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『アイ・アム・タレント』

『アイ・アム・タレント』(原題:I Am Thalente)
監督:ナタリー・ジョンズ

後述の映画目当てにシネマート心斎橋に行くことにしたら、
ちょうどシネマートデーで鑑賞料金は1,000円。
ならばあちこちへ行かずに同劇場で3本観ましょう。

1本目はアメリカのドキュメンタリー作品。

南アフリカで路上生活を送る少年タレント・ビエラ。
両親がいるにもかかわらず、10歳にも満たないときに家を飛び出しました。
虐待を受けていたものと思われます。
以降、同様の仲間たちとスケートパークで暮らし始めます。

彼のスケートボーディングの才能は並外れたもの。
その動画を見たアメリカのプロスケーター、ケニー・アンダーソンが、
もしも彼がアメリカに来るならば援助を惜しまないと申し出ます。

それまでサポートを申し出る人がいても、
人のために滑るのは嫌だ、誰かの期待に応えるために滑るなんて、
僕にはできないと拒絶していたタレントですが、
ドラッグに手を出してしまった自分をどうにかしなければならないと思っていた頃。
彼のことを親身になって考える人たちの助言もあり、アメリカに行く決意をします。

アメリカに渡って出場してみた大会では散々な結果。
南アの大会では素晴らしい成績を残していたのに。
アメリカとのレベルの差を目の当たりにしたようで愕然とします。

スケートボードファッションを主としたブランドのLRGと契約を結べたら。
自立してきちんと収入を得られるよう、プロスケートボーダーになりたい。
しかし、プロに求められるのはパークでの滑りではなく、
ストリートでいかにトリックを用いて滑ることができるか。
人の目を惹きつけ、もっと見たいと思わせるようなボーディング。

パークでずっと滑ってきたタレントは、ストリートで上手く滑ることができません。
失敗を繰り返し、弱音を吐きながらも、決して止めないタレント。

家を飛び出したときに学校も辞めている彼は、
9歳程度の識字能力しか持っていませんでした。
サポートの一環として個人教師をつけて読み書きの勉強も始めたものの、
生きるうえで勉強が必要だと思えないから進まない。
集中力を欠いた態度だった彼が、車の免許を取るという目標を見つけ、
何度か落ちながらも試験に合格したときの嬉しそうな顔といったら。

タレントの出身地はダーバン。
ダーバンといえば、2010年のワールドカップの会場のひとつにもなった高級リゾート地として有名。
その目の前にこうして路上生活を余儀なくされる子どもたちがいる。
フィクションながら『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』もそうでした。
富裕層の隣には必ず極貧層がある。

世の中は偽善者ばかりと話していたタレントだけど、
偽善的であったとしても、こうして手を貸してくれる人がいれば。
伊坂幸太郎の『砂漠』の一節をまた思い出しました。
—–

『ペンギン・ハイウェイ』

『ペンギン・ハイウェイ』
監督:石田祐康
声の出演:北香那,蒼井優,釘宮理恵,潘めぐみ,福井美樹,
     能登麻美子,久野美咲,西島秀俊,竹中直人他

TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『銀魂2 掟は破るためにこそある』に続いて。
上映終了時間と上映開始時間が5分かぶっていましたが、予告編はもう見なくていいし。
出入り口すぐの席を確保して、ほかのお客さんのじゃまにならぬように。

原作を読んだときのレビューはこちら
大大大好きなんです、森見登美彦。
それゆえ、映像化作品を観るときは期待が高まりすぎてしまうのです。
TVアニメ版の『四畳半神話大系』『有頂天家族』『有頂天家族2』は、
期待どおりというよりも期待以上。DVDも即購入。
しかし『夜は短し歩けよ乙女』(2017)は何が駄目だったのか途中寝ました。
何も駄目じゃなかったのに、単に私の飲み過ぎ睡眠不足だったのかも。

『夜は短し歩けよ乙女』がそんなだったから、
今回はムビチケを買いつつもあまり期待しないように努めました。
制作はこれが長編初挑戦のスタジオコロリドだけど、
脚本は『四畳半神話大系』と同じ上田誠と聞いてやっぱり期待。
この人、『FLY! 平凡なキセキ』(2011)の脚本も書いていらっしゃいます。

