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『甘いお酒でうがい』

『甘いお酒でうがい』
監督:大九明子
出演:松雪泰子,黒木華,清水尋也,古舘寛治,前野朋哉,渡辺大知他
 
MOVIX京都で3本ハシゴの2本目。『無職の大卒』の次に。
 
吉本興業と各テレビ局のコラボで映画を製作する沖縄国際映画祭恒例企画、
“TV DIRECTOR’S MOVIE”の1本としてテレビ朝日との共同で製作されたもの。
お笑い芸人のシソンヌじろうがコントで演じている、
OLの日記として書籍化された同名小説の映画化なのだそうです。
 
なんばパークスシネマで幾度となく予告編を観て、
ちょっといい感じだなと思っていた作品。
私は大九明子監督のこと、もしかするとわりとお気に入りかもしれません。
 
川嶋佳子(松雪泰子)は40代の独身OL。
「これは私の日記」という言葉から始まります。
その言葉どおり、日付が表示されて、日々の出来事が淡々と綴られるだけ。
でも退屈ではありません。睡魔にも襲われず(笑)。
日常って、綴ってみればそれだけでドラマなのかも。
 
サドルを撫でたくなるほど愛してやまない自転車なのに、
駐輪場ではないところに置いて出社、帰ってきたら、ない。
放置自転車の管理場所へ取りに行ったらベルがなかったり。
 
職場の同僚である若林ちゃん(黒木華)とお昼ごはんによく食べるのはお蕎麦。
たまたまそこで出会った若林ちゃんの後輩、岡本くん(清水尋也)は二回り近く年下。
だけどいとも簡単に好きになってしまう佳子さん。
 
主な登場人物は上記の3名で、あとはみんなちょっとだけ出演。
独り言をまくし立てる怪しいおじさんが古舘寛治とか、
不動産屋の前で「高い」とぼやく青年が前野朋哉とか、
ちょっと来てすぐ来なくなる新入社員が渡辺大知とか。
 
コメディという触れ込みですが、私にはコメディに思えませんでした。
佳子さんには若林ちゃん以外に友だちがいなくて、
でもひとりでいることを好んでいるふうでもない。
すごく寂しそうだから、まるでひとりが好きな私も駄目出しされている気になる。
だけど終盤、彼女がとてつもない悲しみを抱えていることがわかる。
最後までそれについて明言されることはないけれど、たぶん、大事な誰かを失ったひと。
 
この辺り、原作がどうなっているのか知りませんが、
これも気持ちの整理のつけ方を描いた作品だと思いました。
 
ところで佳子さんが流し台の前でいつも最後に飲むのはグラッパ
甘い? それよりもキューッときつい気がする。

—–

『無職の大卒』

『無職の大卒』(原題:Velaiilla Pattadhari)
監督:ヴェールラージ
出演:ダヌーシュ,サムティラカニ,アマラー・ポール,サラーニャ・ポンヴァンナン,ヴィヴェーク他
 
晩ごはんは京都
動線の良い劇場で面白そうな映画を上映していないかなと調べたら、
MOVIX京都で“インディアンムービーウィーク 2020”開催中。
どないやねんこの邦題と思いながら、興味を惹かれて観に行くことに。
 
タミル語のインド作品です。
公開年の2014年に大ヒットを飛ばし、南インドの主要な映画賞で各賞多数受賞。
めっちゃよかった。
 
インドには何千という工科大学が存在するそうですが、
学んだ専門分野を卒業後に活かすことができる人はごくわずか。
就職するには家業を継ぐか、はたまた親のコネに頼るか、
専門分野で働くことはあきらめて職種を問わないかしかないそうな。
 
大学で土木工学を学んだラグヴァランは、コネがないから就職できず。
毎日求人情報を見ては設計図を持参して応募するが、
信じられないことに面接の席で違法建築を求められたりする。
賄賂がまかりとおる業界で不正を取り除きたくて学んだのに、
それを意志を曲げてまで就職なんてしたくない。
 
そんなラグヴァランと違い、弟のカルティークは一流企業に就職。
親の期待を一身に集め、兄弟でえらく待遇が異なる。
母親は優しいが、父親といえばラグヴァランを罵倒してばかり。
 
ほとほと嫌気が差して、泥酔するまで飲んだ夜、
バイクでふらふら走っていたところ、車と接触。
運転していた美女は隣家に越してきたばかりのシャーリニで……。
 
と書くと恋愛ものみたいですが、違うんです。
母親の死や父親との確執など、いろいろと乗り越えたのち、
ラグヴァランは縁あって中堅の建設会社に就職。
スラム街の再開発プロジェクトのリーダーに抜擢されます。
 
このプロジェクトを入札できなかった大手建設会社のボンクラ息子が
ラグヴァランを潰そうと必死になり、嫌がらせを仕掛けるんですねぇ。
ちょっと半沢直樹っぽくないですか。というよりも池井戸潤っぽいのかな(笑)。
 
ラグヴァランがめっちゃカッコええんです。
優男かと思いきや、喧嘩にもめっぽう強い。
むやみやたらとは手を出さず、ここぞというときの凄いこと。
華やかではない、むさ苦しい男ばかりの踊りもイイ。
 
