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『オーメン:ザ・ファースト』

『オーメン:ザ・ファースト』(原題:The First Omen)
監督:アルカシャ・スティーヴンソン
出演:ネル・タイガー・フリー,タウフィーク・バルホーム,ソニア・ブラガ,ラルフ・アイネソン,
   マリア・カバジェロ,ニコール・ソラーチェ,チャールズ・ダンス,ビル・ナイ他
 
わが家よりもイオンシネマ茨木にいるほうが入院中の病院に近い。
家でじっとしていても落ち着かないだけだから、面会前にまず1本、封切り直後の本作を。
 
ずっとホラー映画が苦手でしたから、『オーメン』(1976)も未見です。
それでも『エクソシスト』(1973)や『サスペリア』(1977)は地上波放送時にチラ見したことがあったり、
首が一回転するシーンや緑色のゲロを吐くシーンについて聞いたことがあったり、
知ろうとしなくても耳に入ってくる情報が多かった。
『オーメン』に関しては、悪魔の子ダミアンという名前と誕生日しか知りません。
6月6日生まれの人は幼少期に「ダミアン」と呼ばれたことがあるんだろうなぁ(笑)。
 
さて、本作は『オーメン』の前日譚ですが、『オーメン』を知らないのだから、
私にとっては前日譚も何もあったもんじゃありません。
でも、ダミアンの名前を知ってさえいれば楽しめるホラー作品でした。
 
1970年代初め、修道女となるべくアメリカからローマへやってきたマーガレット。
かつて妄想に惑わされて暴れるなどして問題児とみなされていた彼女を諭し、
道を示してくれたのはカトリック教会のローレンス枢機卿
マーガレットは孤児院で子どもたちの世話をしながら誓願式に備えることに。
 
規律を守る日々を心がけるマーガレットだったが、
ルームメイトのルスは修道女になる前に羽目を外すことも必要だと、
飲酒にクラブにナンパと、未知の世界へマーガレットを誘う。
 
ある孤児の少女カルリータは、なぜだかしょっちゅうひとりで部屋に閉じ込められている。
修道院長らに理由を問うと、カルリータが他人を傷つける行為をするからだと言う。
陰のあるカルリータを打ち解けさせたくて気にかけていたところ、
教会を破門されたブレナン神父に呼び止められ、衝撃的な話を聞かされる。
 
教会がカルリータに悪魔の子を出産させようとしていると聞き、
にわかには信じられないマーガレットは、ブレナンに怒りの目を向けるのだが……。
 
ちょっと話は見え見えですよね。
悪魔の子を産むのはおそらくカルリータではなくマーガレットだろうということは。
見え見えだけど、面白い。
 
以下、ネタバレです。
 
そもそも教会がこんなことを考えたのは、キリスト教が威厳を保てなくなったから。
公民権運動の真っ只中で、特に若者は宗教による指導に否定的。
畏怖をおぼえさせることのできないキリスト教なら要らないと、
教会はどうにかして畏れられる存在になるために、悪魔と手を組むことにするのですね。
 
悪魔に孤児をレイプさせて生まれてきた子どもたち。
人間と獣の子どものわけですから死産が多く、生まれてきても奇形児だったり。
そうではなかった子どもは大事に育て、また悪魔の子どもを身ごもらせるというおぞましさ。
ただし、教会が必要としているのは悪魔の王に君臨する男児のみ。
今までは女児ばかり生まれていたけれど、マーガレットが初めて男児を出産します。
 
しかしマーガレットが産んだのは男児だけではなく女児との双子。
男児さえ生まれればもう母体も女児も不要だと殺されそうになるところ、
カルリータに助けられてマーガレット母娘は生き延びます。
 
3人は幸せに暮らしてほしいと思っても、ここから『オーメン』に繋がるのですから、
そんな順風満帆には進まないのか。
ラストはブレナン神父がマーガレットたち3人の隠れ家を訪れて、
奴らは絶対に殺しにやってくるから気をつけろと忠告してくれます。
平穏に暮らす夢は叶わない、奴らには敵わないとわかっていると、このエンディングは切ない。
 
