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今さらですが、観ました『イカゲーム』。

年明け、109シネマズ箕面で『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』を観たきり、
シュッと行けそうな劇場では観たい映画がなく、困り果てました。
だからって寒空の中、ちょっと遠方の劇場に行く気力もなく、
そうだ、もう映画に行くのはあきらめて、Netflix三昧しよう!と思い立ちました。
 
マイリストに登録している映画はいっぱいあります。
でもここはやっぱり正月らしく(!?)、ずっと保留していた『イカゲーム』ですよね。
前回「今さらですが」と始めたのは『愛の不時着』でした。
『愛の不時着』は3回に渡って書きましたが、今回はイッキ見したので今日限り。
 
『イカゲーム』のシリーズ1は全9話。
1話が60分程度なので、1話が時に90分あった『愛の不時着』とは違います。
9時間あれば全話視聴可能です。
 
視聴前の私の勝手なイメージは、『バトルランナー』(1987)、『ハンガー・ゲーム』(2012)。
直近の映画では『ザ・ハント』(2020)もそうで、セレブの娯楽のために貧困者が殺し合う。
このイメージは間違ってはいませんでしたが、うーむ、面白い。
 
老母に甘えて自堕落な生活を送るオッサン、ギフン。
母の口座からこっそり引き出した金をギャンブルにつぎ込んで大当たりしたというのに、
競馬場から出てきたところを借金取りに見つかってすべて持って行かれる。
離婚した妻との間の一人娘の誕生日に会ってもプレゼントを買えず、食事も屋台で。
 
呆然としながらの帰途、地下鉄の駅で見知らぬ男から声をかけられる。
彼はギフンに金を賭けた面子(めんこ)の10回勝負を持ちかけ、
金を持っていないギフンが負けた場合は頬を張らせればいいと言う。
勝負に勝って大金を手にしてホクホク顔のギフンに、相手は怪しげな招待状を渡す。
 
で、招待状にあった電話番号に連絡して参加するのが人生一発逆転ゲームです。
集まったのはカネがなくて人生崖っぷちの456人。
参加者が死ねば配当金が増え、第9話では最終的にその額が460億ウォン。
日本円でいくらぐらいになるのかなと調べたら、約45億円ですね。
 
まずキャストに惹かれます。
知った俳優は出ていないだろうと決めつけていたら、主演のギフン役はイ・ジョンジェじゃあないか。
もしも『イカゲーム』で初めて彼を知ったという方がいらっしゃれば、ぜひ他の作品もご覧ください。
『新しき世界』(2013)なんてめちゃめちゃカッコイイですから。
『観相師』(2013)、『暗殺』(2015)など、とにかく彼はいつも締まっている。
こんなヨレヨレしたオッサン役の彼を見ることになるとは思いもしませんでした。
 
それから、彼に声をかける見知らぬ男がコン・ユで目が点に。
第1話の最初と第9話の最後にしか出てこないので、思いっきりカメオ出演ですね。
あとはなんと言っても驚いたのがフロントマン役。イ・ビョンホンだったなんて。
嬉しいオマケってとこですが、本作での彼の顔はなんかツルツルしすぎていて好きじゃない。
唯一好きだった顔は、ウィ・ハジュン演じる弟の刑事に撃たれた後の髪ぼさぼさのとき。
 
貧困者同士が殺し合いさせられてそれをセレブが楽しむだけの話ではありません。
行方不明になった兄を探す刑事が潜入し、真相を暴こうとするからドキドキハラハラ。
また、ゲームを主催する組織の一員でありながら、
瀕死の状態の参加者の臓器を秘密裏に取り出し、売っている者もいる。
そしてそれに手を貸す元医師の参加者は、見返りにゲームの内容を教えてもらっています。
この「不平等な状況」を主催者は決して許しません。バレれば組織側の人間であっても速攻で殺される。
 
第6話では脱北者セビョンと、彼女と組むことになったジヨンの会話に泣きました。
セビョンは一家で脱北を試みるも、両親は失敗、父親は殺されました。
今は施設にいる弟と、中国にいる母親を連れ出して家を買い、一緒に暮らしたい。
一方のジヨンは自分を性的虐待していた父親を殺してここにいる。
セビョンとジヨン、どちらかが敗者となって死ななければならない局面で、ジヨンはわざと負けます。
「どうして」と涙ながらに尋ねるセビョンに、「出る理由がないの」。
勝者となってここから出たところで、生きる理由もない。こんな悲しいことがあるでしょうか。
 
イッキに9話、楽しませてもらいました。
かなりグロいシーンも多いので、苦手な人には奨められませんが、
韓国映画好きで未見の人はどうですか。
 
ところで最終戦まで残った3人に振る舞われるごちそうの席のカトラリー、
ライヨールじゃないだろうかとそればかり気になってしまいました。
死闘の武器にもなるステーキナイフ、柄の部分と刃の形を見て思ったのですが、誰もそんなこと気にならん?
 
