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『ネットワーク』【町山智浩氏解説付き上映会】

『ネットワーク』(原題:Network)
監督:シドニー・ルメット
出演:ウィリアム・ホールデン,フェイ・ダナウェイ,ピーター・フィンチ,ロバート・デュヴァル,
   ネッド・ビーティ,ウィリアム・プリンス,ビアトリス・ストレイト他
 
休日に会う約束をしていた友人から発熱したという連絡があってキャンセル。
んじゃあ映画とひとりごはんと決めて、まずは車でTOHOシネマズ西宮へ。
朝イチの時間帯、選択肢はいくつかあったのですが、
このさき観る機会がなさそうな本作を選択しました。“午前十時の映画祭”にて。
 
本編の前と後に映画評論家の町山智浩氏の解説映像があります。
これがとても面白くて、ほー、へーの連続でした。
 
1976年のアメリカ作品で、パディ・チャイエフスキーのオリジナル脚本シドニー・ルメット監督が映画化。
チャイエフスキーはそれまで主にTVドラマの制作を担当しており、
TV番組の裏側を描こうと脚本を温めていたところ、こんな作品ができたのだとか。
第49回アカデミー賞ではこれで脚本賞を受賞。
そのほか、主演男優賞をピーター・フィンチ、主演女優賞フェイ・ダナウェイ
わずか5分間の出演でビアトリス・ストレイトが助演女優賞を受賞しています。
ピーター・フィンチがノミネート直後に心不全で急死したことでも話題になりました。
 
大手ではあるけれど業界1位ではないテレビ局UBS。
報道番組で10年以上に渡ってキャスターを務めてきたハワード・ビル(ピーター・フィンチ)は、
視聴率の低下を理由に解雇されることが決まります。
ハワードの盟友で報道部長のマックス・シュマッチャー(ウィリアム・ホールデン)が気遣ったところで、
上層部の決定をくつがえすことはできません。だって実際視聴率を稼げないのだから。
 
おとなしく解雇を飲んだと思われたハワードですが、
その後の本番中に「来週この場で頭を撃ち抜いて自殺する」と宣言し、大騒動になります。
局には苦情の電話が殺到し、上層部は激怒。ハワードを即降板させるように言い渡します。
 
ところがハワードの自殺予告がメディアで採り上げられると凄まじい注目を浴び、
他番組のプロデューサー、ダイアナ・クリステンセン(フェイ・ダナウェイ)は
このチャンスを逃す手はないとUBSの大株主CCAの役員フランク・ハケット(ロバート・デュヴァル)に進言。
 
おかしなことを口走るようになったハワードは預言者として世間から信奉されるようになり、
ハワードの精神状態を心配するマックスは降ろされて、代わりにダイアナが番組を担当することに。
 
という話なのですが、本当に時代を予見していたような作品でいろいろとビックリ。
当時はまだ報道番組のバラエティ化などはなかったそうで、今はそんなのばっかりです。
 
ダイアナはテロリストに犯行現場をカメラに収めさせてそれで視聴率を稼ごうとする。
大衆は暴力を好まないと言う人がいても、映せば観る人がいっぱいいます。
 
本番中の自殺予告や強盗犯の実況映像などは実在の事件にヒントを得ているのですね。
また、『ジョーカー』(2019)をはじめとするさまざまな作品が本作にオマージュを捧げているとのこと。
私は何も知らなかったから、町山さんの解説を聴いて目からウロコでした。
 
それにしたって、マックスがダイアナに惹かれて不倫に走る理由がようわからん。
浮気して本気になって結局妻のところに戻るのもダイアナの脚本通りってか。
マックスの妻を演じるのがビアトリス・ストレイトで、5分間のまくし立ては確かに迫力があります。
妻にバレたわけでもないのに正直にダイアナのことを打ち明けると、
25年連れ添ってきた妻は「私に情熱を向けなくてもいいけれど、尊重はして」みたいなことを言うんですね。
浮気はしたとしても相方を尊重する。それは大事じゃないかなと思いました。
あ、これは作品の本筋からは離れた話か。(^^;