マーガレット役のネル・タイガー・フリーは美人で演技も上手くてハマリ役。
これぐらいの年齢になっていればその心配もなさそう。
カルリータ役のニコール・ソラーチェも実に綺麗な子。今後はどんな作品で出演するのか。
 
ブレナン神父役のラルフ・アイネソンはバイプレイヤーですね。
ビル・ナイは普段は安心させてくれる役者なのに、ローレンス枢機卿役とは。怖いやんか。
 
そして私は今、オリジナルの『オーメン』を観るべきかどうか悩み中。

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『ペナルティループ』

『ペナルティループ』
監督:荒木伸二
出演:若葉竜也,伊勢谷友介,山下リオ,ジン・デヨン他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ』の次に。
 
それはそうと、梅田スカイビル周辺のコインパーキングは先月まで最大料金1,000円以下のところも多かったのに、
インバウンドが戻ってきたせいかいきなりの値上げ。1,500円になっているじゃあないか。
ならばスカイビル地下の最大料金1,800円、Web割引を利用して1,500円で駐められるほうがよい。
そうしました。余談です。
 
『人数の町』(2019)の荒木伸二監督によるオリジナル脚本。
なんやわからんけど面白い、そんな作品です。
 
ある日、岩森淳(若葉竜也)は同棲中だった恋人・砂原唯(山下リオ)を喪う。
唯の遺体が川に浸かった状態で発見されたのだ。
 
淳は唯を殺した犯人・溝口登(伊勢谷友介)への復讐を決意。
淳の会社にやってきた登が自販機で買うドリンクの紙コップに毒を仕掛け、
意識朦朧として苦しむ登をカッターナイフでめった刺しにして沈めるのだが……。
 
毎日が復讐の日。
何度殺して沈めても、起きると6月6日月曜日。
今日の花はアイリスで、花言葉は希望だとラジオが言います。
 
最初はお互い素知らぬふりをしていたのに、何度も殺し殺されているうちに、
淳と登の間に奇妙な絆のようなものが芽生えます。
この手のタイムループものは、わかっているのは片方だけという場合も多いですが、
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022)のように徐々に皆が気づく場合もある。
本作では登は自分が殺されることになるのを知っていて、淳と殺され方の相談まで始めてしまう。
若葉竜也と伊勢谷友介の掛け合いが面白いです。
 
唯がいったい何を考えていたのかわからないし、物足りない部分もありますが、
100分を切ってサクッとと思えばこれで良いかなと思ったりも。
 
ネタバレになりますが、これは被害者遺族が気持ちに整理をつけるプログラム。
心ゆくまで復讐できるけれども、契約書を交わしているため、途中でやめたいと思ってもやめることはできません。
復讐では心が穏やかにならないよと言いたいのかもしれない。でもそんなに説教臭くもない。
 
一度観ただけでは理解できないことも多くて難解。
しかし、わからなかったところはわからないままでいいやと思えてしまうのでした。

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『パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ』

『パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ』(原題:A la Belle Etoile)
監督:セバスティアン・テュラール
出演:リアド・ベライシュ,ルブナ・アビダル,クリスティーヌ・シティ,パトリック・ダスンサオ,フェニックス・ブロサール,
   ディコシュ,リカ・ミナモト,マルワン・アメスケ,ジャ=イヴ・ベルトルート,パスカル・レジティミュス他
 
この日もの面会に。
余命は最長でも1カ月はもたないと言われてからこの週で3週目。
でもまだ意識がはっきりしています。
声は聞き取れないほど小さくなっているけれど、目の焦点は合っているし、「退屈やねん」と言うほど。
こんな状態なら私は少し遠出しても大丈夫だよねと、面会後にシネ・リーブル梅田へ。
 
