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今年観た映画50音順〈ま行〉

《ま》
『マクファーランド 栄光への疾走』(原題:McFarland, USA)
2015年のアメリカ作品。
ケヴィン・コスナー主演なのに日本では未公開。実話が基。
高校のアメフト部のコーチ、ジム(ケヴィン・コスナー)は、
すぐに短気を起こしては上司や選手とやり合ってしまう。
そのせいで勤務先をクビになり、ようやく受け入れてくれることになったのは、
カリフォルニア州マクファーランドの高校。
マクファーランドはヒスパニック系住民が多く住むとても貧しい農業地域。
失望する娘たちをと妻のシェリル(マリア・ベロ)をなだめてなんとか着任。
アメフト部の監督を務めるはずが、古参のコーチと意見が合わず。
間に入った校長からアメフト部の話は反古にされ、体育の授業のみ担当することに。
そこでジムは生徒たちの脚力に圧倒される。
早朝から家族とともに農地に出て働き、農地から学校まで走る日々を送っているせいで、
生徒たちにはとんでもない脚力と疾走力、持続力がついていたのだ。
ジムはクロスカントリー部を立ち上げるが、陸上など教えた経験もなく……。
未公開が納得できるほど地味だし、ジムは最初は根性論のみに思えます。
しかし、練習するうちに生徒たちと心を通わせてゆく姿はスポ根の王道。
春に種を蒔き、秋に収穫し、冬に満腹になりたいだけ。そんな彼らの想いが実るとき。

《み》
『ミッシング・チャイルド 呪いの十字架』(原題:Eg Man Pig)
2017年のアイスランド作品。
“未体験ゾーンの映画たち 2017”で上映中にDVDが発売されたので、
わざわざ劇場に行くほどでもないかとレンタルして鑑賞。
精神医学者フレイルは、幼い息子ベンニが3年前に忽然と姿を消して傷心のまま。
ある日、首吊り自殺をした老婆を女刑事とともに調べてみると、
その老婆と同年代で同郷の者たちが何人も変死していることがわかる。
亡くなった老人たちは60年前に失踪した少年をいじめていたらしい。
フレイルは自分が少年の霊によって息子のもとへと導かれているように感じる。
一方、彼が働く病院の向かいの島に、若夫婦のガルザーとカトリーン、
その友人で未亡人のリーフがやってくる。
彼らは島の廃屋を改装して民宿を始めようとしていた。
ところが、赤ん坊を死産したことから立ち直れないでいるカトリーンは、
「ママ」と呼ぶ声を聞いたり、少年の走る姿を見かけたりするようになり……。
結構怖かった。時間軸を上手くずらして見せていて、最後はなるほど。
三角関係の果てに倒壊した建物の下敷きになるガルザーとリーフ。
遺体を見つけてもらって安心したかのように父親のもとへ駆けてゆくベンニの幽霊。
60年前に死亡した少年とともに廃屋に残ることにしたカトリーン。
救いがあるようなないような、とにかく暗い作品です。
スペイン語圏やポルトガル語圏のホラーに似た雰囲気もあり、嫌いじゃない。

《む》
なし(泣)。
なんとか見つけようとしましたが、劇場公開映画では『ムタフカズ』のみ。
DVDセルやレンタル作品にもこれ以外にありませんでした。

《め》
『名探偵シャーロック・ノームズ』(原題:Sherlock Gnomes)
2018年のアメリカ/イギリス作品。日本では未公開のアニメーション。
ガーデンノームといえば、庭に置かれた「白雪姫とこびと」、あれです。
本作は白雪姫はいないけれど、ガーデンノームたちの世界で起こる事件。
ロンドンの新しい庭に引っ越してきたノームのノミオとジュリエット。
仲間たちと平和に暮らしていたのに、出先からふたりが帰ると仲間が全員消えていた。
名探偵シャーロック・ノームズとワトソンと共に仲間の行方を探すうち、
ノームズの宿敵モリアーティの仕業であることがわかり……。
未公開だったけれど、声を担当している俳優陣はかなり豪華。
ジェームズ・マカヴォイエミリー・ブラントキウェテル・イジョフォー
ジョニー・デップマイケル・ケインマギー・スミスオジー・オズボーンまで。
割られないように奮闘するノームたちがカワイイです。

