MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『フローズン・グラウンド』

『フローズン・グラウンド』(原題:The Frozen Ground)
監督:スコット・ウォーカー
出演:ニコラス・ケイジ,ジョン・キューザック,ヴァネッサ・アン・ハジェンズ,
   ディーン・ノリス,ジーア・マンテーニャ,ラダ・ミッチェル他
 
 
2013年のアメリカ作品。
ニコラス・ケイジって、相変わらず映画に出まくっている様子。
高く評価される作品は最近まったくないけれど、別に最近に限らんか。
言われたって気にしない、その姿勢は潔いのかもしれません(笑)。
 
私はどうやらタイトルに「フローズン」と付くとスルーできないみたいで。
『フローズン・リバー』(2008)のような佳作もたまにありますが、
抱腹絶倒のB級シチュエーションスリラーが多い。
これもたぶんその手のやつなんだろうと思ったら、なんと実話が基。
1980年代に全米を震撼させた実在の連続猟奇殺人犯の逮捕劇を題材にしています。
 
1983年、アラスカ州アンカレッジ。
手錠をされて傷だらけの少女シンディが警察に保護される。
23歳と偽っていたが、シンディは17歳の娼婦
客であるロバート・ハンセンという男に監禁レイプされ、
命からがら逃げてきたというが、ロバートは地元の名士。
警察は所詮娼婦の言うことだとシンディの話に取り合わない。
 
一方、州警察では相次ぐ身元不明女性の変死事件を調査中。
数週間後に刑事を辞めて平穏な生活を送るつもりのジャック・ハルコムは、
またしても発見された変死体について調べるうち、
地元警察が事件化を見送ったシンディの調書に目を留める。
 
変死体は同一犯による連続殺人なのではないか。
ロバートこそが殺人犯だと確信したジャックは、
警察にないがしろにされたおかげで不信感あらわなシンディを守ると誓い、
なんとかロバートの尻尾を掴もうとするのだが……。
 
ジャック役にニコラス・ケイジ、ロバート役にジョン・キューザック
この共演といえば思い出す、『コン・エアー』(1997)。
あのときは連邦捜査官役で格好よかったジョン・キューザックが
本作では変態殺人鬼役ですもんねぇ。
彼にはいつまでも善人役の俳優でいてほしかったけど、仕方ないか。
 
殺人犯といってもウィキペディア等でたいしたページを割かれていない、
特に日本語版ではあまり知り得る情報はないことも多々ありますが、
ロバート・ハンセンについてはウィキペディアに長い長い説明が。
モチーフにした程度の作品かと思っていたら、かなり忠実なようです。
ニコラス・ケイジ主演なのに(笑)。
 
ロバートのやり口は、女性をだいたい1週間程度監禁した後、
林に連れて行って放ち、狩りをするかのごとく猟銃で撃ちます。
遺体は熊などに齧られて凄惨な状態に。
妻子もある身で、妻は敬虔なクリスチャン。
夫のしでかしていることなど露とも知らなかったのがまた悲惨です。
 
決定的な証拠がなかなか出ないなか、
のらりくらりとかわそうとするロバートから
なんとか自白を引き出そうとするジャック。
この掛け合いがなかなかスリリング。
当時「偽りの年齢」のほうに近かったヴァネッサ・アン・ハジェンズ
17歳の役というのはちょっとキツイかなぁ。上手かったけど。
 
実話ベースなのに、ニコラス主演というだけで
普通のスリラーに思われてしまうジレンマ(笑)。
そこも含めて面白かった。

—–

『ギリーは幸せになる』

『ギリーは幸せになる』(原題:The Great Gilly Hopkins)
監督:スティーヴン・ヘレク
出演:ソフィー・ネリッセ,キャシー・ベイツ,ジュリア・スタイルズ,ビル・コッブス,
   ビリー・マグヌッセン,オクタヴィア・スペンサー,グレン・クローズ他
 
2016年のアメリカ作品。日本では劇場未公開、WOWOWにて放映されたそうな。
WOWOWの放映時邦題は『ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常』。
とっても良くて、こんなならGW中にUPしたかったと思うほど。
 
