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『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』

『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』(原題:The United States vs. Billie Holiday)
監督:リー・ダニエルズ
出演:アンドラ・デイ,トレヴァンテ・ローズ,ギャレット・ヘドランド,ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ,
   ローレンス・ワシントン,ロブ・モーガン,ナターシャ・リオン,トーン・ベル,エリック・ラレイ・ハーヴェイ他
 
109シネマズ箕面にて、前述の『嘘喰い』とハシゴ。
 
上限3時間のサービスしか受けさせてくれないから、
2本ハシゴするときも、1本目と2本目の間にいったん出庫しなくちゃいけない。
現在はその上限を撤廃して特別対応ではない当然のサービスとして受けられます。
それにひきかえ……(怒)と心の中で文句を垂れながら入庫し直して鑑賞。
 
黒人の女性ジャズシンガー、ビリー・ホリデイの人生を映画化した伝記ドラマ。
監督は『大統領の執事の涙』(2013)のリー・ダニエルズ。
原作もありまして、ヨハン・ハリの全米ベストセラー『麻薬と人間 100年の物語』。
 
本名はエレオノーラ・フェイガン。ビリー・ホリデイは1915年生まれ。
10代半ばに至る頃にはナイトクラブで歌いはじめ、
20代に差しかかると“カフェ・ソサエティ”の専属歌手として活躍。
そして、アメリカ南部の人種差別について歌った『奇妙な果実』という曲が大ヒット。
 
大人気歌手になっても、ホテルや飲食店で差別を受けることは変わらない。
マイルス・デイヴィスと同じですよね。
黒人専用のエレベーターって、意味がわからない。なぜこんなものが存在するのか。
 
ビリーの歌が公民権運動に影響することを恐れる政府は、
なんとか彼女の粗を探し出して彼女を潰そうとします。
ヘロインの常習者だった彼女を挙げることはそう難しいことではないと思われますが、
麻薬取締局の長官アンスリンガーは、麻薬撲滅を謳いつつ、
本音は麻薬以上に黒人をこの世から消し去りたい。
 
ビリーを叩くために利用される黒人捜査官ジミー・フレッチャー。
ファンになりすました彼をビリーに近づけて彼女の身辺調査をおこなわせます。
見事成功してビリーを挙げ、出世したように見えても、
アンスリンガーの下では結局使い捨て。黒人はただの道具として扱われているのです。
 
恋多き女でもあった彼女が時を一緒に過ごした男性たち。中には女性もいる。
いつのときも彼女のそばにいた仲間たち。
ビリー役のアンドラ・デイの圧巻の歌を挟みながら、彼女の人生が描かれます。
 
アレサ・フランクリンもビリー・ホリデイも子どもの頃にレイプされていたというのは衝撃的。
こんな過酷な日々を生き抜けたのは、ドラッグのおかげだとは。
 
それにしても当局の執拗さと言ったら。
1930年代に通らなかった「黒人へのリンチを禁止する法案」が
今も通っていないという事実に驚きました。
 
44歳の若さでこの世を去ったビリー。何を思っているでしょうか。

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『嘘喰い』

『嘘喰い』
監督:中田秀夫
出演:横浜流星,佐野勇斗,白石麻衣,本郷奏多,森崎ウィン,
   櫻井海音,木村了,鶴見辰吾,村上弘明,三浦翔平他
 
109シネマズ箕面にて、平日の仕事帰り、ヨレヨレになりながら2本ハシゴ。
その1本目に観たのが本作でした。
 
『週刊ヤングジャンプ』に2006年から2018年まで連載されていた、
迫稔雄の人気漫画を中田秀夫監督が実写映画化。
原作は読んだことがないので、比べようもありません。
 
“倶楽部賭郎(かけろう)”は、さまざまな闇ギャンブルを仕切る組織。
相手にバレなければどんなイカサマもOKというルールのもと、
裏社会の人間はもちろんのこと、日本の財政界の人間までも会員になって、
日々巨額を賭けたギャンブルがおこなわれている。
 