《も》
『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』(原題:Hotel Transylvania 3: Summer Vacation)
2018年のアメリカ作品。
10月に公開されたところなのに、12月にもうDVD発売。
自らが経営するモンスター・ホテルで働きづめの父・ドラキュラを心配する娘・メイヴィスは、
ここらで気分転換してもらおうと、豪華クルーズ船の旅を提案。
ホテルの従業員を引き連れて船に乗り込んだドラキュラは、船長・エリカに一目惚れ。
父には幸せになってほしいと思うものの、なんとなくエリカは信用できない。
メイヴィスの勘が残念ながら当たり。
エリカの父親はモンスターの殲滅を狙うヴァン・ヘルシング。
エリカは父親の命令を守ってモンスターたちを一掃するために暗躍するが、
なぜかドラキュラのことが気になってしまい……。
大人も子どもも楽しめる安心のアニメーション。
そういえばドラキュラの声を担当するアダム・サンドラー、このごろあまりお見かけしませんね。
声だけでなく姿が見たいので、実写映画に出演してください。
—–

今年観た映画50音順〈は行〉

《は》
『犯人は生首に訊け』(英題:Bluebeard)
2017年の韓国作品。
昨夏、シネマートで開催された“反逆の韓国ノワール 2017”にて上映。
医師スンフンは妻子と別れ、新興都市の個人病院に勤務。
漢江の解氷とともに首と手足が切断された女性の死体が浮かび上がり、
15年に渡る未解決連続殺人事件が起きているこの町の住民は不安に。
スンフンの住むマンションの大家は、1階で精肉店を営む老人とその息子。
認知症の老人が診察中に口走った言葉に戦慄を覚えたスンフンは、
息子の嫁が一人目も二人目も行方不明との噂を聞き、
あの親子が連続殺人犯なのではと疑いはじめるのだが……。
巻き込まれたかのようなスンフンが実は精神病。
すべての事件の犯人にされて終わり。
でも本当の連続殺人犯は老人だよという、救いようのない終わりかた。
英語タイトルの“Bluebeard”はおとぎ話に由来、
「妻を何人も替えては殺した男」の意味だそうで、気が利いていますねぇ。

《ひ》
『百日告別』(原題:百日告別)
2015年の台湾作品。
高速道路の多重事故に巻き込まれ、それぞれ最愛の人を失った男女。
ユーウェイ(♂)は妊娠中だったピアノ教師の妻を亡くし、
シンミン(♀)は結婚間近だった料理人の恋人を亡くす。
合同葬儀でお互いの存在を知るわけですが、
このふたりがくっつくとかいう安直な展開ではありません。
あくまでふたり別々、葬儀場で顔を合わす程度で、
それぞれが喪った悲しみを持ちながらどう気持ちの整理をつけてゆくか。
ユーウェイもシンミンも無気力になり、自分で命を絶つことを考える。
そんなときに聞こえてくる、妻の生徒のピアノの音色。
見せられる、幼き日の恋人が担任教師に宛てた手紙。
死ぬな、生きろ。百日経ったら、涙を拭いて。

《ふ》
『フェイク 我は神なり』(英題:The Fake)
2013年の韓国作品。
『ソウル・ステーション/パンデミック』と同じく、
ヨン・サンホ監督によるサスペンスに満ちた社会派アニメーション。
ダム建設のために水没が予定されている村に、
住民の心の寄る辺となるべく教会が建てられ、カリスマ視されている牧師がいる。
そんな村で寄付を募って大儲けを画策する詐欺師。
長らく村を離れていた粗暴な中年男ミンチョルが戻ってきて、
住民が騙されそうになっていることをすぐに見抜くが、
ろくでなしミンチョルの言うことなど誰も聞こうとせず……。
こんなアニメは今まで観たことがない。陰鬱で救いがないけど引き込まれます。

