MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『国境ナイトクルージング』

『国境ナイトクルージング』(原題:燃冬)
監督:アンソニー・チェン
出演:チョウ・ドンユイ,リウ・ハオラン,チュー・チューシャオ他
 
なんばパークスシネマにて。
シンガポール出身のアンソニー・チェン監督による中国/シンガポール作品。
 
北朝鮮との国境沿いにある中国、吉林省延辺朝鮮族自治州に位置する延吉市。
友人の結婚式に出席するため上海からやってきた青年ハオフォン(リウ・ハオラン)は、
時間をつぶすために観光ツアーに参加、ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)と出会う。
 
土産物店で買い物しようとしたさいに、スマホがないことに気づいて焦るハオフォン。
身ひとつでツアーに参加したものだから、スマホがなければ何もできない。
ナナはあまり手持ちがないけれどと言いつつ、ハオフォンに金を貸してくれる。
 
ハオフォンの滞在先のホテル前までナナと共に歩いてお別れとなるはずが、ナナから食事に誘われ、
行ってみるとそこにはナナの男友だちで料理人のシャオ(チュー・チューシャオ)もいた。
シャオとナナの案内で延吉を見てまわることになったハオフォンは……。
 
ハオフォンは良い大学を出て金融関係の会社に勤めるエリートで、
ナナたちには一生買えないような高価な腕時計も持っている。
しかし何があったのか表情は暗く、時折死ぬことも考えている様子。
ナナはフィギュアスケートの選手だったようで、怪我で選手生命を絶たれたらしい。
シャオがいちばん能天気に見えますが、延吉から出たことのない朝鮮族
朝鮮族の歴史を私はほとんど知りませんが、映画の中に出てくる彼らはたいてい悲惨です。
 
シャオはナナに片想いしているから、ハオフォンの登場は決して嬉しくないのでしょうが、
やっかみの気持ちをあらわにすることなどないイイ奴で、
それどころかハオフォンに延吉を楽しんでもらおうと案内を買って出ます。
 
ハオフォンは余裕のある生活をしているし、シャオとナナはそうとは言えずとも自由に生きている。
けれどもそれぞれに辛い過去や表現しようのない苦しさ、誰にも言えない悩みがあって、
それを抑えながらどうにかこうにか毎日を送っている。
全編を通して伝わってくる切なさがとても好きでした。
 
いわばこれも「芥川賞的」となるのでしょうが、私にとっては胸を打つ作品でした。
チョウ・ドンユイ主演の作品は『ソウルメイト/七月と安生』(2016)といい『少年の君』(2019)といい、たまらない。

—–

『ルート29』

『ルート29』
監督:森井勇佑
出演:綾瀬はるか,大沢一菜,伊佐山ひろ子,高良健吾,原田琥之佑,
   大西力,松浦伸也,河井青葉,渡辺美佐子,市川実日子他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『イマジナリー』の次に。
21:50からの上映で、終了は24:00。
誰がこんな時間帯に観に来るねん、私か。と思っていたら、ホンマに客は私ひとり。
今年12度目の“おひとりさま”でした。月1ペースを超えたりして。
 
『こちらあみ子』(2022)の森井勇佑監督が、中尾太一の詩集『ルート29、解放』にインスピレーションを得て。
 
他者との関わりをできるかぎり避けて生きてきた女性・中井のり子(綾瀬はるか)。
清掃の仕事をしていた病院で、先輩社員から「患者さんとは話をしないように」と言われていたにもかかわらず、
たばこを求めて話しかけてきた木村理映子(市川実日子)と口をきいてしまう。
 
理映子は自分はまもなく死ぬから、その前に娘・ハル(大沢一菜)に会いたいと言う。
ここは鳥取、ハルがいるのは姫路。ハルをここへ連れてきてほしいと言われ、
のり子は仕事先のユニフォームを着たまま、清掃員たちが相乗りする車を盗んで姫路へと向かう。
 
ハルを見かけても声をかけることができず、何日も尾行していたところ、ハルに見つかる。
事情を話すと、ハルはのり子をおかしな奴だと言いつつも一緒に鳥取に行くことにするのだが……。
 
登場人物がみんな喋り方すら普通ではなくて、そういう意味ではお芝居もお芝居。
ゆるゆると進みながら、車を盗まれて歩くはめになったりして、全然穏やかではありません。
ハルと母親の関係、のり子とその姉・亜矢子(河合青葉)の関係もとても歪。
夜にピアノで“猫踏んじゃった”ばかり弾く亜矢子の姿に、昔、実家の隣人もそうだったことを思い出しました。
母が「ピアノが上手けりゃいいけれど、下手くそなうえにこの曲ばっかり」と笑っていたなぁ。
 
