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『DEADMAN 消された男』

『DEADMAN 消された男』(英題:Dead Man)
監督:ハ・ジュンウォン
出演:チョ・ジヌン,キム・ヒエ,イ・スギョン,チェ・スヨン,パク・ホサン,イ・シフン,
   チョン・ムソン,チェ・ジェウン,キム・ウォネ,チョン・ウンソン,ユ・ヨンス他
 
まもなく閉館、いや、この記事を投稿する頃にはすでに閉館してしまっているシネマート心斎橋にて。
 
『グエムル 漢江の怪物』(2006)で共同脚本を手掛けたハ・ジュンウォンの監督デビュー作。
 
妊娠中の妻から離婚を言い渡された夫イ・マンジェ。
娘の誕生を心待ちにし、名前も決めていたのに。
もとは国内で見てもトップレベルの営業マンだったマンジェは、ある銀行事件の被害に遭って金を失う。
そのせいで生活が立ちゆかなくなり、違法に金を稼いだことを妻は許せないのだと言う。
 
マンジェが関わる違法な仕事とは名義貸し。
彼の名前は漢字で書くと「萬財」、これ以上にないほど巨万の富を稼げそうな名前。
その名にあやかりたい会社の雇われ社長となって報酬を得るのだ。
妻に見限られてしまったが、いつか妻子との暮らしを取り戻そうと、
マンジェはこれが最後のつもりでe-Sports社の雇われ社長となる。
 
約束の6カ月間の名義貸し期間が終わりに差しかかった頃、マカオへの出張を命じられる。
ところが滞在先で自分が1000億ウォンを横領して逃亡中とのニュースを見てビックリ。
どういうことかと問いただそうとするも、雇い主は電話に出ない。
名義貸しの仕事を紹介してくれた弟分に連絡すると、すぐに逃げたほうがいいと言われる。
しかし荷造りをしている途中に押し入られ、殴られて昏倒。
目が覚めたときには木箱の中。そのまま中国の私設刑務所へと運ばれて収監される。
 
生きて帰ってきた者はいないと言われるこの刑務所に、シム・ウンジョという女性が面会に来る。
彼女は多額の金を払ってマンジェを釈放させると、濡れ衣を晴らそうと言い……。
 
なんとなく面白いのですけれど、最初は何が起こっているのか理解できず。
だいたい名義貸しがどういうものなのかもわかりませんもの。
名義貸しって名前を貸すだけだと思っていたら、ちゃんとその会社に出勤するのですね。
 
政治家とその後援会が絡む恐ろしい陰謀だと理解できるようになると、もう怖くて怖くて。
金に困っている一般人を社長に仕立て上げ、金を横領して彼に罪をかぶせる。
しかも通常は殺されてしまうわけで、周りは金で動いている人ばかり。
マンジェ同様に父親に濡れ衣をかぶせられた若い女性ヒジュと協力して真相を解明します。
 
なかなかややこしい話の黒幕は誰かと思えばゲーム感覚でこれを楽しんでいた人。
韓国でいちばん面白いゲームは大統領選ですって。ま、それはそうなのかも。
 
シネマート心斎橋はキノシネマ心斎橋になるそうで、
劇場が残るのは嬉しいことですが、シネマート心斎橋という名前がなくなるのはやっぱり寂しい。
この劇場では韓国映画をいっぱい観ました。一時は年末の恒例だったぐらい。
名残惜しいです。