世界的人気を誇るパティシエ、ヤジッド・イシュムラエンの自伝を映画化。
モロッコ出身の両親のもと、フランスに生まれた彼は、
22歳の若さにして“Gelato World Cup(冷菓世界選手権)”にフランス代表として出場。
見事パティシエの世界チャンピオンに輝いた人なのだそうです。
それから10年経った今は南仏でパティスリーを経営。
高級ブランドとコラボするなどして、パリでも新店舗のオープン準備中。
夢があります。
 
少年ヤジッドは父親の顔を知らずに育ち、母親のサミナはアル中でネグレクト気味。
連れ込んだ男との間に生まれた赤ん坊の面倒も放棄し、ミルクをやるのはヤジッドの役目。
 
そんなヤジッドだが、里親の家で過ごす時間だけは幸せ。
里親のパスカルとシモーヌは惜しみない愛情をヤジッドに注ぎ、
ふたりの息子マチューも本当の兄のようにヤジッドに接してくれる。
お菓子作りが得意なマチューの影響で、菓子に魅せられるヤジッド。
 
寮生活を送り、食堂でバイトしていたヤジッドにあるとき転機が訪れる。
幼い頃から憧れつづけてきたパティシエに資質ありと認められたのだ。
なんとか母親のもとからも離れようと、チョコレートのコンクールに出場しようとするのだが……。
 
育児放棄する親って、どうしてみんなこんななのか
どんな目に遭わされても子どもはお母さんが好き。
お母さんに気にかけてもらいたくて仕方がないのに、酷い。
そのくせ、子どもが離れようとすると、おまえを愛しているとかおまえのためだとかのたまう。
 
不遇の少年時代を送るヤジッドに愛を注いでくれる里親一家がいて本当によかった。
マチューと一緒にお菓子をつくるヤジッドは目がキラキラしています。
 
自分の不遇を嘆くばかりではなく、切り開いたヤジッド。
運に見放されたかと思ったときもあきらめない。結構大胆不敵です(笑)。
仕事をクビになったとき、自分のパリ・ブレストを気に入ってくれた実業家ブシャールのことを思いついて、
彼が経営するホテルに職を見つけるところなんて、
こういう図太さもあるからこうして生きてこられたのかなと思う。
 
食べてみたいなぁ、ヤジッドのお菓子。

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『カラオケ行こ!』【岡聡実 大生誕祭 3DAYS】

3カ月前に観た『カラオケ行こ!』
大好きだったのに、封切り直後に観たときは良い客入りとは言えず。
早々と上映が打ち切られてしまうのだろうと思っていたら、
その後じわじわ口コミで面白いと広がって行ったのか、スマッシュヒット。
1日の上映回数は少ないながらも予想外のロングランとなりました。
 
先月塚口サンサン劇場へ行ったさい、劇場前に溢れんばかりの客がいる。
え、今日って何?マサラ上映?と思ったら、本作の応援上映
ひゃー、そんなものがあったとは不覚。
私も来たかったな〜と思うも、の状態を考えれば、今は応援上映への参加は無理。
またの機会があるなら必ずチェックしようと思ったのでした。
 
そしてそれから2週間が経ち、今度はあちこちのシネコンで再上映に。
「岡聡実 大生誕祭 3DAYS」と銘打たれ、本編上映前にオマケ映像が。
岡聡実役の齋藤潤がオーディションを勝ち抜いた瞬間の映像や、山下敦弘監督や綾野剛らによる挨拶の模様など。
これだけでもじゅうぶん楽しいです。私はイオンシネマ茨木にて鑑賞しました。
 
2回目の鑑賞となった本作、やっぱり大好き。
1回目のあと、原作も読みました。すごく良かった。
レビューを見ていると、これはBLだと言う人も結構いるけれど、
本作に関しては私はその見方はしたくありません。
その目で見るとなんだか今後違う方向へ行ってしまいそうで。
狂児と聡実にはBLとはまた別の絆がある。
 
