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今年観た映画50音順〈や行〉

《や》
『やっぱり契約破棄していいですか!?』(原題:Dead in a Week: Or Your Money Back)
2018年のイギリス作品。
作家志望の青年ウィリアムは、芽が出ぬ自分に嫌気が差し、
7回も自殺を試みたのに毎回失敗。
首を吊ろうとすれば紐が切れたり、河に飛び込めば遊覧船に拾われたり。
そんなとき、プロの殺し屋である老紳士レスリーと出会う。
1週間以内にレスリーに殺してもらえるように契約を結ぶが、
実はレスリーは暗殺組合をクビになる寸前。
あと1人殺せばノルマ達成だから、とにかくとっととウィリアムを殺したい。
そこへ、ウィリアムの小説を出版したいという女性編集者エリーが現れる。
死にたい気持ちが消え失せたウィリアムは、レスリーに契約破棄を申し出るのだが……。
巻き添えを食らって死ぬ人もバンバン出てくるブラックコメディ。
殺し屋役のトム・ウィルキンソンが可笑しい。
夫の職業をちゃんと知っている妻ペニー役のマリオン・ベイリーも○。
主役クラスの3人はもちろん死なないハッピーエンドなのでご安心を。

《ゆ》
『赦しのちから』(原題:Overcomer)

2019年のアメリカ作品。
高校教諭ジョンは、バスケットボール部のコーチを務めている。
強豪校だというのに、住民の大半が勤務する大工場が閉鎖されたせいで、
多くの生徒が町で仕事を失った親と共に出て行ってしまう。
ジョンが新たに任されたのはクロスカントリー部のコーチ。
クロスカントリーには何に興味もないうえに、入部希望者はたったひとり。
それは祖母と暮らす喘息持ちで盗み癖まである女子生徒ハンナで……。
『祈りのちから』(2015)のアレックス・ケンドリック監督自らジョンを演じています。
バリバリの宗教映画で、その手の作品に慣れていない日本人は呆気にとられる。
「君は何者か」と聞かれたら、教師だとかバスケ部のコーチだとか、
夫であり父親であるとかではなく、クリスチャンだと答えるのが正解らしい。
私は神の子ですなんて言えない。
《よ》
『よこがお』
2019年の日本作品。
訪問看護師の白石市子(筒井真理子)はその仕事ぶりを高く評価され、人望も厚い。
訪問先の大石家の娘・基子(市川実日子)は市子に憧れて介護福祉士を目指し、
そんな基子に頼られて市子はしばしば勉強を見てやっている。
ある日、基子の妹・サキ(小川未祐)が行方不明になる事件が起き、
無事に保護されたものの、連れ去り犯は市子の甥・鈴木辰男(須藤蓮)だと判明。
聖母のような市子こそが辰男の人格を歪めたとの記事が週刊誌に載って、
市子はマスコミにつけ回された挙げ句、あることないこと書かれる。
さらには市子を慕う基子が、市子につれなくされた腹いせにマスコミを煽ったものだから、
市子は職場での信頼をも失ってしまい、人生はずたぼろに。
ほとぼりが冷めた頃、基子への復讐を心に誓う市子が、
基子の恋人で美容師の米田和道(池松壮亮)に近づくのだが……。
筒井真理子が脱いでいるということで、劇場公開時はオッサン客が多めだったと聞きました。
それ目当てで観に行ったら、えっ、こんなもん!?だったでしょう(笑)。
鬱々とした気分にさせられる、なんとも救いのない作品です。
深田晃司監督は筒井真理子がお気に入りのようで。確かに良い女優さん。