“嘘喰い”の異名を持つ天才ギャンブラーの斑目貘(横浜流星)は、
賭郎の頂点であるお屋形様の座をいただこうと勝負に挑んで敗北を喫す。
通常、敗者は命を奪われるものだが、奪う価値もない命だと蔑まれ、
会員権を剥奪されて街を出ることに。
 
数年が経ち、新たに屋形越えを狙う者が現れたとの噂が貘のもとへ届く。
その人物とはかつて世紀の発見をなしとげた研究者・佐田国一輝(三浦翔平)。
世界に羽ばたく発見だったにもかかわらず、
研究所が不運な火災事故に遭い、佐田国の部下は全員死亡していた。
その佐田国がなぜ賭郎に現れたのか。
 
賭郎に戻ることを考えた貘は、なんとか会員権を手に入れることを目論む。
ちょうどそのとき、闇金から逃げる青年・梶隆臣(佐野勇斗)を救い、
すっかり梶に懐かれた貘は、梶に会員権を取らせて賭郎に乗り込もうとするのだが……。
 
漫画が原作の物語って、登場人物の名前が特徴的ですよね。
本作でも主人公はまだ控えめなほう(笑)。
賭郎のギャンブルの場で立会人を務める2名の名前は、
夜行妃古壱(やこうひこいち)(村上弘明)と目蒲鬼郎(めかまきろう)(本郷奏多)だし。
前者の夜行に関しては昨年スピンオフが出ているそうで、確かにこの人の話は面白そう。
 
闇ギャンブルだとしても、そのイカサマを見抜く過程を私は見たい。
期待外れに終わりそうな予感がありましたが、まぁまぁ、納得できたような気も。
佐田国との対決前、徳井優演じる殺人大好き金持ちジジイと賭けをするとき、
貘と梶ちゃんコンビがハンターから逃げるところのほうが面白かったかな。
ジジイに飼われていた巨人ロデム/マルコ(野村祐希)を救うところも好きでした。
ヤクザの女組長、鞍馬蘭子役の白石麻衣も可愛かったし。
 
ギャンブル映画としては2019年の私のワースト5入り、
『映画 賭ケグルイ』(2019)よりは楽しめました。
とはいうものの、おそらくこれは原作ファンの間では非難囂々では。
なんというのか、半端に漫画チックなんです(笑)。わざわざ実写にせんでも。
中途半端って、最近の映画のキーワードになりそう。(^^;
 
これも続編を狙っているのでしょうねぇ。
何がどうなろうが映画であれば私は観ると思いますので、お好きにどうぞ。

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『ちょっと思い出しただけ』

『ちょっと思い出しただけ』
監督:松井大悟
出演:池松壮亮,伊藤沙莉,河合優実,大関れいか,屋敷裕政,
   尾崎世界観,成田凌,鈴木慶一,國村隼,永瀬正敏他
 
シネ・リーブル梅田にて『マザーズ』を観て怖い思いをした後、
本作を観て脳内を明るいほうに切り替える。と思ったら、想定外の切なさでした。
 
尾崎世界観が大好きな作品として挙げる『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)。
彼のバンド、クリープパイプの楽曲には『ナイトオンザプラネット』というものがあるそうで。
松居監督がその曲に着想を得て撮り上げた作品です。
 
本作の公開記念として『ナイト・オン・ザ・プラネット』もリバイバル上映中。
本作の中にも同作品のシーンがいくつも登場します。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』の監督はジム・ジャームッシュですが、
会話の中に「ジム? ジャームッシュ? キャリー? ジム違いか」なんて台詞も。
この辺りは、どっちのジムも思い浮かばない人には意味不明の会話だな。
 
それはそれで置いておくとして、予備知識なしで観に行ったので、
最初はどういう設定なのかわかりませんでした。
ところどころで刻まれる数字は月日のようだけど、どーゆーこと?
途中でこれが1年ごとの7月26日を示していることに気づきました。
私のように最初は知らないまま観たほうがより面白いかもしれません。
 
その日は佐伯照生(池松壮亮)の誕生日。彼の現在の仕事は舞台の照明スタッフ。
一方の野原葉(伊藤沙莉)はタクシー運転手
今はもう別れてしまったふたりの6年を、照生の誕生日のみ切り取って描いています。
これは、『弥生、三月 君を愛した30年』(2019)と同じと言えなくもない。
どちらも切ないですよねぇ。
 