原作には、大学生になった聡実を描く続編『ファミレス行こ!』もあるけれど、
映画としては名残惜しくてもこの『カラオケ行こ!』のみで終わっておいてほしいかな。
 
応援上映、またやってください。今度は行きたい。

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『ビニールハウス』

『ビニールハウス』(英題:Greenhouse)
監督:イ・ソルヒ
出演:キム・ソヒョン,ヤン・ジェソン,シン・ヨンスク,ウォン・ミウォン,アン・ソヨ他
 
前述の『MY SHINee WORLD』の後、同じくイオンシネマ茨木にて。
シネ・リーブル梅田まで行かなきゃ観られないと思っていた作品が、
何週か遅れて茨木でも公開してくれてラッキーです。
ただ、母がこんな状態のときにここまで暗い作品を観ても私のアタマが大丈夫かどうかは気になりました。
大丈夫でした(笑)。
 
これが長編デビューとなる30歳の女流監督イ・ソルヒ。
韓国の名門映画学校のご出身だそうで、見た目かわいいのにえげつない作品をお撮りになる。(^^;
 
貧困のためにビニールハウス内に家具をそろえて住む女性ムンジョン。
少年院に入っている息子が帰ってきたら一緒に暮らすのが夢。
ちゃんとした家を借りるために金を稼ごうと、訪問介護士として懸命に働いている。
 
訪問先は盲目の老人テガンと認知症の妻ファオクの2人暮らし。
テガンは穏やかな性格でいつもムンジョンを労ってくれるが、
ファオクはムンジョンを敵視し、唾を吐きかけたり、「殺される」と喚いたり。
 
あるとき、ファオクを風呂に入れていると、立ち上がって暴れ出す。
なんとかなだめようとするがどうにもならず、ますます暴れて揉み合いに。
気づいたときにはファオクは転倒して頭を打ち、息絶えていた。
 
息子との未来のためにも仕事を失いたくない。
ムンジョンはファオクの死体を持ち出し、ビニールハウスの箪笥に隠す。
そして、入院中の自分の母チュンファを連れてきて、ファオクのふりをさせるのだが……。
 
救いなし。完全ネタバレ、いいですか。
 
自分の頬をぶったり頭を叩いたりという自傷癖のあるムンジョンは、
同様の人たちのグループカウンセリングに参加して、スンナムという少女から信頼されるようになります。
スンナムは「先生」と呼ぶ作家のもとで暮らし、性的虐待を受けている様子。
放っておけずにいつでもビニールハウスに来ればいいと解錠方法を教えます。
 
しかしファオクの死体を運び入れているときにスンナムが来てさぁ大変。
ついついスンナムに冷たい言葉をかけてしまったうえに、
「先生」から嫌な目に遭わされているのなら殺せばいいとも言ってしまう。
軽度の知的障害のあるスンナムはムンジョンの言葉通りに先生をカッターナイフで刺すのです。
 
テガンは自らも認知症の初期段階にあることを知り、ファオクを殺して自殺するつもり。
ところが殺した相手は自分の妻ではなくムンジョンの母親で。
ムンジョンの母親も認知症だから、「ふり」をするには限界がある。
 
とどめはムンジョンがビニールハウスを焼くシーン。
少年院から出てきた息子とその仲間がどこかで飲もうとビニールハウスへ来ていたのに、
ムンジョンが来たのに気づいてハウス内に隠れます。
そうとは知らずにハウスにガソリンを撒き、火を放つムンジョン。
 
ビニールハウスが燃える様子は『バーニング 劇場版』(2018)を思い出させます。
小さな幸せを得たくて真面目に働いているのに、何もかもが悪いほうへ。
救いのまったくない状況に、呆然とするしかありません。
 
でも、この作品は嫌いじゃないなぁ。
イ・チャンドンとかキム・ギドクとかパク・チャヌクとかの後継者になりそう。

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