—–

今年観た映画50音順〈ま行〉

《ま》
『マザーレス・ブルックリン』(原題:Motherless Brooklyn)
2019年のアメリカ作品。
原作はジョナサン・レセムの同名ハードボイルド小説。
監督・脚本・製作・主演を務めるのはエドワード・ノートン
1957年のニューヨーク。
孤児院で育ったライオネルは、探偵事務所を経営するフランクに拾われ、
同様にフランクに拾われた孤児院育ちの3人の男と共に探偵として働いている。
ある日、フランクが何者かに殺されてしまう。
フランクはいったい何を掴んでいたのか。ライオネルは事件の解明に乗り出すのだが……。
ライオネルはチックの一種であるトゥレット症候群の患者なのですが、
人並み外れた記憶力の持ち主でもあります。
それをフルに活かして大がかりな陰謀を暴くべく奮闘する姿がめちゃめちゃ面白かった。
フランク役のブルース・ウィリス、いい人
黒幕のモーゼス役のアレック・ボールドウィン、超わるい人(笑)。
ウィレム・デフォーも出演していて、キャストも最高。渋い。

《み》
『見栄を張る』
2016年の日本作品。
大阪を拠点に、映画のリテラシーの活性化を目的に2004年よりスタートした組織、
シネアスト・オーガニゼーション大阪、通称“CO2”。
そのCO2の第12回助成作品が本作で、藤村明世監督の長編デビュー作。
絵梨子(久保陽香)は28歳の売れない女優。代表作といえばビールのCMの脇役のみ。
東京のカフェでバイトしながら、これまた売れない芸人と同棲中。
ある日、和歌山の実家で暮らすシングルマザーの姉が急逝したとの連絡があり、帰郷する。
しっかり者の姉とちがって、これまで実家に寄りつきもせず、
頼りないわりには女優としてのプライドが高い絵梨子に対して叔母たちは辛辣。
とりあえず、ひとり遺された姉の息子・和馬(岡田篤哉)をしばらく託される。
姉の仕事を知りもしなかった絵梨子は、姉の雇い主・花恵(似鳥美貴)から、
彼女の仕事が他人の葬儀で泣く人を演じる“泣き屋”だったと教えられ……。
泣く演技なんて簡単と豪語しても、実際は涙すら流せない絵梨子が次第に変わってゆく。
和馬と手をつないで歩く後ろ姿にじわ~ん。意外に心に沁みた1本でした。
序盤の舞台は東京だけど、絵梨子がバイトするカフェは中崎町の“太陽の塔”です。

《む》
『無垢なる証人』(英題:Innocent Witness)
2019年の韓国作品。
人権派弁護士のスノは、ある大手弁護士事務所からパートナーになる話を打診され、
まずはその弁護士事務所のイメージアップのために一役買ってほしいと言われる。
国選弁護人を務めることになったのは、富裕な老人が死亡した事件。
当初は自殺と思われたが、向かいの家に暮らす少女ジウの証言から、
老人の家の家政婦が容疑者として捕らえられる。
ジウは自閉症であることから、彼女の証言に信憑性があるかどうかが焦点となり……。
スノは被告人の弁護士ですから、ジウの証言を無効にしたい立場。
それでも一応話を聴くべしとジウに面会を求めます。
最初はスノを遠ざけていたジウがスノを次第に信頼するようになる。
彼女はいわゆるサヴァン症候群で、一度見たもの聴いたものを正確に再現する能力を持っています。
弁護士になりたいけれど自閉症だからなれない。でも証人にはなりたい。
ラストシーンには泣きました。

《め》
『メアリーの総て』(原題:Mary Shelley)

