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『ワイルド・ローズ』

『ワイルド・ローズ』(原題:Wild Rose)
監督:トム・ハーパー
出演:ジェシー・バックリー,ジュリー・ウォルターズ,ソフィー・オコネドー,
   ジェイミー・シーヴェス,デイジー・リトルフィールド,アダム・ミッチェル他
 
昼間から友人と会うつもりで休みを取ったのに、友人が急に出勤になってしまいました。
せっかく取った有休、晩に甲子園に行くまでの間、家で寝て過ごすのももったいない。
ほならやっぱり映画に行っとこかという気持ちが起きて。
 
シネ・リーブル梅田で上映されていたときに観逃してしまった作品が
ちょうど塚口サンサン劇場でかかっている。しかも特別音響上映。ラッキー♪
 
主演のジェシー・バックリーアイルランド出身で実際に歌手。
『ドクター・ドリトル』ヴィクトリア女王の役を演じたのが彼女です。
BBCのオーディション番組に出演したのがきっかけで芸能界入り。
本作中でも吹替なしで本人が歌い、素晴らしい声を披露しています。
 
スコットランドのグラスゴー
良からぬことをして捕まり、刑務所で12カ月服役、出所した女性ローズ=リン。
彼女はシングルマザーで、まだ幼い娘ワイノナと息子ライルがいる。
服役中は厳格な母親マリオンが子どもたちの世話をしてくれていた。
やっと子どもたちのもとへ帰ったものの、カントリー歌手になる夢を捨てきれない。
 
14歳のときから歌っている店を訪ねると、
だれも罪人の歌など聴きたくないはずだと解雇を言い渡され、
すでにローズ=リンに代わる歌手が雇われていた。
稼ぎがゼロではどうしようもなく、富豪の邸宅で清掃の仕事にありつく。
 
富豪の妻スザンナはローズ=リンの歌声を聴き、
これは絶対世に出すべき才能だと考える。
スザンナに背中を押され、夢に向かって進みはじめるローズ=リンだったが……。
 
困った女なんです、このローズ=リンは。
18歳で子どもを産んで上の子が小学生というから、アラサーぐらい。
しかし母親としての自覚に欠け、出所して最初に寄るのは男の家。
ヤってから実家に戻ります。
 
ジュリー・ウォルターズ演じるマリオンは、厳格ではあるものの、
普通に常識的で融通の利かない人ではなく、慈愛にも満ちている。
孫たちはそんなおばあちゃんのことが大好きです。
ローズ=リンは自分の子どもたちを任せっきりだったから、
どう接していいのかわからない。
下の子のライルはまだ幼くて、ママママと一応は言うけれど、
ワイノナはママに捨てられたと思っているのか、にこりともしない。
そんな娘の表情が変化を見せるときがとてもいい。
 
スザンナの支えもいい。
ローズ=リンに請われるがままに金を差し出すのではなく、
ローズ=リン自身の力で前に進ませようとしています。
 
自分はどうしてアメリカ人に生まれなかったのか。
音楽の街ナッシュビルこそ自分の生まれるべき場所だったのに。
グラスゴーにはカントリーをわかる人間などいない。
そう決めつけてナッシュビルへ行こうとしていたローズ=リンが
果たしてたどり着く場所は想像どおりなのが嬉しい。
 
「母親としての自覚を持ってほしかっただけで、希望を奪いたかったのではない」。
そう言うマリオンの言葉に涙が出ました。
 
特別音響上映で観られた幸運に感謝。

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