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『モンサントの不自然な食べもの』

『モンサントの不自然な食べもの』(原題:Le monde selon Monsanto)
監督:マリー=モニク・ロバン
 
オンラインで鑑賞する“アップリンク・クラウド”で配信中。
アップリンク・クラウドは“仮設の映画館”と同様に、
作品ごとに料金を支払う形態。本作は500円で視聴できます。
 
2008年のフランス/カナダ/ドイツ作品。
12年前の作品ではあるのですが、いまもう一度観るべき作品です。
 
主要作物種子法、通称種子法は、日本では1952(昭和27)年に設立された法律。
米、大豆、麦等の主要作物の種子について審査するものです。
一昨年の2018(平成30)年にその種子法が廃止され、
今その運用規則も廃止されようとしているらしい。
 
これが廃止されるとどうなるか。
私もこういった映画を観るまではたいして考えたことがなく、
海外から食物がどんどん入ってきて日本の食物が売れなくなったら困る農家が
声高に叫んでいる、ぐらいに思っていました。
 
でも全然違うんですよね。
種子法の廃止というのはつまり、遺伝子組換え作物の種子が、
在来作物の種子と同じように安全だよと国が太鼓判を押したということ。
 
遺伝子組換え作物の種子を研究開発するいろんな企業にチャンスが与えられて
いいじゃないか。そう思いますか。それも違います。
このままではこのモンサントの独擅場になってしまう。
 
日本ではどのぐらいの認知度なのでしょうか、
1901年に設立されたアメリカの巨大多国籍企業モンサント社。
元は化学薬品会社でしたが、主流商品だったPCB(ポリ塩化ビフェニル)の毒性が指摘されるように。
1960年代には工場のパイプの破損によってPCBに侵された従業員が出たのみならず、
工場付近の住民の体内にPCBが巣食い、さまざまな病気を発症して死に至ります。
 
そんなモンサント社を住民は集団で訴えましたが、
こういう企業を訴えたときの常、役員らは無罪放免。
モンサント社は何十年も前からPCBの毒性を認識していたにもかかわらずひた隠しにし、
またそれが明るみに出たさいも、当局はあろうことかモンサント社の味方をしました。
当時の社外秘の書類には、読んだらすぐに破棄するようにという注意と、
「1ドルの儲けも無駄にするな」という文言があったそうです。
1ドルも損をしないように事実を隠す。
 
PCBを販売できなくなったモンサント社は、
1970年代に入って“ラウンドアップ”という除草剤を売り出し、大ヒット商品に。
ラウンドアップは雑草だけを一掃し、農作物はいっさい傷つけないと謳って。
 
そしてモンサント社は遺伝子組換え作物の種子も売りはじめます。
広大な畑に育つ遺伝子組換え大豆。
雑草が生えて大変だけれど、ラウンドアップを使えば大丈夫、
草抜きなんてしなくていいんだよというわけです。
 
すべての雑草が枯れるのに、大豆だけ生き残るってどういうことでしょう。
そんなことがあっていいのか。
 
楽ですよ、儲かりますよ、そう言われると人間はそちらに流れてしまう。
でも、モンサント社の遺伝子組換え作物が安全だという科学的根拠はありません。
遺伝子組換えという新しい作物がつくられたなら、
本来はそれが安全かどうか審査する法律が設けられるべきところ、
政治判断が働いて、遺伝子組換え作物は自然な作物と「ほぼ」同じだから、
新たな法律は不要であると決まりました。
「ほぼ」なのか、私の大嫌いな「ほぼほぼ」なのか知らんけど。
 
世の中、儲けを考える人ばかりではありません。
さまざまな国の研究者が、遺伝子組換え作物の危険性を指摘してきました。
しかし、指摘したが最後、モンサント社の力によって職を失うのです。
世界中、どこの国の人であっても。恐るべし政治力。
 
モンサント社が各国の企業を買収し、遺伝子組換え種子を販売。
最初は在来種子より安く売る。ラウンドアップがあれば楽チン、収量も多いよと。
こりゃいいやということで在来種子から遺伝子組換え種子に鞍替えする農家。
絶対儲かると思わされているから、借金してでもモンサント社の種子を買う。
次に買うときは在来種子の4倍の値段になっていたとしても。
 