2017年のアイルランド/ルクセンブルク/アメリカ作品。
19世紀初頭、18歳のときに『フランケンシュタイン』を生み出した女性小説家、
メアリー・シェリーの波乱に満ちた人生を描いています。
著名な小説家の娘メアリーは、自身も小説家になることを夢見ている。
父親の再婚相手と折り合いが悪かったため、
見かねた父親はメアリーを友人の家に預けることに。
そこでメアリーが出会ったのは、異端の天才詩人と噂されるパーシー・ビッシュで……。
『ボ・ラプ』のベン・ハーディが出演しているというのでそれ見たさに。
でもやっぱりロジャー役の彼のほうがよかった。
《も》
『燃えよ!失敗女子』
2019年の日本作品。
2018年10月に“チームしゃちほこ”から改名したガールズ・ユニット“TEAM SHACHI”のメンバー、
秋本帆華、坂本遥奈、大黒柚姫、咲良菜緒の4人が主演。
女優、ミュージシャン、漫画家、ダンサーを目指す4人は、
それぞれに夢に向かって頑張るのだが……。
てっきりドキュメンタリーだと思って観はじめました。
やたらわざとらしくて演技しすぎやろとゲンナリしていたら、
それ自体が演技で、ドキュメンタリーじゃなかった(笑)。
ちょっと『カメラを止めるな!』(2018)みたいな構成なのですけれど、
そもそも“TEAM SHACHI”を知らない私にとってはこのテンションがキツイ。

—–

今年観た映画50音順〈は行〉

《は》
『8番目の男』(英題:Juror 8)
2018年の韓国作品。
韓国で2008年に導入された陪審員制度“国民参与裁判”の最初のケースがモチーフ。
全国民の注目が集まるなか、陪審員に選ばれた一般市民8名。
審議するのは息子による母親殺しで、息子が自白しているため、有罪は確実。
刑期のみを審議することになると陪審員らは言われる。
しかし、8番陪審員となった青年ナムが素朴な疑問を口にする。
早く帰りたい他の陪審員は、なんとかナムに有罪と言わせようと説得にかかるが、
ナムはどうしても納得しない。
そのうち、母親がマンションのベランダから転落したのは事実だが、
本当にこれは殺人なのかという疑問が次第に皆に生じるようになり……。
たどり着いた真実は、真実かどうかわからないけれど、涙ほろり。
ナム役のパク・ヒョンシクは思わず応援したくなる純朴さ。
国民参与裁判の初の判事役ムン・ソリも毅然としていて良かった。

《ひ》
『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』
2019年の日本作品。
オッサンオバハンの妄想が大の苦手な私は、本作の予告編を観てゲンナリしました。
こんなに劇場で映画を観ているにもかかわらず、これはパスしたぐらい。
それでもDVD化されたら一応観ておこうと思ってレンタル。
アラフィフの作家ヒキタクニオ(松重豊)は、妻サチ(北川景子)と年の差婚。
子どもは持たないつもりだったが、気持ちの変わったサチから子どもがほしいと言われ、
その日から始まる夫婦の妊活模様。
予告編でいちばん嫌だったのが、「ヒキタさんの子どもに会いたい」という台詞でした。
何その言い回しと思い、本作を楽しむのは無理だろうと思っていましたが、
ハードルが下がっていたせいか、よかった。笑いました、泣きました。
笑ったのは、ヒキタさん担当の編集者役の濱田岳とのやりとり。
泣かされたのはサチの父親役を演じる伊東四朗の態度。
いやいや、妊活って大変。円満だったはずの夫婦が妊活を機におかしくなることにも納得。

《ふ》
『フィードバック』(原題:Feedback)
2019年のスペイン/アメリカ作品。
“未体験ゾーンの映画たち 2020”にて上映。
社会派のDJジャービスは、ロンドンの深夜ラジオ番組“残酷な現実”のメインパーソナリティ。
その過激な発言で人気を集める一方、脅迫されることも頻繁。
ある日、いつもどおりに放送を始めるはずが、
マスクを被って武装した2人組の男に番組が占拠される
犯人の要求は、2011年11月にベルファストで起こったことを放送で話せというもので……。
ジャウマ・コレット=セラがプロデュースを務めたとあって、ハラハラドキドキ。
ドランは善人だと信じていましたが、終わってみれば黒い(笑)。
後味は良くない。主演エディ・マーサンなのに。

