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『サイコ・ゴアマン』

『サイコ・ゴアマン』(原題:PG: Psycho Goreman)
監督:スティーヴン・コスタンスキ
出演:ニタ=ジョゼ・ハンナ,オーウェン・マイア,アダム・ブルックス,
   マシュー・ニネーバー,アレクシス・カーラ・ハンシー,黒沢あすか他
 
シネマート心斎橋にて、前述の『親愛なる君へ』の次に。
 
もともとはアメリカ・テキサス州オースティンで毎年おこなわれる、
“サウス・バイ・サウスウエスト”というイベントで昨年上映される予定だったそうです。
コロナのせいでイベント自体が中止になり、世界の一部で劇場公開。
日本では7月末に東京で公開、このたび大阪でも公開に至りました。
公開してくれてありがとうと言いたくなる、ぶっ飛んだカナダ作品。
 
小学生の少女ミミは変わり者で生意気。
皆に変人扱いされているから、彼女と遊ぼうという友だちなどいない。
まともに相手をしてやるのは彼女の兄ルークだけ。
兄の思いやりにも気づかず、家でのミミは好き放題。
マイルールのみで成り立つ“クレイジーボール”という遊びで兄を負かしては上機嫌。
そのうえ兄のことをクソミソにけなす。
 
ある日、クレイジーボールでまた負けたルークは、
ミミから庭に穴を掘るように命じられる。
致し方なく掘って掘って掘りまくっているうちに、何かに行き当たる。
なんとこれは封印されていた宇宙屈指の残虐なモンスター
 
封印を解いてしまったことには気づかずに翌日を迎えるが、
庭には埋めたはずの大きな穴が再び空いており、両親に叱られる。
その晩、穴から何かが這い出したに違いないと付近を捜索するミミとルーク。
 
閉鎖された靴工場に潜り込むと、そこには世にも恐ろしげなモンスターと、
殺されたとおぼしきズタボロの人間の死体が。
モンスターはミミとルークにも襲いかかろうとするが、なぜか手が止まる。
前夜、地中から掘り出した宝石を持つミミにはモンスターは逆らえないらしい。
 
すっかり面白がるミミと、怯えつつも興味を隠せないルークは、
モンスターに“PG(サイコ・ゴアマン)”と名付け、遊び相手にさせるのだが……。
 
終盤までミミのことが好きになれず。
そりゃアンタ、友だちおらんやろと言いたくなるほど生意気なんです。
それに引き換え、ルークがええ奴すぎる。
あまりに尻に敷かれるルークに、最初はこの兄ちゃんがあかんたれなのかと思いましたが、
そうじゃない。彼にはちゃんと友だちもいる。
誰にも相手にされない妹のことをさげすむふうでもなく、
妹の気の済むまで相手をすることに決めている様子。
 
生意気なまま話が進むものだから、ちょっとイライラ。
それから、そんな娘に同調する父親にもイライラ。
兄ちゃんがんばれよ、負けるなよとひたすら祈っていました。
 
最後の最後になってもミミはやっぱり生意気なままだけど、
兄ちゃんに謝るところはカワイイ。これですべて良しという気持ちになります。
 
PGは地獄から来たモンスター。
天にいるモンスターが彼を再び封印しようとしますが、これがまた善人とは思えなくて。
対決シーンでは思わずPGを応援してしまいます。
まったく、善人なのか悪人なのかどっちなのさ、PG。(^^;
 
十字架を叩き割るシーンなどもあり、
キリスト教団体の怒りを買いそうなところは『エンド・オブ・ザ・アース』(2013)に似ています。
怖いもの知らずでハチャメチャ。
めちゃくちゃグロいので、注意してください(笑)。
              
驚きの黒沢あすか出演にもご注目。

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『親愛なる君へ』

『親愛なる君へ』(原題:親愛的房客)
監督:チェン・ヨウジエ
出演:モー・ズーイー,ヤオ・チュエンヤオ,チェン・シューファン,バイ・ルンイン,ジェイ・シー,
   シエ・チョンシュアン,ウー・ポンフォン,シェン・ウェイニエン,ワン・カーユエン他
 