やがて、遺伝子操作のせいで除草剤には耐性があっても他の病気を発する。
畑がすべて駄目になり、借金のせいで自殺する人も後を絶ちません。
これを自業自得と切ってしまっていいのでしょうか。
 
種子法が廃止されるということは、
遺伝子操作されてこのさき何が起こるかもわからない種子でつくられた作物を
そうとは知らずに私たちは口にするのだということです。
「遺伝子組換え作物です」と表示することは禁じられているから。
 
遺伝子操作と品種改良は違う。
およそ「サステナブル」とはいえそうにない企業、モンサント社。
いまその企業が、世界中の食物を支配しようとしています。
 
こちらの作品にもモンサント社が登場しますので、併せてご覧ください。

—–

『ファイナル・デッドコースター』

『ファイナル・デッドコースター』(原題:Final Destination 3)
監督:ジェームズ・ウォン
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド,ライアン・メリマン,クリスタル・ロウ,
   シャーラン・シモンズ,クリス・レムシュ,サム・イーストン,アマンダ・クルー他
 
Amazonプライムビデオは見放題作品の本数を非公開にしているそうですが、
いったいどんだけあるんでしょうね。
そしておそらくどこよりも多い膨大な数の中から、
私におすすめとして表示される謂れはない!と言いたくなるものもいろいろ。
本作もどちらかといえば「謂れはない」と言いたいけれど、
んー、そうでもないかなぁ。こんなホラーはわりと好きかも(笑)。
 
2006年のアメリカ作品。ジャンルでいうとサスペンスホラー。
“ファイナル・デスティネーション”シリーズの第1弾だった、
『ファイナル・デスティネーション』(2000)は観た記憶があります。
人気TVドラマ“X-ファイル”シリーズや“ミレニアム”シリーズの脚本家、
ジェームズ・ウォンの劇場映画監督デビュー作でした。
 
“ファイナル・デスティネーション”シリーズは第5弾まで作られていて、
いずれも「事故を予知して避けた人間も結局死ぬ」っちゅう嫌な話(笑)。
第1弾は飛行機、第2弾は高速道路、そして第3弾が本作で遊園地
ちなみに第4弾はサーキット、第5弾は吊り橋だそうで。怖すぎる。(^^;
なお、ジェームズ・ウォンがメガホンを取ったのは第1弾と第3弾です。
第4弾と第5弾は別の監督ですが、3Dなんですと。怖っ!
 
これだけ書いたらもう本作のあらすじ要らんでしょうが、自分の備忘録として一応。
 
高校の卒業式を前に、クラスメートたちと遊園地を訪れたウェンディ。
ここでの写真も卒業アルバムに盛り込もうと、撮影を担当している。
 
楽しいはずの遊園地で写真を撮るとき、しばしば不吉な予感を抱き、
思い過ごしに違いないと考えようとするウェンディだったが、
みんなでジェットコースターに乗り込んだとき、
脱線して凄惨な事故に遭う予知夢を見てパニックに陥る。
 
自分が降りた後もみんなに降車を促すウェンディを見て、
ウェンディの恋人の友人ケヴィンを含む何名かが降車。
その後も騒ぎ立てるウェンディが係員によって取り押さえられたとき、
発車したジェットコースターは本当に脱線して乗客は悲惨な死を迎える。
 
恋人も親友も失って自分を責め続ける日々を送っていたウェンディは、
ある日、ケヴィンから信じがたい話を聞かされる。
かつて起きた飛行機事故で、ウェンディと同じように予知した者がいたらしい。
飛行機に乗るのをやめた人々はそのときは死を免れたが、
結局はその後に次々と事故に遭い、亡くなってしまったと。
しかも事故に遭った順番は、飛行機の座席順だったという。
 
およそ信じられない話だと苦笑いして突き放すが、
ジェットコースターに乗り込んだときの席順に
事故を免れたクラスメートたちが次々と死んで行き……。
 
ホラー映画らしく、すんごい死に方をします。
体ごと焼ける、アタマ潰れる、顔に釘刺さりまくる、などなど。
来そうやなと思う頃から画面を直視しないようにしましたが、
それでも割と突然来るので手遅れだったりも(笑)。
 