《へ》
『ヘル・フライト 乗客消失』(原題:Mayday)
2019年のアメリカ作品。劇場未公開。
ロサンゼルスからロンドン行きの飛行機で乗客1名が忽然と姿を消す。
同機に偶然乗り合わせていた航空保安官アダムは原因を突き止めようと機内を捜索。
しかしその後もひとり、またひとりと次々に乗客が消えてゆく。
ついには機長まで消えてしまい、残された乗務員や乗客は恐怖に怯える。
捜索を続けるうち、消えた乗客のうちのひとりが携えていたブリーフケースに、
悪魔を召喚する魔術書が入っていたことがわかり……。
いちばん落ち着いていた女性客が悪魔の化身でしたというトンデモ映画(笑)。
アダム役はかつての人気俳優マイケル・パレ。こんな映画で何しとるねん。
『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)の頃が懐かしい。嗚呼、悲惨。

《ほ》
『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(原題:Hot Summer Nights)
2017年のアメリカ作品。
舞台は1991年のアメリカ。
高校を卒業したばかりのダニエルは、父を失ったショックから立ち直れない。
そんな息子を心配した母親は、彼を海辺のリゾート地ケープコッドに住む叔母に預ける。
気分転換のためにこの地に来たはずが、誰とも馴染めずにいたダニエルは、
地元で札付きのワルとして有名なハンターと出会って意気投合。
大麻の売人をしていたハンターの仕事を手伝い始める。
その一方で、ハンターの妹で町一番の美人マッケイラに一目惚れし、
ハンターから妹に近づくなと釘を刺されていたにもかかわらずアタックして……。
いっぱしの売人になれば好きな女性と釣り合うとでも勘違いしているのか、
大麻で止めておけばいいものをコカインまで手がけようとする。
しかも儲けたいがために間をすっ飛ばそうとしたものだから大変なことに。
ひと夏の淡い恋の物語ですが、阿呆だなぁ。ハンターの最期が悲哀を誘う。
ティモシー・シャラメって不思議な俳優だと思います。
美少年なのにイケてないというのかダサい役が似合う。

—–

今年観た映画50音順〈な行〉

《な》
『ナイト・ストーム』(原題:Grand Isle)
2019年のアメリカ作品。
ニコラス・ケイジ主演だというのに、日本では劇場未公開。
妻と病気の娘を抱え、休職中で金に困っているバディは、
破損した柵を修理してほしいという依頼を退役軍人のウォルターから受ける。
その日のうちに修理を完了させるのは無理だと思われたが、
ウォルターが提示する高額の報酬に釣られ、作業に取りかかるバディだったが……。
ジャケットには軍服を着たニコラス・ケイジが銃を構えるシーン。
当然「いつものニコラス」だと思っていたら、こりゃいったい何だ!?
ニコラス演じるウォルターには怪しげな美人妻ファンシーがいて、
若者を拉致しては地下室に監禁しているサイコ夫婦でしたという。(^o^;
監督はクリント・イーストウッドの愛弟子スティーヴン・カンパネッリとのことですが、
どういう弟子なんでしょか。そりゃこんなショボい映画、劇場で公開なんかでけん。

《に》
『ニューヨーク 最高の訳あり物件』(原題:Forget About Nick)
2017年のドイツ作品。
マンハッタンの超高級アパートメントに暮らすモデルのジェイドは40歳。
モデルを引退してデザイナーとしてデビューすべく会社を設立するが、
ずっと年上の夫ニックから突然離婚しようと言われてしまう。
どうやらニックはジェイドから若いモデルに乗り換えたらしい。
あきらめきれずにいたところへニックの前妻マリアが現れ、
このアパートメントの所有権の半分をニックから与えられたと主張。
同じ男と結婚して同じ男に捨てられたというのに、性格は真逆のジェイドとマリア。
ふたりは衝突を繰り返して……。
監督が『ハンナ・アーレント』(2012)のマルガレーテ・フォン・トロッタというのだから驚く。
こんなコメディも撮れるんですね。
ジェイドのことが好きになれないままでしたが、最後まで飽きません。
それにしても凄いアパートメント。こんな部屋に住んでみたい。
いくつになってもモテモテのオヤジというのもおるんやなぁ。