たいへん賢い小学4年生アオヤマ君。郊外の町に暮らしている。
気になったことはとことん研究してノートに記録。読書も好き。
同じクラスのウチダ君と仲良しで、ひそかにいろんなプロジェクトを実施中。

いまのアオヤマ君がもっとも気になっていることは、
アオヤマ君がかよう歯科医院に勤める巨乳のお姉さん。
お姉さんの研究も余念なく進め、日々ノートに書き留めている。

夏休みを間近に控えたある日、町にペンギンが出没して大騒ぎに。
どこからともなく現れたペンギンたちは、そのままどこかへ消えてしまう。
アオヤマ君はこの謎を解明しようと研究に取りかかるのだが……。

原作を読んだとき、この奇天烈な設定に狂喜しました。
原作をお読みでない方は、以下ネタバレご注意ください。

自販機で買ったコーラ缶。
お姉さんがこれを放り投げると、なんとペンギンに変わるという。
アオヤマ君は目の前でこれを見て、やはり研究を始めます。
お姉さんのことが噂になると大変だから、ほかの人には秘密。

もうひとつ、アオヤマ君が研究を始めるのは、森を抜けた草原に浮かぶ海。
まんまるの海が宙に浮いているのを同級生の秀才女子ハマモトさんが発見。
ハマモトさんがアオヤマ君に相談、ウチダ君と一緒に研究開始。

奇天烈ファンタジーを上手くまとめていると思いました。
いくつか飛ばされた原作中のイベントはありますが、ほぼ忠実です。

違和感があったのは、蒼井優の声。
私の思うお姉さんの声とはちょっとちがうような。
というのは置いておいて、そんなお姉さんに寄せる淡い淡い恋心。
夏の日の一コマが今の季節にピッタリ。

原作では最後の2行に切なさドボドボ。
同じ台詞なのに、なぜか映画版のほうは切なさが足りないように感じました。
これは森見さんの筆のなせる技なのかなと思います。
—–

『銀魂2 掟は破るためにこそある』

『銀魂2 掟は破るためにこそある』
監督:福田雄一
出演:小栗旬,菅田将暉,橋本環奈,柳楽優弥,三浦春馬,窪田正孝,吉沢亮,勝地涼,夏菜,
   長澤まさみ,岡田将生,ムロツヨシ,キムラ緑子,佐藤二朗,堤真一,中村勘九郎,堂本剛他

TOHOシネマズ伊丹にて。

大ヒットした『銀魂』(2017)の続編は、冒頭からナメてます(笑)。
小栗くん菅田くん環奈ちゃんの顔出しなしのトークから始まり、
日本アカデミー賞にかすりもしない小栗くんネタで盛り上がる。
いかにも福田雄一監督らしい始まりです。
そうそう、昨年度の日本アカデミー賞最優秀主演男優賞って菅田くんだったのですね。
『あゝ、荒野』(2017)をスルーしてしまったから、知らなんだ。

幕末、地球人と天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が共に暮らす町、かぶき町。
“万事屋(よろずや)銀ちゃん”を営む元攘夷志士の坂田銀時(小栗旬)と、
縁あって住み込みで店を手伝う志村新八(菅田将暉)と神楽(橋本環奈)だったが、
一向に仕事の依頼はなく、家賃を数カ月滞納している。
家主のお登勢(キムラ緑子)が怒鳴り込みにくることもしばしば。

自分から仕事を貰いに行くなどプライドが許さぬと憤る銀時を説き伏せ、
新八が取ってきた仕事はキャバ嬢だったり床屋の留守番だったり。
しかも行く先々に警察庁長官・松平片栗虎(堤真一)が客として現れる。
彼は「庶民の生活に触れたい」という将軍・徳川茂茂(勝地涼)をお忍びで連れ回しているのだ。

そのころ、真選組の副長・土方十四郎(柳楽優弥)が首に何かを撃ち込まれ、
以来、人が変わったようにおかしな言動が増える。
これは真選組の局長・近藤勲(中村勘九郎)の暗殺を企てる伊東鴨太郎(三浦春馬)の陰謀。
そうとも知らず、伊東と沖田総悟(吉沢亮)の進言により、近藤は土方を辞めさせることに。
それでも真選組を思う土方は、犬猿の仲の銀時に助けを求めるのだが……。

