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『星屑の町』

『星屑の町』
監督:杉山泰一
出演:大平サブロー,ラサール石井,小宮孝泰,渡辺哲,でんでん,有薗芳記,
   のん,菅原大吉,戸田恵子,小日向星一,相築あきこ,柄本明他
 
十三で前述の『プリズン・サークル』を観てから梅田へ移動。
お昼ごはんを食べたのち、テアトル梅田で2本。その1本目。
 
ムード歌謡のコーラスグループ“山田修とハローナイツ”。
集客をボーカルの天野真吾(大平サブロー)に頼り、
コーラスをリーダーの山田修(小宮孝泰)、市村敏樹(ラサール石井)、
込山晃(渡辺哲)、西一夫(でんでん)、青木五郎(有薗芳記)が務める。
 
ほぼ鳴かず飛ばずのグループで、
唯一のオリジナルヒット曲が有線で6位になったと言っても、
全国6位ではなくて、大阪市生野区限定の6位。
それを笑いのネタに地方巡業等で細々と活動を続けている。 
 
ある日、彼らは山田の生まれ故郷である東北の田舎町へ。
地元出身歌手の歌謡ショーとあって、
青年団の若衆で山田の甥に当たる啓太(小日向星一)は大張り切り。
歌手を夢見る地元の娘・久間部愛(のん)もわくわく。
 
実は愛にはほかにもわくわくする理由があった。
それは母親・浩美(相築あきこ)から死んだと聞かされている愛の父親が
本当はハローナイツのボーカル・天野ではないかと考えていたから。
 
浩美が営むスナックへショー前夜に飲みに来た市村を捕まえ、
愛は自分をグループのメンバーに加えてほしいと頼む。
酔っぱらった市村はついつい調子のいい返事をしてしまい……。
 
もともとが人気の舞台“星屑の町”シリーズ。
そのまんま、内山田洋とクールファイブ(笑)。
思いっきり昭和なんです。客層はざっとアラ古稀といったところ。
共感能力の高い年齢層だから、ウケるウケる。
ベタすぎるわと思っていた私ですが、ついついつられて笑ってしまい。
 
私よりだいぶ上の世代になるかと思うので、
出てくる曲ぜんぶ知っているわけではありません。
そんななか、嬉しくなったのは“ピンキーとキラーズ”の『恋の季節』。
幼稚園の頃、私はこの曲が大好きだったそうで(母曰く)、
就寝後のテレビ番組でこの曲が流れると、母が起こしにきてくれた思い出が。
眠い目をこすりながら起きて、にこにこしながら見たことを覚えています。
 
ハローナイツの前座を務めるベテラン歌手・キティ岩城役に戸田恵子。さすがです。
愛の父親が誰か最後にわかるのかと思ったら、
そんなこと考えずに前向いて進めというキティのひと言でどうでもよくなってしまう(笑)。
 
お決まりのドタバタに大団円。安心して観られる作品です。
上映終了後、出口で男性客が劇場スタッフに
「面白かったわ、ありがとう」と声をかけていた様子にも和みました。
楽しかった!

—–

『プリズン・サークル』

『プリズン・サークル』
監督:坂上香
 
次年度に繰り越せない有休もあと1日と2時間。
そのあと1日の休みを取った日、ハシゴ5本を敢行。
その1本目はこれ、第七藝術劇場にて。
 
アメリカの受刑者の取材を重ねてきた坂上香監督が、
日本の刑務所内の様子を長期にわたって撮影したドキュメンタリー作品。
これは日本初のことだそうです。
同様のことを考えた映画監督はいらっしゃったかもしれませんが、
これが初だということは、さまざまな手続きや障壁がきっとたくさんあって、
撮影に至るまでにクリアしなければいけないことが多いのでしょうね。
 
訪れたのは、2008(平成20)年に開所された刑務所“島根あさひ社会復帰促進センター”。
国家公務員である刑務官は約200名、
清掃や食堂等の業務に携わるのは民間会社の社員約300名。
官民協働という新しい形を取る刑務所です。
 
監督は受刑者の体に触れることも声をかけることも許されません。
直接話せるのはごく限られた時間の1対1のインタビュー時のみ。
淡々と刑務所内の様子や受刑者の日々の行動をフィルムに収めています。
 
こちらの刑務所では、1960年代以降に欧米で広まっているTCが導入されています。
TCとは“Therapeutic Community(=回復共同体)”の略で、更生プログラムのひとつ。
日本でこのプログラムが導入されているのはここだけ。
 
