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『フェラーリ』

『フェラーリ』(原題:Ferrari)
監督:マイケル・マン
出演:アダム・ドライヴァー,ペネロペ・クルス,シェイリーン・ウッドリー,サラ・ガドン,
   ガブリエウ・レオーニ,ジャック・オコンネル,パトリック・デンプシー他
 
イオンシネマ茨木にて2本ハシゴの2本目。
 
ご存じ、イタリアの自動車メーカー“フェラーリ”。
エンツォ・フェラーリが妻ラウラと共に会社を興してからの実話に基づく。
 
監督は御年81歳のマイケル・マン。
懐かしいのはやっぱりアル・パチーノロバート・デ・ニーロが共演した『ヒート』(1995)。
近年はお歳のせいか監督するよりもプロデュースに回ることのほうが多いようで、
『フォードvsフェラーリ』(2019)でもは製作総指揮を務めていました。
でもフェラーリ愛好家としては、これは監督したいと思ったのでしょうね。
 
エンツォ・フェラーリはレーシングドライバーとして活躍したのち、
1947年に妻ラウラと共にフェラーリ社を設立。
それから10年経過した1957年の夏、フェラーリ社は倒産の危機に見舞われる。
業績不振の理由は、エンツォがレースに金を突っ込みすぎるから。
その額はポルトガルの国費に匹敵するほどで、年間100台の車を売る程度ではどうにもならない。
 
私生活では1年前に息子のディーノが亡くなり、ラウラとの関係も冷える一方。
そのうえ、愛人のリナ・ラルディからはエンツォとの息子ピエロの認知を迫られていた。
リナのことは警察署長や銀行関係者を含め、皆が知っているが、ラウラだけが知らない。
 
他社は車を売るためにレースをするが、エンツォはレースをするために車を売りたい。
倒産の危機から脱却するには注目を集めて車を売るしかないと、
過酷な公道レースとして有名な“ミッレミリア”でなんとか勝利しようと考えるのだが……。
 
アダム・ドライヴァーの顔が苦手だとずっと思ってきましたし、今も苦手です。
ただ、演技はめちゃくちゃ上手いし、新旧大御所監督がこぞって起用したがるのがわかる。
そして、苦手な顔でも見続けているといい顔に見えてくるのですよね。
ちょっと色気まで感じて見えたりして。
いずれにせよ、今までは髪型も好きではなかったので、こっちのほうがマシかな(笑)。
 
本妻が愛人に何もかも持って行かれたかのような展開ですが、
ペネロペ・クルス演じるラウラの最後のシーンがカッコよすぎる。
妻というよりも同志。こういう人がいたからこそ、エンツォはこの局面を切り抜けられたのかなと。
 
ラウラが亡くなるまではフェラーリの名前は誰にも継がせない。
その約束を守った点は誠実だったと思います。

—–

『THE MOON』

『THE MOON』(原題:The Moon)
監督:キム・ヨンファ
出演:ソル・ギョング,ド・ギョンス,キム・ヒエ,パク・ビョンウン,チョ・ハンチョル,
   チェ・ビョンモ,ホン・スンヒ,キム・レウォン,イ・イギョン,イ・ソンミン他
 
イオンシネマ茨木にて、2本ハシゴの1本目。
 
有人ロケット月面探査ミッションに失敗して宇宙飛行士3人を失った韓国は、
国際組織の宇宙連合から追い出され、自国のみで研究開発を進めなければならなくなる。
5年後、今度こそ月面着陸を成功させるべく、新たに3人がウリ号に乗って宇宙へ。
 
ところが、月周回軌道への進入目前で太陽風の影響による通信トラブルが発生。
修理のために船外へと出たイ・サンウォンとチョ・ユンジョンが爆発に遭って吹き飛ばされ、
船内には新人宇宙飛行士ファン・ソヌのみが取り残されてしまう。
 