明快な作品ではないので、なんとなく終わったなぁという感じ。
しかもこんな時間帯でしょ、ひとりでしょ、眠くならないほうがおかしいわけで(笑)。
一般受けするのはちと難しい。
まぁ、手がける作品選びの時点からして「芥川賞的」ですよね。

—–

『イマジナリー』

『イマジナリー』(原題:Imaginary)
監督:ジェフ・ワドロウ
出演:ディワンダ・ワイズ,トム・ペイン,テーゲン・バーンズ,パイパー・ブラウン,
   マシュー・サトー,サミュエル・サラリー,ベロニカ・ファルコン,ベティ・バックリー他
 
またこんなホラー作品を観に行ってしまいました。
109シネマズ大阪エキスポシティにて、予告編開始時は私以外に客なし。
あら、また“おひとりさま”かしらと思ったら本編前にもう1人。
3人以上ならいいんですけど、2人ならば1人きりのほうがいいかなぁ。
 
ブラムハウスを叩く口コミも散見しますが、ここのホラーはなんだかんだで面白くて観てしまう。
監督は『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013)のジェフ・ワドロウ。
『フライト・ゲーム』(2014)のプロデューサーだった人らしくて、自身で撮るときはホラー多め。
主演のディワンダ・ワイズが製作総指揮も務めています。
この人、お兄さんが元メジャーリーガーとの記載があるのですが、ホント?
 
著名な絵本作家のジェシカは、ふたりの娘を持つマックスと再婚。
マックスの元妻は精神疾患で入院中。
ジェシカも幼い頃に母親を亡くし、それがきっかけで精神を病んだ父親ベンと別居したまま。
 
毎夜のように悪夢にうなされるジェシカをマックスは心配し、
ジェシカが最も安らいだ気持ちで毎日を送れるであろう実家へ引っ越そうと言う。
ベンは今も病院にいるから実家は空き家。ジェシカが戻れるように現在改装中。
改装はまだ完了していないが、ジェシカのために引っ越しを早める。
 
マックスと前妻の間の娘たちのうち、まだ幼い次女アリスはジェシカのことを認めているようだが、
年頃の長女テイラーはジェシカにあからさまに意地の悪い態度を取る。
それでもふたりの良き母親になろうと努めるジェシカ。
 
ある日、アリスとジェシカがかくれんぼうをしていたとき、アリスは地下室でクマのぬいぐるみを見つける。
ぬいぐるみに“チョンシー”と名づけると、アリスは明るく話すように。
ジェシカもマックスもアリスのイマジナリーフレンドの存在を微笑ましく思う。
 
やがて、アリスは奇妙なリストを持ち歩きはじめると、それをひとつずつクリアしようとする。
ジェシカの絵筆をほしがるところまではよかったが、叱られそうなことをわざとしたり、自分自身を傷つけたり。
母親のことがトラウマになっているにちがいないと、ジェシカはセラピストを呼ぶ。
すると、みんなに見えていると思っていたチョンシーが、アリスとジェシカにしか見えていないことがわかり……。
 
出だしは今から何が起こるのかまるでわからず、最近観たホラーの中でいちばん怖かった。
このまま画面が暗いままだったら私は耐えられないかもと思いました(笑)。
 
継子がこんなに意地悪なのに、どうしてそこまでして再婚しようとするんだろうと思ったけれど、
アリスを救うためにテイラーとタッグを組み、絆を築く様子は定番だけど好き。
 
実はジェシカも幼い頃にアリスと同じ体験をしていて、そのときのジェシカのイマジナリーフレンドこそがチョンシー。
母親を亡くして気が狂ったと思っていた父親は、ジェシカを救おうとしてチョンシーと戦ったのですね。
ジェシカに執着するチョンシーはアリスを使ってジェシカが戻ってくるように仕向けたという。
よくよく考えると「なんじゃそれ」な感じはするものの、面白かった。
 
この展開だと、解決したと思いきやまだあるぞ的な終わりだろうなぁと思っていたらやっぱり(泣)。
でもその後ちゃんと本当の解決がなされてホッ。
そして最後にまた「来るぞ」てな感じはあるけれど、3人一致団結しているから怖くない!
 
私、もうホラー好きですよね!?