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『ロボット・ドリームズ』

『ロボット・ドリームズ』(原題:Robot Dreams)
監督:パブロ・ベルヘル
 
テアトル梅田にて、前述の『コール・ミー・ダンサー』の後に観ました。
無声映画というわけではないけれど、台詞はゼロに等しいスペイン/フランスのアニメ作品。
第96回アカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされたほか、数々の映画賞を受賞しています。
 
舞台は擬人化された動物たちが暮らす大都会マンハッタン
 
ひとり暮らしの犬・ドッグは、ふと寂しさを感じていたときに目にしたCMに驚喜。
これこそ自分が求めているものだと「友達ロボット」を購入する。
 
数日後到着したロボットを組み立てて電源を入れると、まさにロボットは理想的な存在。
一緒にテレビを観て食事をして、買い物に出かけたり遊びに行ったり。
今まで知らなかった「誰かと共に過ごす日々」の楽しさをドッグは満喫する。
 
夏の終わり、ビーチに出かけたドッグとロボットは海水浴に大はしゃぎ。
ところがいざ帰ろうとしたとき、ロボットが錆びて動かなくなってしまう。
家に連れ帰ろうにも鉄の塊のロボットをドッグひとりでは動かすことができない。
 
いったん帰宅した翌朝、ロボット修理の本を買い込んだドッグは再びビーチに向かうが、
昨日でビーチは閉鎖されて扉には鎖がかけられている。
役所に事情を話に行ってもあっけなく却下されただけ。
工具を用いて鎖を切ろうとしていたところを警備員に見つかってお縄状態に。
 
釈放後もロボットを救出する方法はなく、来年の海開きの日まで待つことにするのだが……。
 
今年観た海外アニメ作品の中でいちばん好きだったかもしれません。
ただ、感動的なハッピーエンドにはならないから、そういう展開を求めている人には向かない。
 
来る日も来る日もドッグはロボットだけのことを考えているわけではない。
頭の片隅にロボットのことを置きつつ、ほかに友達を探したりもします。
日々の暮らしが暗くなる一方でもなく、それなりに楽しんでいる様子。
 
一方のロボットは、ビーチで動けずに横たわったままだけど、意識はある。
舟で乗りつけた奴が助けてくれるのかと思いきや足をもぎとられます。
だけどロボットの陰に巣を作って産卵した鳥は、ロボットに感謝の意を表してくれる。
生まれたばかりの鳥の子もロボットのことが大好き。
 
大切な人と共に過ごせなくなったとしても絶望的ではないし、生きていけないわけでもない。
それどころか周囲にはいくらでも愉快なことが溢れているわけです。
人生を楽しむ術はたくさんあって、だけど、ふと思い出すその人のこと。
台詞はないのに、目の動きだけでわかる心の裡を思うと切なくて、何度か泣きそうになりました。
 
音楽も素晴らしい。
アース・ウィンド・アンド・ ファイアーの“September”がこれほど効果的に使われていた作品は、
『最強のふたり』(2011)以来です。

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『コール・ミー・ダンサー』

『コール・ミー・ダンサー』(原題:Call Me Dancer)
監督:レスリー・シャンペイン,ピップ・ギルモア
 
年末が近づいたせいか、夕方の新御はかなり渋滞しています。
でも19時すぎからの回ならなんとか間に合うだろうとテアトル梅田へ。
 
インド出身のダンサー、マニーシュ・チャウハンに密着取材したドキュメンタリー作品。
全然知らなかったことですが、インドではダンスって金持ちの趣味という認識らしい。
伝統的な民族舞踊を踊る金持ちはいても、有給で踊る仕事はなし。
有給で踊りたければボリウッド作品に出演するしかないそうです。
 
そんななか、金持ちでも何でもない家庭に生まれたマニーシュは、
18歳のときに観たボリウッド作品でダンスに魅入られます。
独学でストリートダンスのトレーニングを積み、ダンスで身を立てたいと考える。
 