しかしインドの建設業界ってほんまにこうなの? 酷すぎて呆れる。
この間観た『きっと、またあえる』よりこっちのほうが断然上。
なんとなく行ってみたインディアンムービーウィーク、正解!
ボリウッドはサイコーです。
 
登場人物が喫煙したり飲酒したりするシーンのたびに
画面左端に「健康に悪いです」というテロップが出るのも笑った。

—–

『映像研には手を出すな!』〈公開記念!前夜祭舞台挨拶中継付き上映会〉

『映像研には手を出すな!』
監督:英勉
出演:齋藤飛鳥,山下美月,梅澤美波,小西桜子,グレイス・エマ,福本莉子,松崎亮,
   桜田ひより,板垣瑞生,赤楚衛二,松本若菜,山中聡,浜辺美波,高嶋政宏他
 
5月に封切り予定だった本作がコロナのせいで公開延期、
4カ月以上経ってようやく上映に至りました。
公開前日の晩に「前夜祭」と銘打って、舞台挨拶中継付きの上映会が。
ちょうどいい時間帯だったので、109シネマズ大阪エキスポシティへ。
 
舞台挨拶なんてちょろっとあるだけだろうと思っていたら、たっぷり30分以上。
英勉監督と映像研部員役の3名、ロボ研部員役の2名、音響部員の1名が登壇。
これまでに観た舞台挨拶の中では楽しさの点でいちばんだったかも。
 
齋藤飛鳥のことは覚えていました。
しかし、映像研のあとの2人も乃木坂46のメンバーとは知らなんだ。(^^;
本作の撮影が始まるまでは、3人は別に仲良くなかったそうです。
というのも、山下美月と梅澤美波は乃木坂46の3期生で、齋藤飛鳥は1期生。
2期違いと言ってもそこには5年の差があり(年齢は1歳違いだけど)、
2人にとって齋藤飛鳥は大先輩。おいそれとは声をかけられない人です。
緊張する後輩2人に齋藤飛鳥がそれを解きほぐすように努めた様子。
 
英勉監督の作品は“貞子3D”シリーズを除いてすべて観ていますが、
こんな風貌の人だとは知りませんでした。
三池崇史監督ほどヤクザ風ではないけれど(笑)、サラリーマンには絶対見えない。
舞台挨拶の第一声が「こんばんは。クリストファー・ノーランです」でしたが、
はたして観客のうちどれぐらいの人がノーラン監督のことを知っていたのか。
そっちを観る客と本作を観る客、あまりかぶらん気がする。(^^;
 
ら抜きオンパレードの挨拶のなか、山下美月だけが「乗り越えられない」と言ったのが好印象。
あと、本編中のことですが、板垣瑞生は絶対「シュミレーション」と言った気がする。
シミュレーションですよ、シミュレーション♪
 
さてさて、舞台挨拶の話はこの辺にしておいて、本編のあらすじを。
 
芝浜高校に入学した浅草みどり(齋藤飛鳥)には並外れた想像力があり、
自分の考えた空想世界をアニメにすることが夢。
だが、極度の人見知りで小心者の彼女は部活に入ることが困難。
 
同じく新入生でカリスマ読者モデルの水崎ツバメ(山下美月)は、ひそかにアニメーター志望。
しかし両親(山中聡松本若菜)共に人気俳優で、娘にも女優になることを求めているから、
ツバメは自分の夢を両親に打ち明けることができない。
 
そんなふたりに金のにおいを感じたプロデューサー気質の金森さやか(梅澤美波)は、
3人でアニメを作るための映像研を立ち上げることを決める。
 
ところが500ものクラブや同好会が存在する芝浜高校では、
収拾のつかなくなった状態を打破しようと、生徒会が部の統合や廃部を進めにかかる。
なぜか生徒会長(小西桜子)が目の敵にするのは映像研。
アニメ研との統合を言い渡されそうになったとき、
さやかがロボ研との交流話をまとめてきて……。
 
3人とも演技が上手いんです。
あんなに可愛いのに、妙な格好をしておどおどオタクぶりを発揮する飛鳥ちゃん。
美波ちゃん演じるクールなさやかがキレ味よくて可笑しい。
もうひとりの美波ちゃん、浜辺美波は謎の気象部員役でほぼカメオ出演みたいな感じ。
彼女と『思い、思われ、ふり、ふられ』で共演した赤楚衛二がロボット研部長役。
彼、ちょっと伊藤英明に似てません?
 
