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『人間失格 太宰治と3人の女たち』

『人間失格 太宰治と3人の女たち』
監督:蜷川実花
出演:小栗旬,宮沢りえ,沢尻エリカ,二階堂ふみ,成田凌,
   千葉雄大,瀬戸康史,高良健吾,藤原竜也他
 
TOHOシネマズ西宮で4本ハシゴの2本目。
 
読書好きを自負しておりますが、太宰治って読んだことがない。
お恥ずかしいことですみません。
こんな破天荒な人だったということも知りませんでした。
昔の作品をもっと読まなあかんと思うものの、なかなか。
 
何人もの女性と浮名を流し、自殺を図っては未遂に終わる作家・太宰治(小栗旬)、
自堕落な私生活は皆の知るところであり、振り回される担当編集者・佐倉潤一(成田凌)。
 
太宰には妻・美知子(宮沢りえ)と子どもふたりがすでにいて、
美知子のお腹のなかにはさらにもうひとり。
にもかかわらず太宰は歌人・太田静子(沢尻エリカ)と逢瀬を重ね、
静子が太宰との日々を綴った日記を手に入れるとそれをもとに小説を執筆する。
『斜陽』という題名で出版されたその本はたちまちベストセラーに。
 
静子から妊娠したという電報を受け取ると、太宰は連絡を絶つ。
太宰を囲むパーティーに静子は弟・薫(千葉雄大)を伴って顔を出すが、
太宰に徹底して無視される。憤る薫。
その様子を見ていた未亡人・山崎富栄(二階堂ふみ)は静子に声をかける。
 
富栄は、太宰と静子の関係にまるで気づかないまま太宰の虜に。
太宰は今度は富栄の自宅に入り浸るようになり……。

蜷川実花監督の作品は今まで観たどれも、良かったという感想は持てません。
最後まで眠くならないからつまらないわけではないのでしょうが、
魅力的な登場人物もいなくて、惹かれる部分がまるでない。
 
小栗くん演じる太宰治にもまったく魅力を感じられず、
同じ作家を演じた作品なら、『響―HIBIKI―』(2018)の彼のほうがずっと人間味があってよかった。
蜷川監督の『ヘルタースケルター』(2012)で脱いで話題になった沢尻エリカが今回は胸隠す。
代わりに(?)脱いで見せた二階堂ふみも、これで脱ぐのはなんだかもったいない気が。
 
血を吐いても酒を飲んで女を抱き続けた太宰がちっともいい男に見えない。
彼に尽くす女たちにも全然共感できなくて、退屈でした。
ただ、終盤の宮沢りえ演じる妻だけはちょっとカッコよかったけど。
 
蜷川監督は私はもういいよと思うんですが、一応は観ちゃうんだろうなぁ。

—–

『記憶にございません!』

『記憶にございません!』
監督:三谷幸喜
出演:中井貴一,ディーン・フジオカ,石田ゆり子,草刈正雄,佐藤浩市,小池栄子,
   斉藤由貴,木村佳乃,吉田羊,山口崇,田中圭,梶原善,寺島進,有働由美子他
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴ。
間にもう1本入れて5本ハシゴできなくもなかったのですが、
令和初の“仮面ライダー”はパスして、食事しながら読書する時間に当てました。

久しぶりです、三谷幸喜監督。
前回の監督作『ギャラクシー街道』(2015)はヒドかった。
それと比較すると段違いの面白さ。
大好きだった『12人の優しい日本人』(1991)のこぢんまりとした楽しさは
もはやありませんけれど、芸達者な有名俳優が並ぶと豪華です。

史上最悪の支持率を叩き出した嫌われ者の内閣総理大臣・黒田啓介(中井貴一)は、
ある日の演説中に聴衆から飛んできた石が頭に当たって昏倒。
病院で目覚めたときには幼いときの記憶を除いてすべての記憶を失っていた。
 
首相秘書官・井坂(ディーン・フジオカ)は事務秘書官・番場(小池栄子)と
秘書官補・野々宮(迫田孝也)に総理記憶喪失の事実を伏せるように指示。
黒田の妻・聡子(石田ゆり子)にすら言わないでおくことを決める。
 
井坂は戸惑う黒田を記者会見やら囲み取材やらに引っ張り出し、
余計なことをしゃべらずに切り抜けろと言う。
ところがこれまでの傍若無人ぶりが嘘のように善人然とした黒田は、
井坂や番場の予測不能な振る舞いに出て、周囲を驚かせるのだが……。