6年分の同じ日。過去から現在へではなく、現在から過去へと遡ります。
今の照生は裏方の仕事をしているけれど、どうやら以前はダンサーだったらしい。
そしてその頃、葉と出会い、つきあいはじめたようだ。
遡って行くため、ふたりの出会いがわかるのはずいぶん後になってから。
 
今は別れているから、遡るほど幸せそうなんです。
それがもう切なくて切なくて。
あの頃に戻りたいわけじゃない。でもちょっと思い出しただけ。
本当にそうなのかな、なんて考えたりもします。
 
薄くなっているような。
切ない気分のところ、水を差すようですみません。(^^;

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『マザーズ』

『マザーズ』(原題:Shelley)
監督:アリ・アッバシ
出演:エレン・ドリト・ピーターセン,コスミナ・ストラタン,ピーター・クリストファーセン,
   ビョルン・アンドレセン,パトリシア・シューマン,マリアンヌ・モーテンセン他
 
大阪市内に車で出かけた土曜日、18時ぐらいに新御に乗ればきっとババ混み。
わりとよくあるパターン、シネ・リーブル梅田で映画を観てから帰ることにしました。
 
2本ハシゴの1本目は2016年のデンマーク/スウェーデン作品。
 
本当は、これを観るつもりじゃなかったんです。
『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)同様に、妊婦さんは絶対観ちゃダメなやつ。
もちろん私は妊婦じゃありませんが(笑)、怖いに決まっているじゃあないですか。
世の中に「マタニティホラー」というジャンルがあるなんて知りませんでしたが。(^^;
 
観る気ゼロだったのになぜ観ることにしたのかといえば、
私の前に並んでいたひと2名が、ふたりともこれを観る様子だったから。
えっえっ、そんなに面白いん? ほなら私も観てみよかなって。
 
監督はイラン系デンマーク人のアリ・アッバシ。
衝撃的だった『ボーダー 二つの世界』(2018)の監督です。そう知った時点でもう気味が悪い。
 
ルーマニア人のシングルマザー、エレナは、ブカレストの実家に幼い息子を預け、
デンマーク人夫婦、カスパーとルイスに住み込みの家政婦として雇われる。
 
夫婦は資産家でありながら、静かすぎる湖畔の一軒家に住み、
電気も水道も引かずに自給自足の生活を送っていた。
携帯が使えないが、かろうじてある固定電話は自由に使ってよいと言われる。
 
うら寂しい暮らしが始まるが、カスパーもルイスも善人のようだ。
貯金して家族にアパートメントを買うという目標があるエレナは、
夫妻のためにかいがいしく働き、信頼を得て毎日を楽しむようになる。
 
ある日、ルイスから予期していなかった相談が。
ルイスは妊娠しても流産してしまう体質で、それを何度か繰り返した後、
死産したときに子宮を摘出したと言う。
ゆえに自分はもう子どもを望むことができないが、冷凍した卵子がひとつあるのだと。
エレナに代理母になってほしい。もしも引き受けてくれるなら、
アパートメントの購入費用を出すし、今後家政婦の仕事をしなくてもよいと。
悩んだ末、エレナは引き受けることに。
 
お腹の赤ちゃんは順調に育っていると思われたが、
あるときからエレナはこの赤ん坊が自分を殺そうとしていると感じ始める。
げっそりとやつれ、悪夢にうなされるようになって……。
 
何が起こるわけでもないんです。だから余計に怖い。
これをひと言で片付けるならマタニティブルーということになりましょうか。
エレナの正気がどんどん失われてゆき、赤ん坊を胎内から掻き出そうとする。
狂気以外の何ものでもありません。
 
これで終わりかなと思いきや、その後が結構長い。
ネタバレになりますが、エレナは亡くなり、赤ちゃんは無事生まれる。
嬉々とするルイスに対し、カスパーのほうは赤ん坊が怖くて仕方ない。
夜中に赤ん坊が妙な音を発していると感じ、赤ん坊から攻撃されることすら考えています。
エレナと同じように正気を失っていくんですねぇ。
 
