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『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
監督:上田慎一郎
出演:内野聖陽,岡田将生,川栄李奈,森川葵,後藤剛範,上川周作,
   鈴木聖奈,真矢ミキ,皆川猿時,神野三鈴,吹越満,小澤征悦他
 
午前中に森ノ宮のコインパーキングに車を駐めに行き、環状線と東西線を乗り継いで北新地へ。
ひとりランチの後、晩にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで“中川家と観る寄席 in 大阪”を観る前に、
大阪ステーションシティシネマで本作を観る。
 
韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』を上田慎一郎監督がリメイク。
めちゃくちゃ面白かった。好きだなぁ、こんなクライムエンターテインメント作品は。
 
真面目なだけが取り柄の税務署員・熊沢二郎(内野聖陽)は、車が故障したと妻から聞かされる。
彼女が見つけてきた個人売買サイトで89万円の中古車を買うことにしたが、そのサイト自体が偽物。
あっけなく騙され、全額を持って行かれてしまう。
 
親友で刑事の八木晋平(皆川猿時)の協力を得て、その詐欺師が氷室マコト(岡田将生)であることを突き止める。
氷室をとっ捕まえるため、八木と熊沢が張り込んでいたところ、
八木が用を足しに車から降りた隙に乗り込んできたのがなんと氷室本人。
 
八木が動いていることに気づいた氷室は、「こうなると足がつくのは早いから」と熊沢にあっさり金を返し、
これだけで許してもらえないのならとある取引を持ちかけてくる。
それは、一見慈善事業家、その実体は極悪な脱税王である橘大和(小澤征悦)から14億円を騙し取ろうというもの。
 
橘は8億円もの脱税を働いているのだが、政治家や警察官僚に太いコネがあり、誰も強制捜査に踏み切らない。
熊沢の部下で血気盛んな望月さくら(川栄李奈)が橘に物申したところ、望月の昇進話がなくなってしまう。
部下をなんとか救いたいと橘に頭を下げに行った熊沢は橘から酷い目に遭わされた。
かと言って橘を騙すなどという犯罪行為に加担することはできないと考えるが、
熊沢のかつての同僚が税務署を解雇されたうえに自殺したのが橘の罠だったと知り、氷室の話に乗ると決める。
 
氷室の案は、橘から14億円を騙し取って未納の税金もきっちりそこから頂こうと。
七変化を見せる役者・白石美来(森川葵)や偽造なら何でもおまかせの丸健太郎(上川周作)、当たり屋の村井竜也(後藤剛範)、
資金を提供する姉妹・五十嵐ルリ子(真矢ミキ)と薫(鈴木聖奈)がチームを組み、大がかりな詐欺計画を開始するのだが……。
 
汚い金持ち権力者が完全に騙されて悔しそうにする姿を見るのがどれだけ気持ちいいことか。
絶対ハッピーエンドだとわかっているからこそ楽しい。
一瞬失敗!?と思わされても、そんなことになるはずもない。
 
先日高畑充希との結婚を発表した岡田くん。
昔は性格のいい子ばかりを演じていたのに、最近は悪役も多くなりました。
本作も最初はヤな奴の顔も似合っているけどやっぱりイケメン。
橘のブレーンを務める酒井恵美子(神野三鈴)が「イケメン♪」と顔を撫でる仕草には見ているこちらもゾワっとしたけれど(笑)、
エンディングを迎えてみればそうだったのねと愉快な気分に。
 
しかし上はみんな繋がっているのですね。ヤダわ。
金持ちからこそちゃんと税金を取って。
 
韓国作品の『スウィンダラーズ』(2017)を思い出しました。あの面白さの再来。
痛快という言葉はこんな作品のためにある。

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『海の沈黙』

『海の沈黙』
監督:若松節朗
出演:本木雅弘,小泉今日子,清水美砂,仲村トオル,菅野恵,石坂浩二,萩原聖人,
   村田雄浩,佐野史郎,田中健,三船美佳,津嘉山正種,中井貴一他
 