悪徳官房長官に草刈正雄。野党党首に吉田羊官邸の料理人斉藤由貴
米国大統領木村佳乃。総理をゆするフリー記者に佐藤浩市
その辺のおまわりさんに田中圭。石を投げた輩に寺島進
一瞬誰だかわからなかったのは、どぎついメイクのニュースキャスター役、有働由美子。
いつもの有働さんと違いすぎてたまげました。
総理の義兄役がROLLY(=ローリー寺西)だというのも意外で笑った。
甥っ子の部屋でギターを弾くシーンもちゃんとあります。
演じている役者たちもさぞかし楽しかっただろうと思うのです。
 
誠実なだけじゃ世の中は変えられない。
それでも、世の中をよくしようと本気で考える政治家がいたら、変わって行くはず。
 

—–

『アス』

『アス』(原題:Us)
監督:ジョーダン・ピール
出演:ルピタ・ニョンゴ,ウィンストン・デューク,エリザベス・モス,ティム・ハイデッカー,
   シャハディ・ライト・ジョセフ,エヴァン・アレックス他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
監督デビュー作の『ゲット・アウト』(2017)がめちゃめちゃ面白くて、
かつめちゃめちゃ怖かったジョーダン・ピール。
『カメラを止めるな!』(2018)じゃないけれど、話題作を撮ると次作が大変。
ピール監督は次はどんな手で来るのかと思ったら、笑うほど怖くて面白かった。
いんや〜、もう凄すぎる。
 
夏休みにカリフォルニア州サンタクルーズを訪れたウィルソン一家。
夫ゲイブ、妻アデレード、娘ゾーラ、息子ジェイソンの4人家族。
宿泊するのはアデレードが幼少期に暮らしていた家で、今は別荘として使用している。
 
明日の過ごし方をゲイブに問うたアデレードはその返事に怯える。
ゲイブは海に行こうとはしゃいでいるが、
実はアデレードには家族に話していない恐怖の思い出がその海にある。
 
幼かったアデレードは、両親と共に海沿いの遊園地へ。
両親が目を離している隙に迷い込んだミラーハウスで、
鏡に映る自分、しかし対照ではないから自分そっくりの別人を見たのだ。
 
そのことを思い出して不安に襲われていたところ、
家の前に自分たちそっくりの4人が現れて……。

怖かったけど平気だと思っていました。
こうして書いていると恐怖が蘇ってきてしまった(泣)。
 
ドッペルゲンガー、怖いよ。
そのうち町中がドッペルゲンガーだらけになるんですが、
言葉を喋れるのはアデレードのドッペルゲンガーのみ。
ほかのドッペルゲンガーは奇声を発するのみ。
走り方とかは『スプリット』(2017)のアイツみたいな感じで、
あんなのに追いかけられたら、そらもう駄目でしょ。
 
そこを一家4人で戦い抜く。
娘も息子も途中で自分だけ逃げ出したりしない。
何人殺したと自慢しているシーンなんかは笑っちゃいます。
ドッペルゲンガーだから、どのキャストも一人二役なわけですが、
子役も含めて全役者、驚愕するほど上手い。
 
暗いだけのサスペンススリラーではなくて、そんなふうに笑えるシーンもいくつか。
警察を呼ぼうとしているのに音楽がかかってしまうところなども、
現代の便利グッズを皮肉っていて可笑しい。
 
ハッピーエンドが待っていると思いますか。
嫌すぎてまた笑ってしまうバッドエンド。おみそれしました。
 
私たちは貧困をどう捉えているのか。
何度も登場するエレミヤ書11章11節は、旧約聖書の預言書の1節で、
「民が神の声を聴かないから、神はもう民を助けない」という意味なのだそうです。
怖い、ほんとに怖い。

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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形』
監督:藤田春香
声の出演:石川由依,寿美菜子,悠木碧,子安武人,内山昂輝,遠藤綾他
 
後述の作品をTOHOシネマ梅田で観るつもりでいたのに、
当日の朝にオンライン予約しようとしたら、シアター6の最前列しか空いていない。
それは嫌だと他の上映劇場を探したら、109シネマズ大阪エキスポシティで上映中。
11:45からの上映前にもう1本、時間的に合う作品が本作でした。
 
京都アニメーションの制作で、3週間限定上映とのこと。
悲しい放火事件のせいで公開があやぶまれていたところ、
多くの激励の声が寄せられ、なんとか公開の運びに。
藤田春香監督の希望により、事件の犠牲者を含むスタッフ全員の名前が
エンドロールに挙げられているそうです。
 