《ぬ》
なし。毎年困る「ぬ」。

誰か「ぬ」で始まるタイトルの映画を撮ってください。

《ね》
『猫のルーファスと魔法の王国』(原題:Adventures of Rufus: The Fantastic Pet)
2020年のフランス/アメリカ作品。
スマホに夢中な孫2人におじいちゃんが読み聞かせるお伽話という体(てい)。
魔法の国魔法使いアボットがやってきたのは、田舎町のお屋敷。
アボットは魔女リリスと死闘を繰り広げた末、どこかに消えてしまう。
屋敷に残されたリリスもアボットによって魔力を封じ込まれ、
致し方なく召使いとして屋敷に仕える。
実はリリス以外にも屋敷に身を潜めていたのが、アボットの相棒猫ルーファス。
ルーファスは数年間、信頼できる協力者の登場を待ちわびていたのだ。
屋敷の女主人の孫スコットとその友人エミリーがまさに信頼に足る協力者。
最初は人間の言葉を話す猫に怯えていたスコットたちだが、
ルーファスの頼みを聞き入れ、魔法の国を救うべく、アボットを探しはじめ……。
CGアニメと実写の融合作品ですが、ルーファスが驚くほど可愛くない(笑)。
物語自体も面白いとは到底言えず、我ながらよく最後まで耐えたものです。
エンディングで続編ありをはっきり匂わせているけれど、無理だと思う。(^^;

《の》
『野良猫とパパ活』
2020年の日本作品。
劇場公開も検討されたようですが、結局DVDスルー。
文明(奈良坂篤)は処女作でいきなり大作家の仲間入りをしたものの、
その後エッセイや紀行文を書くのみ、小説は書けないまま、

まもなく還暦を迎える年齢に。
ある晩、編集担当者の高橋(佐藤良洋)と立ち寄ったバーに、
酒や接客の知識などおよそないと思われる少女・愛純(乃木蛍)がいた。
彼女は単なるバイトだったが、ママとバーテンダーが駆け落ちして、
今月の給料を貰えず、金がなくて困っていると言う。
彼女を放っておけなくなった文明は、愛人契約を申し出るのだが……。
谷崎潤一郎の『痴人の愛』をモチーフとした官能エロスドラマとの謳い文句だけど、
退屈すぎてちょっと寝ました。
愛純役の蛍ちゃんがインスタの人気者だと後から知る。
まぁ、そんな子が脱いでるんだから話題にはなるか。
演技については言わずにおきます。(^^;
しかし、若い子をつなぎとめておこうと必死になるオッサンは怖いですねぇ。
冷蔵庫の中を愛純の好きな牛乳でいっぱいにするシーンはほぼホラーでした(笑)。

—–

今年観た映画50音順〈た行〉

《た》
『タロウのバカ』
2019年の日本作品。
父親はいない、母親は育児放棄、一度も学校に行ったことのない少年タロウ(YOSHI)。
無戸籍で自分の年齢もわからない彼はたぶん12歳か13歳ぐらい。
高校生のエージ(菅田将暉)とスギオ(仲野太賀)と仲良くなり、毎日つるんでいる。
タロウというのも本名ではなく、エージとスギオから名前を聞かれたときに
答えなかったら「タロウ」と呼ばれるようになった。
ある日、ヤクザの吉岡(奥野瑛太)から殴られたことを恨みに思うエージが、
スギオとタロウを誘って吉岡に仕返し。
吉岡から奪った鞄の中には実弾入りの拳銃が入っていて……。
不良少年がダラダラと毎日を過ごす映画なのかと思ったら、大森立嗣監督はえげつない。
不愉快なシーンや台詞が多くて、観ているのが非常につらかった。
銃を手にして気持ちに変化が現れるのは『銃』(2018)と同じ。
でも本作のほうが私たちに社会問題をつきつけているように思えます。