《へ》
『ヘドローバ』
2017年の日本作品。
動画オンデマンド配信サービス“VICE PLUS”の「ケータイで撮る映画シリーズ」第1弾。
不良ばかりが住む団地に暮らすカズヤ(木ノ本嶺浩)と妹ユリ(洪潤梨)。
団地を仕切るのはヤン兄弟(ウメモトジンギ&一ノ瀬ワタル)とその祖母(竜のり子)。
祖母は怪しい宗教の教祖で、信者に団地の部屋と金を貸す段取りをつける。
借金まみれとなった信者が自殺すると、その部屋の後始末をするのがカズヤの役目で……。
相当気持ち悪くて、直視できなかったシーンいっぱい。
カズヤの腕が腐るところなんて、オエーッ。
最後がまた強烈で、「ヘドローバ」とはなんぞやと思ったら、ヘド老婆。
風呂場で脳卒中を起こした婆さんがドロドロのへどろの化け物と化します。
腐乱死体の清掃を仕事とするカズヤは、怪しい博士が開発した掃除道具でヘドローバと対決。
不快なものを集めましたという作品で、ちょっと耐えがたい。すみません。(^^;

《ほ》
『星空』(原題:星空)
「ひ」の『百日告別』と同じ、トム・リン監督による2011年の台湾作品。
台湾の人気絵本作家ジミー・リャオの同名ベストセラー絵本が原作。
2012年の大阪アジアン映画祭で上映され、2017年10月に劇場公開が実現。
13歳のシャオメイの両親はいつも喧嘩ばかり。
いたたまれなくなって、大好きな祖父の家へ向かいかけたこともしばしば。
そのたびに家出を思いとどまり、祖父に電話をかけては安心する。
ある日、シャオジエという転入生がやってくる。
彼が描いた裸体画を見て同級生らは興奮、シャオジエと喧嘩になる。
芸術の才能は認めるが同世代には刺激が強すぎるとして
教師から学校にスケッチブックを持ち込まないようにと言い渡される。
シャオジエに興味を持ったシャオメイは彼のあとをつける。
どうやら彼も家庭に問題を抱えているらしく、ふたりは親しくなるのだが……。
星空のジグソーパズルがキーワードになっています。
発熱したシャオメイをシャオジエが負ぶって走るときに見る星空が想像を超える美しさ。
これはぜひとも劇場で観たかった。
台湾で別れを余儀なくされたふたりが何年も経ってからパリで再会なんて、
そんな偶然あるかいなと思うけれど、瑞々しく切なくて、心に残るシーン。
—–

今年観た映画50音順〈な行〉

《な》
『ナインイレヴン 運命を分けた日』(原題:9/11)
2017年のアメリカ作品。
ちょっと過去の人になってしまった感のある俳優たちの共演。
ウォール街の実力者で億万長者のジェフリー(チャーリー・シーン)と、
その妻イヴ(ジーナ・ガーション)は早朝から離婚調停の席へ。
ワールドトレードセンタービル、ノースタワーのエレベーターに乗り込むが、
飛行機がビルに突っ込んでエレベーターは緊急停止。
偶然乗り合わせたビルの保全技術者エディ(ルイス・ガスマン)は、
コントロール室にいるメッツィー(ウーピー・ゴールドバーグ)に連絡を取り、
エレベーターのドアロックを解除しようとするのだが……。
結局は全員助かるのかと思ったら、ジェフリーだけは取り残されます。
実際こういう光景が多く見られたのかもしれません。
《に》
『ニューヨーク、愛を探して』(原題:Mothers and Daughters)
2016年のアメリカ作品。“未体験ゾーンの映画たち 2018”にて上映。
原題が示すとおり、複数の母娘の群像劇。
不倫相手から別れを告げられた直後に妊娠が発覚したり、
夢を追いつづける男と同棲中に子どもができたり、
母親だと思っていた人が実は祖母で、姉だと思っていた人が母親だと聞かされたり、
若気の至りで出産し、里子に出した娘から23年経って連絡が来たり。
登場人物はいずれも、予期せぬ妊娠をした女性とその母親。
コートニー・コックス、クリスティナ・リッチミラ・ソルヴィノなど、
かなり豪華なキャストですが、普通に公開されなかったのもわかる地味さ。
DVDで観るには良い作品だと思います。
私が本作を観ているときに、ダンナがセルマ・ブレアを指さして、
「これってミラ・ジョヴォヴィッチ?」と聞いてきたのが面白かった。全然ちゃうで。
《ぬ》
なし(泣)。
《ね》
『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(原題:Neruda)
2016年のチリ/アルゼンチン/フランス/スペイン作品。
パブロ・ネルーダ。ノーベル文学賞を受賞した詩人で、
チリの国民的英雄でありながら、政治犯として追われる身となった彼の逃亡劇。
ネルーダを知らないうえに、詩的な演出にまったく乗れず、
ただただ観ているのが苦痛でした。
ネルーダを追う警官役にガエル・ガルシア・ベルナル
ちょっと見ないうちに、別に太っても痩せてもいないのに別人みたい。
このところ政治的な作品への出演が多いようですが、
私は彼の青春映画のほうが好きだなぁ。
というのか、政治的な映画は難しすぎてついていけない。
もっとアホにも興味が持てるような作品はないものでしょうか。
《の》
『ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち』(原題:Nocturnal Animals)
2016年のアメリカ作品。
『シングルマン』(2009)で映画監督デビューを果たし、
高い評価を受けた一流デザイナー、トム・フォードの監督2作目。
原作はオースティン・ライトのベストセラー小説『ミステリ原稿』。
劇場公開時のタイトルは『ノクターナル・アニマルズ』でしたが、
DVD化に当たって『夜の獣たち』というサブタイトルが追加されました。
アートディーラーとして成功を収めているスーザン(エイミー・アダムス)のもとへ、
大学院生時代に結婚していた元夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から
彼の著作『夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)』が送られてくる。
スーザンへの献辞が書かれたその小説に困惑しながらも読み始めるのだが……。
小説の中で起きている出来事と現実の映像が巧妙に組み合わされ、
トム・フォードの非凡さを大いに感じます。
小説の中の刑事役で登場するマイケル・シャノンがまたしても快演。
この人、ほんとに面白い俳優だなぁ。
19歳のときに23歳上の女性監督と結婚して話題になりました。そんな彼も28歳に。
イケメンだけど、ニヤケ顔のものすごく悪い奴にしか見えない人になってます(笑)。