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2024年10月に読んだ本

2024年10月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1543ページ
ナイス数:907ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/10
■しでむし
先月、大阪・十三の映画館で『うんこと死体の復権』を観て舘野鴻さんのことを知りました。とても有名な絵本作家でいらっしゃるのに、今まで存じ上げずすみません。映画のメインはどちらかといえば野糞をするために山を買ったという「糞土師」の伊沢正名さんですが、舘野さんが絵本作家として食べてゆくことを考えたときに動物の死体につく虫を対象に選んだ話を聞くと、生きるために死にまつわるものを描いているんだなぁとしみじみ思う。死出虫を如何に美しく描くか。舘野さんの言葉どおり美しい。映像で観たばかりの肉だんご、この絵のまんまです。
読了日:10月01日 著者:舘野 鴻
https://bookmeter.com/books/159048
■社員食堂に三つ星を (角川文庫)
何年か前にどハマりして大人買いをした作家です。相変わらず落ち着くし、何よりもこの作家の話には元気を貰えます。管理栄養士の主人公みなほが理不尽に田舎の家具メーカーの社員食堂に飛ばされる。その先には誰も楯突けないお局パート調理員がいて、みなほ以前に着任した栄養士はみんな耐えきれずに退職。だからこそ自分は絶対に辞めたくない。根っから意地悪な人も世の中にはいるでしょうが、よく知ってみればいい人というのが本の中。懐かしのアヒルバスが出てくるのも嬉しい。擬人化されたミゼット2にはちょっと引くけれど。瀬里奈ちゃん推し。
読了日:10月07日 著者:山本 幸久
https://bookmeter.com/books/22115961
■幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下) (ハルキ文庫 た 19-32)
ついにホントの最終巻。気になるのはなんと言っても結がその後どうしていたのかということでしょう。いけずな私は、最終巻で結と幸が涙のうちに仲直りなんてことは望んでいませんでした。そんな結末をもしも迎えるのなら白々しくて冷めてまうがなと思っていたら、結が我が娘にできすぎた姉の姿を見るとは。幸はいったい何度結婚して、相手の生死を問わないとしても何度別れるのだろうと最初の頃は唖然としていましたけれど、今となってはどの出会いと別れも必要だったと思えます。『みをつくし料理帖』も『あきない世傳』も忘れ得ぬ話となりました。
読了日:10月09日 著者:髙田 郁
https://bookmeter.com/books/21715990
■すみせごの贄 (角川ホラー文庫)
出たら直ちに読みたいシリーズなのに、半年以上も出版に気づかなかったとは不覚。気持ち悪くないですか、この表紙の絵。粒々ぶつぶつ、それだけで怖さが増すよと思いながら頁を開く。もとはホラーが苦手な私にはちょうど良いおぞましさで、時には切なくもある澤村さんの話が好きです。本作では特に「火曜夕方の客」が悲しくて、ネグレクトを受けていた子どもたちのことを思うと居たたまれず。「たなわれしょうき」を読み終わった直後に「鍾馗」という名前のラーメン屋の前を通り、その偶然にちょっとドキッとしました。そろそろ長編をお願いしたい。
読了日:10月15日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/21813562
■作家ごはん (講談社文庫 ふ 87-3)
てっきりエッセイだと思っていたら、めっちゃ小説でした。“侠飯”シリーズのファンならば誰でも好きになりそう。もう何年も新作を書いていないベテラン作家とその担当となった新米編集者、そして2作目を書けずにいる新人作家。ベテラン作家に焦る様子は皆無で、毎度旨い料理と酒で一杯やることに。確かに食事はいくらでも簡素にできるものだし、読書はしなくたって生きられる。だけど、そういった無駄こそが人生を楽しくするのですよね、竹林先生。本作に登場する商品どれも実際に入手可能なのが嬉しい。全品そろえて作ってみます。いざ、宴会だ♪
読了日:10月21日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/18807933
■嗤う淑女 二人 (実業之日本社文庫)
ひとりを死に追いやる程度では面白みを感じなくなったとおぼしき彼女。ついには大量殺人の決行ですと。しかも自分ではあくまで手を下さず、彼女の言いなりになって動く人間を見つけるのだからさすがです。七里センセの他作品に登場する面々があちこちに見えて楽しすぎる。御子柴弁護士ってこんなに饒舌だったかしらと思ったりも。美智留はこの先もまだまだ死にそうにないですから、続編があるのでしょうね。そろそろ裏で糸を引くところばかりではなくて、第1弾のように彼女自身の姿ももっと見たいような気もします。見えないから良いのでしょうか。
読了日:10月24日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/21970140
■【単話】ファミレス行こ。 第2話 (ビームコミックス)
今月は映画館で40本観ました。で、映画にばかり時間を注ぎ込んでいたら、ちぃとも本を読む時間がなくなって、冊数稼ぎに走る。これだって映画『カラオケ行こ!』からの流れですが、kindleに慣れていないせいでなんとなく選択を誤った模様。『ファミレス行こ!』の上巻は読んだけど、下巻はまだ出ていませんよね? そして0話からあるのは何ですか。0話と1話を飛ばして2話から入ってしまいました。どこから読んでも違和感がないのが逆に困りもの。遡るべきかどうか迷っている途中です。面白いけど。すぐ読めるけど。どうすりゃええのか。
読了日:10月29日 著者:和山 やま
https://bookmeter.com/books/21764921
■【単話】ファミレス行こ。 第3話 (ビームコミックス)
2話からそのまま3話へ突入したけれど、0話と1話はすっ飛ばしたままで今から遡るかどうか迷ったまんま。聡実が狂児にたまに使うタメ口を聞いてはニタッと笑ってしまいます。読みながらついつい映画『カラオケ行こ!』を思い出し、今は聡実くん役の齋藤潤くんを『室井慎次 敗れざる者』で見られることが嬉しい。彼が演じるタカとギバちゃん演じる室井さんの会話にしばしば目が潤む。って、この本の感想とちゃうやんか。すみません。
読了日:10月29日 著者:和山 やま
https://bookmeter.com/books/21764922

