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『ヒンディー・ミディアム』

『ヒンディー・ミディアム』(原題:Hindi Midium)
監督:サケート・チョーダリー
出演:イルファン・カーン,サバー・カマル,ディシタ・セーガル,ディーパク・ドブリヤル他
 
ダンナが帰国しましたので、飲み会と映画三昧の日は終了。
しかし帰国日だった土曜日、いつもの外食前にシネ・リーブル梅田で2本ハシゴ。
 
インドの都会人って家族同士でも英語で会話するの!?と驚きました。
そんな疑問を持つこと自体、世間知らずなのですね。すんません。
ちなみに『あなたの名前を〜』でヒロインを演じたティロタマ・ショームが、
本作ではお受験塾のコンサルタント役で出演しています。
 
タイトルの“Hindi Midium”とは、ヒンディー語で授業をおこなう公立学校のこと。
これに対し、英語で授業をおこなう私立学校は“English Midium”と呼ばれるそうです。
 
デリーの下町に生まれ育ったラージは、幼なじみで美しく成長したミータと結婚。
わりと大きな衣料品店を経営し、経済的にはお手伝いさんを雇うぐらいに裕福。
可愛い娘ピアにも恵まれて、ラージは今の暮らしに何の不満もない。
 
しかし妻のミータの目下の悩み事は、ピアのお受験
名門校に入れなければ、ピアのこれからの人生が台無しになる。
なんとしてでも名門小学校に入れなければ。
 
狙いは4つの小学校。できればいちばんいい小学校に入学させたい。
その小学校に入るためには引っ越しまでせねばならぬと判明し、
ラージは反対するが、ミータは食事のボイコットを始める。
仕方なく高級住宅街に引っ越してお受験に臨むことに。
 
ところが、いちばんいい小学校はおろか、それ以外のところも不合格。
どうやらピアに問題はなく、両親の面接で落とされている様子。
凹むラージとミータは、低所得者層のための優先枠があると知り、
今度は貧乏人を装うためにスラム街に引っ越すのだが……

このところ観ているインド作品はすべて大当たりです。
これも大入りの満席で、鑑賞前から期待が高まりました。
 
が、序盤、中盤とイライラ。
笑えなくもないのですが、あまりに勝手なミータに「なんぼ美人や言うても」とげんなり。
惚れた弱みか、何も言い返せないラージにもガックリ。
さらには人のことを疑わないスラム街のお人好しにもイライラ。(^^;
 
圧巻は終盤。ほぼラストのシーン。これは泣きます。
そこに至るまでのイライラは、ラストの演説で吹っ飛びました。
やっぱり外さないボリウッド
 
都会では英語だけと聞くと、私ら関西人に標準語しゃべれっちゅうことかと
喧嘩売られてるみたいな気分になるけど、それは被害妄想でしょうか。(^o^;

—–

『ブレードランナー ファイナル・カット』〈IMAX版〉

『ブレードランナー ファイナル・カット』(原題:Blade Runner: The Final Cut)
監督:リドリー・スコット
出演:ハリソン・フォード,ルトガー・ハウアー,ショーン・ヤング,エドワード・ジェームズ・オルモス,
   ダリル・ハンナ,ブライオン・ジェームズ,M・エメット・ウォルシュ,ウィリアム・サンダーソン他
 
カルト的人気を博したリドリー・スコット監督の『ブレードランナー』(1982)。
これまでにもインターナショナル版やディレクターズカット版が公開されたり、
覆面試写会版なるものの存在まで明らかにされてきました。
このファイナルカット版は、製作25周年に当たる2007年に公開されたもの。
1992年のディレクターズカット/最終版を基本に監督自ら再編集したバージョンだそうで。
最終版と言いつつ、最終版にならなかったわけでしょ(笑)。もう意味わからん。(^^;
 
そんな意味わからん何版でもあり状態になっていますが、
今年は作品の舞台となっている2019年ということで、
その記念にIMAX版が2週間限定公開中。
 
あらすじ要らんやろと思うけど、一度も観たことがない人もいる前提で。
 
タイレル社が開発したレプリカントと呼ばれる人造人間は、
環境破壊のせいで大半の人類が移住した先の惑星で過酷な労働に従事していた。
高い身体能力と知性を持つレプリカントは、最初こそ従順だが、
製造から年月が経つと人間同様に感情を持つようになり、
人間に対して反旗をひるがえす事件が頻発しはじめる。
そのため、最新型のレプリカントに寿命を4年とする安全装置を付与。
ところがそれを知って脱走するレプリカントが後を絶たなくなる。
地球に逃げ込んだレプリカントを抹殺することを任務とするのがブレードランナー。
 
そして、2019年の地球、ロサンゼルス
元ブレードランナーのリック(ハリソン・フォード)はかつての上司から呼び出され、
逃亡したレプリカント4名を見つけて処分するよう命じられる。
で、レプリカントのうちのひとり、レーチェル(ショーン・ヤング)と恋に落ちるっちゅう展開ですね。
 