シーズン2が始まったら絶対に観ます。
また「今さら」な時期にはなるかもしれないけれど。(^^;

—–

『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』

『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』
監督:木村ひさし
出演:松本潤,香川照之,杉咲花,片桐仁,マギー,西島秀俊,道枝駿佑,蒔田彩珠,
   高橋克実,ベンガル,渋川清彦,石橋蓮司,奥田瑛二,笑福亭鶴瓶,岸部一徳他
 
2022年初めての劇場鑑賞は元日にこれ。109シネマズ箕面にて。
 
人気TVドラマの劇場版とのことですが、TVドラマ版は一度も観たことがありません。
年末に放送していた総集編も1分たりとも観ていません。
だから、私にあったのは予告編で観た情報だけ。
そうしたら、本編開始前に最低限必要な情報だけは杉咲花のガイドで教えてくれました。
なくてもなんとかなったでしょうが、これはありがたいことですね。
 
佐田(香川照之)が所長を務める斑目法律事務所へ、
15年前に起きた“天華村毒物ワイン事件”の再調査依頼が舞い込む。
 
天華村は村をあげてワインの醸造をおこなっているが、
15年前のイベントの日、ふるまわれたワインを飲んだ複数の参加者が死亡。
樽の持ち主だった山本(渋川清彦)が逮捕され、死刑判決を受けた。
山本は刑に処される前に獄中で死亡。妻も心労で亡くなった。
 
その裁判で山本の弁護を担当したのが南雲(西島秀俊)。
山本の無実を信じながら救えなかったことに責任を感じ、
山本の娘エリ(蒔田彩珠)を引き取り、エリには事実を告げずに実子として育てていた。
 
ところがエリがピアノの国際コンクールで優勝し、
どこで嗅ぎつけたかマスコミがその事実を知って南雲を追いかけ回す。
ネットにも晒されて、自分は死刑囚の娘なのかと苦しむエリが佐田に相談したのだ。
 
99.9%有罪と思われる案件で無罪を勝ち取ってきた弁護士の深山(松本潤)と、
彼を師と仰ぐ新米弁護士の河野(杉咲花)やパラリーガルたち、
斑目法律事務所の面々は、事実を解き明かすべく調査を開始するのだが……。
 
劇場で観る甲斐があるかどうかは不明ですが(笑)、とても面白かった。
松潤も花ちゃんも、シリアスな恋愛ものなんかに出るよりもこっちのほうが断然いい。
パラリーガルを演じる片桐仁馬場園梓もええやんか。
 
『バケモン』(2021)のナレーションでは力入りすぎでゲンナリさせられた香川照之は、
やっぱりこうでないとねぇ。今後、ナレーターはしなくていいです(笑)。
 
アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』のようなオチを想像していました。
誰でもそう読むと思います。まぁそうなんですが、さらにひねりがありました。
よそから村にやってきた人を表面的には受け入れていても、
その人が成功するのを見るのは悔しい、そんな村人たちの気持ちも見えて、
ちょっと怖かったりもします。
 
わかりやすくて、知った顔ばかり出ていて、笑って泣けて。
お正月に観るならこんなのがいいかもしれません。

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『新しい風』

『新しい風』
監督:中村祐太郎
出演:中村祐太郎,斎木ひかる,柴田貴哉,小川あん,原雄次郎,飯田芳他
 
ナナゲイで1本シアターセブンで2本観て帰るつもりでした。
しかしその時点で時間は19時。いちばん道路が混んでいる時間帯じゃなかろうか。
ならばシアターセブンでもう1本、上映時間66分の本作を観たら道も空くかも。
そんなわけでほとんど勢い、これも観ることにしました。
 