凄惨な事件を起こした犯人がさして反省もしていない様子をニュース等で聞くと、
更生なんて絶対に無理、生まれついての悪人は死ねばいいと私は思っていました。
でも、本作を観ると、更生はあり得るかもしれないと考え方が変わる。
 
本作で主にカメラを向けられているのは、
詐欺や強盗致傷、窃盗などの罪で服役中の4人の若者。
刑期は数年から10年未満です。
だから、罪としては一般的にそこまで重いものでもない。
ゆえに更生があり得ると思えるのかもしれないのですけれども。
 
呼ばれるときは常に「おまえ」だとか番号だったりした彼らが、
この刑務所ではきちんと名前で呼ばれる。
自分に名前があるということを生まれて初めて知ったかも。
 
罪を犯したから償えと言われても、
今までいた刑務所では罵られたりいじめられたり。
どうやって生き抜くか怯えているから、
自分がしでかしてしまった悪事の重大さについて考える時などない。
 
TCに参加して初めて、自分の話に耳を傾けてくれる人がいる。
自分に話しかけてくれる人がいる。
そのプログラムはとても興味深く、
事件の加害者と被害者のロールプレイングなどもあります。
 
揃いもそろって不幸な生い立ち。
でも、不幸だったせいで事件を起こしたとは言いたくないとも。
自分の頭で考え、話し、やっとわが身と向き合えた彼ら。
 
刑期を終えて社会に出ても、自立できるのかどうかはまだまだ問題が残ります。
再犯率はほかの刑務所の50%以下とのことですが、
彼らが真っ当な生活を送ることを願います。
 
彼らのうちのひとりが書いた「嘘しかつけない少年」の話が強烈で、
ずっと心に残りそうです。

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『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』

『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』(原題:Tumma Kristus)
監督:クラウス・ハロ
出演:ヘイッキ・ノウシアイネン,ピルヨ・ロンカ,アモス・ブロテルス,ステファン・サウク他
 
TOHOシネマズ西宮で3本観たあと、中之島のパン屋さんまで車を走らせました。
予約していたパンを受け取ったのが17時。
この日の晩ごはんは天満橋20時だったので、上手く行けば映画をもう1本観られそう。
急いでもう一度車に乗り込み、今度はシネ・リーブル梅田へ。
 
時間的に合いそうなのはこれぐらいだと事前にメモしていただけで、
観はじめるまではどこの国の作品かもわかっていませんでした。
ただ、画商名画がらみの話っていつもなんとなく惹かれるふしが私にはある。
絵心も鑑賞眼もないくせして。(^^;
 
フィンランド作品です。
監督は『こころに剣士を』(2015)のクラウス・ハロ。
 
美術商のオラヴィは長年営んできた店を畳もうかと考えている。
経営は上手く行っておらず、オークションで落札した美術品の代金を払えないこともあれば、
払えたとしても顧客に足下を見られて落札価格で引き渡すことになったりして、
これでは儲けなどいっさい出ない。
 
そんなある日、疎遠になっていた一人娘レアから連絡が入り、
彼女の息子、つまりオラヴィの孫オットーの職場体験を引き受けてほしいと言う。
オットーは学校で問題を起こし、素行不良のレッテルを貼られているため、
彼のことを受け入れてくれるところはどこにもない。
職場体験の評価シートがなければ進級できないらしく、オラヴィを頼ってきたのだ。
 
返事を待てずに押しかけてきたオットーのことを追い返したものの、
オラヴィは数日後にオークションにかかる予定の肖像画のことが気になっており、
図書館に行って調べたいのに店を空けられない。
致し方なくオットーに店番をさせたところ、意外にも彼は商才を発揮。
オラヴィの留守中に来た客に予定価格より高く絵を売ったではないか。
 
オットーを見る目が少し変わったオラヴィは、件の肖像画について一緒に調べ始める。
それはタイトルも作者も不明の絵だったが、
オラヴィは名画まちがいなしと見抜き、その証拠を得ようとして……。
 
偏屈な爺さんなんです、オラヴィって。
娘とどんな確執があったのか細かに描かれているわけではないけれど、
仕事一筋で家庭を顧みなかったことはあきらか。
娘が離婚したときも手を貸そうとはしなかった。
なのに連絡を取れるようになった娘に金の無心って、ん〜、ちょっと。
 