宇宙センターではソヌを生還させるべく策を練るがどうしようもなく、
5年前の事故当時にセンターのフライトディレクターを務めていたキム・ジェグクが呼び戻すことに。
ミッション失敗の責任を取って辞職したジェグクは、ソベク山の天文台でひっそりと暮らす身。
要請を即座に断ろうとするが、ソヌの父親がかつての同僚ファン・ギュテだと知る。
 
ギュテはミッション失敗後に自ら命を絶っていた。
その息子が父の志を継いだというのに、今はたったひとりで宇宙に放り出されたまま。
なんとか救いたい一心で、センターへと駆けつけるのだが……。
 
ちょっと『トップガン マーヴェリック』みたいなところがあります。
マーヴェリックとルースターの関係が、ジェグクとソヌの関係のような。
自分の父親が死んだのは父親の同僚のせいだと思うのはほぼ逆恨みに近い。
恨んでいる相手から結局は救われることになるのですが、
そこに至るまでは、おーい、そんな無茶するなよと言いたくなります(笑)。
 
とにかく、ジェグク役のソル・ギョングが渋い。上手い。内野聖陽に似ていませんか。
そしてソヌ役のド・ギョンス(=D.O.)がカワイイ。
また、亡くなる宇宙飛行士役でキム・レウォンイ・イギョンが特別出演しているのも嬉しい。
天文台のジェグクの部下ハンビョル役のホン・スンヒがまたキュート。
SNSを利用してジェグクとソヌを助けようとするところがイマ風。
 
NASAの統括ディレクターを務めるのがジェグクの元妻ユン・ムニョンという設定で、
彼女の役をキム・ヒエが演じています。
勝手な行動が目立つ韓国には協力しませんよと言いつつ、
最後はムニョンがクビを覚悟でジェグクと共にソヌを救おうと奔走します。
 
ありがちな話だとは思うけれど、キャストが良くてテンポも良い。
適度にイライラさせられつつ、たまには笑えるシーンもあって、最後はやっぱりジワーン。
インド映画も好きだけど、韓国映画もやっぱりいいなぁと再認識するのでした。

—–

『先生の白い嘘』

『先生の白い嘘』
監督:三木康一郎
出演:奈緒,猪狩蒼弥,三吉彩花,田辺桃子,井上想良,板谷由夏,ベンガル,風間俊介他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』の後に。
 
原作は『月刊モーニング・ツー』に2013年から4年間連載されていた鳥飼茜の同名漫画。
公開前から「インティマシーコーディネーター」の件で話題になりました。
これは、映画やテレビ、舞台等でヌードやセックスシーンがある場合に、
作品の制作者と出演者両者の意向を汲み取って調整する仕事なのだそうです。
 
R15+指定の本作に主演する奈緒が、インティマシーコーディネーターを三木康一郎監督に要請、

しかし「監督と女優の間に人を挟みたくない」と三木監督が却下したとのこと。
そのせいで話題になり、一部では炎上商法ではと囁かれましたが、
三木監督ぐらい売れっ子の監督なら、いまさら炎上して売ろうとも思っていないのでは。
 
で、さぞかし過激な性描写になろうかというところ、確かに反吐が出るような描写ではありますが、
『湖の女たち』松本まりか同様に、乳首はまったく映りません。
こうして見ると、乳首って大事なんですねぇ(笑)。
まぁ、若手の人気役者をこれまでも多用してきた三木監督のこと、園子温監督じゃあるまいし、
人気女優の乳首をさらして、やがては性暴力で訴えられる存在に、という道は選ばないと思われます。
 
高校教師の原美鈴(奈緒)は内向的な性格で、化粧っ気もなく地味でいることをむしろ心がけている。
そんな美鈴の親友は、真逆と言っていい渕野美奈子(三吉彩花)。長身で美人、社交的。
 
ある日、美奈子から恋人の早藤雅巳(風間俊介)との婚約を告げられた美鈴は動揺する。
というのも、以前美奈子の引越しを手伝ったさいに紹介された早藤にレイプされたから。
その後も早藤から呼び出されるたびに、嫌悪しつつも応じてしまっていたのだ。
 