《ち》
『ちえりとチェリー』
2015年の日本作品。
中村誠監督は、ロシアの国民的人気キャラクターを基に、
日本で新たに製作したパペットアニメーション“チェブラーシカ”を撮った人。
そんな監督が東日本大震災の被災地の未来に思いを込めて撮ったアニメ。
父親を亡くし、仕事で忙しい母親にあまりかまってもらえない小学6年生の少女ちえり。
彼女にとって、ぬいぐるみのチェリーだけが自分を理解してくれる友だちで……。
心を閉ざしたままだったちえりがぬいぐるみたちと繰り出す冒険。
親子で安心して観られる、かつ、大人の心にも響くパペットアニメです。
1時間を切る短さも子どもと観るのにうってつけ。

《つ》
『ツングースカ・バタフライ サキとマリの物語』
2018年の日本作品。
元陸上自衛官の咲(亜紗美)は、傷害致死事件を起こして服役。
出所後の就職先で陰口を叩かれてブチ切れ、仕事を失う。
窃盗の腕前は一流なのだが、もう悪事に手を染めたくはないと思っていた矢先、
ネグレクトを受けている少女・真理(丁田凛美)と出会う。
出生届すら提出されておらず、ゴミだらけの部屋の中、
玉の輿を狙って男を渡り歩く母親・歌子(加藤理恵)を待つ真理。
少女を救うため、大きな盗みで一発当てる決意をする咲だったが……。
ハードボイルド風なジャケットから想像していたものとはちと違い、
観てよかったと思った1本。
咲役の亜紗美は海外にも熱狂的なファンを持つアクション女優らしく、
確かに彼女のアクションは切れ味抜群。
これが引退作だそうで、過去の作品に遡って観てみたい。
と思って調べたら、経歴が面白い。AV女優だった頃に、
「1970年代のバイオレンス映画の女優の顔」だと言われたって!? なるほど。

《て》
『テルアビブ・オン・ファイア』(英題:Tel Aviv on Fire)
2018年のルクセンブルク/フランス/イスラエル/ベルギー作品。
エルサレム在住のパレスチナ人サラームは、TV局のプロデューサーを務める叔父のコネにより、
人気連続メロドラマ“テルアビブ・オン・ファイア”の撮影現場で、

ヘブライ語の言語を指導する職に就く。
撮影所に行くには毎日検問所を通らねばならないのだが、
ある日ドラマの台詞を考えながら運転していたところ、
不用意に「爆発的」という言葉を発したことから、
危険人物とみなされて車から降りるように命じられる。
イスラエル軍司令官アッシのもとへと連れて行かれて自分の仕事を説明すると、
アッシはサラームのことを“テルアビブ・オン・ファイア”の脚本家と勘違い。
アッシの妻や姑がそのドラマの大ファンだったものだから、
アッシは自分のアイデアを脚本に盛り込むように言いだして……。
宗教的にややこしい地域だから、政府や国民の好みを反映してドラマをつくるのが大変。
すごく面白い作品でした。
「爆発的に美しい」という台詞は女性に対して失礼だというサラームの指摘なども楽しい。
結局どんな台詞に変更されたかというと、「気絶するほど美しい」でした。

《と》
『トンネル 9000メートルの闘い』(原題:Tunnelen)
2019年のノルウェー作品。
ノルウェーの大山岳地帯を貫く長さ9キロのトンネル。
クリスマスを実家で過ごそうと、多くの帰省客がトンネル内を行き来するなか、
1台のタンクローリーが壁に激突し、ほかの車の行く手を阻む形で停車する。
やがてタンクローリーの燃料が流出して爆発、黒煙が漂いはじめる。
救助隊隊員スタインが現場に向かうが、トンネル内のバスに娘エリゼが乗車していることを知り……。
ノルウェーのトンネルには出口がほとんどなくて、
何か事故が起きたときには自己責任だという事実に驚きました。
2011年以降に起きたトンネル事故で助かった人はいないそうな。
本作は実話ではないけれど、そうした事故をモチーフに描かれているらしい。
トンネル内事故のフィクションなら、ほかにいくらでも面白いやつがありますが、
ノルウェー作品だという面白さはあります。

—–