孫のオットーは留守番中も脚をテーブルの上に投げ出してゲームしているような奴。
でも好奇心旺盛で行動力がある。
爺ちゃんの確かな目を信じて敬意を抱き、なんとかしようと奔走します。
 
私はオラヴィのことを所詮金儲けしたいだけだと思っていました。
でもそうじゃなかった。彼の絵を愛する気持ちは本当でした。
終盤までなんとなくオラヴィのことを好きになれずにいたのに、
最後はオットーと同じような気持ちになって、お爺ちゃんにウルッ。
 
名画にもっと触れたくなる作品です。

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『弥生、三月 君を愛した30年』

『弥生、三月 君を愛した30年』
監督:遊川和彦
出演:波瑠,成田凌,杉咲花,岡田健史,小澤征悦,黒木瞳,
   岡本玲,夙川アトム,矢島健一,奥貫薫,橋爪淳他
 
TOHOシネマズ西宮にて、『初恋』『一度死んでみた』→これ。
 
監督はTVドラマ『家政婦のミタ』などの人気脚本家・遊川和彦。
『恋妻家宮本』(2016)に続く監督第2作です。
30年を3月の日々だけで見せるというとても面白い試み。
 
1986年3月。
高校生の結城弥生(波瑠)は、同じ高校に通う山田太郎(成田凌)とバスの中で遭遇。
太郎は弥生の親友・渡辺サクラ(杉咲花)の想い人。
サクラは、サッカー部のエースである太郎のプレーを見るのを楽しみにしていたのに、
太郎が突然サッカーをやめてしまったのだ。それを強い口調で咎める弥生。
後にサクラが病気を患っていることを太郎は知る。
 
それから太郎はサッカーを再開。3人は親友になる。
弥生と太郎、お互いに惹かれ合っているはずなのに、
サクラへの遠慮があってどうしても想いを口に出すことはできない。
やがてサクラはこの世を去り、2人もそのまま卒業、別々の道を歩み始める。
 
太郎の結婚、子どもが生まれて、離婚して。
弥生の結婚、恨みしかない親の介護を引き受け、東日本大震災に遭う。
 
ずっと好きだったのに、一緒になれない2人。
一緒になるきっかけはいくらでもあったのに、タイミングが悪くて逃してばかり。
そのうち罪悪感から太郎から逃げ回るようになる弥生。
どうしてだよと太郎ならずとも言いたくなる。
30年越しの想いをどうか断ち切らないでって。
公衆電話を見ると切ない気持ちでいっぱいに。
「あのときケータイがあれば」と言う太郎の言葉に苦笑いしてしまう。
 