そんな折、美鈴が受け持つクラスで、生徒の新妻祐希(猪狩蒼弥)のことが話題になる。
おとなしくてからかいの対象になりがちな祐希だったが、
人妻とラブホに入るところを目撃され、それをネタにまたからかわれているらしい。
教師の間でも問題になり、事実無根であると祐希に言わせるように命じられた美鈴。
 
ところが祐希から話を聴いてみるとそれは事実で、
しかも人妻から性行為を迫られたせいで祐希は女性のアソコ不信に陥っていると言い……。
 
若手を起用して軽めの明るい作品を撮ってきた印象の三木監督だから、
こんな作品も撮るんだわと思いました。ちょっと意外。
 
美鈴が早藤の呼び出しを断れずに会いに行ってしまうところ、
そのせいで余計に次も会わねばならなくなってしまうところ、
相手を嫌悪しているはずなのに、実はそんな自分をいちばん嫌悪しているところ、わかる気がします。
 
でも、風間俊介演じる早藤がゲスすぎるからなのか、
今までの三木監督の作品と趣が違いすぎるからなのか、
違いすぎるわりにやっぱり若手人気役者起用のイメージはそのままだからなのか、
ゲスなのにメジャー作品とは変わらない気がして、なんだかバランスがよくない。
これって、もしかすると脱ぎ方が中途半端だからなのかもと思ってしまいます。(–;
 
性暴力に屈することなく立ち向かえという意気は感じました。

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『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』

『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』(原題:Bleeding Love)
監督:エマ・ウェステンバーグ
出演:クララ・マクレガー,ユアン・マクレガー,キム・ジマー,デヴィン・マクダウェル,
   サッシャ・アレクサンダー,ジェイク・ウィアリー,ヴェラ・ブルダー他
 
イオンシネマ茨木にて、封切り日の晩の回を観ました。
 
ユアン・マクレガーとその娘クララ・マクレガーの共演。
娘のクララがプロデュース、父親のユアンがエグゼクティブプロデューサーを務めています。
監督はこれが長編デビューとなるエマ・ウェステンバーグ。
 
書く段になって気づきましたが、本作中の父娘は役名がないじゃあないか。
父親が娘のことを幼い頃に“ターボ”と呼んでいたことがわかるだけ。
 
長らく疎遠だった父娘が再会。
かつて父親が飲酒を自制できなかった遺伝子を受け継いでいるのか、
20歳の娘は酒と薬の過剰摂取で倒れ、なんとか命は取り留めたものの、
薬物依存症のリハビリ施設へ入所させるために父親は娘を迎えに行く。
 
ニューメキシコ州に車で向かう旅を描くロードムービーです。
過去に何があったのかつぶさに映し出されるわけではなく、こちらは回想シーンから想像するだけ。
 
父親は酔っぱらっても暴力を振るうことなどはなかったようで、ただ、家には居着かない。
それでも善き父親としての面があり、娘ともよく遊ぶ、明るくて楽しい人でした。
妻から愛想を尽かされたのか、それとも自ら出て行ったのか、とにかく娘の記憶では「妻子を捨てた父親」。
 
そんな父親が今はすっかり依存症を克服して再婚、生まれたばかりの息子もいます。
現在の妻の理解と承諾を得て娘をリハビリ施設まで送り届けることにしたのですが、
実は娘は自分がリハビリ施設に向かっていることを知らない。
そうとは言いづらい父親が、絵の才能を持つ娘を知り合いの画家に預けるとかなんとか言って連れ出しています。
 
地味すぎて今どき流行らない映画のように思うけれど、マクレガー父娘の演技は素晴らしい。
かつての自分を恥じ、なんとか娘を救いたいと思っている父親と、
父親に反感を持ちつつ、楽しかった頃の思い出が頭を巡って仕方ない娘と。
 