B級にしては主役のメアリー・エリザベス・ウィンステッドがとても可愛く、
凄惨なシーンで直視を避けられれば面白い作品です。
と思ったら、メアリーはやはり活躍していますね、今も。
あんな可愛い女子高生役だった彼女が、こんな凄腕の殺し屋役を演じる女優になっているとは。
10年以上前の旧作を観ると、そのときの役者が今どうなっているのかもわかって楽しいですね。
 
ジェットコースターが故障して死にそうな目に遭った友人がいるので、
ちょっと笑えない部分もありますが、そんな目に遭った友人は、
「でも二度と乗りたくないとは思わへんねんなぁ」と言っていました。
「結婚に失敗しても、また結婚したいと思うのと同じ」と後に続けるから、
なんだか含蓄のある言葉だなぁと思っています。
そのふたつが同じなのかどうか、私にはわかりませんけれども。
 
第5弾の『ファイナル・デッドブリッジ』も怖いもの見たさで気になります。
と思ったけれど、プライム会員フリーじゃないのか。299円払って観るか迷う。

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『精神0』

『精神0』
監督:想田和弘
 
“仮設の映画館”で観る3本目。
第七藝術劇場を選択しました。
 
想田和弘監督による「観察映画」第9弾。
台本を作らず、予断と先入観を排除して対象を観察する映画。
だから、本作には一切の説明がありません。
ここはどこなのか、何を撮っているのか、注視することになります。
同監督の『精神』(2008)を未見だったため、
本作について何も知らない状態で観はじめたので、殊更に注視。
 
診察室が映り、医師と患者のやりとりから、
ここが精神科診療所であることがわかります。
どうやらこのお医者さんが『精神』で密着した山本昌知先生。
 
80歳を過ぎて、突然引退を決めた山本先生。
山本先生を信頼する患者たちは、今後が心配でたまらない。
そんな心配をなんとか取り除こうとする山本先生。
 
人間いろいろと欲を持つものだけど、精神ゼロに身を置く日を設けようよ。
生きているだけでありがたいと思う日があっていい。
ありがたいと思えることが増えるのは素晴らしいこと。
 
精神を患い、つらい思いをしてきた患者たちに山本先生は言います。
自分さえよければいいと思う人が多い社会の中で、
健康を害したあなたが耐えて生きているのはすごいことだよ。
 
長年の感謝を言われると、山本先生はこちらこそとお礼を言う。
人生を豊かにしてもらったと、医師が患者に言うのです。
 
引退して、奥さんとふたりっきりの生活。
どちらも足もとがおぼつかないから、見ていると不安。
それでも、焦らず急がず自分たちのペースで、
日々を過ごされている様子に見入りました。
 
さて、仮設の映画館で次は何を観ようかな。

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『スノークラッシュ』

『スノークラッシュ』(原題:Deep Winter)
監督:マイキー・ヒルブ
出演:エリック・ライヴリー,マイケル・マドセン,ケラン・ラッツ,
   ルーク・ゴス,ペイトン・リスト,ロバート・キャラダイン他
 
どんどん行きますよ〜、Amazonプライム会員タダの作品
 
2008年のアメリカ作品。日本では劇場未公開。
12年も前の作品をこうして観ることになるなんて、
劇場で新作を観まくっていた3月までは思いもしなかったこと。
まぁこういうのも楽しくていいや。
 
山もの、特に雪山ものが大好きです。
普通に登山の話も好きだし、雪山が舞台のしょぼいB級も好き。
この邦題を見て、どちらかといえば後者寄り、
しょぼいB級サスペンスを想像していました。
そうしたら全然そうじゃなくて、スキースノボの青春ものだった(笑)。
それも好きなのでかまわないけれど、Amazonの内容紹介には偽りあり。
「命がけのレスキューアクション」って、レスキューシーンなんてゼロですから。
 
マイキー・ヒルブ監督、知らんし。調べましたが本作以外に作品なし。
主演のエリック・ライヴリーも知らんし。でもちょっと男前。
ライヴリーというからには、ブレイク・ライヴリーと関係があるのかなと思ったら、
やはりブレイクのお兄さん。そしてライヴリーは俳優一家だと知りました。
お父さんが俳優で、5人の息子と娘も全員役者らしい。
ブレイクがダントツの売れっ子のようです。私も彼女しか知りませんでした。
 