『キネマの神様』にちぃとも感動できず、悶々としながら迎えた翌朝。
夏の恒例、全館節電のための半ば強制的に有休を取らされる日。
面白い映画が観たくて4本ハシゴを計画。
 
まずはシネマート心斎橋で台湾の作品を鑑賞。
第57回台湾アカデミー賞(金馬奨)で主演男優賞を含む3冠に輝いた作品です。
『キネマの神様』ではまったく泣けませんでしたが、これは泣きました。
 
9歳の少年ワン・ヨウイーとその祖母シウユーが暮らすマンション。
屋上を間借りしている男性リン・ジエンイーがワン家の家事をすべておこない、
糖尿病を患うシウユーのことも献身的に介護していた。
 
ある日、シウユーが急死。シウユーの次男で上海在住のリーガンが駆けつける。
もともと母親のマンションを売りたいと考えていたリーガンは、
相続人としてヨウイーが指定されていることを知り、
ジエンイーが遺産目当てにワン家に近づいてシウユーを殺害したのではと考える。
 
リーガンが「おばあちゃんは本当に病死だったのか」と尋ねると、
ヨウイーは首を振ったり振らなかったり。
ますます怪しいと、リーガンは警察に通報するのだが……。
 
シウユーの長男=ヨウイーの父親リーウェイは、ジエンイーのパートナーでした。
リーウェイの死後、彼の母親と息子の世話をする義務なんてジエンイーにはなかったのに、
彼はマンションの屋上から去ることなく、ワン家の面倒を見続けます。
リーウェイはジエンイーに殺されたようなものだと最初は冷たかったシウユーが、
病床で「あんたは本当にいい男だ。息子が惚れたのもわかる」というシーンにまず涙。
シウユーはそれ以降も基本的には意地悪ばあさんなんですけどね(笑)。
 
シウユーの勧めでヨウイーを正式に養子にしたジエンイー。
殺人の容疑をかけられて取り調べを受けたとき、
「なぜリーウェイが亡くなった後も母親と息子の世話をしているのか」と問われ、
「もしも僕が女だったら、同じ質問をしますか」と逆に尋ねるのが印象的。
ヨウイーが誰よりも献身的で、ヨウイーのことを愛しているのは一目瞭然なのに、
男だから、ゲイだからというだけで、家に残るのはほかに魂胆があるからだと言われる。
そればかりか、ヨウイーを性的に虐待していることまで疑われる。理不尽です。
 
これほどまでに理不尽な扱いを受けていながら、投げ出したりしない。
でもヨウイーにはなかなか真実を打ち明けられない。
薄々わかっているヨウイーが「どうして本当のことを言ってくれないの」というシーンもまた涙。
 
ジエンイーは本当にシウユーを殺したのかというミステリーにもなっています。
なんとなく読める展開ではありますが、その事実にも胸を衝かれる。
 
このさき生きていれば、悲しいこと、悔しいことがいっぱいある。
でもそのときに思い出して。君はまったく悪くない。

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『キネマの神様』

『キネマの神様』
監督:山田洋次
出演:沢田研二,菅田将暉,永野芽郁,野田洋次郎,リリー・フランキー,前田旺志郎,
   志尊淳,片桐はいり,原田泰造,北川景子,寺島しのぶ,小林稔侍,宮本信子他
 
仕事帰りに109シネマズ箕面に寄ったら、また知った顔が。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』を観に行ったときにバッタリ会ったお兄さん。
「これ、まだ観てなかったん?」と聞かれて、
「先に『ワイルド・スピード』を観たもんで」と答えました。
「まだ観てなかったん?」と言わはるけど、これ公開になってからまだ4日しか経ってへんし(笑)。
 
志村けんが主演する予定だったところ急逝。
その遺志を継いだ沢田研二の登板が話題となっています。
原作は原田マハの同名ベストセラー小説です。詳細はこちら
 
私が原作を読んだのは7年前らしく、そんな前のことを覚えているはずもない。
本作を観ながら、えらく話がちがうようだけどと思いましたが、
自分で書いた記事を読んだら、まるで別物やん。
 