IMAXシアターで観るとド迫力。
ルトガー・ハウアー演じるロイとダリル・ハンナ演じるプリスが怖すぎて。
特にロイ、めちゃめちゃ怖い。それだけに最期は悲哀を感じます。
 
ルトガー・ハウアーはまだ健在だと思っていたら、今年7月に75歳で亡くなったとのこと。
こんな役をしちゃったら、そのイメージが強すぎて後がなかなか大変だったのでは。
でも途切れることなく、さまざまな作品に出演されていましたよね。ご冥福を祈ります。
 
ダリル・ハンナはいろいろ好きなように人生を歩んでいる様子。
ショーン・ヤングだけは困ったもので、ストーカー騒動を起こしたうえにアル中
美貌が逆に邪魔になったか、女優としてその後はいい役に恵まれていません。
 
1982年から見た2019年って、本当にこんなふうになると思われていたのか。
んなわけないと思うけど、んなことになっていなくてよかった。
こんな地球には絶対住めん。
 
あ、リックがレーチェルを壁ぎわに追いやる姿を見て、
元祖壁ドンここにありと思いました。
ブラインドがジャラジャラとがうるさいうえに痛そう(笑)。
 
続きがどんなふうになるんだろうかと多少でも気になるならば、

—–

『トールキン 旅のはじまり』

『トールキン 旅のはじまり』(原題:Tolkien)
監督:ドメ・カルコスキ
出演:ニコラス・ホルト,リリー・コリンズ,デレク・ジャコビ,トム・グリン=カーニー,
   コルム・ミーニイ,アンソニー・ボイル,パトリック・ギブソン,ハリー・ギルビー他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『ガーンジー島の読書会の秘密』とハシゴ。
 
睡魔に襲われそうな予感はあったのですが、
監督が『トム・オブ・フィンランド』のドメ・カルコスキ。スルーできません。
J・R・R・トールキンの若き日の物語を映画化した伝記ドラマ。
予感どおりちょっぴり寝ましたが、トールキンのことを知れてよかった。
 
1892年、かつて南部アフリカに存在したオレンジ自由国に生まれたトールキン。
物心つく前に父親を亡くし、母親と弟とともに英国で暮らしていたが、
その母親もトールキンが12歳のときに他界して、彼は孤児となる。
 
後見人となったのは、母親の友人モーガン神父。
母親が早くからラテン語の基本を教え込んだおかげか、
トールキンは特に言語に優れた能力を発揮。
高校は名門キング・エドワード校に通うことに。
 
両家のぼんぼんが多いなか、トールキンが貧しい暮らしをしているのは一目瞭然。
最初はからかっていた生徒たちだが、彼が非常に賢いことに気づく。
校長の息子ロバート・ギルソンと大喧嘩をしたのをきっかけに、
ロバートと親しいジェフリー・スミスとクリストファー・ワイズマンから声をかけられ、
やがてロバートを含む4人は大親友となる。
 
戦場で誰かを探しているトールキンの姿と、
友情を育み続けた仲間との思い出を描きながら物語は進みます。
『トム・オブ・フィンランド』同様に実在の人物を取り上げても、
こんなふうにまるで違う作風になるんだなぁ。
 
幼なじみと恋に落ちて学業がおろそかになった彼が奨学金を失いかけたとき、
言語能力を駆使して教授に直談判するところなど、興味を惹かれました。
語学の得意な人って、頭も耳もいいんでしょうね。
聞き間違いの多い私は、この耳では語学堪能になれんと改めて思う。
 
淡々としているから、眠くなっても仕方ないとは思うのですが、
時折トールキンの空想というのか妄想が形となって描かれ、
それはやっぱり大画面で観るほうが面白い。
 
トールキンに興味のある人にしか薦めませんけれども。

—–

『ガーンジー島の読書会の秘密』

『ガーンジー島の読書会の秘密』(原題:The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society)
監督:マイク・ニューウェル
出演:リリー・ジェームズ,ミキール・ハースマン,グレン・パウエル,ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ,
   キャサリン・パーキンソン,マシュー・グード,トム・コートネイ,ペネロープ・ウィルトン他
 
TOHOシネマズ西宮にて。
 
特に観たかったわけではありません。
ただ、本屋だとか読書会だとかいう言葉がタイトルに含まれていると素通りはできません。
とはいうものの、なんとなく読書会は苦手(参加したことはないけれど)、
ひとりで読書するほうがいいです。
てなことを思いながら、ほとんど期待せずに観に行ったらかなりよかった。
 
原作はメアリー・アン・シェイファー&アニー・バロウズの同名ベストセラー。
監督はマイク・ニューウェル。『フォー・ウェディング』(1994)からもう25年かぁ。
 
第二次世界大戦中の1941年、英国で唯一ドイツに占領されていたガーンジー島。
夜間の外出禁止が言い渡されるなか、
ちょっとした宴会を開いてご機嫌になりながら帰途に就いた老若男女何人か。
運悪くドイツ軍兵士に見つかり、外出の理由を問い質される。
素直に答えれば殺されかねず、機転を利かした内の一人が読書会だと答える。
咄嗟に口に出した読書会の名前は“The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society”。
以来、本当に読書会を開かざるをえなくなる。
 