実は京都アニメーション制作のアニメを私はあまり観たことがなくて、
本作もほとんど応援の気持ちのみで観に行きました。
話についていけないのもなぁと思い、軽く予習だけはして。
 
原作は暁佳奈のライトノベル。本作はTVアニメの外伝作品。
予習の甲斐あって、誰がどういう人かというのはほぼわかったつもりですが、
「ドール」が何なのかはよくわかりません。
主人公の両手が義手で、人造人間なのかと思っていたら、そうじゃない?
仕事に従事する少女というのか女性たちのことがドールと呼ばれているっぽい。
「自動手記人形」が生身の人間なのになぜ「人形」なのかがわからないのです。
ここは復習が必要。勉強します。
 
で、応援の気持ちのみだったのに、そんなの関係ないぐらいよかった。
 
孤児のヴァイオレットは少女兵として育てられ、戦闘で両腕を失った。
今はC.H郵便社の自動手記人形として働く身。

今回の仕事は、大貴族ヨーク家の娘イザベラに淑女のふるまいを教育すること。
本来は手紙を書くのが仕事のヴァイオレットだが、社長が顧客の依頼を断れずに引き受ける。
全寮制の名門女学校に通うイザベラの侍女として仕える。
 
最初は決して心を開こうしなかったイザベラが、
ヴァイオレットの優しさに触れて少しずつ変わってゆきます。
 
ヴァイオレットの人物像が面白い。
彼女のふるまいは他の両家のお嬢様方がキャーキャー言うほど完璧。
しかし感情を持たず、誰に対しても敬語で話します。
 
C.H郵便社の面々も善人ばかりで救われる。
社長は見るからにお人好しだし、郵便配達人のベネディクトに私は惚れました。
 
手紙を書く人が減りました。
でも、郵便配達人は「人に幸せを届ける」。
私はやっぱり手紙を書くのが好き。
 
あ、ちょっとだけ気になったことも言わせてくださいね。
「ら抜き」には目を瞑るとして、それ以外でひとつだけ。
「ありがとう」と言われたら、「はい」じゃなくて「いいえ」じゃないでしょか。
親しい間柄なら「はい」もありだと思いますが、
正しくは「いいえ(どういたしまして)」じゃなかろうかと。
完璧なはずのヴァイオレットのその返答だけが気になった。
細かいっちゅうねん、私。(^^;

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『フリーソロ』

『フリーソロ』(原題:Free Solo)
監督:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ,ジミー・チン
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『ヒンディー・ミディアム』とハシゴ。
 
私はどうやら海より山が好きなようなのです。
映画もそうで、海でどうとかいうよりも山でどうとかいうほうが好き。
海ならば、サメが出てきて襲われそうになるとかなら良い(笑)。
でも、山のシチュエーションスリラーのほうがもっと好きです。
 
ドキュメンタリーも断然、山の話がいい。
『MERU/メルー』(2015)で自ら撮影を担当した男前クライマー、
ジミー・チンが今回は監督に徹しています。
 
クライミングをする人ならばご存じなのでしょうが、
“フリーソロ”という言葉自体、私は初耳。
断崖絶壁を一切の安全装置を使用することなく、素手で登る。
命綱も何も装着せずに何百メートルも登るなんて、信じられん。
 
そのフリーソロで数々の壁を攻略してきたアレックス・オノルド。
彼の夢は、カリフォルニア州のヨセミテ国立公園にそびえるクライマーの聖地、
エル・キャピタンをフリーソロで制覇すること。
 
エル・キャピタンは975メートル。
荷物は滑り止め用のチョークの粉を入れている小さなウエストポーチのみ。
いったいどうなっているんだ、この人と唖然とします。
 
面白かったのはMRIで脳を調べてもらったときのこと。
アレックスの脳はちゃんと機能しているんですが、
よほどの強い刺激がなければ活動しない部分があるそうな。
だから、こんな危険なことにも平常心で臨めるのですね。
 
とはいうものの、カメラが回っていると緊張する。
それゆえすべての準備が整っているのに、途中でやめてしまうことも。
撮影クルーには悪いと思いつつ、気分が乗らない。
ほんの少しでも誤れば命を落とすわけですから、それも致し方のないこと。
 
撮影クルーはジミーを含め全員がクライマーだから、彼の気持ちがわかる。
アレックスが難所に差しかかったときはカメラを回しつつも直視できず、
成功したときにはアレックスよりも先にクルーが先に涙。
 
高所恐怖症の人は絶対観られない作品です。
そうでない人はぜひ。

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