かつて映画監督を目指していたゴウこと円山郷直(沢田研二)は、
いまやすっかりアル中のギャンブル依存症
闇金に手を出して借金取りに追われても酒とギャンブルをやめようとしない。
それでもゴウを見切れない妻・淑子(宮本信子)にも娘・歩(寺島しのぶ)は苦い顔。
 
そんなゴウを変わらず迎えるのは、何十年来のつきあいのテラシンこと寺林新太郎(小林稔侍)。
実はテラシンはその昔、淑子に恋心を抱き、ゴウに敗れた過去がある。
今は古き良き映画館“テアトル銀幕”の館主を務め、淑子はここで清掃のバイト中。
家を飛び出してきたゴウをテラシンが席に座らせてやることもしょっちゅう。
 
……というゴウの過去を挟みながら物語は進行します。
 
若き日のゴウ役を菅田将暉、テラシン役を野田洋次郎
淑子役に永野芽郁、当時のスター女優に北川景子
 
私はどうやら山田洋次監督の作品があまり得手ではないようです。
“男はつらいよ”シリーズや“家族はつらいよ”シリーズは面白かったけど、それ以外はさっぱり。
序盤はなんどか睡魔にすら襲われました。
 
原作のゴウちゃんはもっと愛すべきキャラクターだったと思うのですが、
ジュリー演じるゴウちゃんはクズのクズ(笑)。
宮本信子演じる淑子も、「私が100万円はなんとかするから、
あんたもなんとかしてよ。貯金、結構あるんでしょ」って、
娘にダメ親父の借金返済を手伝わせようとしますかね。最低。
こういうシーンを含め、なんというのか山田洋次監督の作品って、
「穏やかそうな役者が穏やかそうな物の言い方をするけれど、
言っている内容は結構えげつない」ように思うのです。
今の時代に言うことではないというのか。
ダメ男であっても女はそれを支えて当たり前、みたいな印象。
原作ではもっと映画の話がいっぱい出てきたのでそれも楽しかった。
映画版ではたいして出てこないんです。
そのくせ、『カイロの紫のバラ』を思い出させるシーンがあったりする。
こんなシーン、原作にありましたっけ。まったく覚えていません。(^^;
 
志村けんがコロナに感染して亡くなったからなのか、
コロナのことも取り入れられていて、それが取って付けたかのよう。
しかし山田洋次監督の作品に文句を言うと悪人みたいに思われそうです。
そこがまた嫌なところで(笑)。
 
素直な人が観に行くといい作品なのだと思います。
私みたいなアマノジャクはダメ。ちぃとも泣かれへんっちゅうの。

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『すべてが変わった日』

『すべてが変わった日』(原題:Let Him Go)
監督:トーマス・ベズーチャ
出演:ダイアン・レイン,ケヴィン・コスナー,ケイリー・カーター,レスリー・マンヴィル,
   ウィル・ブリテン,ジェフリー・ドノヴァン,ブーブー・スチュワート他
 