—–

今年観た映画50音順〈た行〉

《た》
『タナー・ホール 胸騒ぎの誘惑』(原題:Tanner Hall)
2009年のアメリカ作品を今ごろDVD化。
今夏開催の“カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018”にて上映。
ニューイングランド州にある全寮制の女学校タナーホール。
最終学年を迎えたフェルナンダは、親友たちと毎日を楽しく過ごしていたが、
幼なじみで今は疎遠となっていたヴィクトリアが転入してくる。
社交的で誰をも惹きつける力を持っているヴィクトリア。
しかし彼女の邪悪な面を知っているフェルナンダは警戒。
そんなフェルナンダは、母親の友人の夫ジオと偶然会ったのをきっかけに不倫関係に。
それを知ったヴィクトリアは、フェルナンダの邪魔をしようとする。
一方、フェルナンダの親友、ケイトはうぶな男性教師の気を引こうとしたり、
ルカスタは男性とのキスを拒む自分の性的志向を疑いはじめ……。
ヴィクトリアがめちゃくちゃ嫌な女なのです。見るのをやめたくなるぐらい(笑)。
幼い頃、祖母の可愛がっていたインコをヴィクトリアがわざと逃がしたのを目撃したフェルナンダは、
ヴィクトリアのことを見た目とはちがう意地悪な子だと思っていました。
そのとおり嫌な子なのですが、最後の最後が秀逸。
「インコを逃がしたら、そのすぐ後におばあちゃんが死んじゃった」と
ヴィクトリアがつぶやくのを聞いて、ずっと気にしていたことがわかるのです。
30過ぎても高校生役ができるルーニー・マーラ、すごいなと思ったけれど、
10年近く前の映画ですもんね、まだ20代前半か。納得。

《ち》
『ちょっとまて野球部!』
2017年の日本作品。
原作はゆくえ高那の同名コミック。監督は『孤独のグルメ』の宝来忠昭
強くも弱くもない県立神弦高校野球部の1年生、大堀、秋本、宮田。
3年生部員の最後の夏が終わり、これで広々と部室を使えると思いきや、
2年生部員から「1年生が使えるのはここだけな」と使用範囲を制限される。
とはいうものの、部活が楽しくて仕方ない3人だったが、揃いもそろっておバカ。
特に大堀にいたっては、追試まで赤点を取ってしまい、
もしも再追試で合格点を取れなければ、夏の合宿に参加できないことに。
大堀に試験勉強に集中させるため、秋本と宮田は大堀を無視するのだが……。
野球のシーンはほとんどなく、おバカぶりを見せられるだけの作品。
でもなかなかに楽しくて、後味も悪くない。バカやってられるのっていいなぁ。