二足歩行のロボットについて思いを語るシーンとか、楽しい。
2回観たいほど面白かったかと尋ねられたらビミョーですが、
みんなの想像が映し出されるシーンに、
同じ場所で同じものを想像できるって楽しいことだなぁと思いました。

—–

『白爪草』

『白爪草』
監督:西垣匡基
出演:電脳少女シロ
声の出演:花京院ちえり,神楽すず,カルロ・ピノ,もこ田めめめ,ヤマトイオリ
 
仕事帰りに2本ハシゴするのがつらくなり、
でも1本だけは観ようかなと通勤経路内にある劇場の上映スケジュールを物色。
ノーマークだった本作の時間がちょうどよかったので調べてみたら、
上映館は全国で池袋HUMAXシネマズと109シネマズ大阪エキスポシティだけだという。
何それ、気になるやん。行ってみよ。
 
「全キャストVTuber、出演者全員がVTuberの映画は世界初」らしいのですが、
私は「VTuberって何?」という物知らずな人間。
ほんでこれも調べてみたら、VTuberとはバーチャルYouTuber。
アバターによるYouTuberのことで、日本発祥なんですと。
皆さん、ご存じでしたか。知らないのは私だけ!?
 
そのVTuberでおこなわれるワンシチュエーションサスペンス作品。
シチュエーションスリラー好きの私としては観なければ。
 
109シネマズ大阪エキスポシティのそこそこ大きめのシアター。
ぽつぽつ入っているお客さんは全員男性、そしてちょっとヲタッキー(すんません)。
場違いだったかしらなどと思ったけれど、結果、かなり面白かった。
VTuberの電脳少女シロ(←これがアバターなわけですが)の一人二役。
 
フラワーショップ“花組”に勤める蒼は、平凡で穏やかな日々を送っているが、
人には言えない悩みを抱え、カウンセラーの桔梗先生に相談。
桔梗のアドバイスのもと、双子の姉である紅と再会することを決意する。
蒼からの連絡で花組を訪れた紅を目の前に、重い気分に襲われるのだが……。
 
ここからはネタバレです。
 
蒼と紅は一卵性双生児だけあってそっくりですが、性格は真逆に思える。
清楚で素直な印象の蒼に対し、紅にはやさぐれ感満載。
それもそのはず、紅は殺人の罪で服役し出所してきたばかり。
誰を殺したのかと思えば、蒼と紅の両親を毒殺したらしい。
 
なぜあんなことをしたのかと問う蒼に、
紅は自分が殺したのではない、両親を殺したのは蒼だと言います。
蒼の罪をかぶって服役し、出所して普通に暮らしたくても
近所の人や勤務先の人になぜかすぐバレてしまい、暮らせなくなる。
これからは蒼になりかわって生きることにしたと言う紅。
 
蒼は自分が両親を殺したと認め、自分の人生を紅に差し出します。
頃合いを見て自殺するから、紅はどうぞ私として生きてと。
この先にさらなるドンデン返しが待ち受けていてゾーッ。
 
アバターが動く映画なんて観るのは初めてで、最初は慣れず。
しかし話自体が面白かったし、何よりこんな映画は新鮮でした。
 
不気味このうえない話ではありますが、3Dとはまた違う味わいの作品。
一見の価値はあると思います。

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『いただきます ここは、発酵の楽園』

『いただきます ここは、発酵の楽園』
監督:オオタヴィン
ナレーション:小雪
 
ごぶさたしていた十三のシアターセブンで1本だけ。
 
「健康なお腹と畑は微生物でつながっていました」というキャッチフレーズ。
就活や婚活ならぬ「腸活」について考えるドキュメンタリーです。
 
健康な土は微生物がつくる。
里山保育をおこなう保育園の園長先生や、「菌ちゃん先生」こと菊地良一さんら、
発酵の楽園について語ってくれるのは、有機農業のエキスパートの皆さん。
 
自分たちの手で耕した土に種を植えて育て、それを自分たちで調理して食べる。
こんな小さな子どもたちなら甘いお菓子を食べたがって当然だと思えるのに、
ニンジンやキュウリをかじる子どもたちの顔のなんと幸せそうなこと。
菊地さんの指導で、残飯から肥料をつくるときに聞こえてくる、
「めっちゃ楽しい」という男の子の声に笑いました。
 
田植え、稲刈りももちろんします。
炊きあがった米に驚嘆の声が上がり、みんながお釜をかき混ぜたがる。
取り合いせずに、「じゃあみんな片手だけ出して混ぜよう」。
自分たちで作物を育てると、こんないい子に育つのか。
 
『奇跡のリンゴ』(2013)のモデルとなった木村秋則さんの話を聴くこともできます。
農薬のせいで奥様が体調を崩してしまったのをきっかけに、有機栽培を決意した木村さん。
10年以上もの間、りんごはひとつも収穫できず、
近所の人からは「いちばん貧乏な家」と言われていたそうです。
家の中のどこを探しても10円玉1枚すら出てこない。
子ども3人は消しゴムを3等分して使うほどの貧しさ。
それでも挑戦しつづけた結果、美味しい美味しいりんごができました。
農薬を使ったりんごより小さいけれど、抗酸化作用などは上。
 
木村さんは農薬を使うことを否定しているわけではない。
そこに優劣は考えていないとおっしゃる。
木村さんが有機栽培を始めたのは、ただ家族のためだったのですから。
 
『もったいないキッチン』を観たときと同じように、
もっといろんなものを食べたいなぁと思ったことも事実。
でもこういう農業があること、そして身体には確実にいいことを心に留めておきたい。

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