ゲロネタとかう○こネタは勘弁してよと思いましたが(笑)、
そこを除けば満遍なく楽しい。もちろん寝る隙なし。
テレビでやってりゃいいことを派手にしただけと言えなくもないし、
ここまでふざけるとおふざけが過ぎるのではと思わなくもありません。
でもねぇ、大人も子どもも大笑いしているし、
家族丸ごと楽しめる作品という意味ではこれでいいんじゃないでしょうか。

出番は少なくても長澤まさみ岡田将生はしっかり。
人斬り河上万斉役の窪田正孝も光っています。
千人斬りの異名を持つ彼に「弱けりゃ何人でも斬れる」という銀時の台詞、
そりゃそうだわと妙に納得してしまいました。
裏切り者を裏切り者のままで死なせたくないという真選組にはジーン。
いままで柳楽くんにあまり興味はなかったのですが、この土方、カッコイイですよね。

ま、そんなことで。しつこく続編あっても歓迎します。
—–

『沈黙、愛』

『沈黙、愛』(英題:Heart Blackened)
監督:チョン・ジウ
出演:チェ・ミンシク,パク・シネ,リュ・ジュンヨル,イ・ハニ,
   パク・ヘジュン,イ・スギョン,チョ・ハンチョル他

ダンナはお盆で9連休。
私はお盆休みは特になし、でも全館節電のために休みだった先週の水曜日。
素敵なご招待を受けて心斎橋で晩ごはんをご一緒させていただくことになったので、
朝から映画3本は観られるだろうと思っていました。
ところが前日の火曜日、ダンナが飲み会で最終近くの電車で帰宅。
駅まで迎えに行ったために寝るのが遅くなり、
しかも当日、予想外にダンナが早く起きてきたので、私の調子が狂う(笑)。
結局出遅れて時間がなくなり、シネマート心斎橋で1本だけ鑑賞。
でも、これは大満足の1本でした。

2013年の中国作品を韓国でリメイク。
2006年のミス・コリア優勝者で、今年2月の平昌冬季五輪閉会式では
“春鶯舞(チュネンム)”という伝統舞踊を披露したイ・ハニが
殺される歌手役で出演しています。この人、パンソリも特技だそうで、へ~っ。

各方面に強い発言力を持つ大物経済人のイム・テサンは、
有名な美人人気歌手パク・ユナとまもなく再婚予定。
しかし、イムの娘ミラはユナを嫌い、イムのことも色ぼけじじい扱い。
反抗して父親から金を巻き上げることしか考えていない様子。

ある日、クラブでのパーティーに出席していたミラは、
同席者からユナのエロ動画を見せられる。
ユナとかつての恋人との動画が流出してしまったようだが、
こんなあばずれに父親は入れ込んでいるというのか。
憤るミラは、ユナをクラブへと呼び出す。

その日、無残に轢かれたユナの遺体が見つかり、ミラが殺人容疑で逮捕される。
ミラは泥酔して何も覚えていないと話すが、ミラの乗る車に轢かれたことはあきらか。
娘の容疑を晴らそうと、イムはミラの信頼する女性弁護士チェ・ヘジュンに依頼。
対する検事はチェの先輩で元彼でもあるトン・ソンシク。

チェとトン、それぞれが調査を進めるうち、
ユナのファンクラブ会員キム・ドンミョンが浮かび上がる。
ストーカーまがいのことを続けてきたキムに話を聞こうとするが、
イムの側近チョン・スンギルもなぜかキムに接触を図っていて……。

以降、ネタバレです。

ネットで評判がよかったので、かなり期待して観に行きました。
でも、最後の最後まではわりと普通。
父親が真犯人で娘に罪を着せていた、と思ったら娘こそ犯人で、
実は娘をかばっていたのでした、という、ありありな展開。
ありありな展開だったのですけれど、
娘をかばうために父親が何をしたのかがわかる最後の最後は予想できず、涙。
なんというのか、シリアスな『カメラを止めるな!』を観たみたいな(笑)。