3回目の『ラストマイル』を観た後、同じくTOHOシネマズ伊丹にて。
 
倉本聰の脚本を『空母いぶき』(2019)や『Fukushima 50』(2019)の若松節朗監督が映画化。
倉本聰は東大卒業、ニッポン放送勤務、フリーになって『北の国から』が大ヒット。
脚本家や俳優を志望する人たちのための養成所“富良野塾”を私財を投じて主宰。
凄い経歴の持ち主の彼は元日生まれ。年が明けたら90歳だそうです。
 
高名な画家・田村修三(石坂浩二)の作品を目玉にした展覧会が大々的に開催されるが、
会場に足を運んだ田村は、内1枚は自分の描いたものではない、贋作だと断言。
大騒動に発展すると、作品の所有者だった美術館の館長・村岡(萩原聖人)が責任を感じて自殺する。
 
海外で発見されたゴッホなどの作品の贋作について調べていた清家(仲村トオル)は、
田村の作品の贋作が同じ人物によって描かれたものではないかと考える。
そしておそらくその人物とは、かつて田村をも凌駕する天才画家と称されながら、
ある事件をきっかけにこの世界から姿を消してしまった津山竜次(本木雅弘)ではないかと。
 
その昔、竜次の恋人だった安奈(小泉今日子)は今は田村の妻。
清家から別の贋作を見せられた安奈は、これは竜次の描いたものだと断言する。
竜次の居場所を見つけようとする安奈。
 
一方、北海道の浜辺でクラブのママ・牡丹(清水美沙=清水美砂から改名)の遺体が発見される。
入水自殺した模様で、着物で隠れた全身に刺青が入っていた。
誰も牡丹の素性を知らなかったが、フランスでは知る人ぞ知る人物だったらしく、
彫り師と共に現れる彼女は、刺青を希望する客にカタログとして身体を見せる役目を果たしていたのだ。
 
実は竜次の亡き父親は彫り師で、その血を引く竜次は牡丹をキャンバス代わりに刺青を彫っていた。
竜次の世話をするスイケン(中井貴一)から用済みを言い渡された牡丹が命を絶ち、
新しく竜次のキャンバスとなるのは刺青を希望するバーテンダー・あざみ(菅野恵)で……。
 
まぁまぁ以上に期待して鑑賞に臨みましたが、ずいぶんとっちらかった印象です。
中井貴一は相変わらずシブイけど、スイケンなんて結局何者だったのかさっぱりわからない。
命が途絶えたはずの竜次が現れるところがファンタジー仕立てにされていたりして、
男の人ってこういう展開が好きなんだなぁ、ロマンを感じるのかなぁなどと思いました。
 
そして私はキャストにも疑問を感じます。
キョンキョン、嫌いじゃないです。でもこの役ははたして彼女で合っているのか。
映画でも本でも私がいちばんに願う「切なさ」が彼女からは感じられません。
そりゃ年齢のわりに綺麗だし可愛いけれど、彼女と竜次が若かりし頃に燃えるような恋愛をしたとは思えなくて。
だって刺青彫られそうになって逃げ出したんでしょ。この再会はあんまり切なくない。
 
んー、イマイチ。
白髪でもシワが増えてもモッくんはモッくんだったけど、それだけ。
懐かしい面々を見られた気がするのはよかったです。

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3回目の『ラストマイル』は火野正平を悼んで。

『ラストマイル』は2回観たので、もういいかなと思っていました。
だけど11月に届いた火野正平の訃報にもう一度観ておきたくなってTOHOシネマズ伊丹へ。
これが彼の遺作になったのですね。
 
火野正平といえば昭和のモテ男。
歳を取ってからの彼しか知らない世代の人には嘘みたいな話でしょうが、
ホントにモテモテだったのですよね。
プレイボーイなどという言葉は今は死語か。でもその言葉が似合う。
 
すっかり好々爺といってもよい風貌になりました。
そんな彼が本作で演じたのは、宅配業者の委託ドライバー
火野正平の息子役が宇野祥平で、平仮名で書けば一字違いというのが私のツボでした。
 