どういうわけか母親と一緒に暮らすことが許されない少女ギリーは、
里親に引き取られるたびに問題を起こし、どこにも居付けない。
今度もしも駄目だったら、ずっと施設にいることになるだろう。
そう言われて預けられることになったのは、養母トロッターさんの家。
 
トロッターさんは、終始生意気な態度のギリーにも優しい。
そこが余計にむかつく。
もうひとりの里子、ウィリアムはおとなしくて口も利かないが、
すっかりトロッターさんに懐いていて、それも腹が立つ。
トロッターさんは毎晩隣家の盲人フランドルさんを食事に招くし、
どこまでお人好しなのか。
 
学校へ行けば、ハリス先生が鬱陶しい。
友だちなんて要らないのに、アグネスという同級生がまとわりついてくる。
ギリーの頭の中にはどうすれば実母と暮らせるということしかないのに。
 
ある日、実母の居場所を突き止めたギリーは、
あることないことでっちあげた手紙を書くことを思いつく。
一刻も早くこの環境から救い出してほしいとしたためて投函するのだが……。
 
中盤までクソ生意気なギリーを演じるのはソフィー・ネリッセ。
とても可愛い子なのですが、20歳になった今の写真を見るとイマイチかなぁ(笑)。
 
トロッターさんにはキャシー・ベイツ。さすが。
フランドルさん役のビル・コッブスも実にあったかい。
また、ハリス先生役のオクタヴィア・スペンサーもいい味。
祖母役で登場するグレン・クローズを見ると、
『危険な情事』(1987)で鍋にウサギ突っ込んでたストーカー
こんな上品なおばあちゃん役かと思うと感慨深い(?)ですねぇ。
 
実母役のジュリア・スタイルズだけがめっちゃ怖い。いや、顔と化粧が。(^^;
まぁ、あかん母親役なので合ってるっちゃ合ってますが。
 
親に愛されることのないまま里親のところを転々としていた問題児が
優しい養母に引き取られて暮らすうち、良い子になる。
とてもありがちな話ではありますが、心が洗われて涙涙。
 
ありきたりでもこういう話は落ち着きます。
きっとギリーは幸せになる。

—–

『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』

『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』(原題:Blow the Man Down)
監督:ダニエル・クルーディ,ブリジット・サヴェージ・コール
出演:モーガン・セイラー,ソフィー・ロウ,マーゴ・マーティンデイル,
   ジューン・スキッブ,アネット・オトゥール,エボン・モス=バクラック他
 
2019年のアメリカ作品。
Amazonスタジオの配給作品で、日本では劇場未公開。
Amazonプライムビデオで配信中ですが、
全米での公開が今年の3月下旬だから、いわゆる「神配信」
しかも他の神配信と異なって無料です。プライム会員ならば。
 
監督はウィキペディアにまだ日本語ページのないふたり、
ダニエル・クルーディとブリジット・サヴェージ・コール。
映画好きの人なら誰しも思うことでしょう、
コーエン兄弟『ファーゴ』(1996)を思わせるスリラー作品で、
この先がめちゃくちゃ楽しみ。
メジャー作品が好きな人には薦めませんが、私は大好き。
 
アメリカ・メイン州の小さな漁師町イースター・コーヴ。
魚屋を営むコノリー家の母親が亡くなり、
長女プリシラと次女メアリー・ベスは哀しみの淵にいる。
プリシラはこの地に残って店を継ぐつもり。
自由奔放なメアリー・ベスは一刻も早くここを立ち去りたいのに、
母親の死で足止めを食らってイライラ。
 
憂さを晴らそうとひとり飲みに出かけたメアリー・ベスは、
バーで知り合った男ゴルスキーと酔っぱらって羽目を外す。
ゴルスキーの家に着いた途端、豹変した彼に恐れをなし、
逃げようとするメアリー・ベスをゴルスキーが追う。
そばにあった銛でゴルスキーの首をひと突きしたうえに、
レンガで頭を殴って殺してしまったメアリー・ベス。
 