—–

『スパイダー/増殖』

『スパイダー/増殖』(原題:Vermines)
監督:セバスティアン・ヴァニセック
出演:テオ・クリスティーヌ,ソフィア・ルサーフル,フィネガン・オールドフィールド,ジェローム・ニエル,リサ・ニャルコ他
 
できれば観たくない作品で、避けるつもりでした。
だけどテアトル梅田で前述の『ノーヴィス』1本のみ観て帰るのはもったいない。
映画鑑賞代より駐車場代のほうが高いままはなんとなく嫌。
で、時間的に都合の良い作品はこれしかなく、致し方なくGO。
 
本作で長編デビューしたフランスの新鋭セバスティアン・ヴァニセック監督。
本国フランスで大ヒットを飛ばしたパニックホラー作品です。
 
青年カレブは友人たちからスニーカーの注文を取り、裏で手に入れては売りさばいていた。
ある日、行きつけの店で珍しいものはないかと店主に尋ねると、見たことのない毒蜘蛛が。
希少生物マニアで特に爬虫類好きのカレブは、この毒蜘蛛に魅入られて購入。
 
カレブの部屋にはほかにもさまざまな爬虫類や蛙や蛇などがうようよ。
それぞれに応じたケースに入れて飼っているが、毒蜘蛛にちょうど良いサイズのケースがない。
とりあえずスニーカーの空き箱に入れたところ、知らない間に毒蜘蛛が抜け出してしまう。
 
腹が膨らんでいた毒蜘蛛が産卵したと見られ、建物内で驚くべき速度で繁殖。
しかも捕食者から身を守るためにどんどん巨大化していくらしい。
遭遇したが最後、噛まれて死に至ることがわかり、カレブたちは逃げようとするのだが……。
 
私はそもそも昆虫が得意ではないので、カレブの部屋が映るだけでもう怖い。
かわいいとは到底言えない不気味な生き物にひょえ~。
 
あまり観たくはなかったけれど、困ったことにこれが結構面白くて。
住人たちが外に逃げようにも警察や消防隊がやってきて建物を封鎖してしまい、出られません。
光が当たっている間は毒蜘蛛たちが動かないと判明しても、
こんな古い建物だから電気が行き届いておらず、1分だけしか電気がもたないとか。
 
一緒に逃げるのは、カレブと親友マティス、カレブの妹マノン、マノンの友人リラ、リラの恋人ジョルディ。
カレブとジョルディは子どものころは親友だったのに、あることが原因で絶交しました。
仲直りする機会を逸したまま大人になり、こんなところで再会したふたり。
カレブとジョルディがかつて一緒に動物園を開くことを夢見ていたとわかるくだりにはほろり。
 
いや~、デカい蜘蛛は怖い。夢に出てきそうだと思ったけど、出てきませんでした。
どんだけホラー慣れしたんだか。(^^;

—–

『ノーヴィス』

『ノーヴィス』(原題:The Novice)
監督:ローレン・ハダウェイ
出演:イザベル・ファーマン,エイミー・フォーサイス,ディロン,ジェニー・ロス,
   シャーロッテ・ウベン,ジョナサン・チェリー,ケイト・ドラモンド他
 
週初めの仕事帰りに梅田まで行くのはキツイのですが、
早いうちに観ておかないと上映が終わってしまいそう。
観たいでしょ、これ。だってイザベル・ファーマン主演ですよ。
『エスター』(2009)の衝撃から時が経ち、彼女は27歳になりました。
撮影当時はまだ10歳かそこらだったのではないでしょうか。
あんな役を演じてよくここまで成長したものです。
というわけで、彼女を見たくてテアトル梅田へ。
 
監督はハリウッド大作で音響を担当してきたローレン・ハダウェイ。
長編映画を撮るのはこれが初めてなのだそうです。
ハダウェイ監督自身が大学時代にボート部に所属していた体験を基にしているとのこと。
 
極めて優秀な成績で大学に合格したアレックス・ダルは物理を専攻。
最も苦手とする科目であるにもかかわらずわざわざそれを選び、
授業では納得いくまで解答を見直し、つきあわされる教員もほとほと困っている。
 
そんなアレックスが入部したのは女子ボート部。
友人のジェイミー・ブリルはスポーツ奨学金を獲得するためにボート部に入り、
コーチや先輩たちから早くも逸材と言われているのを聞いて焦る。
強迫観念に駆られたアレックスは、狂気を感じるほどの練習を始めて……。
 
同じボート競技の話でも、先日観たばかりの『がんばっていきまっしょい』とはエライ違い。
実はアレックスは大統領奨学金なるものをすでに得ているのに、
他人が褒められると絶対に負けたくない、相手を超えなければと思う。
けれどそれを露わにして相手にぶつけるわけではなくて、ひとりで黙々と訓練に励みます。
それはもう負けず嫌いなどというものを通り越し、自分を追い込んで傷つけているだけ。
 
雨天のもとでボートを漕ぐのは問題ないが、雷のもとでは絶対駄目。
そんなルールも無視して嵐の中を漕ぐアレックスの表情が凄まじい。
 
“エスター”のイメージが強すぎて、こんな狂気の女性を演じても普通に見えなくもない。
まだ30歳前の彼女が今後どんな女優になっていくのかちょっと楽しみです。

—–