《つ》
『月と雷』
2016年の日本作品。
角田光代の同名小説の映画化。
普通の家庭を知らずに育った泰子(初音映莉子)。母親は彼女が幼いころに出て行った。
当時、父親(村上淳)の浮気相手・直子(草刈民代)とその息子・智が転がり込んできたが、
直子と智は半年ほどで出て行ってしまったという思い出がある。
ところが、そんなふうに20年前に突然来ては去って行った智(高良健吾)がまた突然現れて泰子は動揺。
智の勧めで実母を捜すために公開番組に出演したところ、
実母は再婚していたうえに異父妹・亜里砂(藤井武美)の存在も判明。
そうこうしているうちに、智のみならず直子と亜里砂までが泰子のもとへ。
不可思議な同居生活が始まり……。
男を渡り歩く草刈民代の演技に脱帽。彼女だけでも見る価値あり。

《て》
『天使たちのビッチ・ナイト』(原題:The Little Hours)
2017年のカナダ/アメリカ作品。
家庭の事情により、修道院に預けられた3人の女性。
いずれも処女、性に関する興味は膨らむばかり。
しかし雑用係のオッサンが話しかけてくるのは許しがたく、神父にクビにしてもらう。
オッサンに代わってやってきた雑用係は若いイケメン。
実は彼は近所の領主の使用人だったが、領主の妻と寝たのがばれ、
領主に追われて命からがら逃げてきたところ、神父とバッタリ。
酔っぱらって困ったことになっていた神父を助けたため、
神父が詳しい事情は聞かずに彼を受け入れたのだ。
神父は「修道女たちは男から話しかけられるのを嫌うから」と、彼に聾唖のふりをしろと言う。
それに従って雑用の仕事に従事したものの、修道女たちから次々と迫られ……。
神父役にジョン・C・ライリーが出ていますから、B級というわけではありません。
こうしてあらすじだけだとエロそうですが、脱ぐシーンもほぼないただのコメディ。
だけど、最初はまったく笑えなくて、挫折しそうになりました。
途中から観るに耐える程度にはなり、最後は爽快感すらあるんだから不思議(笑)。

《と》
『トーナメント』(原題:Midnighters)
2016年のアメリカ作品。
7月に全国のミニシアター系劇場で公開され、9月にはDVDレンタル開始。
新年のカウントダウンパーティーに出席した30代とおぼしき夫婦。
共に酒を飲んでいたが車で帰途に就く。運転席に夫ジェフ、助手席に妻リンジー。
暗闇の中、飛び出してきた男を轢いてしまい、救急車を呼ぼうとするが携帯が圏外。
自分たちの車に載せて運んでいたところ、車中で男が息を引き取る。
死んだのをこれ幸いと事故の隠蔽を図るが、ナンバープレートを現場に落としたことに気づく。
自宅ガレージに死体を隠し終わった頃、警官がプレートを届けにやってくる。
鹿を轢いたという嘘を信じた警官が帰り、事なきを得たはずが、
死んだ男のポケットを探ると、なぜかこの家の住所を書いたメモが。
夫婦の家に居候中のリンジーの妹ハンナに問うと、身に覚えがあるようで……。
上記3人ともう1人、ハンナの恋人が生き残りをかけて殺し合います。
そういう意味ではトーナメント戦なのかもしれないけれど、
原題も邦題も、ポスターやDVDジャケットの画像も、
そのどれも内容とは合っておらず、売り方に苦心した様子が窺えます。
ちなみに生き残るのは当然のことながら主人公のリンジー。
しかしハッピーエンドとは程遠く、ものすごく嫌な終わり方。誰にも共感できず。
—–

今年観た映画50音順〈さ行〉

《さ》
『裁き』(原題:Court)
2014年のインド作品。
ムンバイで下水清掃人パワルの死体が発見され、初老の民謡歌手カンブレが逮捕される。
カンブレの歌がパワルを自殺に駆り立てたという理由で。
人権意識の高い若手弁護士が裁判に臨むが、奮闘するだけむなしい状況。
インドの下級裁判所の裁判ってこんな具合なのかと唖然。
女性検察官はカンブレを有罪にすることだけが目的で、見ていて嫌になるほど。
目撃者は雇われで、あちこちの裁判でも証言。
裁判で年齢を尋ねられてもわからないと答えるパワルの妻。だいたい30歳ぐらいって。
夫が死んだというのに家から直ちにいなくなったり、いろいろと衝撃的な状況が多すぎる。
保釈されてもまた何かと理由をつけて拘束される。テロリストとまで呼ばれて。
法廷が長く暗転した後に映し出される裁判官の日常も含めて消化しきれません。