中村祐太郎監督が脚本・編集・主演すべて務める完全自主企画作品。
ヒロイン役の斎木ひかるがイギリスに行くことになり、
んじゃ、その前に映画を作ろうよ、てな流れで撮ることになったようです。
 
大晦日の夜。
コタロウ(中村祐太郎)は友人関係にあったヒカリ(斎木ひかる)にコクる。
ヒカリが返事に困っていたとき、その場に彼女の高校時代の友人ユウジロウ(原雄次郎)が登場。
再会を喜んでいるうちにふと終電に乗り遅れたことに気づく。
 
ヒカリはつい最近までルームシェアしていたアンズ(小川あん)のもとを訪ね、
コタロウとユウジロウも一緒に一晩泊めてもらえないかと頼む。
突然の来訪に戸惑いつつもアンズは了承するが、
ユウジロウのあまりに無礼な態度にアンズの同棲相手タカヤ(柴田貴哉)が怒り……。
 
あくまでついでの1本だったので、何の前知識もないまま観はじめました。
斎木ひかるが高畑充希にめっちゃ似ているなぁとか、
ユウジロウのクズっぷりにイライラしたり、それを許すアンズにも腹を立てたり、
ちょうど直前に観たのが『愛について語るときイケダの語ること』でしたから、
コタロウはずいぶん小さいけれど低身長症なんだろうかと、
66分間、いろんなことが頭の中を駆け巡りました。
人ってこんなに簡単におかしくなって、かつ癒されるものなんだとも。
 
上映終了後に監督と男優3人によるリモートトークショーがあり、これがとても楽しかった。
年末も年末で客は10人に満たなかったけれど、もともと小さな劇場だから、満席でも知れている。
意外に難解だなと思っていた点も夢パートとの解説があって、
これは監督に質問してくれた客のうちのひとりのおかげです。
 
映画が66分の作品だからちょうどいいと思ったら、トークショーが50分ぐらいあった。(^^;
上映が終わったらすぐ帰りたいと思っているほうなのですが、
こうして帰る機会を逸して渋々トークショーに参加すると楽しかったりします(笑)。
作り手の話は絶対聴くほうがいいですよね。
 
ねぎ焼のやまもとの本店が梅田だと思っていた出演者の飯田さん、
やまもとの本店はシアターセブンの真ん前だっちゅうの。行け〜!(^O^)
飯田さん、がちがちのヤクルトファンらしいし。その話も面白かったよ。

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『愛について語るときにイケダの語ること』

『愛について語るときにイケダの語ること』
監督:池田英彦
 
ずっと気にはなっていました。だけど、ものすごくキツそうじゃないですか。
だいたい、ナナゲイやシアターセブンの上映作品はキツイものが多いんです(笑)。
観たことを後悔しないだろうかと思いつつ、シアターセブンへ。
結果、観てよかった。
 
監督の池田英彦(故人)は四肢軟骨無形成症という生まれつきの障害を抱えていました。
これは通称小人症と呼ばれ、成長軟骨の異常によって低身長だったり、
四肢や指の短さだったりが引き起こされる病気です。
この障害を持って活躍する俳優もいて、代表格はピーター・ディンクレイジでしょう。
 
40歳を前にスキルス性の胃癌の宣告を受けた池田さんは、
残りの人生でやりたいことをやると決意。
そのうちのひとつがセックスで、しかもそれを記録として収めようとします。
風俗を利用してはカンパニー松尾監督さながらのハメ撮りを敢行。
 
そして彼は、20年来の友人である脚本家の真野勝成さんに連絡を取り、
闘病生活の中で撮った映像素材を基にして、
自身の死後に映画として完成させてほしいという遺志を伝えます。
 
身長は112cmですが、イケメンなんです(私のタイプではないけれど(^^;)。
スポーツカーに乗り、オシャレな帽子も似合う知的なメガネ男子
神奈川の市役所に勤務して、その体躯以外、すべて理想的に持ち合わせていると言えます。
 
しかしその体躯ゆえ及び腰になるのか、本当に愛した女性がいない。
同棲までした彼女のほうは結婚も視野に入れていたのに、彼のほうに踏ん切りつかず。
そんな彼が望むもうひとつのことは純愛。
紹介された女性と擬似純愛のためにデートをする様子も収められます。
 