お互い好きなら、絶対手放しちゃ駄目だ。
 
エンドロールの後まで席は立たないでくださいね。
そっか、生まれたときから運命だったんだ。

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2020年3月に読んだ本まとめ

2020年3月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3361ページ
ナイス数:1224ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■ドッグファイト (角川文庫)
ヤマトがアマゾンの当日配送から撤退すると聞いたとき、思いきった決断をしたなぁと驚きました。本作はフィクションではあるものの、内情はまさにこんなだったのでしょう。アマゾン専属の配送業者にされるのは阻止したい、でもアマゾンの配送がなくなったら会社はどうなるのか。ヤマトを応援したくなるけれど、私だってもはやアマゾンなしでは成り立たない生活を送っている。世のため人のためになり、喜ばれるサービス。そこに関われることこそがビジネスの醍醐味。はたしてどれだけの会社が、人々が、それを感じて仕事をしているのか。私も含めて。
読了日:03月01日 著者:楡 周平
https://bookmeter.com/books/14024093
■巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)
初めて“小市民”シリーズを読んだのは数年前だから、私は11年ぶりじゃないんです。それでもすごく久しぶりに会えた気がする。賢しらなくせして、どこの学校に連れて行かれるか想像もしない愚鈍な小鳩くん(笑)。冷静沈着な小佐内さんも相変わらずイイ。小鳩くんのひと言が冴え渡っていて、クスッと笑ってしまった箇所多数。クスッとで抑えられなかったのは「怯えていたんだね。笑ってたのかもしれないけど」。爆笑。小佐内さんの私のイメージは黒島結菜。どうですか。永遠に高校生でいてほしいような、大人になってからのふたりも見たいような。
読了日:03月02日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/14938387
■ぼくとおれ (実業之日本社文庫)
ざっくり同世代の人と話をするのは楽しい。でも、ピッタシ同い年の人と話をするのはもっと楽しい。タメの人にしか通じないネタというのが確実に存在する。私の不思議は、1960年生まれの著者が何故に主人公ふたりを1972年生まれにしたかということ。単純に一回り下に設定したという以上の意味を私はどうも感じづらい。「チミ〜」とか言われたら、もっとずっと上のオッサンかと(笑)。私は、一緒に泣ける人よりも、一緒に笑える人と一緒にいたい。一緒に笑える人とならきっと一緒に泣けるけど、一緒に泣ける人が一緒に笑える人とは限らない。
読了日:03月03日 著者:朝倉 かすみ
https://bookmeter.com/books/15053967
■【2020年・第18回「このミステリーがすごい! 大賞」U-NEXT・カンテレ賞受賞作】【テレビドラマ原作】そして、ユリコは一人になった (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
「佐藤」姓は王子を残すのみ、それ以外は皆殺しという『リアル鬼ごっこ』を思い出します。その高校で存在が許される「ユリコ」はひとりだけ。ユリコが複数になった場合、女王「ユリコ様」を残し、ほかのユリコはどういうわけか淘汰の憂き目に遭うんですと。それなりには騙されましたけれど、そんなん無理やてと言いたくなるトリックやら、大仰なデモンストレーションにちょっと冷めてしまう。映像化には向いているかと。主演は私には橋本環奈しか考えられません。『シグナル100』の悪夢が蘇るから、もしほんとに映像化されてもよう観に行かん。
読了日:03月05日 著者:貴戸 湊太
https://bookmeter.com/books/15106552
■営繕かるかや怪異譚 (角川文庫)
内藤了の『よろず建物因縁帳』の仙龍が曳き屋なら、こちらの尾端は営繕屋。古い城下町に移り住んできた人々が、家に住み着いているらしい誰かに怯える。霊感ばりばりの仙龍のことを思えば、尾端にはそんなものは一切なし。霊能師でも霊媒師でもないけれど、彼は怪異の正体の身になってその気持ちを考える。怪異は居住者を怯えさせているだけで、危害を加えたりはしないのだから。解決策が優しさに溢れています。6話の中には、正体をもう少し詳しく知りたかったものもありますが、切なさに胸が押しつぶされそうになったものも。すごく好きです。
読了日:03月08日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/12880752
■新装版-膠着-スナマチ株式会社奮闘記 (中公文庫)
最初の刊行時のタイトル『膠着』のままだったら私は手に取っていたかどうか。お仕事小説だと思わずにスルーしたかも。主人公・啓太が就職したのは糊メーカー。別に糊が好きなわけじゃなし、愛社精神もなし、気になるのは巨乳の女子社員のみ。しかしこいつにはなかなか可愛げがあって憎めません。彼の先輩社員・本庄のように、難題をつきつけられると楽しそうに仕事に取り組む友人が私にもいます。仕事に限らず何かで凹むたびにその友人のことを思い出し、こういうときこそ楽しまなきゃと方向転換。できるわけないと思ったらできない。頭を柔らかく。
読了日:03月13日 著者:今野 敏
https://bookmeter.com/books/14988758
■影裏 (文春文庫)