《し》
『シンクロナイズドモンスター』(原題:Colossal)
2016年のカナダ作品。
失業中に酒に溺れ、恋人から部屋を追い出されたグロリア(アン・ハサウェイ)。
故郷の田舎町に帰り、実家で一人暮らしを始めたところ、幼なじみのオスカーと再会。
オスカーが営むバーで働かせてもらうことに。
そんななか、韓国のソウルに巨大な怪獣が出現。
驚いたことに画面に映し出されたその怪獣が、なぜかグロリアと同じ仕草をしている。
グロリアが手を挙げれば怪獣も挙手。面白くてそれをオスカーに打ち明ける。
ところが怪獣のライバルとして現れたロボットがオスカーとシンクロして……。
なんでしょうね、このイカレ具合は。奇抜すぎます。
スペイン出身のナチョ・ビガロンド監督、絶対変人。でも嫌いじゃない。
人にお薦めしたら、私も変人と思われること確定(笑)。誰か観て。

《す》
『スターシップ9』(原題:Orbita 9)
2016年のスペイン/コロンビア作品。
監督は本作で長編デビューしたスペイン映画界の俊英とのこと。
エレナは恒星間飛行を続ける宇宙船の中で生まれて二十数年。
酸素不足を懸念する両親は、せめてエレナだけでも生きられるようにと、
とっくの昔に船外へ出たから、エレナはたった一人で暮らしている。
システムにトラブル発生、救難信号を発したところ、エンジニアのアレックスが対応。
エレナは両親以外の人間に初めて接したわけで、一目で恋に落ちるのだが……。
宇宙船の中だというのは実は大嘘で、政府の一大プロジェクト。
生存期間をシミュレーションするためのモルモットとしてこの世に生を受けたエレナ。
彼女に恋をしたアレックスに連れ出され、初めて雷の音を耳にし、
雨に濡れて幸せを感じるシーンが素敵でした。
アテム・クライチェ・ルイス=ソリヤ監督、確かに今後を期待したくなる俊英かと。

《せ》
『セブン・シスターズ』(原題:What Happened to Monday?)
2016年のイギリス/アメリカ/フランス/ベルギー作品。
人口過密のため、ひとりっ子政策が施行されている2073年の欧州連邦。
2人目以降は強制的に児童分配局に連行され、
世界の人口が落ち着いて平和になるまで冷凍保存される。
そんな中、セットマン家に生まれた7つ子の姉妹。
母親は彼女たちを出産すると同時に死亡、祖父は分配局の目を欺いて七つ子を育てる。
七つ子に付けられた名前は「月曜」から「日曜」まで。
7人ともカレン・セットマンを名乗り、頭脳と体力を鍛え上げ、
それぞれ名前の曜日に1人だけが出かけるという暮らしで30歳まで生き延びる。
ところがある日、「月曜」が夜になっても帰宅せず……。
ノオミ・ラパスの1人7役。見た目はそっくりでも性格は異なる7人を演じ分けます。
分配局の偉いさんにグレン・クローズ、祖父にウィレム・デフォー。面白い!

《そ》
『ソウル・ステーション/パンデミック』(英題:Seoul Station)
2016年の韓国作品。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)のヨン・サンホ監督が、
その前日譚をアニメーション作品で描いています。
ある夏の夜のソウル駅近く、死んだと思われたホームレスの老人が生き返る。
老人に噛まれた人々はゾンビとなり、その数はどんどん増えてゆく。
そんななかで逃げ惑う元風俗嬢ヘスンと、彼女を探すヒモの恋人キウン。
キウンはヘスンの父親だという男と出会い、一緒にヘスンを追う。
ようやく3人が会えたと思ったら、ヘスンの父親を名乗っていた男は風俗店店長。
金を返せと迫る男は、ある意味ゾンビより怖い。
そして最後は皆ゾンビにやられておしまいという救いのなさ。
社会派のアニメって、まだそれほど多くはないと思うのですが、本当に面白い。
—–