これまでカネに物をいわせて世の中を思うままにしてきたイム。
カネがあるからこその彼の行動に度肝を抜かれ、
娘のためにここまでやるか、やれるのかと胸を打たれました。

イム役のチェ・ミンシク、ミラ役のイ・スギョン、チョン役のチョ・ハンチョル。
それぞれの泣き方が心に突き刺さり、こちらも涙ほろり。

イムとチョンがタイの屋台で向かい合うラストシーン、めちゃくちゃよかった。
こういう作品を上映してくれるシネマート心斎橋、
ちょっとご無沙汰していましたが、また行かねばなるまい。
—–

『サムライと愚か者 オリンパス事件の全貌』

『サムライと愚か者 オリンパス事件の全貌』(原題:Samurai and Idiots: The Olympus Affair)
監督:山本兵衛

前述の『追想』を観てからシネ・リーブル梅田へ移動。
遠いよ梅田スカイビルと思いながら、このところしょっちゅう行ってます。
相変わらず外国人観光客多い。
スカイビル3階のドラッグストアなんて、呼び込みも中国語やし。

ドイツ/フランス/イギリス/日本/デンマーク/スウェーデン作品。
前日は山本兵衛監督の舞台挨拶付きで、盛況だったようです。
この日も関心が高いのか結構客が入っていました。

2011(平成23)年に雑誌『FACTA』がスクープした「オリンパス損失隠蔽事件」。
オリンパスが1200億円もの巨額損失を約20年にわたって隠蔽し、
負債を粉飾決算によって処理したとされる事件です。

山本監督は、元オリンパス社長のマイケル・ウッドフォード氏、
スクープ記事を書いた山口義正記者、FACTAの阿部重夫編集長、
オリンパス元専務で再建を目指すべく奔走した宮田耕治氏、
修行僧でありウッドフォード氏の通訳であるミラー和空氏、
『Financial Times』の元記者ジョナサン・ソーブル氏などに取材しました。

私は事件そのものをほぼ知らなかったので、
あのカメラのオリンパスでしょ?何をしたの?という好奇心で観に行っただけ。
そうしたら、うーん、何とも言えない嫌~な気持ちに。

外国人で初めて社長に就任したウッドフォードさん。
社長でありながら、何が起きているかをまったく知らされず、
気づいて説明を求めたら即解任されたそうです。

ウッドフォードさんを呼び戻そうと動いたのがすでにOBだった宮田さんですが、
「本音としては、もう戻らないほうがご本人は幸せでしょう」という。
宮田さんは、長く勤めた会社が好きだから、正しいことをしてほしい。
別にウッドフォードさんをかばいたいわけではない。
ただ、会社が立ち直るにはウッドフォードさんを呼び戻そうとすることが必要だと。

最初にスクープ記事が出たときは、オリンパスは記事自体を無視。
日本のメディアもオリンパス幹部の言い分を載せただけで、ほぼスルー。
損失隠蔽が明らかになったあとも、メインバンクは引き上げる様子なし。

正しいことをしようと立ち上がる人がいても、とことん潰される。
日本人だからかなぁと思う半面、いや、アメリカとかでもこんなことあるでしょ、
保身に走ることを考える会社は、日本に限らないのではと思ってしまう。

経済バカ(経済だけじゃないけど)の私にもわかりやすい作品でした。
損失を隠すためにこんな方法を考えるのかと、アホみたいに感心したりもして。
その賢さを正しいことに使えんか?と、ただただ思います。

ついでに、映画の本筋とは何の関係もないことも言わせていただくならば。
字幕の「ら抜き」が気になって仕方がありませんでした。
「見れる」はもう現代の許容日本語になっているとして、「育てれる」は嫌だなぁ。
通訳や翻訳など、日本語に関わるお仕事に就いている人は、
正しい日本語を使う人であってほしいと思うのは駄目でしょうか。
“クレしん”で「ら抜き」が使われてもなんとも思いませんが(むしろ当然かと)、
こういう堅い作品では気になってしまいます。
先日NHKのアナウンサーが「すいません」と謝っているのを聞いて、
えっ、NHKのニュースでもそんな日本語使っちゃうのかと驚きました。
そりゃ世間に「清々しい」を「きよきよしい」と読んじゃう人がいっぱいいても
もはや不思議じゃない。(^^;
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