帰宅して震えながらプリシラに相談。
正当防衛が適用されるはずだから大丈夫と通報しかけるが、
気が変わったプリシラはメアリー・ベスを連れてゴルスキー宅へ。
彼の遺体をクーラーボックスに詰め込み、海へと放り込む。
 
翌朝、警官がプリシラにボートを貸してほしいと言いに来る。
小型のボートしか近寄れない場所に遺体が打ち上げられたと言うのだ。
もう見つかってしまったと呆然とするプリシラ。
ところがその遺体はゴルスキーのものではなく、若い女性のもので……。
 
この件から少しずつ明らかになる町の黒い歴史。
町に1軒だけ存在するホテルは売春宿として昔から営業されていました。
それに自分たちの亡き母親も絡んでいたと姉妹は知ります。
また、自分たちが抹殺したあの男が宿の用心棒であったことも。
 
母親が亡くなったのを機会に、売春宿をなくしてしまおうと考えている町の女性たち。
しかし、宿の経営者であるエニッドは決して首を縦に振らない。
 
マーゴ・マーティンデイル演じるエニッドが凄い迫力なのですが、
それに負けじとエニッドに詰め寄る婆さんたちがまた怖いのなんのって。
町の汚点はなんとしてでも排除するつもりなのがありあり。
 
プリシラ役のソフィー・ロウは透明感のある美人。
はねっかえり娘のメアリー・ベス役のモーガン・セイラーと良いコンビ。
 
タイトルの“Blow the Man Down”は、冒頭で漁師たちが歌っている曲。
「そいつをぶっ飛ばせ」と。
最後は女たちが歌います。男をぶっ飛ばせ。その微笑みが怖すぎる。

—–

『ピザ!』

『ピザ!』(原題:Kaaka Muttai)
監督:M・マニカンダン
出演:V・ラメーシュ,J・ヴィグネーシュ,アイシュワリヤー・ラージェーシュ他
 
2014年のインド作品。日本では劇場未公開。
こういうのを「あなたへのオススメ」でAmazonが教えてくれると、
Amazonよ、君はなんと確かな目を持っているんだと思います(笑)。
プライム会員なら無料。
 
踊らないボリウッド作品です。でもやっぱりボリウッド。
 
南インドの都市チェンナイのスラム街に暮らす幼い兄弟。
父親は何の罪でか投獄され、保釈金を要求されるが、
母親がいくら金を工面しようとも釈放してもらえない。
高齢の姑は働けず、母親の仕事だけでは生活が苦しく、
兄弟は学校に行かずに線路脇の石炭を集めて日銭を稼いでいる。
 
ある日、スラムの子どもたちの遊び場だった広場が立入禁止に。
工事の末にできたのは大規模なピザ店
有名な芸能人を招いてオープニングイベントが開かれる。
遠巻きにしか見ることを許されない子どもたちは、
初めて見るピザなる食べ物に興味津々。
 
食べてみたい。でも1枚のピザが300ルピー(約420円)。
これはスラムの1カ月の家賃よりも高い。
母親にねだったところでピザが買えるわけもなく、
兄弟はニンジンと呼んでいる顔見知りのおっちゃんに相談。
ニンジンは石炭がたんまりある場所をこっそり教えてくれて……。
 
子どもは残酷です。
特に兄ちゃんのほうときたら、もうピザのことしか考えられず、
母親が父親の保釈のために必死で働いているのに、
「パパなんかよりピザのほうがいい」と平然と言い切る。
諌める祖母には「食べて寝るしか能がないくせに黙ってろ」って。
そう言われたお婆ちゃんの悲しそうな目と言ったら。
 
なんとかピザ1枚分の金を貯めて喜び勇んで出かけたのに、
店先でガードマンから追い返される。
服装からスラムの子どもだと判断されたと思い込み、
今度はショッピングモールへ新しい服を買いに行くと決めます。
 
兄ちゃんには時折イライラさせられましたが、気持ちはわからなくもない。
そして、その兄ちゃんにただただついていく弟が可愛い。
 
スラムにピザ屋を出店して、スラムの人を排除する。
その感覚はどうなのよ。
金持ちにも貧乏人にも悪いことを考える奴はいて、
悪いことを考える奴同士で出し抜くことを考えているのもなぁ。
大地真央のCMじゃないけれど、「ここに愛はあるんか」と言いたくなる。
 