TOHOシネマズ梅田別館から本館へ移動。
歪な形状のシアター5にて鑑賞しました。
 
原作は2013年にラリー・ワトソンが発表した“Let Him Go”(=原題)。
舞台は1963年のモンタナ州だそうで、道理で連絡手段としてケータイが出てこない。
一度も所持したことのない私が言うのもなんですが、不便やなぁ。
不便だからこそ、こういうサスペンスが作りやすいのですよねぇ。
保安官のジョージ・ブラックリッジと妻のマーガレットは、一人息子のジェイムズ夫婦と同居中。
ジェイムズとその妻ローナの間には男児が生まれ、ジミーと名づけられる。
ジョージとマーガレットはジミーのことが可愛くて仕方ない。
しかしある日、ジェイムズが落馬事故で還らぬ人となる。
3年後、ローナはドニー・ウィーボーイという若者と再婚。
ドニーには最初から良くない印象があったが、悪い予感は的中。
マーガレットは、ドニーがジミーとローナを殴る姿を目撃する。
ドニーに正面から抗議するわけにも行かず、
ケーキを携えてドニーとローナを訪ねたマーガレットだったが、彼らの家はもぬけの殻。
どうやらノースダコタ州にあるドニーの実家へ帰ってしまったらしい。
ジミーをあんな男には任せておけない、取り返しに行くと決めたマーガレット。
最初は躊躇していたジョージだが、マーガレットと共に向かうことにして……。
マーガレット役をダイアン・レイン、ジョージ役をケヴィン・コスナー
超こえぇウィーボーイ一家の長でお婆のブランチ役にレスリー・マンヴィル。震え上がりますよ。
ジョージの指は簡単に手斧で切り落とされますから要注意(笑)。
ローナ自身もこの家から逃げ出したいと思っているけれど、
もしも逃走に失敗したら殺される。
おぞましいウィーボーイ一家からどうやってローナとジミーを救い出すか。
マーガレットたちに協力する先住民の青年ピーター役のブーブー・スチュワートが○。
面白かったことは認めますが、批評家の評価が高いのがようわからん。
じいじとばあばが孫を取り戻そうと必死になるのは当然のこと、
それをこんなアクションさながらの作品に仕立てるのは斬新といえば斬新か。
私には本作がケヴィン・コスナーよりもニコラス・ケイジ向きな気がします。
ちゃいます?
ただ、ニコラス・ケイジならもっとB級臭くなったであろうことは間違いなし(笑)。

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『映画 太陽の子』

『映画 太陽の子』
監督:黒崎博
出演:柳楽優弥,有村架純,三浦春馬,イッセー尾形,山本晋也,三浦誠己,宇野祥平,
   尾上寛之,渡辺大知,葉山奨之,奥野瑛太,土居志央梨,國村隼,田中裕子他
声の出演:ピーター・ストーメア
 
TOHOシネマズ梅田の別館へ移動して。
 
日米合作で製作されたNHKドラマの劇場版。
テレビでご覧になった方も多いようですが、私は未見です。
 
第二次世界大戦中の1940年代。
原子力爆弾をどこの国よりも早く完成させよとの密命を受けた京都帝国大学の物理学研究室は、
荒勝文策教授(國村隼)のもと、学生たちが来る日も来る日もその開発に心血を注いでいた。
 
原子物理学を志す石村修(柳楽優弥)は、バカが付くほどの実験好き。
数字の計算は苦手なのに、いったん実験を始めると夢中になって止まらない。
そんな修に呆れながらも学生たちは協力して開発を進めようとしている。
 
一方、修の幼なじみ・朝倉世津(有村架純)とその父・清三(山本晋也)は建物疎開で住む家を失い、
修の母・フミ(田中裕子)の計らいで石村家に身を寄せることに。
同じ頃、修の弟・裕之(三浦春馬)が肺の療養のために戦地から一時帰郷する。
久しぶりの再会を喜び合い、それぞれに心の平安を得る3人だったが……。
 
実験は楽しいし、開発を進めているものは一刻も早く完成させたい。
しかし、科学者が兵器開発に携わっていいものかどうか。
 
開発中はそれがどのような形で使用されるものなのかわかりません。
『ジョーンの秘密』(2018)もうそうでしたが、それが使用された後に関わったものの恐ろしさを知る。
修とその仲間たちも焦土と化した広島を訪れて呆然とします。
 
英語で話すこの人はいったい誰なのかと思ったら、アインシュタインでしたか。
アインシュタインがもしも長崎と広島のことを予見していたら、
自分が見つけた公式は破棄していただろうと語ったとされていますよね。
科学による発明は素晴らしい。でも使い方ひとつで世界が変わってしまう。
 
三浦春馬が生きていたならば、本作を観ても原爆のことばかり考えていたはずですが、
彼が死んでしまったがゆえに、「自分だけが生きとるわけにはいかんのじゃ」という言葉がつらい。
自ら命を絶とうとするシーンは見ていられません。
 
原爆そのものと、命について考える1本となりました。

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