タクシー運転手の父親は、その仕事を息子に継がせる気はないから、
必死で金を工面して大学に進学させ、良い仕事に就いてほしいと思っています。
なのに息子はダンサーになりたいと言う。
ダンスで稼げるわけがないと母親も思っているし、それはいたって普通の考え。
マニーシュには妹もいて、金がなければ嫁がせることもできないのです。
 
マニーシュは通いはじめたダンススクールでクラシックバレエの素晴らしさを知りますが、
ダンスはダンスでもバレエダンサーなんてインドではありえないぐらい珍しいこと。
だけど、結局は家族みんなでマニーシュを応援します。
 
スクールの講師を務めるイスラエル系アメリカ人のイェフダ・マオールは、
彼に素質を感じてプロのダンサーになれる道を探します。
なにしろダンスを始めたのが18歳とは遅すぎて、時間がありません。
絶望的な気持ちになることもあるけれど、マニーシュもイェフダもあきらめない。
 
人間、信念を持って続ければなんとかなるのだと思わされます。
夢が叶った人だからこうして映画になる。
夢破れた人だっていっぱいいるはずだけど、夢を失わずにいたいもの。
 
夢を失いかけている人に観てほしい作品です。

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『JAWAN/ジャワーン』

『JAWAN/ジャワーン』(原題:Jawan)
監督:アトリ
出演:シャー・ルク・カーン,ヴィジャイ・セードゥパティ,ナヤンターラー,
   ディーピカー・パードゥコーン,プリヤーマニー,サニャー・マルホートラ他
 
ボリウッドです。171分の長尺です。
どうせ知っている予告編ばかりだし、予告編開始後3分経ってから入場しました。
 
アトリ監督は『ビギル 勝利のホイッスル』(2019)などタミル語映画界で活躍している人。
これがヒンディー語映画デビュー作となるそうです。
主演はボリウッドのスーパースター、シャー・ルク・カーン
2023年のインド映画興行成績1位に輝いています。まぁ面白いけど、無茶苦茶や(笑)。
 
インド北東部。ある部族が住む村に渡る川で、銃弾を浴びて重傷を負った男が発見される。
意識不明の男を村人たちが手厚く介抱するも、男は目覚めないまま月日が経過する。
 
ある日、村を潰そうと武装した奴らに村人たちが次々と襲われていると、
いままで一度も目覚めなかった男が覚醒して悪党共をなぎ倒す。
おかげで村は潰れることなく、男は神と崇められる存在になるが、
彼は記憶を喪失しており、自分が何者でなぜここにいるのかもわからない。
 
30年後。女性6人組と男性リーダーを有する謎のグループが跳躍。
このグループは、悪事を働いて金儲けをする権力者を標的に巧みな手口で大金を奪い取る。
奪取した金は自分たちの懐に入れることなく、困窮する人々に残らず分配する正義の味方。
 
実はリーダーのアーザードは女性刑務所の所長で、6人はいずれも囚人
どの囚人も権力者に楯突いたせいで不当に逮捕された者ばかり。
看守の協力も得て刑務所から出かけては正義のための行動を果たしていて……。
 
神と崇められる男ヴィクラム・ラトールとアーザードが同じ顔だから(シャー・ルク・カーンの一人二役)、
え、30年経っても見た目変わらずなの?と思っていたら、アーザードの父親がヴィクラムなのでした。
息子の大ピンチにいきなり登場するヴィクラムが強すぎてワラける。
 
30年前にヴィクラムを殺したつもりになっていためちゃ悪の武器商人カリにヴィジャイ・セードゥパティ
美人警察官ナルマダにこれまたスーパースターのナヤンターラー
そりゃま、これだけ人気俳優を揃えたら、興行成績ナンバー1になりますわね。
 