遠くない日に死ぬことがわかって撮っていると思うとつらい。
でも彼はこんなにも落ち着いていて、やりたいことをやっている。
勃てば生きていることが実感できる。なんかすごく切ない。
 
真野さんとの会話は本当に楽しげ。
初体験はいつだったのかと尋ねられた池田さんは、「それ聞く!?」と少し照れたふうに、
大学生のとき、わざわざ名古屋まで出向いて風俗に行った話をして答えます。
近所のお店に行くのはなんとなく恥ずかしかったらしく(笑)。
好みの風俗嬢を指名したかったところ、自分を見たら拒否されるかもしれないと、フリーで入店。
やってきた風俗嬢に嫌じゃないかと尋ねたら、「だって、同じ人間でしょ」と言われたとか。
 
生まれつき手足が短いということを除けば同じ人間。
癌で闘病生活を送っているのだって、別に変わったことではない。
余計に大変というわけじゃないのですよね。
こんな体に生まれてきたことを呪うどころか、
もしもこんなイケメンで体型まで恵まれていたら、
いけ好かない奴になっていたかもと自分で言う池田さん、すごくないですか。
 
あなたが自由に生きていた証、しかと見ました。

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『エッシャー通りの赤いポスト』

『エッシャー通りの赤いポスト』
監督:園子温
出演:藤丸千,黒河内りく,モーガン茉愛羅,山岡竜弘,小西貴大,上地由真,
   縄田カノン,鈴木ふみ奈,藤田朋子,田口主将,諏訪太朗,渡辺哲,吹越満他

シアターセブンから第七藝術劇場へ移動。
その間に遅めのお昼ごはんを食べようと、向かいの“和食がんこ十三総本店”へ行ったら満席。
致し方なく通りを渡って“松のや”でロースカツとエビフライの定食を食す。
女ひとりで食べに来ている客なんてほかにおらんな(笑)。
 
園子温監督がワークショップを開催。
応募者697名から参加者51人を監督自身が選抜し、全員が出演する作品を撮り上げました。
146分という長尺ですが、その長さを感じさせない青春群像劇です。
こんな作品も撮る監督なのだということを忘れかけていました。とても良かった。
 
カリスマ映画監督の小林正(山岡竜弘)は、次作『仮面』の出演者を公募すると宣言。
助監督の三井丈(小西貴大)をはじめとするアシスタントたちはそのビラを配る。
応募はいまどき郵便のみで受け付け、インターネット等の受け付けは無し。
 
この情報に嬉々とする面々。
地元で劇団を立ち上げている女性陣や、小林監督を崇める信者集団、
役者を夢見ていた夫を亡くした切子(黒河内りく)、
自殺した父親の遺体としばらく暮らしていた安子(藤丸千)などなど。
 
書類審査合格の知らせを受けた応募者らは喜ぶが、実は全員合格。
オーディション会場に訪れた面々の審査が始まるのだが……。
 
小林監督は初心に戻って映画を撮りたいと思う。
だからこうして自身が面接に臨み、出演者を選抜しようとしているのに、
渡辺哲演じるスポンサーは、諏訪太朗演じるプロデューサーに圧力をかけ、
自分が目をかけているお色気女優(縄田カノン&鈴木ふみ奈)を起用させようとします。
弱みを握られているプロデューサーは断れずに、
あの手この手で監督にその女優たちを使わせようとするんですねぇ。
 
あながちフィクションじゃないのでしょう。
こうしていま園監督が本作を撮ったのも、こんなしがらみを忘れて、
本当に自分の撮りたいものを撮ろうとしたのだと邪推してしまいますよね(笑)。
『愛のむきだし』(2008)や『冷たい熱帯魚』(2010)を思い出させるシーンもあるからなおさらのこと。
 
オーディションに落ちた面々が、悔しいからとエキストラに応募して押し寄せます。
エキストラの中には田口主将演じる老人のようにエキストラを極めたい者もいれば、
やがてここから抜け出して役者になりたいと思っている者もたくさんいる。
たかがエキストラ、されどエキストラ。
エキストラ役で出演している吹越満も笑わせてくれます。
 
凄絶な人生を送ってきた登場人物がいるのはさすがに園監督ですが、
どこにでもこうして郵便ポストがあって、勇気を出して投函するかどうかで人生が変わるのかも。
いや〜、面白かった。そして元気もらえた。

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