まるで本物の親子のように見えます。
息子が勤めていた家電メーカーは、家電量販店の台頭で勢いに圧されて倒産。
致し方なく息子は父親と共に委託ドライバーの仕事をすることになりました。
 
たとえ1個配達して150円しかもらえなくても、
荷物の到着を楽しみにしてくれているお客さんのために一刻も早く届けたいという父親。
弁当すらゆっくり食べさせてもらえない事態をぼやく息子。
40を過ぎて親父に蹴られるなんてと言う息子と、40過ぎた息子を蹴らなきゃならないなんてというやりとりに笑ってしまう。
 
大事には至らなかったけれど、荷物が爆発したときに息子を心配する父親の様子、
そして、みんな無事でよかったと安堵する様子には涙が出ます。
 
エンディング間近のシーン、「10年後はどうなっているかなぁ」とか「父さんが長生きしてくれればいい」の会話。
「遺言みたいだね」というのが本当になってしまいました。
 
プレイボーイ・火野正平のイメージは私にもありません。
本作の穏やかで心優しい親父さんとしての彼を覚えておきたい。
心からご冥福をお祈りします。
 
これ、ブラックフライデー開催中のいま観たい作品ですよね。

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『六人の嘘つきな大学生』

『六人の嘘つきな大学生』
監督:佐藤祐市
出演:浜辺美波,赤楚衛二,佐野勇斗,山下美月,倉悠貴,西垣匠,中田青渚,木村了,渡辺大他
 
109シネマズ箕面にて。
 
原作は浅倉秋成の同名ベストセラー小説で、昨年読みました。そのときの感想はこちら
監督は『ストロベリーナイト』(2013)の佐藤祐市。Netflix版“シティーハンター”の監督もこの人ですね。
人気若手俳優を揃えたわりにロケなどはほぼ不要だから低予算で抑えられたのではないかと。
というのはこちらの勝手な思い込みで、若手俳優もギャラがっぽりもらっているのかしら。
 
学生に一番人気を誇るエンターテインメント企業“スピラリンクス”の新卒採用試験には1万人の応募者あり。
絞りに絞られて残ったのは6人の大学生で、最終選考は1ヵ月後におこなわれるグループディスカッション。
それ次第で6人全員採用の可能性もあると人事担当者の鴻上(木村了)から告げられる。
 
早稲田大学の嶌衣織(浜辺美波)、立教大学の波多野祥吾(赤楚衛二)、慶應義塾大学の九賀蒼太(佐野勇斗)、
明治大学の矢代つばさ(山下美月)、一橋大学の森久保公彦(倉悠貴)、法政大学の袴田亮(西垣匠)は、
こうなったら6人一緒に内定を勝ち取ろうと、最終選考までの1ヶ月間、毎週集まって勉強会を開くことに。
 
それぞれが得意分野を受け持ち、最終選考の課題傾向を検討して対策を練る。
勉強会以外にも飲み会を開催するなどして、6人は素晴らしい友人となったはずだったが、
最終選考前夜に鴻上から連絡が入り、採用は1人のみに変更すると知らされる。
 
最終選考の課題は、6人のうち誰がもっとも内定者にふさわしいかを90分間討論して選出しろというもの。
波多野の発案により、15分討論する毎に投票して合計6回の投票の得票数が多い者を内定者に決めるとするのだが……。
 
討論の途中、部屋の片隅に置かれた封筒に気づき、開けてみると6人に当てられた手紙が入っています。
それは6人それぞれの悪事と証拠写真。
いじめや詐欺の首謀者だったり、女性に妊娠中絶させていたり、それって悪事に問うのはおかしいと思われるようなことの場合も。
いずれにせよ、完璧な善人だと思っていた人物に後ろ暗いところがあると知ったらどうしますか。
 
当然それが投票結果となって現れる。
犯人をあぶり出さないとどうしようもなくなって、結局アリバイのない波多野が犯人だとして決着し、嶌が内定をもぎとります。
それで話は終わりではなく、この8年後、スピラリンクスの花形となっている嶌を波多野の妹(中田青渚)が訪ねてきて急展開。
 