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『恋愛終婚(レンアイオワコン)』

『恋愛終婚(レンアイオワコン)』
監督:岡本雄作
出演:秋月三佳,濱正悟,北原里英,芹澤興人,辻川慶治,吉澤メイ,野島健矢,粟森涼,
   秋山ゆずき,河野通晃,中川知香,鮎川桃果,松村清美他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『徒花 ADABANA』の次に。
 
岡元雄作監督の作品を観るのもお初です。
監督自らの婚活体験を通じて得た気づきを基に撮り上げた作品とのこと。
 
まもなく三十路に突入するOLの永田遥(秋月三佳)は良い相手を捕まえて早く結婚したい。
親友の天野美月(北原里英)に付き添ってもらって婚活パーティーに出向くと、同僚の桂木一輝(濱正悟)と遭遇。
およそ結婚に興味のなさそうな一輝がなぜこんなところにいるのかと問うと、「遊びに決まってる」。
一輝曰く、恋愛はオワコン=終わっているコンテンツで、結婚には不要。
恋愛を夢見てはいるものの、とにかく結婚できるならばと、遥は一輝にアドバイスを求める。
 
一方の美月は結婚に無関心。効率の良いパパ活でひたすら貯金してひとりで生きて行くのが夢。
ある日、彼女の盗撮を試みた武志(芹澤興人)を捕まえて金を要求。
マザコンの武志は母親のために結婚したいのだと言い、結婚相手を見つけられるように美月のレッスンを受けることに。
 
広告代理店に勤務する東大卒のマーケター、井上悠人(辻川慶治)は何でもリサーチ。
数字に現れる結果に基づけば、自分に最もふさわしい結婚相手が見つかると信じ、
それによれば同僚でお嬢様の三ツ峰麻衣(中川知香)が最適。
しかしアプローチの仕方がわからず迷っていたところ、女子高生の佐藤乃愛(吉澤メイ)が教えてくれることに。
 
役者の小泉広海(野島健矢)はゲイで、ライターの桂木匠(粟森涼)と同棲中。
幸せな日々を送っているが、一緒に暮らしはじめて1年になるというのに、匠が一切触れてこないのが悩み。
 
こんな4組の恋愛群像劇です。
 
匠と輝樹は兄弟だし、乃愛と広海は同じカフェのバイト仲間。
また、広海と麻衣は役者仲間で、広海は匠のことを麻衣に相談することも。
遙と婚活相手がデートに使ったり、美月が武志にレクチャーする場だったりするのが乃愛と広海が働くカフェ。
というように、それぞれ少しずつ繋がっています。
 
この手の作品としては長尺の2時間超。
しかもビミョーに美人やイケメンからは外れていて、大画面では見たくないキャストも何人か。
性格的にもこの人は好きだと思える人がいなくて、ちょっぴりイラッ。
 
しかし終わってみれば楽しかった。
大画面では絶対に見たくない(失礼ですみません(^^;)芹澤興人のマザコンぶりがずっと気持ち悪かったのに、
最後は彼にすべて持って行かれた感じで、ちょっとホロリとするほどです。
 
恋愛結婚よりお見合い結婚のほうが別れる率が圧倒的に少ないってご存じでしたか。
恋愛抜きで結婚相手を探すほうが幸せになれると言いつつ、結局みんな恋をする。

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『徒花 ADABANA』

『徒花 ADABANA』
監督:甲斐さやか
出演:井浦新,水原希子,三浦透子,甲田益也子,板谷由夏,原日出子,斉藤由貴,永瀬正敏他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
長編デビュー作だった『赤い雪 Red Snow』(2017)で注目された甲斐さやか監督による第2作。
しかし私はそのデビュー作を未見なのでお初ということになります。
 
未知のウイルスが蔓延している近未来。
ごく限られた上層階級の人間だけが自分と全く同じ外見の“それ”を持つことが許されている。
育てられた“それ”の命をもらえるようにする延命治療のひとつ。
 
病に侵されて療養中の新次(井浦新)も“それ”を持つうちのひとり。
裕福な家庭に育ち、妻子にも恵まれて順風満帆な人生を送ってきたはずだが、余命はわずか。
臨床心理士のまほろ(水原希子)が彼の担当となり、カウンセリングに努める。
 