大戦が終わって1年が経過した頃、1946年のロンドン
女流作家のジュリエットは、ガーンジー島の面識のない男性ドーシーから1通の手紙を受け取る。
ドーシーがたまたま入手した本にジュリエットの住所と名前が書いてあったと言う。
どうやらかつてジュリエットが処分した古本がドーシーに行き着いたらしい。
ドーシーの手紙によれば、ガーンジー島には本屋がない。
シェイクスピアを読みたいが、誰にも頼む術がなく、
古本に名前が書かれていたジュリエットに思いきって依頼することにしたと。
ジュリエットは直ちにシェイクスピアを贈り、こうしてふたりの文通が始まる。
 
手紙の中で読書会の存在を知ったジュリエットは、取材したいと考える。
そこで、あらかじめ連絡もせずにガーンジー島へ。
作家の到着に最初は喜ぶ読書会のメンバーだったが、
ジュリエットが「あなたたちのことを書いて記事にしたい」と言った途端、
最年長の女性アメリアが態度を一転させてしまい……。

古本が男女を結ぶきっかけだということで思い出すのは『セレンディピティ』(2001)。
しかし本作とは時代背景が違うから、重みも変わってきます。
 
読書会の名前の由来は、毎日の食料にも事欠く苦しい生活の中で、
親しい仲間とささやかな宴会をするためにメンバーのひとりが持参したパイ。
ポテトピールパイですからね、ポテトパイじゃなくて。じゃがいもの皮。
不味いなぁと大笑いしながらみんなで食べる、その楽しさ。
 妙な理由で生まれた読書会であっても、みんなが本を読むように。
その光景がすごく楽しくて惹かれました。
 
ラブストーリーとしては展開が読めるけど、王道のハッピーエンドが嬉しい。
とはいうものの、軽い作品ではなく、戦争がもたらした悲劇に心が痛みます。
親を亡くした子どもを全身全霊で守ろうとする赤の他人たち。
閉鎖的な島ではあることないこと言う人もいて、こういうときの人間性が問われる。
 
本を読むために集まることで癒される人の心。
ひとりで読むほうがいいと思ってきたけれど、読書会もいいかも。

—–

『ブラインドスポッティング』

『ブラインドスポッティング』(原題:Blindspotting)
監督:カルロス・ロペス・エストラーダ
出演:ダヴィード・ディグス,ラファエル・カザル,ジャニナ・ガヴァンカー,
   ジャスミン・セファス・ジョーンズ,イーサン・エンブリー他
 
大阪ステーションシティシネマにてレイトショー。
21:20からの回で客は20人程度、ほとんどが独りで来ている客。
そして、私を除いて全員男性(笑)。
ま、デート向きじゃないですからね。でもめっぽう面白かった。
 
黒人のコリンと白人のマイルズはこの町で一緒に育った大親友。
 
コリンはある事件を起こして逮捕されて服役。
出所から1年間は指導監督期間、つまり保護観察期間。
365日のあいだ門限を守り、住まいのトイレ掃除を怠らず、
そのほか何も問題を起こさなければ晴れて自由の身となる。
 
期間終了まであと3日となった日。
とにかく平穏無事に3日間が過ぎ去るよう努めているのに、
マイルズはコリンの目の前で友人からを買う。
頼むから俺に銃を見せないでくれ。
そう懇願すると逆に面白がって銃を振りかざすマイルズ。
 
やっとのことでマイルズと別れ、帰途に就いたコリンだったが、
勤務先である引っ越し業者のトラックを運転して赤信号で停車中、
どこからか走ってきた黒人が白人警官に射殺される場面を目撃してしまう。
背後から弾を4発も撃ち込まれて。
 
その警官と目が合ったものの、
ちょうど現場に到着した複数のパトカーから直ちに立ち退くように命じられ、
心臓をバクバクさせたまま自宅に帰り着く。
コリンはこの夜と残り2日間を無事に過ごせるのか。
 
オークランドという町がアメリカのあちこちにあるって知らなかったんです。
で、ほかの州のオークランドがどうだかわかりませんが、
本作の舞台となっているオークランドはおそらくもともとは治安がよくない?
それがなかなかにお上品な人たちが転入してきて、町の雰囲気も変わりつつある。
たぶん、そんな感じ。
 
黒人と白人が大親友と聞いて、微笑ましく思っている私がいます。
微笑ましく思う必要がどこにあるのでしょう。
そんなことを思うこと自体、無意識のうちの差別があるのだと気づく。
 
マイルズは喧嘩っ早くて怒ると手がつけられない。
相当にアブナイ奴なのですが、差別意識はまったくないように見える。
コリンのことは大好きで信頼している。そう見えます。
 
実際そうだったはずなのに、3日の間に浮き彫りになる問題。
軽快で楽しげな会話やシーンの中に現れる、この町が、人が抱える問題。
軽い気持ちでは観ていられない、ヘヴィー級の作品です。
 
主演のふたりは本当に長年の友人とのこと。
差別なんてなくなればいい。

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