井浦新他
 
ナナゲイにて3本ハシゴの3本目。
 
コロナ禍でミニシアターが苦境に立たされました。
そんな中で立ち上がった入江悠監督。
仕事を失った俳優やスタッフ、また、未来ある学生たちと自主映画を制作し、
全国のミニシアターで公開しようじゃないかと。
 
と謳っている作品って、その意図は素晴らしいけれど、
完成したものはイマイチだったりで、悲しいかな内輪受けに終わっている、
なんてことも大きな声じゃ言えませんが、ありがちだと思います。
でもこれは凄くよかった。こんな作品を撮ってくれてありがとうと言いたいです。
 
地方都市の市役所に勤める25歳の鴉丸未宇(福田沙紀)は、
ほぼ寝たきりの祖父・吾郎(宇野祥平)と二人暮らし。
市では「移民排除条例」を制定しようという動きが活発だが、吾郎はそれに断固反対。
おかげで未宇は上司・牟根田瞳(金谷真由美)から嫌味を言われっぱなし。
でも思う、移民排除条例って、つまりは差別条例じゃないの?
 
勤務先では四面楚歌のなか、ただひとり優しく接してくれていた先輩・間野幸次(井浦新)は、
未宇の亡き父親の友だちだったらしく、頻繁に吾郎のもとを訪ねてくる。
条例制定にも懐疑的な立場を取っていたが、ある日、市役所の屋上から飛び降りて自殺。
 
悲しみに暮れる未宇に吾郎は言う。
「爺ちゃんの余命はあとわずか。墓場まで持っていくつもりだった秘密をおまえに伝える。
鴉丸家は忍者の家系だ」と。ニ、ニンジャって、何よ。
 
吾郎が言うには、公文書改ざんに手を貸したことを苦にして自殺した間野は、
そのときの会談の模様を動画に撮ったはず。
どこかに必ずそれを隠しているから、未宇が見つけて来いと……。
 
吾郎の元の職業を聞いて思い出すのは当然のことながら新聞記者』(2019)。
公文書改ざんを苦に自殺したというのは赤木俊夫さんになぞらえていますし、
条例制定にこぎつけた市長が「来年は桜を見る会を開きましょう」と言うなど、
現実への皮肉バリバリで笑っちゃいます。
 
純血主義の日本。
そりゃ日本なんですから日本人ファーストは誰もが望むところだとしても、
移民を徹底的に排除し、彼らを守ろうとする日本人をも徹底的に痛めつける。
こんなことをする人たちは人間的に信用できない。
いくら今親しくても、少し意見の違うところが出てくれば、簡単に敵視されることでしょう。
 
怖かった。そして未宇のことが頼もしかった。
ふきだしてしまうシーンも多くて、劇場内のマスク越しに笑いが漏れていました。
 
コロナが終わったときにも、恥ずかしい人間になっとったらあかんと思う。

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