もうひとつ、特筆すべきは、ビョルン・アンドレセンが出演しているということ。
『ミッドサマー』(2019)で彼の姿に驚いた人も多いでしょう。
本作はそれより前の作品ということになります。
ルイスが信頼する呪術師なのかな、レオという役名で登場しているのですが、
彼すらこの赤ん坊を見て何かを察して怯える表情が怖い。
だから何なん!? いったいこの赤ちゃんが何だっちゅうの!?←最後まで観ても明かされず。
 
赤ん坊の目玉が真っ黒だったりキラリン♪と光ったりとか一切ないのに、
そうなりそうな予感を常に持たされるものだから、ホラー苦手な私はビビりまくり。
観終わってどんよりしましたが、でも面白かったからいいや。
これが一日の締めくくりの映画ならツライけど、この後もう1本観たから大丈夫(笑)。

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『安魂』

『安魂』
監督:日向寺太郎
出演:ウェイ・ツー,チアン・ユー,ルアン・レイイン,北原里英,チェン・ジン,
   シャン・カンチョウ,サイ・ショウイ,ホウ・トウカイ他
 
京都シネマにて、『国境の夜想曲』の次に。
 
日中国交正常化50周年を記念して制作された日本/中国作品です。
原作者はチョウ・ターシン。監督は『こどもしょくどう』(2018)の日向寺太郎。
AKB48の元メンバー・北原里英が全編中国語で出演しているのも話題。
涙涙の物語を期待して観に行ったのですけれど。
 
唐大道は高名な作家。
妻の瑞英との間に授かった一人息子の英健に学歴こそすべてと説き、
英健がサッカーを楽しんでいた少年時代に都会へと引っ越し。
サッカーなど無意味だと勉学に勤しむことを強いて、
英健もその期待に報いて一流大学から一流企業へと就職を果たした。
 
29歳になった英健は、恋人の張爽を両親に紹介、結婚したいと告げる。
しかし大道は張爽が農村出身であることを理由に反対。
自分のせいで親子断絶してほしくはないと、張爽は身を引く。
 
張爽との別れに傷心していたそのとき、
英健は、目の前にいた日本人留学生の星崎沙紀が置き引きに遭うのを目撃。
咄嗟に犯人を追って捕まえた後、倒れてしまう。
 
病院に運び込まれた英健は悪性の脳腫瘍であることが判明。
手術の甲斐なく、「父さんが好きなのは、自分の心の中の僕なんだ」と言い残して亡くなる。
 
何も手につかなくなった大道は、ある日、路上で英健に生き写しの青年を見かける。
彼の名前は劉力宏と言い、父親と共に心霊治療所を開いていた。
英健に再会したい一心で、大道は降霊を頼むのだが……。
 
巷の評判はいたって良いようです。でも私は好きになれなかったなぁ。
実にイライラしました(笑)。
 
中国の父親像としてはこれが一般的なのでしょうか。
とにかく独善的で、子どもの気持ちなんてまったくわかっちゃいない。
自分の言うとおりにしてさえいればいいんだと決めつけている。
 
何ひとつ父親に背くことはしなかった英健が、
結婚相手だけは自分で見つけた素晴らしい女性を連れてきたのに、
育ちのレベルが違いすぎると父親は即却下。アンタ何様やねん。
 
息子が亡くなってから後悔したって遅い。
息子に瓜二つの力宏に出会い、贖罪の気持ちを見せたところで、ただの自己満足に思えます。
しかも心霊治療所は堂々の詐欺で、カモを探していただけなのですから。
 
詐欺とわかっているのに、力宏と会えなくなると贖罪の機会を逸するから認めたくない。
いい加減に目を覚ませという妻の言葉に耳を貸さず、詐欺師にカネなんぼでも払う。
 
もしかすると本当に力宏は英健だったのかもと感じさせるラストも、
父親にとって都合のいい解釈であって、私はシラけてしまいました。
 
まぁ、素直に「良い作品だった」と言える人のほうが善人でしょうね(笑)。
息子のいるお父さんの中には号泣する人もいるかもしれませんが、
これを観て感動する男性のことは私は信用できない。言い過ぎかしら。(^^;

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