芥川賞作家の作品は読み取れる自信がないから、映画化されている場合はついつい映画版を先に観てしまいます。わりと大衆的なイメージのある大友啓史監督だということにも興味を惹かれました。映画の冒頭にまどろむ綾野剛の脚を映すシーンがあり、セクシャルマイノリティを感じさせる伏線。綾野剛が松田龍平を押し倒すシーンもあり、原作よりもあからさまな分、わかりやすい。「影の裏を見るんだよ」という台詞は原作にはないのですね。その説明はやはり原作には不要なのかも。いずれにせよ全部理解はできていないはずなのに、切なくて妙に心に残る。
読了日:03月16日 著者:沼田 真佑
https://bookmeter.com/books/14140959
■スマイル・ハンター 憑依作家 雨宮縁 (祥伝社文庫)
しかしよくもこんなに並行していろんなシリーズを書けるもんです。女刑事が終わったら婦人警官。曳き屋は変わらず、微生物学者が登場して、今度は憑依作家って。死者の霊を呼び出して事件を解決する作家かしらと勝手に想定していたら、憑依っちゅうより「なりきり」やん。面白い。しかもそのなりきり作家が主人公というわけでもなくて、作家のひらめきに振り回されるはめになる担当編集者とフリー装丁家の渋面が可笑しい。事件はやっぱり陰惨だけど、また楽しみなシリーズが増えました。このなりきり作家の正体はいつか明かされるのでしょうかねぇ。
読了日:03月20日 著者:内藤了
https://bookmeter.com/books/15532454
■チョコリエッタ (角川文庫)
大事な家族を突然亡くした経験は私にはないから、彼女の気持ちがわかるとは言わない。それにしたって不機嫌な時間が長すぎるでしょと思ってしまうくらい、彼女はずっと不機嫌。思春期を迎え、それまで母親代わりだったまだ若い叔母のことも疎ましく思い、唯一心を通い合わせていると感じていた飼い犬も喪って悶々。前向きに生きることに努める様子もなかった彼女だけど、無意識のうちに気持ちの整理をつけてゆく。記憶は選べない。でも、いつか思い出す瞬間って、最高でなくともささやかな幸せを感じた瞬間じゃないだろうかと思うのです。よかった。
読了日:03月21日 著者:大島 真寿美
https://bookmeter.com/books/513434
■あきない世傳 金と銀(八) 瀑布篇 (時代小説文庫)
世間のコロナ騒ぎに合わせるように、本書の中では麻疹騒ぎ。どんなときも慌てず平常心を忘れずと言われているかのようです。まさかの五代目との再会にびっくり、ものすごくイヤミっぽいのに、鋭い助言。「悪い奴ほど阿呆な振りが上手い」って、嫌だなぁ、こんな狸親父ばっかりだったら。ひたすら平和だった前巻ほどではないけれど、まぁまぁ安心して読めたと思っていたら、最後にそれかい。まったく高田さんお人が悪い(笑)。堪忍って、許せるわけないでしょうが。でもきっと次巻で許す展開に!? ところで賢輔どんの想い人って幸だったりします?
読了日:03月23日 著者:高田郁
https://bookmeter.com/books/15259205
■架空OL日記 1 (小学館文庫)
生まれも育ちも大阪だから、やっぱり関西のお笑いのほうが好きなんです。だけど、バカリズムの喋りには結構笑ってしまう。そんなわけで公開中の映画も鑑賞。まぁまぁかな、映画館で観るほどではないかとも思いつつ、バカウケしている他の客につられて私も爆笑。上司にラーメンを奢らせるくだりは、映画版より原作のほうがえぐい。映画では小峰様おひとりぶん奢らせていたのに、原作は3人かよ。ラーメンで1万3千円近く払わされるって、ご愁傷様(笑)。読めば歌いたくなる太田裕美。読者はこの歌を知っている世代でしょか。ハンカチーフください。
読了日:03月26日 著者:バカリズム
https://bookmeter.com/books/6636610
■准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき (角川文庫)
イケメンで記憶力抜群、でも方向音痴で無邪気すぎる民俗学の教授。人の嘘を声で聞き分ける能力を持つ学生を助手にして怪事件を解明。基本的に好きなジャンルではありますが、もっと民俗学らしい怪異を期待していたため、ちょっと拍子抜け。驚いたのは学生が先生をアンタ呼ばわりするシーンで、なんぼ暴走する先生であってもそこは敬意を払いたい。それを気にもしない先生というのがまた魅力的なのでしょうけれど。ライトミステリーならばこんなもんか。幽霊話ではなくてちゃんと解決するからスッキリ。ただ、個人的にはもう少し重いほうが好みです。
読了日:03月27日 著者:澤村 御影
https://bookmeter.com/books/13180727
■今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私 (メディアワークス文庫)
自分を「ただの主婦」としか思えない主人公。離婚後に彼女が得た仕事は、男やもめの作家宅の家政婦。素直でない私は、彼女の娘のことを最初はこのこまっしゃくれたガキが~と思っていました(笑)。しかしいつのまにかアラ不思議、救われて大好きに。自信を持てないシングルマザーと、一見偏屈な作家先生と、ふたりを取り巻く若干の優しい人。ありがちな物語ではあるけれど、心がスーッと洗われるよう。家事が心を整える。部屋を整理する=心を整理する。主婦をナメたらあかん。作家先生の言葉もよかった。「この世界に、退屈な人間などいない」。
読了日:03月31日 著者:成田 名璃子
https://bookmeter.com/books/14331504

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