やっぱりユアン・マクレガーって好きだなと改めて思った1本でした。

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『チャーリー』

『チャーリー』(原題:777 Charlie)
監督:キランラージ・K
出演:ラクシット・シェッティ,サンギータ・シュリンゲーリ,ボビー・シンハー他
 
5年ほど前、映画は娯楽大作しかほぼ興味のない姉さんをインド映画に誘ったら、
「インド映画は無し!」と言われ、それでも無理強いして一緒に行った結果、姉さんボロ泣き。
インド映画に対する姉さんの認識を覆したのが『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015)でした。
で、その後は配信でご覧になった『きっと、うまくいく』(2009)も大のお気に入りになり、
すっかりボリウッドの食わず嫌いは払拭されたようで、『RRR』(2022)も一緒に観に行きました。
 
そんな姉さんが本作の公開を私より先に知り、「ハンカチ必須のインド映画が公開されるらしいで」。
ほな行きましょかと、塚口サンサン劇場で観ることに。
 
インドでは同語の作品を「サンダルウッド」と呼ぶそうです。
インド映画は、ヒンディー語テルグ語タミル語マラヤーラム語に次ぐ興行規模を誇るのだそうな。
主演のラクシット・シェッティはカンナダ語映画界のスーパースターとのことで、プロデュースも務めています。
ま、インド人俳優の多くがそうであるように、結構暑苦しい顔をしてはります。(^^;
 
インド南部、カルナータカ州のマイスールにひとりで暮らす男性ダルマ。
少年時代に事故で家族を失った過去が影響して、人づきあいを徹底して避けている。
酒とタバコとチャールズ・チャップリンの映画を観ることだけが楽しみで、
近所の住民からも職場の同僚たちからも偏屈だと言われても一向に気にしない。
 
ある日、ダルマの家の前の通りに迷い込んできたラブラドールレトリーバーの子犬が轢かれる。
どうせ保健所が引き取りに来ると言って住民たちは放置しておこうとするが、
厄介事には関わりたくないはずのダルマがなんとなくその犬を放っておけず、介抱して病院へと連れて行く。
 
無事に診察が終わり、獣医のクマールにこの犬は自分の犬ではないことを伝えるが、
クマールは引き取り手を見つけるまで預かるようにダルマに言う。
仕方なく犬を連れ帰ったところ、とんでもなくやんちゃな犬で、ダルマはイライラ。
 
名前すら付けることなく犬の面倒を見続けていると、
動物愛護団体の女性デヴィカから目を付けられ、虐待を疑われてしまう。
やっとチャップリンから取って“チャーリー”と名付け、
やがてチャーリーなしの生活は考えられないようになり……。
 
原題の“777 Charlie”の「777」は、タグにあったドッグライセンス(犬の登録番号)の数字。
 
悪徳ブリーダーは売れる犬を手に入れるために近親交配を繰り返す。
それは犬の遺伝子に悪い形で出るらしく、チャーリーは血管肉腫を発症します。
 
ネタバレになりますが、そのチャーリーがテレビの前ではしゃぐ姿を見て、雪に惹かれているのだと気づく。
チャーリーが生きている間になんとか雪を見せてやりたいと、
ダルマはチャーリーをサイドカーに乗せて、雪を求めて出発するのです。
 
そりゃもう泣くに決まっている(笑)。
偏屈なダルマには誰も近づいてきませんが、向かいの家に住む少女アドリカだけは別。
チャーリーのことが好きでたまらず、一緒に留守番もします。
チャーリーに「ありがとう」を教えてダルマの前でそれを見せるように言うけれど、チャーリーはしない。
こんなの、最期に「ありがとう」をするのが見え見えじゃないですか。でも泣く。
 
『バジュランギおじさん』と比較すると、泣き度は低い。あっちのほうがボロ泣きでした。
でも、犬好きの人にはたまらんのじゃないですかね。
通路を挟んで私の隣に座っていた人は、「ずびー、ずばー」と終盤泣き通しでした(笑)。
 
踊りは無し、歌は多め。
164分の長尺ですが、インド作品って不思議、ちっとも長く感じない。
やっぱり大好きです、ボリウッド。

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