わはは、全部書いてしまいそうなので、ここで終わりにしておきます。
真犯人はほかにいて……とイヤミスになりそうなところ、切なくも温かい結末が待っています。
ただ、この映画化作品が好きかと聞かれると、音楽かかりすぎだし、みんな芝居くさいし、私的にはイマイチ。
飽きずに最後まで観られることは確かです。
 
美波ちゃんのこんな演技もそろそろおなかいっぱいです。イメージと真逆の役とか、来ないですかね。
あ、スピラリンクスの彼女の同僚役を演じていたのが渡辺大か。お父さんの渡辺謙に似ていますねぇ。余談余談。

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『ぼくとパパ、約束の週末』

『ぼくとパパ、約束の週末』(原題:Wochenendrebellen)
監督:マルク・ローテムント
出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ,セシリオ・アンドレセン,アイリン・テツェル,
   ヨアヒム・クロール,ペトラ・マリー・カミーン,レスリー・マルトン他
 
『UTADA UNITED 2006』【ライブ音響上映】の後、同じくなんばパークスシネマにて。
 
『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』(2017)のマルク・ローテムント監督によるドイツ作品。
私はこの監督がやっぱり好きだと確信する1本となりました。実話に基づく。
 
ミルコとファティメの間に生まれた息子ジェイソンは、幼いときに自閉症と診断される。
音に敏感、冗談が通じない、他者となじむのは難しいなどなど医師から言われる一方で、
なんらかの分野において特別な能力を発揮することもあるという。
 
独自のルーティンやルールを持つジェイソンは、それが少しでも乱されるとパニックに陥る。
ただ、宇宙への興味は尽きることなく、量子学に際立った才能を見せるが、
いくら惑星について詳しくても同級生たちには理解できないからジェイソンをからかうだけ。
 
あるとき、同級生から好きなサッカーチームを問われたジェイソンは、お気に入りのチームを見つけようと考える。
そのためには、ドイツ国内56チームすべてを現地で観戦しなければならないと言い、
仕事仕事で忙しい父親ミルコに土曜日毎にスタジアムを巡る約束をさせるのだが……。
 
ジェイソンが自閉症と診断されたときに、この子のために全力を尽くすと決めた両親。
しかし実際のところは仕事を辞めたファティメのワンオペに近い状態。
もうひとり子どもが生まれて手がかかるようになっても、ミルコは仕事で家を空けること多数。
息子と家族のために稼がなければならないというのが建前ですが、
ジェイソンの相手をするよりも仕事をしているほうが楽だというのが本音です。
 
ジェイソンとふたりきりで出かけるようになって、初めてわかる妻の苦労。
列車内の食堂に入れば、トマトソースのパスタを頼み、パスタとソースを分けるようにオーダーするジェイソン。
パスタにわずかにソースが付いただけで気も狂わんばかりに怒ります。
それを見たほかの乗客は躾がなっていないとミルコに冷たい目を向ける。
息子のことを愛しているのは間違いない。けれど、自分の手に余ると思いはじめます。
 
スタジアムにはジェイソンの苦手とすることが多数。
触れられるのが嫌いなのに接触は避けられないし、そこらじゅうに雑音が溢れています。
また、ジェイソンの中ではサステナビリティ(持続可能性)の重要性が高い。
トイレだったりエレベーターだったり、どれも試してみないことにはスタジアムを去れません。
無駄なマスコットがいたり、円陣を組んだり、選手の靴下の色が微妙に違って揃っていなかったりするのもアウト。
 
どうであろうが孫は孫だとあたふたしない祖父母、特に祖父が○。
そしてミルコが勤務する全国展開のファストフード会社の女社長がサイコーです。
 
宇宙物理学を究めたいというジェイソン。それが夢ではなくなる日もきっと近い。
モデルとなった本物の一家もエンドロールに登場します。美少年で目が釘付け。
ヨーロッパには全部で21万5千のサッカーチームが存在するそうな。
父子のスタジアム巡りの旅は今も続いているとのことです。

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