“それ”に会うことは基本的に禁じられているところ、新次は会ってみたいと切望。
医師(永瀬正敏)が特例を認め、新次は自分の“それ”(井浦新の1人2役)と面会する。
 
すると、見た目は自分とまったく同じであるにもかかわらず、
“それ”は想像以上に知的で、自分よりもずっと純粋な心を持っている。
面会を重ねるうち、新次は“それ”の命を奪うことについて考えはじめ……。
 
静謐な雰囲気に石井岳龍監督の『シャニダールの花』(2012)を思い出しました。神秘的。
だけど話があちこちに飛ぶせいか、こちらの注意力も散漫になります。
斉藤由貴演じる母親とのエピソードや三浦透子演じる女性と海辺で出会ったときのエピソードなど、
雰囲気づくりに借り出されたみたいな感じで、よくわからないから眠くなる。
 
会話の中で「それ」が出てくると、“それ”なのか「それ」なのか一瞬わからなくなって迷う。
すぐに「あ、これは“それ”のことね」と思うけれど、こんな迷い方は無駄だ。(^^;
 
結局雰囲気だけに魅せられてうとうとしそうになっている間に終わってしまった感じです。
ずっと夢見心地。そのわりに後味はよくありません。

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『まる』

『まる』
監督:荻上直子
出演:堂本剛,綾野剛,吉岡里帆,森崎ウィン,戸塚純貴,おいでやす小田,
   濱田マリ,柄本明,早乙女太一,片桐はいり,吉田鋼太郎,小林聡美他
 
109シネマズ大阪エキスポシティに行ったら客は私ひとりでした。
えーっ、堂本剛主演なのに? 綾野剛も出演しているのに? 荻上直子監督作品なのに?
わりと広めのシアターが割り当てられていたのに、今年9度目の“おひとりさま”
 
美大を卒業して画家になる日を待ちつつもまだ身を立てることは叶わない沢田(堂本剛)。
人気現代美術家である秋元(吉田鋼太郎)のアシスタントで生活費を稼いで4年。
同じくアシスタントの田中(戸塚純貴)は2日目にしてもう辞めたいとぼやいているし、
矢島(吉岡里帆)は秋元にアイデアをパクられ続けても文句ひとつ言わない沢田にモヤモヤしている。
 
ある日の仕事帰り、空を眺めながら自転車を漕いでいた沢田は転倒。
利き腕を骨折して秋元から解雇を言い渡される。
ぼろアパートの自室で1匹の蟻が這うのを目で追いかけ、ふと蟻を囲むように左手で「○(まる)」を描く。
金に困ると毎度立ち寄る古道具屋にその絵も持ち込むと、店主(片桐はいり)が怪訝な顔。
 
すると数日後、土屋(早乙女太一)という男が訪ねてきて、まるの絵を1枚100万円で買い取りたいと言う。
ただし、まるなら何でも良いわけではなく、土屋が認めたまるにだけ100万円払うと。
 
訳がわからず古道具屋を再訪すると、沢田のまるの絵を買って行った奴がいると言う。土屋だ。
さらには通りすがりの画廊にあのまるの絵が飾られているではないか。
画廊オーナーの若草(小林聡美)に自分が作者だと名乗ると、「さわだの○」がとんでもないことになっていると言われ……。
 
荻上監督の作品は基本的ほんわかゆるり。
そんな中でも白い荻上さんと若干黒い荻上さんがいらっしゃるように思います。
『かもめ食堂』(2005)や『レンタネコ』(2011)は白いけど、『波紋』(2022)は黒い。
この『まる』も黒いほうに感じます。
 
住んでいるアパートは傾いていて、それが脳波に影響を及ぼすのか眠れない。
隣室の横山(綾野剛)は明らかに精神に異常を来している様子で、ついには壁に蹴りを入れてぶち抜きます。
人の役に立つ人間になりたいのになれないんだとぼやく横山が「働かない2割の蟻」の話に対して、
沢田が2割の蟻も必要だと答えるのが印象的。
また、叶わない夢ならあきらめちゃいけないのかと話すのも印象に残っています。
 
骨折した沢田が繋ぎのつもりで始めたコンビニのバイト。
森崎ウィン演じるミャンマー出身のバイト青年の境遇もつらい。
それでも怒らず焦らず、何でも丸くと微笑む彼の姿が切ないです。
 
偉そうだったのに、沢田が売れ出すと急に態度を変える人々。
大家(濱田マリ)とか元同級生(おいでやす小田)とか。人間の「欲」って、なんと醜い。
一方、欲とは無縁に思える謎の先生(柄本明)の存在が面白い。
 
いろいろと考えさせられて結構面白かったけれど、人には薦めづらい作品です。
相当好き嫌いがありましょうし、なんと言っても客は私ひとりだったのですから。

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