出演陣の中で即座に顔と名前が出てくるのはマイケル・マドセンぐらい。
いい役で出ていて、これは嬉しい。
 
さて、原題は“Deep Winter”。
よく考えてみると、この原題からも青春ものは想像しづらいですね(笑)。
 
タイラーは、誰もがその才能を認めるスキーのダウンヒルレーサー。
しかし、大事なレースでコーチの指示を無視した滑りで転倒。
チームを追い出される。
 
地元に戻り、かつで一度関係を持ったことのある女性エリサと再会。
彼女は幼なじみのプロスノーボーダー、マークの妹。
マークの手前、エリサとつきあうことを遠慮して今に至るが、
お互いの気持ちが再燃。
 
翌朝、エリサと共にいるところに押しかけてきたマーク。
てっきり怒っているのかと思いきや、
マークは一緒にアラスカへ行こうとタイラーを誘う。
制覇は不可能といわれるアラスカの山にマークが挑む姿をフィルムに収める話が進行中で、
もうひとりのスキーヤーと滑る予定だったが、その人が骨折。
代役をタイラーに務めてほしいというのだ。
 
こうしてアラスカに乗り込んだタイラーとマーク、その撮影隊。
雪山のエキスパート、ディーンにガイドを頼み、
ヘリコプターで雪に覆われた山頂へと向かうのだが……。
 
平々凡々なストーリー。
あ、この人ここで骨折、代わりにタイラーが行くんやな。
行ってみたらマークよりもタイラーがずっと凄くて、
マークが嫉妬してふてくされて喧嘩別れ。
その後マークが勝手に滑りに行って事故に遭うんやな。
 
想像と1ミリも違わず(笑)。
ここから後はちょっとだけ想像していなかったことが起きます。
ちょっとぐらい想像を上回ってくれんと。(^^;
 
こんなふうに、ストーリーには見るべきものが何もありませんけれど、
ニヤケた顔つきではあるものの、エリック・ライヴリーはイケメンで○。
スキーとスノボのシーンも迫力があります。
それを観るには楽しい作品なんじゃないでしょか。
私は楽しかったです。

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『ぼくの名前はズッキーニ』

『ぼくの名前はズッキーニ』(原題:Ma vie de Courgette)
監督:クロード・バラス
声の出演:ガスパール・シュラッター,シクスティーヌ・ミューラ,
     ポラン・ジャクー,ミシェル・ヴュイエルモーズ他
 
劇場で観逃した旧作をAmazonプライムビデオにて。プライム会員無料。
 
2016年のスイス/フランス作品。
非常に美しいストップモーションアニメです。しかし内容はかなりヘヴィー。
見た目に反して重い内容のアニメといえば『メアリー&マックス』(2008)を思い出す。
 
アル中の母親と暮らす9歳の少年イカール。
母親は彼のことを“ズッキーニ”と呼ぶ。
飲んでいないときは笑顔だって見せてくれる。
 
ある日、酒に酔った母親が転倒して死亡。
泥酔した母親を避けようとした自分のせいだとズッキーニは考える。
事故を担当した心優しき刑事レイモンは、
身寄りのいないズッキーニを孤児院“フォンテーヌ園”へと連れて行く。
 
だんまりを決め込んで話そうとしないズッキーニを
リーダー格のシモンがいじめるが、
大喧嘩を繰り広げたのちはお互い打ち解ける。
 
しばしば面会に来てくれるレイモンにも心を許しはじめたズッキーニ。
ほかの子どもたちとも仲良くなり、日々を楽しむようになった頃、
カミーユという少女が新たに園の仲間に加わって……。
 
子どもたちが園に預けられた理由はさまざま。
両親揃ってヤク中だったり、父親が浮気した母親を殺して自殺したり、
父親が強盗したり、母親が強制退去させられたり、性的虐待に遭っていたり。
それでも子どもたちはたくましく生きてゆく。
仲間との絆は強く、誰も見捨てたりしません。
 
引き取られて行く子どもがいれば、羨ましくて仕方がないけれど、
それが仲間のためだと考えて引き留めたりしない。
もうこのくだりは辛くて涙が出ます。
 
子どものことを何も考えていない身内もいれば、
親身になって考える他人だっている。
 
お薦めしたい作品です。ただ、子どもさんと観るにはこの内容なのでご注意を。

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