インドの農業や公立病院の実態も描かれていて、いろいろと興味深い。
ダンスもそれなりにあるけれど、私はやっぱりシャー・ルク・カーンよりヴィジャイとかラーム・チャランの顔のほうが好き。
 
なんにせよ、ボリウッドが面白いのは間違いない。
あと、選挙。ちゃんと選んで投票しましょうとアーザードが言ってます。

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『ザ・バイクライダーズ』

『ザ・バイクライダーズ』(原題:The Bikeriders)
監督:ジェフ・ニコルズ
出演:ジョディ・カマー,オースティン・バトラー,トム・ハーディ,マイケル・シャノン,マイク・ファイスト,
   ノーマン・リーダス,ボイド・ホルブルック,デイモン・ヘリマン,エモリー・コーエン,トビー・ウォレス他
 
休日出勤した日の代休を2回に分けて取らせてもらい、その1回目だった日、午後休。
父が入所中の老健に寄ってからなんばへ向かい、よしもと漫才劇場に行く前に映画と食事を。
TOHOシネマズなんばにて。
 
写真家ダニー・ライアンによる伝説の写真集に着想を得たジェフ・ニコルズ監督が撮った作品。
その写真集は、1960年代に隆盛を誇った実在のバイカー集団に密着したものなのだそうです。
ニコルズ監督は『テイク・シェルター』(2011)の人ですね。
 
1965年のシカゴ
品行方正な日々を送っていた女性キャシーは、友人から頼まれたものを届けに入った店の居心地の悪さに驚く。
そこは地元のバイカーたちが集う店で、上から下まで舐め回すように見られ、友人のもとへたどりつくのもやっと。
用事を済ませて退店しようとすると、バイカーたちに追いかけられて恐怖を感じる。
咄嗟にキャシーが頼ったのは、ただひとり冷めた様子だった無口な青年ベニー。
彼のバイクの後ろに飛び乗り、キャシーはこれまでになかった爽快感をおぼえる。
 
それからわずか5週間後にふたりは結婚。
バイカーたちのクラブは“ヴァンダルズ”と名付けられ、創始者としてリーダーの座に就いているのはジョニー。
取り巻きも多いなか、ジョニーのお気に入りはベニー。
ベニーも一匹狼のようでありながら、ジョニーのためなら何でもする。
 
巷から疎まれつつも、バイカーたちの間では憧れの的となったヴァンダルズ。
入部希望者が増えつづけ、各地で支部を立ち上げる話が後を絶たない。
規模が拡大するにつれてクラブ内の治安が悪化していることをジョニーは危惧し、
いつまでも自分が仕切るのは無理だから、ベニーに次期リーダーになるように話すのだが……。
 
たぶん“イージー・ライダー”世代なのでしょうね、やたらオジサマ客が多い。
私より少し上の世代の人たちなのだろうと思います。
 
私はといえば、単車のレース自体は好きですし、昔は鈴鹿サーキットにもよく行きましたが、
ハーレーダビッドソンなどのような単車には興味なし。
だから、こんな単車で群れを成して動くモーターサイクルクラブもどうでも良い感じです。
 
ただ、映画としてはすごく面白かった。こういう時代があったのだなぁと思わされます。
マイク・ファイスト演じるカメラマンのダニーが、ジョディ・カマー演じるキャシー相手に取材を進める形で描かれます。
オースティン・バトラー演じるベニーにぞっこんだったキャシーは、
最初こそヴァンダルズにベニーがいる状態を楽しんでいたけれど、暴力的な部分に不安を感じ、
ベニーにはクラブを抜けてほしいと思うようになります。だけどベニーは絶対に抜けない。
 
ジョニー役のトム・ハーディにはボスとしての貫禄があるだけに、若者に簡単に貶められる姿が哀れです。
ただのバイク好きが集まって結成したクラブのはずが、いつしか不良だらけの集団に変化してしまう。
結局そうして当時のクラブも消えて行ったのでしょうね。
 
平日午後の劇場に来られていたオジサマ方の感想を聞いてみたいです。

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