でも、愛はあります。
そもそもスラムに暮らす人びとに悲壮感はありません。
幸せか不幸せかなんて、まわりが決めることじゃない。
 
いろいろあって、最後にピザにありついた兄弟の言葉。
笑顔と共に心に残りました。
 
ちなみに、原題を英訳すると“Crow’s Egg”、「カラスの卵」。
兄弟の名前は最後まで出てきません。
ふたりはカラスの卵、大きい卵は兄、小さい卵は弟。
そのまま育って。

—–

『チャンス! メイドの逆襲』

『チャンス! メイドの逆襲』(原題:Chance)
監督:アブナー・ベナイム
出演:ローサ・ロレンゾ,アイーダ・モラレス,フランシスコ・ガットルノ,イザベラ・サント・ドミンゴ,
   マリア・アレハンドラ・パラシオス,マリア・クリスティーナ・パラシオス他
 
これもAmazonプライムビデオ見放題作品の中にあります。
たいして面白くはないんだろうなぁという予感に包まれつつ、
90分というほどよい長さに惹かれて鑑賞。
 
長さに惹かれただけでしたが、この国の映画は観た記憶がありません。
いずせにせよ珍しい。2009年のパナマ/コロンビア作品です。
 
コロンビア人のトーニャとパキーテが家政婦として雇われているのは、
次期パナマ大統領選に立候補した実業家フェルナンドの豪邸。
フェルナンド自身は貧しい家庭の出身ながら、
大金持ちの家庭に生まれ育った妻グロリアと出会って逆玉に乗った。
 
夫妻にはマリビとマリテという双子の高校生の娘と、
ダニエルという小学生の息子、計3人の子どもがいるが、
フェルナンドは仕事に忙しく、グロリアは自分のお手入れに忙しく、
子どもたちはトーニャとパキーテが育てたようなもの。
しかし可愛いのはダニエルだけで、
双子の娘の家政婦の扱い方はまるでグロリアと同じ。
 
夫婦と娘そろって贅沢三昧しているくせに、家政婦への給料は7週間も未払い。
仕送りをしなければ、故郷の家族が路頭に迷ってしまうと、
意を決したパキーテは夫妻に直ちに給料を払ってほしいと訴える。
これは前借りのお願いではなく、未払い分のことなのだと。
 
それでもなんだかんだと理由をつけて払おうとしない夫妻。
払わないまま一家でマイアミ旅行に発とうとするのを見て、
トーニャとパキーテは行動を開始。
家族を銃で脅して家に閉じ込めると、金を在り処を教えろと詰め寄るのだが……。
 
ないんですよね、お金なんてどこにも。
フェルナンドは金を使い込み、薄々それを感じていたグロリアもスルー。
自分の家は金持ちだと思い込んでいる娘たちは勝手し放題。
縛られて閉じ込められ、撃たれそうになってようやく判明する家族の事情。
 
縛られた手足がすぐ解けそうなのはご愛嬌。
トーニャのこともパキーテのことも大好きなダニエルだけは縛られることもなく、
これはただのゲームだからと聞かされてのんびりしています。
ダニエルを除けばとにかく腹立たしい家族だから、
トーニャとパキーテのことを思いっきり応援してしまう。
 
10年も働かせてやっているんだ、感謝しろ、家族だろ。
フェルナンドはそう言うけれど、何が家族なものか。
トーニャとパキーテのフルネームすら知らなければ、家族構成も知りません。
パナマでは家政婦の扱いってこんな具合なのかなぁと思うとつらい。
 
最終的にはいい話、というところまでは行きません。
フェルナンドは最後まで救いようのない男。
でも、パキーテと家政婦のふりをさせられたグロリアのシーンは面白く、
化粧はげはげで心情を吐露するグロリアにはちょっぴり同情も。
 
特別推すことはないですが、悪くもなし。
珍しい国の作品を観られたので良しとします。

—–